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2025年8月1日金曜日

消費者契約法

 契約を取り消すことができる制度として,クーリング・オフ制度があります。


しかし,利用できるのは,訪問販売や電話に勧誘などによって契約したものに限られます。


消費者契約法は,以下のような場合に取り消すことができます。


























出典:消費者庁「知っていますか? 消費者契約法―早わかり!消費者契約法―」

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/consumer_contract_act/public_relations/assets/consumer_system_cms101_231107_01.pdf


それでは今日の問題です。


第35回・問題83

事例を読んで,消費者被害に関する次の記述のうち,X地域包括支援センターのC社会福祉士の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 Dさん(70歳)は,認知症の影響で判断能力が低下しているが,その低下の程度ははっきりしていない。宝石の販売業者Yは,Dさんが以前の購入を忘れていることに乗じ,2年にわたって繰り返し店舗で40回,同じ商品を現金で購入させ,その合計額は1,000万円に及んでいた。E訪問介護員がこの事態を把握し,X地域包括支援センターに所属するC社会福祉士に相談した。 

1 Dさんのこれまでの判断を尊重し,Dさんに対し,今後の購入に当たっての注意喚起を行う。

2 Dさんの意向にかかわりなく,宝石の販売業者Yと連絡を取り,Dさんへの宝飾品の販売に当たり,今後は十分な説明を尽くすように求める。

3 Dさんの判断能力が著しく不十分であった場合,C社会福祉士自ら保佐開始の審判の申立てを行う。

4 クーリング・オフにより,Dさん本人にその購入の契約を解除させる。

5 これらの購入につき,消費者契約法に基づく契約の取消しが可能かを検討するため,Dさんのプライバシーに配慮して,消費生活センターに問い合わせる。



それほど難しくない問題ですが,気を付けなければならないのは,選択肢4です。


クーリング・オフ制度が使えるのは,契約書が交付されてから8日以内です。

この事例でも同制度が使える契約もあるとは思いますが,40回のうちのほんの一部でしょう。


正解は,選択肢5です。


この場合は,過量契約によって契約を解除することができそうです。

2025年7月23日水曜日

家庭裁判所の役割

 

家庭裁判所は,戦前からあった家事審判所と少年審判所が合併して,1949年(昭和24年)にできたものです。


何を行うのかは,前身の組織を見ると何となくわかるのではないかと思います。


具体的には,家事審判,家事調停,少年審判を取り扱います。


近年では,離婚訴訟も取り扱うようになりました。


これらに必要な調査や環境調整は,家庭裁判所調査官が行います。


それでは,今日の問題です。


第35回・問題82 

家庭裁判所に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 

1 家庭裁判所は,近隣トラブルに関する訴訟を取り扱う。

2 家庭裁判所は,「DV防止法」に基づく保護命令事件を取り扱う。

3 家庭裁判所は,嫡出でない子の認知請求訴訟を取り扱う。

4 家庭裁判所は,労働審判を取り扱う。

5 家庭裁判所は,債務整理事件を取り扱う。

(注) 「DV防止法」とは,「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」のことである。


迷うのは,選択肢2の保護命令事件ではないかと思います。


しかし,家事審判でも家事調停でも,また,少年調停でもありません。


正解は,選択肢3です。

3 家庭裁判所は,嫡出でない子の認知請求訴訟を取り扱う。


これが家事審判にかかわるものです。


これ以外は,すべて地方裁判所の役割です。


なお,家事審判と家事調停の違いは,家事審判は裁判所が判断して決定するものであるのに対し,家事調停は当事者間の合意で問題の解決を図るものです。


正解となった「認知」に関しては,当事者間で解決するのが調停,それでは解決できない場合,訴訟で解決を図ることになるので,審判ということになります。

2025年7月11日金曜日

後見・保佐・補助

 

法定後見制度の類型には,後見,保佐,補助の3つがあります。

 

成年被後見人

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者

被保佐人

精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者

被補助人

精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者

 

最も重いのは,成年被後見人

最も軽いのは,被補助人です。

 

補助開始の審判をする際,本人以外の者の請求がする時は,本人の同意が必要です。

 

後見開始等の審判を行う際,本人の同意を必要とするのは,補助しかありません。

その理由は,本人には判断力があるからです。

 

それでは,今日の問題です。

 

35回・問題80

成年後見制度の補助に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 補助は,保佐よりも判断能力の不十分さが著しい者を対象としている。

2 補助開始の審判をするには,本人の申立て又は本人の同意がなければならない。

3 補助人の事務を監督する補助監督人という制度は設けられていない。

4 補助開始の審判は,市町村長が申し立てることはできない。

5 補助人に対し,被補助人の財産に関する不特定の法律行為についての代理権を付与することができる。

 

前説に書いたので,答えはすぐわかると思いますが,簡単に解説します。

 

1 補助は,保佐よりも判断能力の不十分さが著しい者を対象としている。

 

〈重い順〉

 

後見 > 保佐 > 補助

 

2 補助開始の審判をするには,本人の申立て又は本人の同意がなければならない。

 

これが正解です。

 

後見開始等の審判を行う際,本人の同意が必要なのは,補助のみです。

 

3 補助人の事務を監督する補助監督人という制度は設けられていない。

 

補助監督人という言葉を聞いたことがないという人もいるかもしれません。

 

任意後見制度と同様に法定後見制度にも,成年後見監督人,保佐監督人,補助監督人の制度があります。

 

職務は,それぞれ成年後見人,保佐人,補助人の事務の監督,成年被後見人等と成年後見人等の利益相反する場合は,成年後見人を代表します。

 

成年後見監督人が選任されていない場合に利益相反することがあったら,成年後見人等は,特別代理人等の選任の請求を行います。

 

4 補助開始の審判は,市町村長が申し立てることはできない。

 

請求権者がいない場合,請求権者がいても後見開始等の請求できないなどの場合,市町村長が請求できます。それを市町村長申立てといいます。

 

どの類型であっても市町村長申立てはできます。

 

5 補助人に対し,被補助人の財産に関する不特定の法律行為についての代理権を付与することができる。

 

被補助人の判断能力は,通常の人に比べると低いかもしれませんが,判断することはできます。

 

どんな法律行為の際に代理権を付与するかは,補助開始の審判の際に決定されます。

2025年7月4日金曜日

成年後見人と成年被後見人の利益が相反する場合

成年後見人と成年被後見人の利益が相反する場合とは,成年被後見人が所有するものを成年後見人が購入する場合などです。


この場合,一方が有利だと,もう一方は不利になります。


任意後見制度の場合は,任意後見監督人が選任されているので,利益相反する場合には,任意後見監督人が本人を代表します。


法定後見制度の場合も成年後見監督人が選任されていることもありますが,任意後見制度のように,必ず選任されているものではありません。


成年後見監督人が選任されていない場合に利益相反状態になると,成年後見人は,家庭裁判所に対して,特別代理人の選任を請求しなければなりません。


それでは,今日の問題です。


第35回・問題79 

事例を読んで,成年後見人の利益相反状況に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 共同生活援助(グループホーム)で暮らすAさん(知的障害,52歳)には弟のBさんがおり,BさんがAさんの成年後見人として選任されている。先頃,Aさん兄弟の父親(80歳代)が死去し,兄弟で遺産分割協議が行われることとなった。

1 Aさんは,特別代理人の選任を請求できる。

2 Bさんは,成年後見監督人が選任されていない場合,特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。

3 Bさんは,遺産分割協議に当たり,成年後見人を辞任しなければならない。

4 特別代理人が選任された場合,Bさんは,成年後見人としての地位を失う。

5 特別代理人が選任された場合,特別代理人は,遺産分割協議に関する事項以外についても代理することができる。


〈状況の整理〉

Aさん:成年被後見人

Bさん Aさんの成年後見人


特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならないのは,成年後見人です。


つまり,この事例で請求しなければならないのは,Bさんです。


正解は,選択肢2ということになります。


これ以外はすべて誤りです。

2025年7月1日火曜日

成年後見人の職務

 

成年後見人の職務は,身上監護と財産管理です。

 

法務省の資料によると,それぞれ以下のように説明しています。

 

身上監護とは,ご本人の生活や健康の維持,療養等に関する仕事です。例えば,ご本人の住まいの確保,生活環境の整備,施設に入所する契約,ご本人の治療や入院の手続を行うことですが,食事の世話や実際の介護などは含まれていません。

 

財産管理とは,ご本人の財産内容を正確に把握して財産目録を作り,ご本人の財産が保たれるように管理することです。具体的には,ご本人の預金通帳や保険証書などを保管し,年金や保険金などの収入を受け取り,ご本人に必要な経費の支払を行い,それらを帳簿につけて管理を行うことです。

 

それでは,早速,今日の問題です。

 

35回・問題78

事例を読んで,成年後見人のLさんが,成年被後見人のMさんと相談の上で行う職務行為として,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 Mさん(70歳代)は,自身の希望で一人暮らしをしているが,居住地域は,介護サービス資源が少なく,交通の便の悪い山間部である。Mさんは,要介護2の認定を受け,持病もある。最近,Mさんは心身の衰えから,バスでの通院に不便を感じ,薬の飲み忘れも増え,利用中の介護サービス量では対応が難しくなってきているようである。Mさん自身も一人暮らしへの不安を口にしている。

1 自宅以外の住まいに関する情報収集

2 Mさんの要介護状態区分の変更申請

3 Lさんによる家事援助

4 Lさんによる通院介助

5 Lさんによる服薬介助

 

これを整理すると以下のようになります。

 

1 自宅以外の住まいに関する情報収集

身上監護

2 Mさんの要介護状態区分の変更申請

身上監護

3 Lさんによる家事援助

×

4 Lさんによる通院介助

×

5 Lさんによる服薬介助

×

 

この問題は事例スタイルですが,成年後見人の職務を知らないと正解することは困難です。

 

身上監護にあたるのは,以下の2つです。

 

1 自宅以外の住まいに関する情報収集

2 Mさんの要介護状態区分の変更申請

 

つまり,この2つが正解です。

2025年6月26日木曜日

最高裁判断

 

社会福祉士の国家試験では,ときどき最高裁判所の判断が出題されます。


その後の法改正に関係するからでしょう。


もうかなり前の最高裁判断になりますが,成年後見人が選任されると選挙権が剥奪されるのは,違憲であるという判断が示されました。


その後,公職選挙法が改正されて,この規定が削除され,被後見人の選挙権が回復しました。


それでは,今日の問題です。


第35回・問題77

日本国憲法の基本的人権に関する最高裁判所の判断についての次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 公務員には争議権がある。

2 永住外国人には生活保護法に基づく受給権がある。

3 生活保護費を原資とした貯蓄等の保有が認められることはない。

4 嫡出子と嫡出でない子の法定相続分に差を設けてはならない。

5 夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は違憲である。 


最高裁判断と言うと,とても難しいと感じるかもしれませんが,今もその制度が残っている場合は,違憲ではないという判断はされていないと考えることができそうです。


先述したように,最高裁判断はその後の法改正につながるからです。

改正しないと,違憲状態が存続してしまいます。


それでは解説です。


1 公務員には争議権がある。


争議権とは,ストライキを行う権利のことです。


公務員はストライキを行うことができません。

つまり違憲ではないということです。


遠い昔には公務員が争議権の行使を求めてスト権ストが行われていたこともあります。

日本が元気だった時代のことです。


2 永住外国人には生活保護法に基づく受給権がある。


これはこれまで何度も出題されていますが,生活保護法は永住外国人に適用されません。


生活保護法は,国民を対象とした法制度だからです。


3 生活保護費を原資とした貯蓄等の保有が認められることはない。


これは,過去に一度出題された中島訴訟です。


生活保護費を原資とした貯蓄等の保有は認められています。


4 嫡出子と嫡出でない子の法定相続分に差を設けてはならない。


これが正解です。


この判断により,民法が改正されています。


5 夫婦別姓を認めない民法や戸籍法の規定は違憲である。


夫婦別姓が認められていないのは,現在(2025年6月時点)もそのままです。

違憲であるという判断がなされていたら,夫婦別姓は認められているはずです。

2024年9月8日日曜日

成年後見関係事件の概況

 成年後見関係事件の概況 リンク先は裁判所

https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/kouken/index.html


たった16ページしかないので,必ず目を通すことが大切です。見た方が頭に残りやすいからです。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題83

「成年後見関係事件の概況(平成31年1月~令和元年12月)」(最高裁判所事務総局家庭局)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 「成年後見関係事件」の「終局事件」において,主な申立ての動機として最も多いのは,預貯金等の管理・解約であった。

2 「成年後見関係事件」の「終局事件」において,市区町村長が申立人となったものの割合は,全体の約5割であった。

3 後見開始,保佐開始,補助開始事件のうち「認容で終局した事件」において,親族以外の成年後見人等の選任では,社会福祉士が最も多い。

4 「成年後見関係事件」のうち「認容で終局した事件」において,開始原因として最も多いのは,統合失調症であった。

5 「成年後見関係事件」の申立件数に占める保佐開始の審判の割合は,全体の約7割であった。


ちょっと古い問題ですが,傾向は現在と同じです。


この時は,申立人のうち,最も多かったのは子でしたが,現在は市区町村長が最も多くなっています。


それでは,解説です。


1 「成年後見関係事件」の「終局事件」において,主な申立ての動機として最も多いのは,預貯金等の管理・解約であった。


これが正解です。この傾向はずっと同じです。


2 「成年後見関係事件」の「終局事件」において,市区町村長が申立人となったものの割合は,全体の約5割であった。


市区町村長による申立てが最も多くなったと言え,まだ2割ちょっとです。


3 後見開始,保佐開始,補助開始事件のうち「認容で終局した事件」において,親族以外の成年後見人等の選任では,社会福祉士が最も多い。


親族以外の成年後見人等は,司法書士が最も多くなっています。


4 「成年後見関係事件」のうち「認容で終局した事件」において,開始原因として最も多いのは,統合失調症であった。


開始原因は,認知症が最も多くなっています。


5 「成年後見関係事件」の申立件数に占める保佐開始の審判の割合は,全体の約7割であった。


保佐開始は,2割程度です。

7割を占めるのは,後見開始です。


なお,補助開始と任意後見監督人選任は1割未満です。

2024年9月7日土曜日

任意後見制度

 任意後見制度は,「任意後見契約に関する法律」によって規定されています。


条文は,たった11条しかありません。


そのため,出題されるポイントは,いつもほとんど同じです。


任意後見契約

・代理権を付与する委任契約。任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる。

任意後見契約の方式

・公正証書によってしなければならない。

登記

・任意後見契約していることは,登記所(法務局)に登記される。

任意後見監督人の選任

・家庭裁判所は,本人,配偶者,四親等内の親族又は任意後見受任者の請求により,任意後見監督人を選任する。

選任の請求ができない者

・本人に対して訴訟をし,又はした者及びその配偶者並びに直系血族 など

同意

・本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任するには,あらかじめ本人の同意がなければならない。

任意後見監督人になれない者

・任意後見受任者又は任意後見人の配偶者,直系血族及び兄弟姉妹

任意後見監督人の職務

・任意後見人の事務を監督すること。

・任意後見人の事務に関し,家庭裁判所に定期的に報告をすること。

・急迫の事情がある場合に,任意後見人の代理権の範囲内において,必要な処分をすること。

・任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表すること。

任意後見契約の解除

・任意後見監督人が選任される前は,本人又は任意後見受任者は,いつでも,公証人の認証を受けた書面によって,任意後見契約を解除することができる。

・任意後見監督人が選任された後は,本人又は任意後見人は,正当な事由がある場合に限り,家庭裁判所の許可を得て,任意後見契約を解除することができる。

後見,保佐及び補助との関係

・任意後見契約が登記されている場合には,家庭裁判所は,本人の利益のため特に必要があると認めるときに限り,後見開始の審判等をすることができる。

・任意後見監督人が選任された後において本人が後見開始の審判等を受けたときは,任意後見契約は終了する。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題82 

任意後見制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 任意後見契約に関する証書の作成後,公証人は家庭裁判所に任意後見契約の届出をしなければならない。

2 本人は,任意後見監督人選任の請求を家庭裁判所に行うことはできない。

3 任意後見契約では,代理権目録に記載された代理権が付与される。

4 任意後見監督人が選任される前において,任意後見受任者は,家庭裁判所の許可を得て任意後見契約を解除することができる。

5 任意後見監督人が選任された後において,本人が後見開始の審判を受けたとしても,任意後見契約は継続される。


前説の中には書かれていないものが出題されても消去法で正解できるのが任意後見制度に関する良い点です。


それでは,解説です。


1 任意後見契約に関する証書の作成後,公証人は家庭裁判所に任意後見契約の届出をしなければならない。


任意後見契約の証書を作成した後に,公証人が行わなければならないのは,法務局で登記することです。


2 本人は,任意後見監督人選任の請求を家庭裁判所に行うことはできない。


任意後見監督人選任の請求を行うことができるのは,


・本人

・配偶者

・四親等内の親族

・任意後見受任者


です。


3 任意後見契約では,代理権目録に記載された代理権が付与される。


これが正解です。


目録の実際 リンク先は,e-govなので安心です。

https://laws.e-gov.go.jp/data/MinisterialOrdinance/412M50000010009/587363_1/pict/3JH00000216831_1905281305_2001241901_001.pdf


ここに書かれているものにチェックを入れていきます。任意後見人はチェックされてるものに対して代理権を行使します。


4 任意後見監督人が選任される前において,任意後見受任者は,家庭裁判所の許可を得て任意後見契約を解除することができる。


家庭裁判所の許可を得て任意後見契約を解除することができるのは,任意後見監督人が選任された後です。


任意後見監督人が選任される前は,いつでも,公証人の認証を受けた書面によって,任意後見契約を解除することができます。


5 任意後見監督人が選任された後において,本人が後見開始の審判を受けたとしても,任意後見契約は継続される。


任意後見監督人が選任された後において本人が後見開始の審判等を受けたときは,任意後見契約は終了します。


〈今日の一言〉


任意後見制度の問題は,簡単です


2024年9月6日金曜日

成年後見人の権限

 

成年後見人等に付与され得る権限 

 

代理権

同意権

取消権

成年後見人

×

保佐人

補助人

任意後見人

×

×

 

成年後見人に同意権が付与されないのは,同意して行った法律行為であっても,取消しが可能だからです。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題81

次のうち,成年後見制度において成年後見人等に対して付与し得る権限として,正しいものを1つ選びなさい。

1 成年後見人に対する本人の居所指定権

2 成年後見監督人に対する本人の懲戒権

3 保佐人に対する本人の営業許可権

4 補助人に対する本人の代理権

5 任意後見監督人に対する本人の行為の取消権

 

なかなかの難問です。いろいろなものが混ざっています。

 

それでは,解説です。

 

1 成年後見人に対する本人の居所指定権

 

居所指定権を有するのは,親権者です。

 

親権者が指定した居所に正当な理由なく寄り付かない場合は,虞犯少年になり得ます。

 

2 成年後見監督人に対する本人の懲戒権

 

以前,民法によって,懲戒権は親権者に付与されていました。

現在は,削除されています。

 

3 保佐人に対する本人の営業許可権

 

職業許可権であれば,親権者です。

 

営業許可権であれば,所轄の行政でしょう。

 

4 補助人に対する本人の代理権

 

これが正解です。

 

補助人は,目録に記載された特定の法律行為に関して,本人を代理します。

 

5 任意後見監督人に対する本人の行為の取消権

 

任意後見制度には,取消権の制度はありません。

 

任意後見人及び任意後見監督人に付与されるのは,代理権のみです。

 

<任意後見監督人の職務>

・任意後見人の事務を監督すること。

・任意後見人の事務に関し,家庭裁判所に定期的に報告をすること。

・急迫の事情がある場合に,任意後見人の代理権の範囲内において,必要な処分をすること。

・任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表すること。

 任意後見制度は,次回に詳しく学びます。


〈今日の一言〉

 

成年後見人等が取消しできないもの

 ・日用品の購入その他日常生活に関する行為

・身分行為(婚姻など)

・遺言

2024年9月5日木曜日

不法行為責任について

不法行為とは,意図的,あるいは不注意によって,他人に損害を与えることをいいます。


不法行為に対しては,金銭賠償を求めることができます。


職員の不法行為に関しては,その職員を雇用している法人も使用者責任を負います。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題 

事例を読んで,関係当事者の民事責任に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 Y社会福祉法人が設置したグループホーム内で,利用者のHさんが利用者のJさんを殴打したためJさんが負傷した。K職員は,日頃からJさんがHさんから暴力を受けていたことを知っていたが,適切な措置をとらずに漫然と放置していた。

1 Hさんが責任能力を欠く場合には,JさんがK職員に対して不法行為責任を追及することはできない。

2 JさんがK職員に対して不法行為責任を追及する場合には,Y社会福祉法人に対して使用者責任を併せて追及することはできない。

3 JさんはY社会福祉法人に対して,施設利用契約における安全配慮義務違反として,損害賠償を請求することができる。

4 Hさんに責任能力がある場合に,JさんがY社会福祉法人に対して使用者責任を追及するときは,Jさんは,損害の2分の1のみをY社会福祉法人に対して請求することができる。

5 Y社会福祉法人が使用者責任に基づいてJさんに対して損害賠償金を支払った場合には,Y社会福祉法人はK職員に対して求償することができない。


論点を整理します。


ポイントは,K職員が適切な措置を取らなかったことです。


民法の規定がわからずとも,これが事例に含まれていることから,答えに関係すると推測できます。


国家試験の事例には,ムダな情報はありません。


それでは解説です。


1 Hさんが責任能力を欠く場合には,JさんがK職員に対して不法行為責任を追及することはできない。


K職員は安全に配慮していないことから,責任は追及されます。

Hさんが責任能力を欠いていたとしても,それは同じです。


今回,負傷した暴力は突発的だったとしても,これまでに何度も繰り返されているからです。


それに対して対策を打っていたなら,訴訟を起こされたとしても反論の余地はあります。しかし,K職員は何の手も打っていません。


2 JさんがK職員に対して不法行為責任を追及する場合には,Y社会福祉法人に対して使用者責任を併せて追及することはできない。


使用者責任とは,職員の不法行為によって,他者に損害を与えた場合,その職員を雇用している法人も責任を負うことです。


使用者責任を追及されないためには,日ごろから職員への教育指導を徹底し,報告させるなどの措置を行うことが必要です。


3 JさんはY社会福祉法人に対して,施設利用契約における安全配慮義務違反として,損害賠償を請求することができる。


これが正解です。


安全配慮義務とは,事故が起きることが予見されている場合に,事故が起きないように対策を打つことです。


契約書に安全に配慮することの内容が含まれていなかったとしても,安全配慮義務は生じます。


4 Hさんに責任能力がある場合に,JさんがY社会福祉法人に対して使用者責任を追及するときは,Jさんは,損害の2分の1のみをY社会福祉法人に対して請求することができる。


Hさんに責任能力がある場合,Hさんに対しても損害賠償を追及することができます。


だからといって,法人に対する責任は軽減されないと考えられます。


5 Y社会福祉法人が使用者責任に基づいてJさんに対して損害賠償金を支払った場合には,Y社会福祉法人はK職員に対して求償することができない。


Y社会福祉法人には使用者責任があるので損害賠償をしなければなくなるかもしれません。


その場合は,K職員に対して,損害賠償を追及することができます。

2024年7月8日月曜日

虐待防止3法の整理のポイント

 虐待防止法には,児童虐待防止法,高齢者虐待防止法,障害者虐待防止法の3つがあります。


整理するポイント

・定義

・虐待の種類

・通報(通告)先


※児童虐待の場合が「通告」。


この中でちょっと面倒なのが通報先です。


特に障害者虐待防止法の通報先は


【障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した場合】


  ↓    ↓    ↓


速やかに市町村に通報しなければならない。




【使用者による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した場合】


  ↓    ↓    ↓


速やかに市町村又は都道府県に通報しなければならない。


誰によって虐待を受けたのかによって,通報先が違うのです。


それでは,早速今日の問題を見て行きましょう。



第25回・問題83

「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 この法律において「障害者虐待」とは,養護者による障害者虐待,障害者福祉施設従事者による障害者虐待のことをいう。

2 この法律では,虐待の通報があった場合,市町村の障害者福祉担当職員は,当該障害者の住所又は居所に速やかに立入調査をしなければならない。

3 この法律により,市町村は市町村障害者虐待防止センター,都道府県は都道府県障害者権利擁護センターとしての機能を果たすことが義務づけられた。

4 この法律では,国及び地方公共団体に,成年後見制度の利用促進のための措置を講じることを求める規定は定められていない。

5 この法律の施行により,障害児の虐待防止に関する事項は,「児童虐待防止法」ではなくこの法律の対象となった。



日本語的にすぐ間違いだと分かるものも含まれていますが,この時点で答えは見えません。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 この法律において「障害者虐待」とは,養護者による障害者虐待,障害者福祉施設従事者による障害者虐待のことをいう。


ヒントを書いたので,これは分かったかもしれません。


使用者による虐待」が抜けています。


よって×。


過去問では,病院従事者というものが加わっていたことがありますが,病院は入っていません。


2 この法律では,虐待の通報があった場合,市町村の障害者福祉担当職員は,当該障害者の住所又は居所に速やかに立入調査をしなければならない。


虐待の通報を受けた場合,必ず立入調査をしなければならないものではなく,調査あるいは質問することができる,とされています。


よって×。このような義務規定があると,実際の場面では,運用するのは難しいと思います。


3 この法律により,市町村は市町村障害者虐待防止センター,都道府県は都道府県障害者権利擁護センターとしての機能を果たすことが義務づけられた。


この時点では,参考書などに書かれていなかったので,答えが分かりませんでした。


こういう時は冷静に▲をつけましょう。


結果的に消去法でこれが残るのですが,これが正解です。


4 この法律では,国及び地方公共団体に,成年後見制度の利用促進のための措置を講じることを求める規定は定められていない。


こんなしょうもない問題は,めったにないと思います。


わざわざ「定められていないもの」を出題する意義は見つけられません。


このような「わざわざ問題」は,おそらく先に正しい文章を作って,それを否定形に直すことによって,間違い選択肢を作るという手法です。


一番楽な作問方法と言って良いでしょう。つまり試験委員の手抜き問題と言うことができます。


その点で「しょうもない」と思うわけです。


もちろん規定されているので☓。


5 この法律の施行により,障害児の虐待防止に関する事項は,「児童虐待防止法」ではなくこの法律の対象となった。


虐待防止は,デリケートな問題です。法律で線引きできるようなものではありません。


それを他の法律に移動させるようなことは絶対にありません。


生活保護法の養老施設が,老人福祉法が成立したことで,同法に規定され,名称も「養護老人ホーム」となった,といったものとはまったく別のものと言えます。


もちろん☓です。


答えは,状況に応じてそれぞれで対応します。

線引きする意味がわかりません。


2024年7月7日日曜日

4親等以上の親族には,扶養の義務はありません

 民法は1,000条を超えます。


明治29年にできた古い法律なので,改正を繰り返すうちに必要事項が付け加えられていった結果です。


「権利擁護を支える法制度」の科目で覚えなければならないうち,ざっと3分の2は,民法に関連するものであると言っても過言ではないでしょう。



さて,今日のテーマは「4親等以上の親族には,扶養の義務はありません」です。



民法上の親族は,6親等以内の血族と3親等以内の姻族,及び配偶者です。


配偶者は0親等,つまり親等の上では,本人と同じということになります。


これを押さえて今日の問題です。


第25回・問題81

扶養義務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 直系血族及び同居の親族は,互いに扶養をする義務がある。

2 扶養の程度又は方法については,当事者が協議で定めるものであり,家庭裁判所が定めることはできない。

3 扶養をする義務のある者が数人ある場合において,扶養をすべき者の順位については,家庭裁判所が定めるものであり,当事者が協議で定めることはできない。

4 家庭裁判所は,特別の事情がある場合であっても,四親等の親族に扶養の義務を負わせることはできない。

5 扶養を受ける権利は,特別の事情がある場合には,処分をすることができる。


ちょっと難しそうですね。


しかし,答えだけは分かると思います。


1 直系血族及び同居の親族は,互いに扶養をする義務がある。


血族の場合,親族は6親等以内までとなります。


6親等とはどこの範囲かというと,またいとこ(はとこ)です。顔も知らないかもしれません。


いくら同居していてもそれは遠すぎます。


扶養義務があるのは,直系血族及び兄弟姉妹です。


よって×


2 扶養の程度又は方法については,当事者が協議で定めるものであり,家庭裁判所が定めることはできない。


家庭裁判所は,家庭内の紛争などを担当します。


もちろん,協議が整わなかった場合は,家庭裁判所が行うことができます。


よって×。


3 扶養をする義務のある者が数人ある場合において,扶養をすべき者の順位については,家庭裁判所が定めるものであり,当事者が協議で定めることはできない。


選択肢2と同じく,協議が整わなかった場合は,家庭裁判所が行うことができます。


よって×。


4 家庭裁判所は,特別の事情がある場合であっても,四親等の親族に扶養の義務を負わせることはできない。


扶養義務があるのは,直系血族及び兄弟姉妹です。


しかし,特別の事情がある場合は,3親等以内の親族に義務を負わせることができます。


つまり4親等以上の親族には扶養義務を負わせることはできません。


よってこれが正解です。


5 扶養を受ける権利は,特別の事情がある場合には,処分をすることができる。


選択肢4が正解ですから,これは間違いなのですが,民法では「扶養請求権の処分の禁止」が規定されています。

つまり処分することはできません。

よって×。

2024年7月6日土曜日

成年後見制度の確実な覚え方!

 今日のテーマは「成年後見制度の確実な覚え方!!」です。


「権利擁護を支える法制度」は,制度系の科目の中では,難しめかもしれません。


しかし,その中でも,成年後見制度は比較的易しいです。


それでは,問題を解きながら,確実な覚え方を確認していきましょう。


第25回・問題80

保佐人の権限及び職務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 家庭裁判所は,必要があると認めるときは,被保佐人,その親族若しくは保佐人の請求により又は職権で保佐監督人を選任することができる。

2 保佐人と被保佐人との利益が相反する行為については,保佐人は特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。

3 被保佐人は,日用品の購入その他日常生活に関する行為につき,保佐人の同意を要する。

4 保佐人は,保佐の事務を行うに当たっては,被保佐人の心身の状態及び生活の状況の悪化が予想されても,被保佐人の意思を尊重しなければならない。

5 家庭裁判所は,職権で枝保佐人のために特定の行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。


さすがは,難しかった第25回だなぁと思う問題です。


1 家庭裁判所は,必要があると認めるときは,被保佐人,その親族若しくは保佐人の請求により又は職権で保佐監督人を選任することができる。


まず,難しいとおもうのは,「保佐監督人」です。


保佐に限らず,後見,補助,それぞれに監督人が選任されます。


監督人は,文字通り,後見人,保佐人,補助人を監督する役割の人です。


財産がとても多いとか,紛争が絶えない,といったときに選任されることが多いです。


申立権者の請求あるいは,家庭裁判所の職権で選任されます。


よって正解です。


成年後見制度の覚え方のポイント1


職権で選任した者は,職権で解任できる。


後見開始の審判の請求は,申立権者の請求によって行われます。


後見人,あるいは後見監督人の選任は,家庭裁判所の職権で行います。


職権で選任した者は,職権で解任できます。


後見開始の審判の請求 → 家庭裁判所の職権で行うことができない。

後見人の選任 → 家庭裁判所の職権で行うことができる。

後見人の解任 → 家庭裁判所の職権で行うことができる。


2 保佐人と被保佐人との利益が相反する行為については,保佐人は特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。


特別代理人という聞き慣れないものが出題されました。


特別代理人の選任が必要なのは,成年被後見人と成年後見人,子と親権者の関係の中で利益が相反する場合です。


よって×。


保佐人と被保佐人との利益が相反する行為に選任するのは,臨時保佐人です。



成年後見制度の覚え方のポイント2


特別代理人の選任の請求が必要 

 → 成年被後見人と成年後見人との利益が相反する行為の場合



3 被保佐人は,日用品の購入その他日常生活に関する行為につき,保佐人の同意を要する



日用品の購入その他日常生活に関する行為には,同意も必要としませんし,取り消すこともできません。


よって×。



これは,被後見人,被補助人も同様です。



成年後見制度の覚え方のポイント3


日用品の購入その他日常生活に関する行為には,同意権も取消権もない。


理由は,日用品の購入などはそんなに高価なもまのではないので,このくらいは人権として認めましょう,というものです。


4 保佐人は,保佐の事務を行うに当たっては,被保佐人の心身の状態及び生活の状況の悪化が予想されても,被保佐人の意思を尊重しなければならない。


実に社会福祉士的な出題だなぁ,と思います。


ソーシャルワーク原則には「自己決定」があります。


しかしそれより優先されるのは,生命の尊重です。


よって×。


5 家庭裁判所は,職権で枝保佐人のために特定の行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。


これは職権ではなく,請求によって行います。


よって×


成年後見制度の覚え方のコツ4


家庭裁判所が職権で行うことが出来るのは,後見人・後見監督人の選任及び解任,後見人の事務の監督,後見人が複数いる場合の取り扱いのみ。


それ以外は請求が必要です。

2024年7月4日木曜日

行政法の覚え方の決定版!


今日のテーマは「行政法の覚え方の決定版!」です。


行政法とは,特定の法律名ではなく,行政にかかわる法律全般のことを指します。


公務員試験を受けたことがある方なら,なじみのあるものだと思います。


なじみがあるどころか,これを覚えなければ合格はないと言っても過言ではないです。


しかし,民間で働いていると,ほとんどがなじみないものばかりなので,覚えるのはとても辛いことでしょう。


まったく覚えられなければ捨てても良いと思います。


しかし,捨ててしまうのはもったいないので,覚えるためのポイントをご紹介します。


行政法の特徴は,行政には一定の権限が与えられていますが,その濫用を防ぐための意味合いが強いです。


行政法のもう一つの側面は,行政が機能するためのルールを定めたものです。

行政は,先述のように,一定の権限があります。


なじみのあるところでは,認可,許可,認定,命令などでしょう。これらのことを行政行為と言います。


社会福祉法人と医療法人の設立は認可,NPO法人の設立は認定でしたね。


行政行為を有効にしているのは,法的効力というものです。


この法的効力が今日の問題のテーマとなります。


それでは,今日の問題「法的効力」です。


第25回・問題79

行政行為の効力の原則に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 国民健康保険料(税)滞納処分に対する行政不服申立て又は行政訴訟が提起されると,行政行為の自力執行力は停止する。

2 違法な行政行為も職権取消・争訟取消があるまでは有効なものとして取り扱われる。

3 不服申立期間・出訴期間を過ぎた行政行為は,もはやその効果を争うことができなくなる。

4 行政行為に関する職権取消及び争訟取消は,いずれも一定の期間が過ぎると取消しができなくなる。

5 重大かつ明白な瑕疵のある行政行為であっても,公定力や不可争力はある。


一見,難しそうに見える問題だと言えますが,視点を変えると答えが見えてくる問題です。


以前,中学受験を目指す小学生の実力の話を書いたことがあります。


小学生でも,内容は分からなくても,文脈で答えを導くことができます。


さて,それではそれぞれを詳しく見て行きますね。


1 国民健康保険料(税)滞納処分に対する行政不服申立て又は行政訴訟が提起されると,行政行為の自力執行力は停止する。


自力執行力(執行力)とは,強制執行ができることです。


不服申立てや行政訴訟を提起されただけでは,この効力を止めることはできません。


よって×。


行政法を覚える時のコツ1


具体的な例をイメージしてみましょう。


法律用語が分からなくても,多くの場合はこれで第一関門は突破できます。


現実的に考えてみてください。


この場合は,税金を滞納したために差し押さえされた時,審査請求したら差し押さえは一時的にされなくて済む,ということになります。


審査請求されただけで,行政行為ができなくなると行政が機能するのは極めて難しいです。


2 違法な行政行為も職権取消・争訟取消があるまでは有効なものとして取り扱われる。


これを公定力と言います。


正解です。


今日の問題には出て来ませんが,法的効力には「不可変更力」というものがあります。


不可変更力は,公定力と対になるもので,自分が行った行政行為は,自分では取り消すことができないことを言います。


行政法を覚える時のコツ2


日本語をばらして考えてみましょう。


法律用語は漢字の組み合わせでできているので,意味が何となくでも分かります。


公定力 おおやけ・が・さだめる・ちから → ここから公が定めるものには力がある。


というイメージができます。


そうすると,公が定めるものには力があるので,何かがない限り法的効力は続くと考えることができます。


3 不服申立期間・出訴期間を過ぎた行政行為は,もはやその効果を争うことができなくなる。


これを不可争力と言います。


これも正しいです。この考え方は,後述します。


4 行政行為に関する職権取消及び争訟取消は,いずれも一定の期間が過ぎると取消しができなくなる。


今日の問題では,これが一番難しいものかもしれません。


ここでは冷静に▲をつけておきます。


答えを言えば,公定力に従って法的効力があったものを,職権取消及び争訟取消によって無効とするので,一定の期間が過ぎても取消すことができます。


ここで重要なのは,不可争力があることです。


定められた期間を過ぎてしまったら,不服申立てしたり,出訴できなくなります。


つまり,つまりその期間に不服申立てあるいは出訴すれば,処分取消しの可能性があると考えることができます。


定められた期間内に出訴したのに,裁判が長引いてしまったために,取り消しするための期間が過ぎてしまった,ということでは国民が困ってしまいます。


因みに,行政事件訴訟法では,出訴期間は処分があったことを知ってから,あるいは採決から6か月と定められています。不服申し立ては,行政不服審査法で3か月です。


5 重大かつ明白な瑕疵のある行政行為であっても,公定力や不可争力はある。


これは選択肢4の次に難しいものだと思います。


行政法を覚える時のコツ3


最初に述べたように,行政法の特徴は,行政には一定の権限が与えられていますが,その濫用を防ぐための意味合いが強いです。その視点で覚えてみましょう。


この場合,たとえば,何の問題もない事業所が,監督官庁のミスによって,解散命令を出してしまった,ということを考えてみます。


とんでもないことですよね。


公定力があったらたまったものではないです。


このような場合は,最初から行政行為自体が無効となります。

濫用を防ぐためなのですから当然と言えるでしょう。


よって×。


さて,最初に話題に振っておいた小学生の視点です。


選択肢2は正解にできなかったですが,問題を見て選択肢3は正しいと言いました。


なぜか。


ルールを決めているのに,ルールをやぶったら話にならないでしょ?


とのことです。


この場合のルールは,期間ですね。


ここまでOKですよ。どうぞどうぞ,と門を開けているのに,門が閉まった後に,開けてくれ~,というのはルール違反だということです。

2024年5月2日木曜日

勉強を始めるのは今!

来年に向けての参考書などの国家試験対策本は,この時期から出始めます。


この時から勉強を始める人が多いことを意味しています。


波に乗り遅れることなく,この時期に本格スタートしましょう。


既に勉強を始めている方は,この時期にモチベーションを高めて,ギアを一段上げることが大切です。


それでは今日の問題です。


第26回・問題82 

市町村が実施する成年後見制度利用支援事業に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 市町村長申立て以外の場合を,対象とすることはできない。

2 申立て費用だけでなく,成年後見人等の報酬も対象とすることができる。

3 高齢者ではない知的障害者及び精神障害者を対象とすることはできない。

4「後見」を対象とし,「保佐」「補助」を対象とすることはできない。

5 社会福祉法における第一種社会福祉事業と位置づけられている。


今日の問題は,成年後見制度利用支援事業に関するものです。


成年後見制度利用支援事業とは・・・


成年後見制度の利用に要する費用のうち、成年後見制度の申し立てに要する経費(登記手数料、鑑定費用等)及び後見人等の報酬等の全部又は一部を補助する事業


平成24年からは,障害者総合支援法の市町村の地域生活支援事業の必須事業となっています。


さて,それでは詳しく見て行きましょう。


1 市町村長申立て以外の場合を,対象とすることはできない。


条例で規定していれば対象とすることはできます。

よって×。


2 申立て費用だけでなく,成年後見人等の報酬も対象とすることができる。


報酬も対象です。よって正解。


3 高齢者ではない知的障害者及び精神障害者を対象とすることはできない。


先述のように,障害者総合支援事業の市町村の地域生活支援事業の必須事業となっています。

もちろん知的障害者,精神障害者も対象となります。


よって×。


4「後見」を対象とし,「保佐」「補助」を対象とすることはできない。


成年後見制度の類型によるものが対象ではなく,この制度を利用しなければ成年後見制度の利用が出来ない人を対象とします。


よって×。


5 社会福祉法における第一種社会福祉事業と位置づけられている。


成年後見制度利用支援事業は,厚生労働省が行っている事業であり,社会福祉事業ではありません。


よって×。



ここまで解いてきて,久しぶりにあれが出て来たなぁ,と思った人もいるのではないでしょうか。



あれとは・・・



言い切り表現に正解少なし。あいまい表現に正解多し。


久しぶりですね。


2 申立て費用だけでなく,成年後見人等の報酬も対象とすることができる。


正解の2の選択肢だけが「〇〇することができる」というあいまい表現になっています。



もちろんこれが正解です。


国試会場で冷静に問題を読むのは簡単なことではありません。


だからこそ,問題を読んで,解く訓練をたくさん行うことが大切です。



<今日の一言>


勉強を本格スタートするのは今です!!


2024年5月1日水曜日

国試合格に必要な情報は根幹です!

受験生の不安の一つは,どれだけ勉強してもこれだけでやればよいと思えないので,どれだけ勉強しても不安は消えないと思います。


国試問題は,5つの選択肢で構成されます。


正解以外は,根幹からちょっと外れた枝葉の部分であることが多いです。


参考書の類いが年々厚くなっていくのは,なるべく多くのものに対応しようと考えるからです。


しかし,実際には,国試ではたった一回しか出題されたことがないものは限りなく多くあります。


社会福祉士国試の参考書で最もボリュームがあるのは,中央法規「受験ワークブック」でしょう。


理論上,ワークブックを完璧に覚えられれば,8割は取れることになります。

しかし国試はそんな点数が取れなくても合格できます。


また,国家試験は,すべての選択肢の内容がわからずとも,正解できる問題が多いのも事実です。

必要なことは,根幹を押さえることです。今日の問題はそんな問題です。


それでは今日の問題です。



第26回・問題81 任意後見契約に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 任意後見契約は,事理弁識能力喪失後の一定の事務を委託する契約書が当事者間で作成されていれば効力を有する。

2 任意後見契約では,本人の事理弁識能力が不十分になれば,家庭裁判所が職権で任意後見監督人を選任する。

3 任意後見人と本人との利益が相反する場合,任意後見監督人があっても特別代理人を選任しなければならない。

4 任意後見人の配偶者は任意後見監督人になることができないが,兄弟姉妹は任意後見監督人になることができる。

5 任意後見監督人の選任後,任意後見人は,正当な理由がある場合,家庭裁判所の許可を得れば任意後見契約を解除できる。


今日の問題は,前回の法定後見制度に続いて,任意後見制度です。



法定後見制度は2000年の民法改正によってできた制度ですが,任意後見制度は,任意後見契約に関する法律によってできた制度です。


法定後見と任意後見は同じような部分もありますが,違う部分もあります。

法定後見のように類型が分かれておらず,1つしかないのでシンプルです。


それでは詳しく見ていきましょう。



1 任意後見契約は,事理弁識能力喪失後の一定の事務を委託する契約書が当事者間で作成されていれば効力を有する。


任意後見制度の特徴は,将来の事理弁識能力喪失を見越して事理弁識能力がクリアなうちに任意後見契約を結ぶものです。


ここには危険をはらんでいます。


当事者間だけで契約で成立すれば,委任者が事理弁識能力を喪失したときに,本当に受任者に委任していたのかが証明できないことが出てきてしまいます。


法律は極めて合理的に作られるので,そのようなことが起きないようになっています。


そこで任意後見契約は,必ず公正証書によって行われなければなりません。

公正証書は,公証役場で保管されますので改変される恐れがありません。


そのために公正証書で行うことが必要です。


よって×。


2 任意後見契約では,本人の事理弁識能力が不十分になれば,家庭裁判所が職権で任意後見監督人を選任する。


任意後見制度は,将来の事理弁識能力喪失を見越して事理弁識能力がクリアなうちに任意後見契約を結ぶものです。


つまり自分が認知症などになった場合,Aさんに後見人になってくださいね,と自分の意思を託すものです。


法定後見が職権で選任するので,自分はAさんにお願いしたいと思っていたのに,必ずAさんが後見人になるわけではありません。


そのためにできた制度が任意後見制度です。職権で任意後見人を選任するのであれば制度の意味がなくなってしまいます。


よって×。


 3 任意後見人と本人との利益が相反する場合,任意後見監督人があっても特別代理人を選任しなければならない。


特別代理人とは,利益相反する場合に選任されるものです。

例えば,子どもと親権者の間に利益相反する場合には特別代理人を選任しなければなりません。


しかし,法定後見と違い,任意後見制度は任意後見監督人が選任されて初めて効力が発生します。そのため必ず任意後見監督人が選任されているわけです。


任意後見監督人の職務の一つに,任意後見人と本人の利害が対立する行為の場合、代わりに任意後見監督人が本人を代理するものがあります。そのため特別代理人を立てる必要はありません。


よって×。


4 任意後見人の配偶者は任意後見監督人になることができないが,兄弟姉妹は任意後見監督人になることができる。



任意後見監督人の監督のもとに任意後見人はその業務を行います。


そのために本人から遠い人が選任されます。


任意後見監督人になれないのは,本人,本人の配偶者,直系血族,兄弟姉妹です。


よって×。


5 任意後見監督人の選任後,任意後見人は,正当な理由がある場合,家庭裁判所の許可を得れば任意後見契約を解除できる。


任意後見人は,正当な理由があり,家庭裁判所の許可がある場合に限って辞任することができます。


よって正解です。


任意後見人には,法定後見と違って,取消権と代理権がありません。

特に取消権がないのは,この制度を使いにくいものにしているように思います。


任意後見制度を利用しても状態が悪化した場合,新たに法定後見の利用を考えなければならないからです。

2024年4月30日火曜日

過去問伝説よ,さらば!!

 3年間の過去問をしっかりやったら合格するよ


このようにおっしゃる方は多いです。


試験に失敗する多くの理由は・・・


間違った勉強法によるものと考えます。


間違った勉強法は・・・


3年間の過去問を買ってきて,それを解きながら分からないところを調べていくだけの勉強です。


なぜそれが間違った勉強法かと言うと・・・


出題基準に照らし合わせてみると一目瞭然ですが,3年間の問題では,出題基準の範囲はカバーしないのです。つまりスカスカの知識にしかなりません。



3年間の過去問で合格できるなら,3年間の過去問をやるとかなり毎年同じ問題が出題されていなければなりません。


しかし,そんなことは実際にはなく,2年連続で出題される問題は本当に少ないです。3年分解いてみれば一目瞭然です。



勉強法を知らないというのは怖いものだと強く思います。



過去問をうまくまとめて試験対策にしているものが参考書と呼ばれる類いの本です。


基本は参考書を使って基礎を押さえることです。


過去問は問題に慣れるためには重要です。

しかしこれだけやっていても,合格するのはとても難しいものだと考えています。


3年間の過去問だけで合格できるほど簡単な試験ではないです。


大学生なら卒論を終えてからの集中学習という技が使えます。しかし,もしあなたが社会人だったとしたら,その手は使えません。


ここでしっかり学習計画を立てて,国試に向けて頑張っていきましょう!!


過去3年間に出題されたものを完璧に覚えても,合格できる知識には足りません!!


勉強法を間違うと本当に怖いものだと強く思います。過去問は問題を解くためのヒントの宝庫。これを意識して過去問に取り組むことが過去問を解く本当の意味です。



さて,今日の問題です。



第26回・問題80 

成年後見制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者については,家庭裁判所は,職権で補助開始の審判をすることができる。

2 成年被後見人のなした日常生活に関する法律行為については,成年後見人が取り消すことができる。

3 家庭裁判所は,成年後見開始の審判をするときは,職権で成年後見人を選任し,保佐人及び補助人についても同様に職権で選任する。

4 成年後見人は,いつでも家庭裁判所に届け出ることによって,その任務を辞することができる。

5 家庭裁判所は,破産者を成年後見人に選任することはできないが,未成年者を成年後見人に選任することはできる。


今日の問題は,この科目の中でも最も中心的な成年後見制度です。

絶対に押さえておかなければなりません。


成年後見制度は,介護保険法施行と同時の2000年の民法改正によって,それまでの禁治産・準禁治産制度に変わって生まれた制度です。


その当時は,介護保険と成年後見制度は高齢者を支える車の両輪と呼ばれることもありました。


旧制度の禁治産制度は後見となり,準禁治産制度は保佐となりました。補助は現制度で新しく生まれたものです。


さて,それでは詳しく見ていきましょう。



1 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者については,家庭裁判所は,職権で補助開始の審判をすることができる。


後見,保佐,補助いずれも,「本人」「配偶者」「四親等以内の親族」「検察官」等の申立権者の申立てによって,開始の審判が行われます。


家庭裁判所の職権で開始の審判が行われるわけではありません。


それにもかかわらず,なぜこのような問題がよく出されるかというと,開始の審判は申立て権者の申立てによって行われますが,後見人,保佐人,補助人の選任は家庭裁判所の職権で行われるからです。


職権で選任したものは,職権で解任することができます。


職権で選任が行われるというのはどのようなことを指しているかというと,審判開始の請求を行う時に,候補をあげてもその人が必ずしも選任されるものではない,ということを意味しています。


話は戻りますが,家庭裁判所の職権で開始の審判を行うわけではありません。


よって×。


 

2 成年被後見人のなした日常生活に関する法律行為については,成年後見人が取り消すことができる。


被後見人がなした法律行為は,成年後見人は取消権を持っているので取り消すことができます。


ただし「日用品の購入その他日常生活に関する法律行為」は取り消すことができません。


よって×。


なお,結婚,離婚などの身分行為も取り消すことができません。


日用品の購入などに対して取消権がない理由は・・・


日用品の購入などにはそれほど大きな費用を必要としないので,そのくらいは自由を認めましょう,という人権保護の観点からです。



3 家庭裁判所は,成年後見開始の審判をするときは,職権で成年後見人を選任し,保佐人及び補助人についても同様に職権で選任する。


これは先に述べたように正解です。


4 成年後見人は,いつでも家庭裁判所に届け出ることによって,その任務を辞することができる。


後見人は,家庭裁判所が選任します。


簡単に辞められてしまったら困ります。


辞めることを届け出ただけでは辞めさせてはくれません。


辞めることができるのは,その理由が正当な事由があって,その上で家庭裁判所の許可がある場合です。


よって×。


後見人は職権で選任されていることを理解しておくことが大切です。

職権で選んだ人は,職権で解任することができます。


後見人として適切な業務が行えない時,本人が「辞めたくないよ~」と言っても職権で解任されます。


5 家庭裁判所は,破産者を成年後見人に選任することはできないが,未成年者を成年後見人に選任することはできる。


未成年者も民法に規定されています。


(未成年者の法律行為)

第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。

2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。


これから分かるように未成年者は親権者などの法定代理人の同意があって法律行為ができます。未成年者も行為能力が制限されています。


行為能力の制限者が後見人になることはできません。だって未成年者自身が,自らの法律行為が取り消されてしまう行為能力の制限者なのですから,他人の後見人になれるはずがありません。


よって×。


成年後見制度は知らないと複雑なように思われるかもしれません。後見,保佐,補助に,「共通するもの」「,違うもの」を整理して覚えていけば,とりあえず第一歩は踏み込めることでしょう。


未成年後見制度,任意後見制度を含めて,社会福祉士ならしっかり押さえておきたいです。

2024年4月29日月曜日

子どもに学ぶ! 合格をつかむ勉強法!!

 年齢とともに記憶力が落ちる?


脳科学的には20歳を過ぎれば脳細胞がどんどん減って来ます。


しかし,子どもの方が覚えるのが早いというのは,脳細胞だけではないようです。


ある説によると,子どもは記憶量そのものが少ないため,覚えようとする時,邪魔な記憶がないので,その新しい刺激を単純に何度も何度も反復して覚えることができるとのことです。


それに対して大人は,知識量が増えてくるので,単純に何度も何度も反復できずに,何かの記憶が邪魔することが多くなるとのこと。


これが大人の記憶力が落ちる,という説のようです。


この説に従えば・・・


記憶力は,覚え方を工夫すれば蘇る!


無邪気な子どものようにひたすら覚えることに没頭すれば,記憶力は蘇ることでしょう。


しかし,勉強中でもいろいろなことが気になるものです。


明日の仕事の段取りのこと・・・

子どものこと・・・

明日の朝食のこと・・・

ご利用者のこと・・・   etc...



心を無にするのはとても難しいと思います。


つまり


子どもの頃と現在では覚え方を変える必要もある



 子ども ⇒ 知識が少ない分,反復学習の効果が出る。

 大人  ⇒ 知識が多い分,反復学習の効果が出にくい。



子どもと大人の違いが知識の多さの違いだとすると・・・


それを逆手に取った学習は,たくさんの知識を最大限に活用することではないでしょうか。


例えば・・・


身近なものに置き換えてみる


周辺に知っていることがあれば,関連させてみる


なぜそうなっているのか,考えながら覚える


法制度に関連するものは,ネットで行政資料を探して読む などなど


これまでの勉強は

反復学習で乗り越えてきた

という人は,特に気を付けましょう。


今と以前は自分自身が変化しています。

今までのものとは違う試験です。


それにもかかわらず,同じ勉強法で乗り越えるのは大変危険だと言わざるを得ません。


今の自分に合った覚え方があるはずです。


夜に勉強時間が取れなくて,朝1時間早起きして勉強を続けて合格をつかみ取ったという方もいます。


参考書を科目ごとに切って,訪問の途中で時間が空いた時にいつも目を通した,という方もいます。


仕事をして家事をして家族の介護もして,そんな中で合格をつかみ取った仲間もいます。


「必ず合格する」という執念が合格をつかんだのだと思います。


時間は待ってくれません。


ぜひ執念をもって合格をつかんでいただきたいと思います。


執念をもって,国試に臨みましょう!!


それでは,今日の問題です。


第26回・問題79 

行政不服申立てに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 介護保険の要介護認定の結果に不服がある場合,都道府県知事に審査請求を行う。

2 障害福祉サービスの支給量の决定に不服がある場合,都道府県知事に審査請求を行う。

3 生活保護の決定に不服がある場合,福祉事務所長に異議申立てを行う。

4 国民健康保険の保険料に関する処分に不服がある場合,市町村長に異議申立てを行う。

5 保育所入所に係る処分に不服がある場合,市町村長に審査請求を行う。


行政不服申立制度は,平成28年4月に変更されています。


そのため,今現在はこの問題は成立していません。


しかし今回あたりにいよいよ出題されそうなので,以前との違いも押さえてしっかり覚えていきましょう。



従来との変更点


「異議申立」「審査請求」「再審査請求」だったものを,


異議申立を審査請求に一元化して,


「審査請求」「再調査の請求」(例外)「再審査請求」


になったことです。



従来あった「異議申立」は処分庁に上級行政庁がない場合に処分庁に異議申立てするものでした。


異議申立は処分庁から説明を受ける機会が与えられていないなど手続き方法が審査請求と違っていたものを審査請求に一元化しています。


また,不服申立期間が,処分があったことを知った日の翌日から60日以内だったものが,3か月に延長されています。



なお,障害者総合支援法や介護保険法のように法に不服申立の規定があるものと児童福祉法などのように規定がないものがあります。


規定がないものは,行政不服審査法に従って不服申立てを行います。


行政不服審査法の改正によって,他の法の関連部分もすべて上記のように統一して変更されています。



さて,それでは詳しく見ていきましょう。



1 介護保険の要介護認定の結果に不服がある場合,都道府県知事に審査請求を行う。



介護保険法は,不服申立てが法に規定されています。


(審査請求)

第百八十三条  保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分及び要介護認定又は要支援認定に関する処分を含む。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金(財政安定化基金拠出金、納付金及び第百五十七条第一項に規定する延滞金を除く。)に関する処分に不服がある者は、介護保険審査会に審査請求をすることができる。



審査請求は,都道府県に設置される介護保険審査会に対して行います。


よって×。



2 障害福祉サービスの支給量の决定に不服がある場合,都道府県知事に審査請求を行う。



障害者総合支援法も不服申立についての規定があります。



(審査請求)

第九十七条  市町村の介護給付費等又は地域相談支援給付費等に係る処分に不服がある障害者又は障害児の保護者は、都道府県知事に対して審査請求をすることができる。


審査請求は,都道府県知事に対して行います。


よって正解です。



ただし,同法には次のような規定があります。



(不服審査会)

第九十八条  都道府県知事は、条例で定めるところにより、前条第一項の審査請求の事件を取り扱わせるため、障害者介護給付費等不服審査会(以下「不服審査会」という。)を置くことができる。


介護保険法では,介護保険審査会に対して審査請求します。


障害者総合支援法では,都道府県知事に対して審査請求を行います。都道府県が不服審査会(任意設置)を設置している場合は,不服審査会に審査請求に対しての対応させることになります。


介護保険審査会が必置であるのに,不服審査会は任意設置であるのは


介護保険法は社会保険方式


障害者総合支援法は社会扶助方式


という違いによるものではないでしょうか。


社会保険は,保険料の拠出が前提なので,被保険者は権利意識を強く持ちやすく,審査請求が多いだろうと予測したのではないでしょうか。


それに対して社会扶助方式は,拠出が前提ではないので,社会保険方式よりも権利意識は強くはないないと思います。



話を戻します。


不服審査会が設置されていても審査請求は都道府県知事に対して行います。


間違えないようにしましょう。


3 生活保護の決定に不服がある場合,福祉事務所長に異議申立てを行う。


生活保護法も法に規定があります。


(審査庁)

第六十四条  第十九条第四項の規定により市町村長が保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部をその管理に属する行政庁に委任した場合における当該事務に関する処分並びに第五十五条の四第二項の規定により市町村長が就労自立給付金の支給に関する事務の全部又は一部をその管理に属する行政庁に委任した場合における当該事務に関する処分についての審査請求は、都道府県知事に対してするものとする。


今はなくなってしまった異議申立ては,生活保護法にはもともとありません。


審査請求は都道府県知事に対して行います。


よって×。


生活保護法には,都道府県知事の採決に不服がある場合に,厚生労働大臣に対しての再審査請求が規定されています。


再審査請求が規定されているものは珍しいものです。


それだけ,生活保護制度は国民の権利として大切に作られた制度であることがうかがわれます。



4 国民健康保険の保険料に関する処分に不服がある場合,市町村長に異議申立てを行う。


国民健康保険法にも法に規定があります。



(審査請求)

第九十一条  保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求又は返還に関する処分を含む。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分に不服がある者は、国民健康保険審査会に審査請求をすることができる。


国民健康保険審査会は都道府県に必置の機関です。


審査請求は国民健康保険審査会に対して行います。


よって×。


5 保育所入所に係る処分に不服がある場合,市町村長に審査請求を行う。



この時点では,保育所入所に係る処分に不服がある場合,市町村長に直接行う異議申立てを行っていました。そのため,この選択肢は間違いでした。


しかし,平成28年の法改正で異議申立てはなくなり,審査請求に一元化されています。そのため,今の時点では正解となります。


異議申立てがなくなって,不服申立てのシステムはとてもシンプルになりました。


覚えるのも簡単になりましたね。


さて,今日のものはどのように覚えたらよいのか,考えてみてくださいね。


できれぱ,反復して覚える,というよりも一度でしっかり覚えきってしまう,ということを意識してみましょう。そのためには,何をすべきでしょうか?


2024年3月18日月曜日

最新の法制度が出題されることは少ない


ちょっと古い問題です。


第26回・問題26 

在留外国人に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 在留外国人の数を在留資格別にみると「専門的・技術的分野」の労働者数が,日本人の配偶者をもつなど「身分に基づく在留資格」者数を上回っている。

2 在留資格を有する外国人の雇用状況に関する事業主からの届出は,出入国管理局に行うことになっている。

3 外国人の在留資格名称に「医療」は含まれない。

4 在留外国人の世帯に対して生活保護制度は適用されない。

5 出入国管理及び難民認定法等の改正(2012年(平成24年)7月)により,外国人登録制度が廃止された。


前回書いたように・・・


国試には,社会福祉士に期待することを出題します。


ソーシャルワークの対象は,従来の貧困や障害などに加えて,外国人に対するものも含まれます。


そのため,外国人に関する出題は,第26回以降毎回出題されています。

外国人は今後ますます増えていくことから,出題が急になくなるとは思いにくいので,押さえておきたいです。


ただ,第29回は1問まるまる出題されているので,2年続けて1問まるまる出題ということはないかもしれません。


それでは,詳しく見ていきましょう。


1 在留外国人の数を在留資格別にみると「専門的・技術的分野」の労働者数が,日本人の配偶者をもつなど「身分に基づく在留資格」者数を上回っている。


これは,よく分かりません。最初に分からないものが来るとかなり焦りますが,ここは冷静に▲をつけましょう。


答えとしては,身分に基づく在留資格者の方が少ないそうです。


2 在留資格を有する外国人の雇用状況に関する事業主からの届出は,出入国管理局に行うことになっている。


これもちょっぴり難しいですが,入出国管理局は,空港や港があるところにありそうな機関であることは想像つきます。


そう考えれば,事業主にとって身近にある機関ではなさそうだと想像することができます。


これは×に出来そうね。


調べてみるとハローワークだそうです。


よって×。


3 外国人の在留資格名称に「医療」は含まれない。



「含まれない」という表現は多くの場合は,間違い選択肢を作成する際に多用されます。


しかし,ここでは分からないので,冷静に▲をつけておきましょう。


調べてみると,医療も含まれるそうです。



4 在留外国人の世帯に対して生活保護制度は適用されない。



生活保護自体は,日本国民であることが適用条件ですが,通知によって適用されています。


しかし,ここでは分からないので,冷静に▲をつけておきましょう。




5 出入国管理及び難民認定法等の改正(2012年(平成24年)7月)により,外国人登録制度が廃止された。



これは当時話題になりました。覚えている人も多かったのではないでしょうか。


これが正解です。



第26回国試は,2014年1月に実施されたものです。



法改正は2012年の7月ですから,第25回に出題しようと思えば出来ました。

しかし,1年おいた第26回に出題しています。


法改正後,すぐに出題していません。この傾向は今も同じです。もちろん,最新の法改正は覚えたほうが良いですが,そのほとんどがすぐ出題されません。国家試験で得点アップするという目的では,あまり良い方法とは言えないように思います。

それよりもスタンダードな内容を押さえていくことが得点アップの最短の道です。

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