2025年4月7日月曜日

主な部位別がん死亡数

 

今回は,主な部位別がん死亡数を学びます。

 

男女差があります。

 

最も多いのは,

 

男性は肺がん

 

女性は大腸がん

 

3位までまとめると以下のようになります。

 

主な部位別がん死亡数

 

男性

女性

1位

肺がん

大腸がん

2位

大腸がん

肺がん

3位

胃がん

膵臓がん

 

順位のあるものは,1位を覚えることが基本です。

 

しかし,国家試験では正解を2つ選ぶ問題があるため,2位まで覚えておくと安心です。

 

この場合の覚え方のコツは,それぞれの1位をまず覚えて,2位は逆になっている覚えます。

 

男性 肺がん → 大腸がん

女性 大腸がん → 肺がん

 

それでは,今日の問題です。

 

35回・問題4 

次のうち,2021年(令和3年)における,がん(悪性新生物)の主な部位別にみた死亡数で女性の第1位として,正しいものを1つ選びなさい。

1 大腸がん

2 胃がん

3 膵臓がん

4 乳がん

5 肺がん

 

 

正解は,「1 大腸がん」です。

 

覚えておけばとても簡単でしょう。多くの国家試験問題はこんな感じです。

いかに確実に覚えるかが重要です。

 

〈今日のおまけ〉

 

今日のテーマは「主な部位別がん死亡数」です。

 

これが,「主な部位別がん罹患数」だとまったく異なります。

 

主な部位別がん罹患数

 

男性

女性

1位

前立腺がん

乳房がん

2位

大腸がん

大腸がん

3位

胃がん

肺がん

 

男性は「前立腺がん」,女性は「乳房がん」が多いですが,これらは早期発見によって,完治できることがわかります。

2025年4月5日土曜日

キャプランによる予防の概念

 

人名は覚える必要はありませんが,危機理論を提唱したキャプランは,予防の概念である予防モデルを提唱しています。

 

今日では,広くさまざまな分野で用いられています。

 

防モデル

一次予防

問題を発生させないこと。

二次予防

問題を早期に発見,治療すること。

三次予防

問題を進行させない,問題を再発させないこと。

 

これだけを機械的に覚えていても国家試験を正解することはできません。

 

予防概念が出題される時は,たいていタクソノミーⅡ型(知識を使って思考して答える形式)で出題されています。

 

今日の問題もいかにもそうです。

 

35回・問題3 

次のうち,疾病の予防に関する記述として,正しいものを1つ選びなさい。

1 特定健康診査は一次予防である。

2 糖尿病予防教室は一次予防である。

3 ワクチン接種は二次予防である。

4 リハビリテーションは二次予防である。

5 胃がんの手術は三次予防である。

 

どうでしょうか?

それぞれの選択肢の内容を考えなければ答えられません。

 

まさしく「ザ・タクソノミーⅡ型」です。

 

それでは,解説していきます。

 

1 特定健康診査は一次予防である。

 

高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)に基づいて,40歳以上75歳未満の医療保険加入者に実施される特定健康診査の目的は,生活習慣病のリスクの早期発見です。

 

早期発見は,二次予防です。

 

特定健康診査は,メタボリックシンドロームに着目して実施されます。

 

メタボリックシンドロームの診断基準は,

 

・腹囲が基準以上(男性85センチメートル,女性90センチメートル)

・血圧,血糖,脂質の検査値が規定値以上

 

特定健康診査の結果によって生活習慣の改善が必要と判定されると特定保健指導が実施されます。

 

特定保健指導も二次予防です。

 

2 糖尿病予防教室は一次予防である。

 

これが正解です。糖尿病予防教室は,糖尿病にならないためのものです。

 

問題を発生させないこと(つまりは生活習慣病の予防)は,一次予防です。

 

3 ワクチン接種は二次予防である。

 

ワクチン接種は,感染症にならないために行うものです。

 

問題を発生させないこと(つまりは感染症の予防)は,一次予防です。

 

4 リハビリテーションは二次予防である。

 

医学リハビリテーションの中には,体力低下を予防するためのものも含まれます(この場合は一次予防)が,多くのリハビリテーションは,問題の悪化や再発予防のために行われます。

 

悪化や再発防止は,三次予防です。

 

少なくともリハビリテーションは,問題の早期発見である二次予防ではありません。

 

5 胃がんの手術は三次予防である。

 

治療は,二次予防です。

 

〈今日のおまけ〉

 

この問題は,不適切問題にはなりませんでしたが,一部に物議を醸しだしました。

 

厚生労働省のホームページにこんな記述があるからです。

 

特定健診・特定保健指導の仕組みは、4074歳の方全員を対象として大規模な一次予防を行うという、世界に例のない先駆的な取組として、各国のマスメディア・政府関係者から取材を受けています。


 出典:厚生労働省ホームページ「世界から注目される特定健診・特定健康指導」

https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02a-1.html


しかし,特定健康診査は,明らかに一次予防ではありません。こんな文章は削除してほしいものです。

 

一次予防は,一般住民に対する健康指導でなければなりません。

 一般住民に対することはポピュレーションアプローチといいます。

 

特定健康診査は,生活習慣病のハイリスク者を発見するためのものです。

 

特定健康指導は,特定健康検査であぶり出された生活習慣病のハイリスク者に対して実施されます。

 ハイリスク者に対して実施することはハイリスクアプローチといいます。

2025年4月3日木曜日

国際生活機能分類(ICF)の問題

  

国際生活機能分類(ICF)は,タクソノミーⅠ型だけだはなく,タクソノミーⅢ型でも出題されています。

 

どちらにも対応できることが必要です。

 

ICFで用いられる用語の定義

 

健康状態

疾病,変調,傷害など

心身機能

身体系の生理的機能(心理的機能を含む)

身体構造

身体の解剖学的部分

機能障害

心身機能または身体構造上の問題

活動

課題や行為の個人による遂行のこと

参加

生活・人生場面への関わりのこと

活動制限

個人が活動を行うときに生じる難しさのこと

参加制約

個人が何らかの生活・人生場面に関わるときに経験する難しさのこと

環境因子

人々が生活し,人生を送っている物的な環境や社会的環境,人々の社会的な態度による環境を構成する因子のこと

 

背景因子には,環境因子のほかに個人因子がありますが,ICFでは,社会的・文化的に差があるため,定義づけしていません。しかし,それまでの人生の経験など個人的なものであることには間違いありません。

これらのうち,「心身機能・身体構造」「参加」「活動」は,「生活機能」という概念でまとめられています。

 

今日の問題は,タクソノミーⅠ型です。

 

35回・問題2 

国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 対象は障害のある人に限定されている。

2 「社会的不利」はICFの構成要素の一つである。

3 「活動」とは,生活・人生場面への関わりのことである。

4 仕事上の仲間は「環境因子」の一つである。

5 その人の住居は「個人因子」の一つである。

 

この問題は,もしかするとICFの知識ゼロでもソーシャルワーカーなら正解できてしまうかもしれません。

 

それでは,正解です。

 

1 対象は障害のある人に限定されている。

 

ICFの対象は,障害のある人だけではなく,障害のない人も含まれます。

 

2 「社会的不利」はICFの構成要素の一つである。

 

「社会的不利」は,ICIDH(国際障害分類)の構成要素です。

 

ICIDHは,「機能・形態障害」「能力障害」「社会的不利」で構成されていました。

 

3 「活動」とは,生活・人生場面への関わりのことである。

 

生活・人生場面への関わりのことは,参加です。

 

活動は,課題や行為の個人による遂行のことです。

 

活動に分類されるものには,「歩く」があります。歩いて趣味のサークルに行くと「参加」です。

 

歩くことが困難なことは活動制限といいます。

 

活動制限があっても,電動車いすという環境が整えば,活動できます。参加もできます。

 

4 仕事上の仲間は「環境因子」の一つである。

5 その人の住居は「個人因子」の一つである。

 

正解は,選択肢4です。

この2つはいずれも生活機能の背景因子の「環境因子」です。

 

仲間は,システム理論でも環境なので,落ち着いて考えることができれば,正解できたのではないかと思います。

 

環境因子には,ここにある,仲間,住居のほかには,エレベーター,杖,歩行器,電動車いすなどが分類されます。

 

環境因子には,促進因子と阻害因子があります。

 

個人因子は,個人に関係するもの,例えば,生まれた場所,教育,年齢,職業経験などです。

 

個人因子には,環境因子と異なり,促進因子と阻害因子という概念はありません。


ICFのタクソノミーⅢ型の問題を解きたい人はこちら

https://fukufuku21.blogspot.com/2025/03/blog-post_10.html

2025年4月1日火曜日

今日から新年度

今日から新年度です。


気持ちを新たにスタートです。


当学習部屋を開設以来,ほぼ毎日新しい情報を出して来ました。

ずっとご覧になっていた方は,間が空いたことが不思議に思ったでしょう。


実は,今年の国家試験が終わったところから,ペースを変えて,2日に1回にしようと計画していました。

しかし,例の国家試験のこともあり,その総括も含めて,以前のペースのままにしました。


今日からは2日に1回のペースにします。


しかし,それでは,毎日のペースが狂うという方もいるでしょう。


その場合は,右側の「ブログアーカイブ」で,初めて見た頃に当たりをつけて,適当な記事を開き,そのページをブックマーク(お気に入り)にしてください。


アップしない日は,そこからさかのぼれば良いと思います。


どうぞよろしくお願いします。


それでは,今日の問題です。


前説なしです。


第35回・問題1 

思春期に伴う心身の変化に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 この時期の心理的特徴として,自意識に乏しいことが特徴である。

2 女子では,初経から始まり,次いで乳房や骨盤の発育がみられる。

3 男子は,女子よりも早い時期から思春期が始まる。

4 身体の変化は緩徐な変化が多い。

5 第二次性徴という身体的な変化が始まる。


この問題は,第37回国家試験が終わった後に一度取り上げました。

自意識過剰の類似問題

https://fukufuku21.blogspot.com/2025/02/blog-post_22.html

受験された方は,覚えているかもしれません。


過去問を解く時,正解することを目的する勉強は不適切だということを教えてくれる問題です。


正解以外も覚えることが必要です。


それでは,解説です。


1 この時期の心理的特徴として,自意識に乏しいことが特徴である。


思春期は,自意識が強くなります。


自分の若い頃もそうだったのではないでしょうか。


2 女子では,初経から始まり,次いで乳房や骨盤の発育がみられる。


この問題を正解できなかった人は,この選択肢にやられた人が多かったのではないかと推測します。


女性でも忘れているかもしれません。


順番は,乳房や骨盤の発育 → 初経 です。


体が成長し,そのうえで,子どもができる体になります。


逆なら,体に無理があることが理解できるでしょう。


3 男子は,女子よりも早い時期から思春期が始まる。


これは経験的にわかるでしょう。


思春期が早く始まるのは女子です。


4 身体の変化は緩徐な変化が多い。


緩徐とは「ゆっくり」という意味です。


思春期には,身体の成長の伸びが大きくなります。


5 第二次性徴という身体的な変化が始まる。


これが正解です。


両性に共通するものとしては,腋毛や陰毛の発毛。

女性では,生理,乳房の発達など。

男性では,声変わり,男性器の発達など。


といったことが現れるのが第二次性徴です。


となると,第一次性徴では何でしょう?


これは,胎児期に性を分ける性徴です。


〈今日の注意ポイント〉


今日の問題は決して難しくはありません。

しかし,正解するのは簡単ではありません。

迷わせる選択肢があるからです。

特にこの問題は,国家試験の1問目です。緊張しているはずです。気持ちを少しでも落ち着かせて問題に向き合う方法を自分なりに準備しておくことがとても重要です。

落ち着かせる方法は,ネットで調べるとたくさんあると思うので,参考にすると良いと思います。絶対にないがしろにしないようにしてください。



2025年3月28日金曜日

ヴェーバーの社会的行為(難易度は高くない)

前回に引き続き,今回もヴェーバーの社会的行為です。


目的合理的行為

価値合理的行為

伝統的行為

感情的行為

 

目的を達成するために行う行為。

 

行動そのものに意味がある行為。結果は重視されない。

 

慣習や習慣によって行う行為。

 

感情によって行う行為。


それでは,今日の問題です。


第34回・問題19

社会的行為に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 

1 パーソンズ(Parsons,T.)は,相互行為における無意識的,習慣的な行為に着目し,そうした行為において利用される個人の文化的な蓄積を「文化資本」と呼んだ。

2 ハーバーマス(Habermas,J.)は,個人に外在して個人に強制力を持つ,信念や慣行などの行為・思考の様式,集団で生じる熱狂などの社会的潮流を「社会的事実」と呼び,社会学の固有の領域を定式化した。

3 ブルデュー(Bourdieu,P.)は,相互行為が相手の行為や期待に依存し合って成立していることを「ダブル・コンティンジェンシー」と呼んだ。

4 ヴェーバー(Weber,M.)は,社会的行為を四つに分類し,特定の目的を実現するための手段になっている行為を「目的合理的行為」と呼んだ。

5 デュルケム(Durkheim,E.)は,言語を媒介とした自己と他者の間で相互了解に基づく合意形成を目指す行為を「コミュニケーション的行為」と呼んだ。


人名が苦手な人にとっては,いやになるような問題だと思います。


しかし,いわゆるタクソノミーⅠ型の単純な出題スタイルなので,知識があればすぐに答えられます。

人名問題は,主語を入れ替えていることがあるので,そこに気がつくことができれば,正解しやすくなります。


それでは解説です。


1 パーソンズ(Parsons,T.)は,相互行為における無意識的,習慣的な行為に着目し,そうした行為において利用される個人の文化的な蓄積を「文化資本」と呼んだ。


個人の文化的な蓄積のことを「文化資本」というのは適切ですが,提唱したのは,ブルデューです。


2 ハーバーマス(Habermas,J.)は,個人に外在して個人に強制力を持つ,信念や慣行などの行為・思考の様式,集団で生じる熱狂などの社会的潮流を「社会的事実」と呼び,社会学の固有の領域を定式化した。


信念や慣行などの行為・思考の様式,集団で生じる熱狂などの社会的潮流のことを「社会的事実」というのは適切ですが,提唱したのは,デュルケムです。


3 ブルデュー(Bourdieu,P.)は,相互行為が相手の行為や期待に依存し合って成立していることを「ダブル・コンティンジェンシー」と呼んだ。


相互行為が相手の行為や期待に依存し合って成立していることを「ダブル・コンティンジェンシー」というのは適切ですが,提唱したのはパーソンズです。


4 ヴェーバー(Weber,M.)は,社会的行為を四つに分類し,特定の目的を実現するための手段になっている行為を「目的合理的行為」と呼んだ。


これが適切です。


社会的行為を四つに分類し,特定の目的を実現するための手段になっている行為は「目的合理的行為」です。


5 デュルケム(Durkheim,E.)は,言語を媒介とした自己と他者の間で相互了解に基づく合意形成を目指す行為を「コミュニケーション的行為」と呼んだ。


言語を媒介とした自己と他者の間で相互了解に基づく合意形成を目指す行為を「コミュニケーション的行為」というのは適切ですが,提唱したのはハーバーマスです。


いろいろな人が出題されていますが,結局正解となっているのは,ヴェーバーの社会的行為でした。


国家試験問題は,こういったように問題がつくられることが多いものです。


難しそうに見えても,実は正解は極めてスタンダードなものだったりします。


それを無視すると,正解できなくなり,第37回国家試験のように,ボーダーラインが下がります。


第37回・問題17

差別や偏見に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

1 ゴッフマン(Goffman,E.)は,主に身体に付随し,それが他者にとっての偏見を呼び起こす「印」として機能するものをスティグマと呼んだ。

2 オルポート(Allport,G.)は,民族的偏見を「誤った,柔軟性のない一般化に基づいた反感」と定義づけた。

3 リップマン(Lippmann,W.)は,人々の知覚や認識を単純化して理解することをダブル・コンティンジェンシーと呼んだ。

4 コールマン(Coleman,J.)は,政治・経済・軍事などの分野のトップが社会の権力を握るとするパワーエリート論を展開した。

5 ミルズ(Mills,C.)は,一次的逸脱と二次的逸脱という概念を用いて,逸脱的アイデンティティが形成されるメカニズムを説明した。


この問題は,正解が1つのものであれば,それほど難しくないものですが,2つだったために超難しくなってしまいました。


正解は,選択肢1と2でした。

1 ゴッフマン(Goffman,E.)は,主に身体に付随し,それが他者にとっての偏見を呼び起こす「印」として機能するものをスティグマと呼んだ。

2 オルポート(Allport,G.)は,民族的偏見を「誤った,柔軟性のない一般化に基づいた反感」と定義づけた。


3 リップマン(Lippmann,W.)は,人々の知覚や認識を単純化して理解することをダブル・コンティンジェンシーと呼んだ。


ダブル・コンティンジェンシーはパーソンズが提唱したものです。

人々の知覚や認識を単純化して理解することは,ステレオタイプといいます。提唱したのは,ここに出題されているリップマンです。


4 コールマン(Coleman,J.)は,政治・経済・軍事などの分野のトップが社会の権力を握るとするパワーエリート論を展開した。


パワーエリート論を展開したのは,ミルズです。


5 ミルズ(Mills,C.)は,一次的逸脱と二次的逸脱という概念を用いて,逸脱的アイデンティティが形成されるメカニズムを説明した。


逸脱的アイデンティティが形成されるメカニズムを説明したのは,レマートです。

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