2024年4月29日月曜日

子どもに学ぶ! 合格をつかむ勉強法!!

 年齢とともに記憶力が落ちる?


脳科学的には20歳を過ぎれば脳細胞がどんどん減って来ます。


しかし,子どもの方が覚えるのが早いというのは,脳細胞だけではないようです。


ある説によると,子どもは記憶量そのものが少ないため,覚えようとする時,邪魔な記憶がないので,その新しい刺激を単純に何度も何度も反復して覚えることができるとのことです。


それに対して大人は,知識量が増えてくるので,単純に何度も何度も反復できずに,何かの記憶が邪魔することが多くなるとのこと。


これが大人の記憶力が落ちる,という説のようです。


この説に従えば・・・


記憶力は,覚え方を工夫すれば蘇る!


無邪気な子どものようにひたすら覚えることに没頭すれば,記憶力は蘇ることでしょう。


しかし,勉強中でもいろいろなことが気になるものです。


明日の仕事の段取りのこと・・・

子どものこと・・・

明日の朝食のこと・・・

ご利用者のこと・・・   etc...



心を無にするのはとても難しいと思います。


つまり


子どもの頃と現在では覚え方を変える必要もある



 子ども ⇒ 知識が少ない分,反復学習の効果が出る。

 大人  ⇒ 知識が多い分,反復学習の効果が出にくい。



子どもと大人の違いが知識の多さの違いだとすると・・・


それを逆手に取った学習は,たくさんの知識を最大限に活用することではないでしょうか。


例えば・・・


身近なものに置き換えてみる


周辺に知っていることがあれば,関連させてみる


なぜそうなっているのか,考えながら覚える


法制度に関連するものは,ネットで行政資料を探して読む などなど


これまでの勉強は

反復学習で乗り越えてきた

という人は,特に気を付けましょう。


今と以前は自分自身が変化しています。

今までのものとは違う試験です。


それにもかかわらず,同じ勉強法で乗り越えるのは大変危険だと言わざるを得ません。


今の自分に合った覚え方があるはずです。


夜に勉強時間が取れなくて,朝1時間早起きして勉強を続けて合格をつかみ取ったという方もいます。


参考書を科目ごとに切って,訪問の途中で時間が空いた時にいつも目を通した,という方もいます。


仕事をして家事をして家族の介護もして,そんな中で合格をつかみ取った仲間もいます。


「必ず合格する」という執念が合格をつかんだのだと思います。


時間は待ってくれません。


ぜひ執念をもって合格をつかんでいただきたいと思います。


執念をもって,国試に臨みましょう!!


それでは,今日の問題です。


第26回・問題79 

行政不服申立てに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 介護保険の要介護認定の結果に不服がある場合,都道府県知事に審査請求を行う。

2 障害福祉サービスの支給量の决定に不服がある場合,都道府県知事に審査請求を行う。

3 生活保護の決定に不服がある場合,福祉事務所長に異議申立てを行う。

4 国民健康保険の保険料に関する処分に不服がある場合,市町村長に異議申立てを行う。

5 保育所入所に係る処分に不服がある場合,市町村長に審査請求を行う。


行政不服申立制度は,平成28年4月に変更されています。


そのため,今現在はこの問題は成立していません。


しかし今回あたりにいよいよ出題されそうなので,以前との違いも押さえてしっかり覚えていきましょう。



従来との変更点


「異議申立」「審査請求」「再審査請求」だったものを,


異議申立を審査請求に一元化して,


「審査請求」「再調査の請求」(例外)「再審査請求」


になったことです。



従来あった「異議申立」は処分庁に上級行政庁がない場合に処分庁に異議申立てするものでした。


異議申立は処分庁から説明を受ける機会が与えられていないなど手続き方法が審査請求と違っていたものを審査請求に一元化しています。


また,不服申立期間が,処分があったことを知った日の翌日から60日以内だったものが,3か月に延長されています。



なお,障害者総合支援法や介護保険法のように法に不服申立の規定があるものと児童福祉法などのように規定がないものがあります。


規定がないものは,行政不服審査法に従って不服申立てを行います。


行政不服審査法の改正によって,他の法の関連部分もすべて上記のように統一して変更されています。



さて,それでは詳しく見ていきましょう。



1 介護保険の要介護認定の結果に不服がある場合,都道府県知事に審査請求を行う。



介護保険法は,不服申立てが法に規定されています。


(審査請求)

第百八十三条  保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分及び要介護認定又は要支援認定に関する処分を含む。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金(財政安定化基金拠出金、納付金及び第百五十七条第一項に規定する延滞金を除く。)に関する処分に不服がある者は、介護保険審査会に審査請求をすることができる。



審査請求は,都道府県に設置される介護保険審査会に対して行います。


よって×。



2 障害福祉サービスの支給量の决定に不服がある場合,都道府県知事に審査請求を行う。



障害者総合支援法も不服申立についての規定があります。



(審査請求)

第九十七条  市町村の介護給付費等又は地域相談支援給付費等に係る処分に不服がある障害者又は障害児の保護者は、都道府県知事に対して審査請求をすることができる。


審査請求は,都道府県知事に対して行います。


よって正解です。



ただし,同法には次のような規定があります。



(不服審査会)

第九十八条  都道府県知事は、条例で定めるところにより、前条第一項の審査請求の事件を取り扱わせるため、障害者介護給付費等不服審査会(以下「不服審査会」という。)を置くことができる。


介護保険法では,介護保険審査会に対して審査請求します。


障害者総合支援法では,都道府県知事に対して審査請求を行います。都道府県が不服審査会(任意設置)を設置している場合は,不服審査会に審査請求に対しての対応させることになります。


介護保険審査会が必置であるのに,不服審査会は任意設置であるのは


介護保険法は社会保険方式


障害者総合支援法は社会扶助方式


という違いによるものではないでしょうか。


社会保険は,保険料の拠出が前提なので,被保険者は権利意識を強く持ちやすく,審査請求が多いだろうと予測したのではないでしょうか。


それに対して社会扶助方式は,拠出が前提ではないので,社会保険方式よりも権利意識は強くはないないと思います。



話を戻します。


不服審査会が設置されていても審査請求は都道府県知事に対して行います。


間違えないようにしましょう。


3 生活保護の決定に不服がある場合,福祉事務所長に異議申立てを行う。


生活保護法も法に規定があります。


(審査庁)

第六十四条  第十九条第四項の規定により市町村長が保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部をその管理に属する行政庁に委任した場合における当該事務に関する処分並びに第五十五条の四第二項の規定により市町村長が就労自立給付金の支給に関する事務の全部又は一部をその管理に属する行政庁に委任した場合における当該事務に関する処分についての審査請求は、都道府県知事に対してするものとする。


今はなくなってしまった異議申立ては,生活保護法にはもともとありません。


審査請求は都道府県知事に対して行います。


よって×。


生活保護法には,都道府県知事の採決に不服がある場合に,厚生労働大臣に対しての再審査請求が規定されています。


再審査請求が規定されているものは珍しいものです。


それだけ,生活保護制度は国民の権利として大切に作られた制度であることがうかがわれます。



4 国民健康保険の保険料に関する処分に不服がある場合,市町村長に異議申立てを行う。


国民健康保険法にも法に規定があります。



(審査請求)

第九十一条  保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、国民健康保険審査会に審査請求をすることができる。


国民健康保険審査会は都道府県に必置の機関です。


審査請求は国民健康保険審査会に対して行います。


よって×。


5 保育所入所に係る処分に不服がある場合,市町村長に審査請求を行う。



この時点では,保育所入所に係る処分に不服がある場合,市町村長に直接行う異議申立てを行っていました。そのため,この選択肢は間違いでした。


しかし,平成28年の法改正で異議申立てはなくなり,審査請求に一元化されています。そのため,今の時点では正解となります。


異議申立てがなくなって,不服申立てのシステムはとてもシンプルになりました。


覚えるのも簡単になりましたね。


さて,今日のものはどのように覚えたらよいのか,考えてみてくださいね。


できれぱ,反復して覚える,というよりも一度でしっかり覚えきってしまう,ということを意識してみましょう。そのためには,何をすべきでしょうか?


2024年4月28日日曜日

自立支援医療とは


日本の医療保障の中心は,社会保険制度ですが,障害者医療は,社会保険ではなく,社会福祉制度で構成されます。


今日,取り上げる問題は,障害者総合支援法の自立支援医療です。


第26回・問題74 

「障害者総合支援法」の保健医療サービスに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 自立支援医療には,療育医療,更生医療,育成医療の3種類の公費負担医療がある。

2 療養介護医療とは,在宅で医療と常時介護を必要とする人に,機能訓練,療養上の管理,看護・介護及び日常生活の世話を行うことのうち,医療にかかるものをいう。

3 自立支援医療費の給付を受けようとする障害者又は障害児の保護者は,都道府県の窓口に申請をしなければならない。

4 自立支援医療の利用者は,当該医療費の3割を負担する。ただし,世帯の所得に応じて月額の負担上限額が設定される。

5 入院時の食事療養費と生活療養費(いずれも標準負担額相当)については原則自己負担となる。


障害者総合支援法は,障害者自立支援法が改正されたものです。


自立支援法が成立した当時のこと知っている人ならわかるかと思いますが,その時に以下の3つをまとめて自立支援医療が出来ました。



障害児に対する育成医療(児童福祉法) → 市町村の役割


身体障害者に対する更生医療(身体障害者福祉法) → 市町村の役割


精神障害者に対する精神通院医療(精神保健福祉法) → 都道府県の役割



精神通院医療のみ都道府県となっていますが,ただし,申請窓口は市町村です。



因みに更生という意味はリハビリテーションを指しています。

更生施設,更生相談所などがあります。

リハビリの施設やリハビリについての相談をするところだというイメージがわきますね。


それでは,詳しく見ていきましょう。


1 自立支援医療には,療育医療,更生医療,育成医療の3種類の公費負担医療がある。


療育医療というのはないです。

正しくは精神通院医療です。


よって×。


 2 療養介護医療とは,在宅で医療と常時介護を必要とする人に,機能訓練,療養上の管理,看護・介護及び日常生活の世話を行うことのうち,医療にかかるものをいう。



療養介護医療と言われると混乱してしまいそうですが,療養介護のうちの医療の部分のことを指しています。

療養介護は,医療と常時介護が必要な人を入院させて,医療機関での機能訓練,療養上の管理,看護・介護及び日常生活の世話を行うものです。


つまり,医療機関で提供されるサービスです。

在宅ではありません。

よって×。


3 自立支援医療費の給付を受けようとする障害者又は障害児の保護者は,都道府県の窓口に申請をしなければならない。


自宅支援医療の事務を行っているのは,育成医療と更生医療が市町村,精神通院医療が都道府県です。


このように役割が分かれています。しかしそれでは利用したい人は混乱してしまいます。


そこで先述のように精神通院医療の申請窓口も市町村です。


市町村を経由して都道府県に送られます。都道府県の窓口では住民にとっては遠すぎます。


窓口はすべて市町村ということになりますので×です。



4 自立支援医療の利用者は,当該医療費の3割を負担する。ただし,世帯の所得に応じて月額の負担上限額が設定される。


一般の医療費の自己負担は3割が基本なのでこのような問題を作ったのだと思います。

しかし障害児・者に対して3割負担は上限額があったとしてもハードルが高いです。

正しくは1割です。よって×。


5 入院時の食事療養費と生活療養費(いずれも標準負担額相当)については原則自己負担となる。


これが正解です。


消去法でもこれしかないと思いますが,ちょっとびっくりですね。

自立支援法は介護保険を参考にして作られたので,ホテルコスト分は自己負担ということになったのでしょう。

在宅と病院との生活費の整合性のためには必要だったのかもしれません。

2024年4月27日土曜日

その分野の基本法をまず押さえよう!

 

勉強にはいろいろなやり方がありますが,枝葉だけを見ていると見えるものも見えなくなってしまうものもあります。

 

法制度は,必然性があって出来上がるものです。

 

法制度を勉強する時には,必ずそれを押さえておくようにしましょう。

 

そうすれば,試験当日,忘れたとしても手掛かりをつかむことができることでしょう。

 

今見ている「保健医療と福祉」の基本法は,医療法です。

 

一度は目を通しておくと良いです。

 

福祉分野の人にとって医療法はなじみが少ないものだからです。

 

さて,それでは今日の問題です。

 

26回・問題73 

我が国の医療提供施設に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 病院とは,医療法上,病床数10床以上を有する医業又は歯科医業を行う施設のことである。

2 病院施設の中の一般病院数の年次推移をみると,最近10年間の総数は増加し続けている。

3 臨床研修を修了した医師又は歯科医師が診療所を開設するときは,都道府県知事に開設の許可を得なければならない。

4 地域医療支援病院の承認要件には,救急医療を提供する能力を有することが含まれる。

5 病床種別の中で病院病床数を比較すると,療養病床の方が一般病床よりも多い。

 

医療法は,戦後にできたものです。

 

医療法ができて,病院,診療所が明確になりましたが,医療法ができるまでは現在の診療所も病院と呼んでいた時代が続きます。

 

診療所で診療を受けても「病院に行ってきた」という人が今でも多いのはそのためです。

 

 

さて,それでは詳しく見ていきましょう。

 

1 病院とは,医療法上,病床数10床以上を有する医業又は歯科医業を行う施設のことである。

 

医療法では,病院は20床以上。

 

診療所は,入院設備がない,あるいは19床以下。

 

と分けられています。

 

よって×。

 

2 病院施設の中の一般病院数の年次推移をみると,最近10年間の総数は増加し続けている。

 

医療法の第1次改正では,都道府県の医療計画策定によって,病院数の総量規制が行われました。

 

総量規制が導入される前に,駆け込み増床で多くの病院ができました。

 

今では,どこかの病院がベッドを返上しないとベッド数は増やすことができません。

つまり,病院数は増えることはあり得ないのです。

 

もし病院数が増えることがあるとすると,今の病院を分割することになります。

そんなことは意味がありません。

 

 

病院数は平成2年の約1万病院をピークとして減少し,現在は8千病院ほどとなっています。

 

ということで増加し続けているではなく,減少し続けています。

 

よって×。

 

 

3 臨床研修を修了した医師又は歯科医師が診療所を開設するときは,都道府県知事に開設の許可を得なければならない。

 

 

臨床研修は,昭和43年に創設されて,平成16年の改正で義務化されています。

 

研修は義務化されていますが,研修を受けたことを登録することは義務化されていません。

 

しかし,登録しておかないと,開設する時に都道府県知事の許可が必要となります。

 

つまり研修修了者であって登録者であると許可がいらないということになります。

 

よって×。

 

 

難しいですね。

 

4 地域医療支援病院の承認要件には,救急医療を提供する能力を有することが含まれる。

 

地域医療支援病院は,平成9年の第3次改正で新設されたものです。

 

国試では,第2次改正の時に創設された特定機能病院と混同させるように出題されてきますので,注意です。

 

地域医療支援病院は,都道府県知事の承認を受けます。

 

地域の中核病院です。

 

救急医療の提供も承認の条件です。

 

 

それに対して,特定機能病院は厚生労働大臣の承認を受けます。

 

高度医療の提供能力が求められます。

 

承認されているのは大学病院であることが多いことからもよくわかることでしょう。

 

 

さて,問題に戻ります。

 

救急医療を提供する能力を有することが含まれるのは,地域医療支援病院です。よって正解です。

 

5 病床種別の中で病院病床数を比較すると,療養病床の方が一般病床よりも多い。

 

これからどんどん機能分化されていくことになりますが,

 

現在は,一般病床約90万床に対して,療養病床は約30万床です。

 一般病床は療養病床の3倍もあります。

 

よって×。

 

 

入試などと違い,社会福祉士国試は,人よりも多く点数を取らなければならないという試験ではありません。

 

簡単に得点できるものではないかもしれません。しかし確実に知識を積み重ねることで,合格基準点を超えることができます。

 

今の時期は,とにかく基礎力を蓄える時です。

2024年4月26日金曜日

閑話休題~覚え方を工夫しよう!

丸覚えはすぐ忘れます


覚えるのが得意な人がいます。


覚えるのが得意ではないという人との差はどこにあるのでしょうか。


どうやら覚え方の構造に違いがありそうです。


試験勉強のあるある

年齢とともに記憶力が落ちてきている。覚えてもすぐ忘れてしまう


記憶力は年齢とともに衰えるのは生理的に誰でも起きることです。


しかし,記憶力の低下は,人生経験の中で培われてきた知識で補うことができます。


つまりは力技で覚えようとするのではなく,覚え方を工夫することです。


例(一般論)


鳥取と島根がどっちがどっちなのかがわからないという場合の覚え方。


カギは山口県です。


鳥取と島根はわからなくても,


山口県は本州の西端なので覚えやすいのではないでしょうか。


山口県に接しているのは,「鳥取」と「島根」のうち,どちらでしょうか。


答えは「島根」です。鳥取の「鳥」の字には「山」の字はつかないのに対し,島根の「島」の字には,「山」の字がつきます。


これで山口にくっついているのは「島根」というイメージができれば,もう一生忘れることはないでしょう。


覚え方は人それぞれだと思いますが,丸覚えは非効率的,しかも忘れやすいです。


一番よくないのは,「島根は左,鳥取は右」といった覚え方です。


その時覚えていても,数日経てば「左はどっちだったっけ?」となってしまいます。


社会福祉士の国試は,引っ掛けポイントにあふれています。

似たようなものが2つある場合は,混同しやすいので,そういうところが狙われます。


例(社会福祉士)


左右差があるものは,間違いを引き起こしやすいです。


例えば,肺は右肺と左肺に分かれ,右は三葉,左は二葉である。という文章は,先ほどの鳥取と島根のように「右は三葉,左は二葉」と覚えているとすぐ忘れます。


左肺の方の容量が小さいのは,左に心臓があるからである,と覚えればもう絶対に忘れないでしょう。


覚えてもすぐ忘れるのは,年のせいだけではありません。


覚え方に工夫をプラスすることで必ず覚えられます。


<今日の一言>


覚え方を工夫すれば,記憶力は高まる!!



丸覚えはすぐ忘れます。


勉強は暗記だと思っていると丸覚えが近道だと思うかもしれません。

暗記はすぐ忘れます。しかも別の言い回しをされると対応が難しくなります。


なぜこうなっているのだろうと考えることは遠回りに見えるかもしれません。


しかし実は合格に向けての近道です。

覚え方を工夫すれば,必ず覚えられます。

2024年4月25日木曜日

診療報酬制度はしっかり覚えたい

ソーシャルワーカーにとって,クライエントの経済的な問題の解決は重要です。診療報酬の出題は,比較的込み入ったものも出題されています。

診療報酬は,医療機関の収入であるのと同時に,クライエントの自己負担に直結するからです。


今日は,その診療報酬制度についての問題です。


第26回・問題72 

我が国の診療報酬制度に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 診療報酬の改定は,中央社会保険医療協議会の答申を経て行われる。

2 診療報酬の審査・支払権限は,健康保険組合等の保険者にある。

3 外来診療報酬については,1日当たり包括払い制度がとられている。

4 診療報酬は,健康保険と国民健康保険では異なった内容となっている。

5 診療報酬点数表において,1点単価は1円とされている。


この問題自体は,そんなに難しくないものでしょう。

しかし注意なのは2つ選択なければならないことです。


2つ選択しなければならない問題が突然出題されるようになったのは,第25回からです。

2つ選択する問題は,組み合わせが10通り(5×4÷2=10)もあります。


そのため五者択一よりも正解率が下がります。

ミスも起きます。

第36回から2つというように注意を促すようになりましたが,それでも1つしか選ばなかったというミスは起きます。


試験センターが目指している国試の姿は,


さて,それでは詳しく見ていきますね。


1 診療報酬の改定は,中央社会保険医療協議会の答申を経て行われる。


診療報酬改定は,2年ごとに行われています。

診療報酬改定は,中央社会保険医療協議会(中医協)の答申を経て,厚生労働大臣が決定します。


よって〇。


2 診療報酬の審査・支払権限は,健康保険組合等の保険者にある。


これにひっかけられた人は結構いたのではないかと思います。


なぜなら,診療報酬の審査等は,社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険組合団体連合会(国保連)が行っているからです。


しかし,それは保険者が委託しているからであり,審査・支払権限自体は保険者にあります。


よって正解。


3 外来診療報酬については,1日当たり包括払い制度がとられている。


診療報酬の支払い方法には,出来高払い制度と包括払い制度があります。


外来は基本的に出来高払い制度です。包括払いだと,必要な検査などがある時とない時の整合性がとれないことになってしまいます。


出来高払い制度は,過剰診療を生み出すことにつながります。そのため,包括払い制度は日本では高齢者医療で始まりましたが,現在では急性期病院でも採用されています。


しかし,外来が包括払い制度をとると,本来行わなければならない必要な検査はお金がかかり,それが病院の持ち出しになるとすれば,そういうものはどんどんカットしなければなりません。


そんなことがあっては隠れた病気を見落としてしまうことになります。


4 診療報酬は,健康保険と国民健康保険では異なった内容となっている。


日本の医療保険制度は,全国どこでどんな医療機関で診療を受けても同じ金額であることが特徴です。


イギリスには,国民保健サービス(NHS)という税財源で行われている医療制度があります。これは日本と違い,どこでも自由に診療が受けられるわけではないかかりつけ医であるGPというシステムを取っています。


そのため,GPの診療を受けるために長期間待たなければならないこともよくあるようです。それを嫌ってお金がある人は民間の保険に加入します。GPが使える薬と民間保険で使える薬にも違いがあります。


話は戻りますが,日本は国民皆保険制度をとっています。診療報酬は全国一律1点10円で,これは健康保険制度でも国民健康保険制度でも一緒です。


よって×。


5 診療報酬点数表において,1点単価は1円とされている。


介護報酬は地域によって少し違いますが,診療報酬は全国一律1点10円です。


よって×。


基本的にそれほど難しくない問題だったと思いますが,それでも緊張感漂う試験会場では正しく答えを導きだすのは簡単なことではないです。


だからこそ模試受験が大切なのです。試験に慣れるのは本当に容易なことではありません。

なぜそうなっているのだろうとしっかり考えながら,勉強することが国試突破には極めて重要です。


これを心がければ,少々わからない問題が出題されても,想像力で正解できる確率が高まります。

最新の記事

子どもに学ぶ! 合格をつかむ勉強法!!

 年齢とともに記憶力が落ちる? 脳科学的には20歳を過ぎれば脳細胞がどんどん減って来ます。 しかし,子どもの方が覚えるのが早いというのは,脳細胞だけではないようです。 ある説によると,子どもは記憶量そのものが少ないため,覚えようとする時,邪魔な記憶がないので,その新しい刺激を単純...

過去一週間でよく読まれている記事