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2025年1月27日月曜日

調査票の配布と回収~あと数点アップするコツ

 

社会福祉士の国試を何度も受験しても合格できないという方がいらっしゃると思います。

そういった方は次の2つのタイプに分かれると考えられます。

①11月頃から過去問をちょこっと取り組むだけで国試に臨むタイプ

知識不足は否めません。

国試の出題範囲は広いので,過去3回国試で出題された内容では合格する知識には足りまん。

同じパターンを繰り返していれば結果は同じです。どこかで切り替えないといけません。

「運」で合格をつかむのは難しいです。

このタイプの人はおそらくこの学習部屋を目にすることは少ないはず。もし読んでするとしたら,今回は合格する可能性が大いにあります。それだけのノウハウを紹介してきました。
最後の最後まで頑張りましょう。


②落ち着いて問題を解けば毎年合格点に達していたという方

毎年,あと数点の差で不合格になるタイプです。理論的には,毎年勉強を続けていれば,その分の知識は増えるはずです。

しかし,実際の国試では,例えば,前回は1点差だったのに,今回は5点差になった,ということもあります。

これは国試突破には知識のほかには,別の要素があることを示しています。

②のタイプの方が合格をつかむのが,実は大変です。

この学習部屋は,そういった人が合格するために始めたものです。

別な要素とは

知識を超えた想像力

もその一つです。

試験委員の出題意図を考えるというのもあるでしょう。

これらを規定時間内に行うには,思考訓練が必要です。

②のタイプの方は,とにかく真面目なタイプに多いです。

そのため,国試会場では緊張感のあまり,柔軟な思考ができなくなってしまうのです。


今日の問題も,想像力を発揮することが必要なタイプの問題です。


第30回・問題88 

質問紙調査の方法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 郵送調査法は,返送時に氏名を記入する必要があるため,匿名性を確保するのが難しい。 

2 訪問面接調査法は,プライバシーに関わる質問をするのに適している。

3 複雑で難しい質問には,自記式で質問紙に記入する方法が適している。

4 留置調査法は,他記式なので,記入漏れや記入ミスを抑制できる。

5 調査対象者本人の回答であるかを確認するには,他記式による記入が望ましい。


緊張する国試会場で,普段通りの力を発揮するのは決して簡単なことではありません。


それでは解説です。


1 郵送調査法は,返送時に氏名を記入する必要があるため,匿名性を確保するのが難しい。

これは誤りです。

郵送調査には様々な方法があります。もちろんその中には,返送時に指名を記入する必要があるものもあるかもしれません。そうなると匿名性はなくなってしまいます。

しかし,すべての郵送調査で指名を記入しなければならないという決まりはありません。

郵送調査のメリットは経費と労力をあまりかけないで実施できることです。その反面,デメリットとしては,回収率が低いことがあります。

記名式の調査票では本音はかけませんし,それでなくても回収率は低いものをさらに低くしてしまう恐れがあります。


2 訪問面接調査法は,プライバシーに関わる質問をするのに適している。

これも誤りです。

第26回,第28回国試で同じようなスタイルの問題が出題されています。

第26回国試問題
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/01/25.html

第28回問題
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/01/35.html

想像力を発揮する時のポイントは,極端な例を挙げて考えることです。

第26回では以下のような問題が出題されています。

犯罪や性行動など,多くの調査対象者が自分からは答えたがらない質問内容については,郵送法よりは調査員が訪問して質問する訪問面接法の方が適している。

これを参考に極端な例を考えてみると

犯罪では

「あなたは今まで万引きをしたことがありますか」


性行動では

「あなたはどのような頻度で性交を行いますか」

といったことです。

こういった質問は,訪問面接調査には向かないことがわかるでしょう。

無記名式の郵送調査でも答えにくいかもしれませんが,これらの質問が必要な調査であれば,訪問面接調査では本当の話は聞くことは難しいです。

このことについては<今日の一言>で解説します。



3 複雑で難しい質問には,自記式で質問紙に記入する方法が適している。

これも誤りです。

自記式(自計式),他記式(他計式)が理解できていないとこれを正解にしてしまうかもしれません。

間違いやすいものがねらわれます。

自記式(自計式) → 調査対象者が調査票に記入するもの
他記式(他計式) → 調査者(調査員)が調査票に記入するもの

この場合,「自」が誰のことなのかが言葉だけでは推測することができないために,ねらわれるのです。

「自」は調査対象者

しっかり覚えておきましょう。

解説に戻ると,複雑で難しい質問は,他記式が適しています。なぜなら調査対象者が答えにくそうにしている様子を見ながら,質問の補足説明などができるからです。

自記式の調査の代表は,郵送調査と留置調査です。もし質問の意味がわからなければ,連絡先に聞くこともできるかもしれませんが,多くの人はそんなことはしないので,答えないか適当に答えることになるでしょう。


4 留置調査法は,他記式なので,記入漏れや記入ミスを抑制できる。

これも誤りです。

先に書いたように,留置調査は,郵送調査と並んで自記式の代表的なものです。

記入漏れや記入ミスのことは「測定誤差」といいます。

全数調査であっても標本調査であっても測定誤差は生じます。他記式でも測定誤差は生じますが,一般的には調査対象者が記入する自記式よりも調査者(調査員)が記入する他記式の方が測定誤差の発生は抑制できると考えられます。



5 調査対象者本人の回答であるかを確認するには,他記式による記入が望ましい。

これが正解です。

他記式は,調査者(調査員)が,調査対象者から聞き取って記入するものです。そのため,誰の回答なのかが確認できます。

自記式の代表である郵送調査も留置調査も,調査者(調査員)の目の前で回答するわけではないので,誰が回答したものかわかりません。

そのために,第26回国試で出題されたように,留置調査では,回収の時に誰が記入したまのか確認することも行われます。


<今日の一言>

国試の合格基準は,6割程度です。6割と明示できないのは,問題の難易度によって点数が上下させるからです。

勉強していると覚えきれていないことで,焦りや不安が高まっていきます。しかし今まで勉強してきたことは,必ず身についています。

理解しにくいものは,ほかの受験生も同じです。国試ではおそらくそういったものが出題された問題の正解率は低いはずです。

合格基準が7割程度だとすれば,国試の難易度は何倍にも高まります。

しかし6割程度なら,今まで覚えてきたもので十分に戦えるはずです。

後は「セット入れ替え手法」に気を付けるために,知識を整理していくことでしょう。


セット入れ替え手法対策
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/01/blog-post_5.html

知識が不足していれば,知識はしっかりつけなければなりません。

今日の問題で正解できるための必要条件は,自記式と他記式の違いがわかっていることです。

逆にこれがわかっていないと正解するのはかなり難しいです。想像力を発揮するためには,適切な知識がベースにあることが必要だからです。

今日の問題で,試験委員が隠したメッセージは,

2 訪問面接調査法は,プライバシーに関わる質問をするのに適している。

のように思います。

この試験は社会福祉士になるための試験です。

社会福祉調査の中にもソーシャルワーク要素を含ませていると考えられます。

訪問面接調査は,利用者宅に訪問しての訪問調査,アセスメント,モニタリングなどソーシャルワークでは多くの場面で行われるものです。

試験委員が隠したメッセージは,訪問面接でご利用者,あるいは家族が本音を話してくれるのは決して簡単なものではないということなのではないでしょうか。

ご利用者,家族は,援助者が聴くので仕方なく答えているのかもしれません。クライエント―ワーカーという関係性だからようやく成り立っているものです。

ソーシャルワーク専門職としては,クライエントが話したがらない内容についても知らなければならないことがあります。

例えば,医療ソーシャルワーカーの業務指針にある「受療援助」などがそれに当たります。なぜ受療を拒否しているのか,その本音を知ることです。

「社会福祉調査の基礎」を苦手としている人が多いようですが,突破口は必ず開けます。


想像してごらん

ジョン・レノンは言いました。

想像した先には,正解が待っています。さらにその先には,念願の国家資格が待っています。

資格を得た自分の姿を想像してごらん

今まで自分を応援してくれた人から「おめでとう」と言われたときのことを想像してごらん


今は辛いときだからこそ,明るい未来を想像することが必要です。

それが,あと数点アップするための究極のコツです!!

2024年11月14日木曜日

アクション・リサーチとは

今日は,アクション・リサーチを学びます。


言葉からイメージしにくいかもしれませんが,ほかの調査手法と大きく違う点は,調査の過程を通して,問題解決を図ることを重視することです。


そのため,調査手法には,PDCAサイクルが用いられます。


アクション・リサーチの「アクション」とは,PDCAサイクルのA(実行)を指しています。


問題解決の実行があってこそ,アクション・リサーチと言えます。


それでは今日の問題です。


第22回・問題82 

アクション・リサーチと参与観察に関する次の記述のうち,適切なものを一つ選びなさい。

1 アクション・リサーチでは,量的調査の手法を適用することは望ましくない。

2 アクション・リサーチでは,研究者の質問に対する調査対象者の回答の本音が何であるかを,臨床心理学の方法に基づいて解釈する。

3 アクション・リサーチでは,調査を行う研究者が当事者と協働して,両者が関与する問題の解決も目指しつつ調査や実践を進める。

4 参与観察では,調査者が調査対象者となる個人とラポールを築くことができるので,他の調査手法よりも客観的な結果を導くことができる。

5 参与観察とアクション・リサーチの違いは,前者が実践的な問題解決を重視するのに対し,後者は観察に基づく理論的研究を重視することにある。


正解はすぐわかるでしょう。


正解は,選択肢3です。


3 アクション・リサーチでは,調査を行う研究者が当事者と協働して,両者が関与する問題の解決も目指しつつ調査や実践を進める。


一応,ほかの選択肢も解説します。


1 アクション・リサーチでは,量的調査の手法を適用することは望ましくない。


アクション・リサーチでも量的調査の手法を用いることは適切です。


問題の様子を数字で表すことで客観的になります。


2 アクション・リサーチでは,研究者の質問に対する調査対象者の回答の本音が何であるかを,臨床心理学の方法に基づいて解釈する。


これは,アクション・リサーチとは何かを理解していない受験生を引っ掛けるためのでたらめ選択肢です。


4 参与観察では,調査者が調査対象者となる個人とラポールを築くことができるので,他の調査手法よりも客観的な結果を導くことができる。


参与観察は,ラポールを築くことはできますが,オーバーラポールになると客観的になりにくくなります。


5 参与観察とアクション・リサーチの違いは,前者が実践的な問題解決を重視するのに対し,後者は観察に基づく理論的研究を重視することにある。


参与観察とアクション・リサーチの説明が逆になっています。

2024年11月13日水曜日

社会福祉調査における観察法

 

今回は,社会福祉調査における観察法を学びます。


観察法で出題されるキーワードは,参与観察,非参与観察,アクションリサーチなどです。


今日は,前説なしに問題を解きましょう。


第33回・問題90

調査手法としての観察法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 観察法における「完全な観察者」は,観察に徹して,その場の活動には参加しない。

2 観察法では,聞き取り,文書,写真などの資料は使用しない。

3 観察法の一つとしての参与観察法では,集団を観察対象としない。

4 観察法におけるノートへの記録は,観察時間内に行い,観察終了後には行わない。

5 観察法では,質的なデータは扱うが,量的なデータは扱わない。


この問題は,すべて否定形で統一されている高度な問題です。

今後は,こういった問題が多く出題されてくると思うので,覚悟が必要です。


それでは解説です。


1 観察法における「完全な観察者」は,観察に徹して,その場の活動には参加しない。


これが正解です。


観察法には,「完全な観察者」から「完全な参加者」までの段階があります。


完全な参加者は,観察をせずその場の参加に徹します。


完全な観察者は,その場の活動には参加せず,観察に徹します。


2 観察法では,聞き取り,文書,写真などの資料は使用しない。


観察法では,その場に参加しながらの聞き取りなどを行います。場合によっては写真を撮ることもあります。


3 観察法の一つとしての参与観察法では,集団を観察対象としない。


参与観察でも非参与観察でも集団は観察対象です。


4 観察法におけるノートへの記録は,観察時間内に行い,観察終了後には行わない。


観察対象者への承諾が得られれば,その場で観察したことをフィールドノートに記録します。

しかし,書ききれなかったこともあるので,忘れないうちに記録します。


5 観察法では,質的なデータは扱うが,量的なデータは扱わない。


観察法は,質的調査の手法ですが,観察によって得られた頻度なども貴重なデータとなります。


発達心理学では,子どもを観察し,どの頻度で親とアイコンタクトを取っているのか,なども貴重なデータとなるでしょう。


〈今日の注意ポイント〉


質的調査だからといって,量的データは扱わないといった固定的な理解だとミスするので注意が必要です。


同じようなことでは,社会福祉調査は,無作為抽出によって行うといった固定概念も注意が必要です。


社会福祉調査であっても,質的調査の場合は,有意抽出によって行われることが多いものです。


例えば,A村に住んでいるBさん宅に泊まり込みでその家族を観察する参与観察を行うとします。


観察対象者のBさん家族は,誰かからの紹介,あるいは,もともとの知人であるかもしれません。


これらの場合は,無作為抽出ではなく,有意抽出によって対象者を選んだということになります。

2024年11月12日火曜日

調査票の配布と回収

 

今回は,調査票の配布と回収を学びます。

 

調査方法

内容

記入

経費

郵送調査

調査票を郵送するもの。

自計式

安い

留置調査

調査員が訪問して調査票を配布するもの。

自計式

高い

個別面接調査

調査員が訪問して,面接するもの。

他計式

高い

集合調査

多くの人が集まる場所で調査票を配布するもの。

自計式

安い

電話調査

調査員が電話で聞き取るもの。

他計式

安い

調査対象者がスマホなどで入力する場合

自計式

 

経費も加えてみました。

郵送調査は,郵送費がかかっても,留置調査や個別面接調査よりも経費は安上がりであることに注意が必要です。

 

それでは,今日の問題です。


33回・問題89

調査票の配布と回収に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 集合調査は,多くの人が集まる場所で調査票を配布後,個々の調査対象者に対して回答を尋ねて,調査員が調査票に記入して回収する方法である。

2 郵送調査は,調査対象者に調査票を郵便によって配布後,調査員が訪問して,記名のある回答済の調査票を回収する方法である。

3 留置調査は,調査対象者を調査員が訪問して調査票を置いていき,調査対象者が記入した後で調査員が回収する方法である。

4 訪問面接調査は,調査員が調査対象者を訪問して調査票を渡し,調査対象者に記入してもらい回収する方法である。

5 モニター調査は,インターネット上で不特定多数の人々に調査票を配信して回収する方法である。

 

前説にないものも出題されていますが,それほどは難しくないかもしれません。

 

それでは解説です。

 

1 集合調査は,多くの人が集まる場所で調査票を配布後,個々の調査対象者に対して回答を尋ねて,調査員が調査票に記入して回収する方法である。

 

集合調査は,多くの人が集まる場所で調査票を配布するのは適切です。

 

しかし,集合調査は,調査対象者が記入する自計式です。

 

2 郵送調査は,調査対象者に調査票を郵便によって配布後,調査員が訪問して,記名のある回答済の調査票を回収する方法である。

 

郵送調査は,調査対象者に調査票を郵便によって配布するのは適切です。

 

しかし,回収も郵送によって行うところが異なります。

 

3 留置調査は,調査対象者を調査員が訪問して調査票を置いていき,調査対象者が記入した後で調査員が回収する方法である。

 

これが正解です。

留置調査は,調査対象者が記入する自計式です。

 

調査員がいない時に記入するために,本当に適切な調査対象者が記入したのかがわかりません。そのために,回収の時に「これは誰が記入しましたか」といったように尋ねることも必要です。

 

4 訪問面接調査は,調査員が調査対象者を訪問して調査票を渡し,調査対象者に記入してもらい回収する方法である。

 

訪問面接調査は,調査員が調査対象者を訪問するのは適切です。

 

しかし,訪問面接調査は,個々の調査対象者に対して回答を尋ねて,調査員が調査票に記入する他計式であるところが異なります。

 

5 モニター調査は,インターネット上で不特定多数の人々に調査票を配信して回収する方法である。

 

モニター調査は,調査対象者を募集して,その中から調査に協力してもらうモニターを選んで,依頼します。

 

インターネット上で不特定多数の人々に調査票を配信して回収する方法は,インターネット調査です。

2024年11月11日月曜日

パーソナルな質問とインパーソナルな質問

 

今回,取り上げるのは,パーソナルな質問とインパーソナルな質問です。

 

パーソナルな質問は,調査対象者本人の意見を尋ねる質問です。

 

インパーソナルな質問は,調査対象者本人にかかわらない一般的な意見を尋ねる質問です。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題88 

質問紙の作成に当たっての留意点に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 一つの質問文で複数の事項を問うことは,複数の回答が同時に得られるので,質問紙の作成において望ましいと考えられている。

2 パーソナルな質問とは社会一般的な意見について尋ねる質問であり,インパーソナルな質問とは調査対象者自身の意識や行動について尋ねる質問である。

3 質問文を作成するときには,調査対象者に関心を持ってもらうために,一般的に固定的なイメージを持つステレオタイプな用語を使う必要がある。

4 社会的に望ましい結果を得るために,誘導的な質問をすることは質問紙の作成として適切である。

5 前の質問文の内容が次の質問文の回答に影響を与えないように,注意を払う必要がある。

 

選択肢2に今日のテーマが出題されています。

 

質問紙を作成する場合の留意点 

ダブルバーレル質問

一つの質問に複数の要素を含んだ質問。

イエステンデンシー

「いいえ」と答えるよりも「はい」と答えることのほうが答えやすい傾向にあること。

キャリーオーバー効果

前の質問が次の質問に影響を与えること。

ステレオタイプ

特定の意味を含んだ言葉のこと。過去問では「市民運動」という表現と「草の根の市民運動」という表現を例に出題されている。


こういったものに配慮しながら,質問紙を作成することが必要です。

それでは,解説です。


 1 「糖尿病予防のために食事や運動に気を付けていますか」というように,複数の事柄は一つの質問文で尋ねる方が望ましい。

 

この質問がダブルバーレル質問です。

 

「食事」や「運動」というところがダブルバーレルになっています。

 

食事は気をつけているが,運動は気をつけていない。

食事は気をつけていないが,運動は気をつけている。

 

という人もいます。そういった人は,答えられなくなってしまいます。

 

こういった場合は,2つの質問に分けます。

 

2 前の質問の回答が次の質問の回答に影響を与えることを促すような質問の順番にすることが望ましい。

 

前の質問の回答が次の質問の回答に影響を与えることは,キャリーオーバー効果といいます。

 

キャリーオーバー効果を悪用すれば,結論的な質問を「はい」でも「いいえ」でも導くことができます。

 

そのため,キャリーオーバー効果が出ないように気をつけて問題を配置しなければなりません。

 

3 「家事は一般的に夫婦で平等に分担すべきですか」という質問文では,回答者が自分の家庭でそうすべきだと考えているかどうかは分からない。

 

これが正解です。

 

「家事は一般的に夫婦で平等に分担すべきですか」という質問文は,インパーソナル質問といいます。

 

インパーソナル質問では,個人的な考えはわかりません。

 

個人的な考えを知るためには「あなたは・・・」という質問である「パーソナル質問」で尋ねます。

 

4 意識調査の質問では,回答を明確にするために「どちらともいえない」という選択肢を設けてはならない。

 

「どちらともいえない」は,必要です。

 

そうでないとどちらでもない人は答えられません。

 

5 調査票のレイアウトや色を工夫することは,回答をゆがめることになるので行うべきではない。

 

質問票のレイアウトや色を配慮することは欠かせません。

 

文字が小さいと高齢者は読みにくいですし,紙の色と文字の色が同系色ならこれも読みにくいものになります。

2024年11月10日日曜日

横断調査と縦断調査

 

今回は,横断調査と縦断調査を取り上げます。

 

横断調査

 ある時点で行う調査。

縦断調査

 一定の期間を開けて,複数回行う調査。

 同じ対象者(パネル)に対して複数回行うパネル調査は縦断調査の一つ。

 

それでは今日の問題です。

 

33回・問題87

横断調査と縦断調査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 縦断調査とは,一時点のデータを収集する調査のことをいう。

2 横断調査で得られたデータを,時系列データと呼ぶ。

3 パネル調査とは,調査対象者に対して,過去の出来事を振り返って回答してもらう調査のことをいう。

4 パネル調査は,横断調査に比べて,因果関係を解明するのに適している。

5 横断調査では,時期を空けた2回目以降の調査で同じ調査対象者が脱落してしまうといった問題がある。

 

知識不足だと正解するのが難しい問題でしょう。

 

横断調査と縦断調査の違いを押さえておくことが必要です。

 

それでは解説です。

 

1 縦断調査とは,一時点のデータを収集する調査のことをいう。

 

一時点のデータを収集する調査は横断調査です。

 

2 横断調査で得られたデータを,時系列データと呼ぶ。

 

 

時系列データは,縦断調査で得られるデータです。

 

3 パネル調査とは,調査対象者に対して,過去の出来事を振り返って回答してもらう調査のことをいう。

 

パネル調査は,同じ対象者に対して繰り返して調査を行うものです。

 

4 パネル調査は,横断調査に比べて,因果関係を解明するのに適している。

 

これが正解です。

 

因果関係とは,原因と結果です。

 

横断調査は一回きりの調査なので,原因と結果を明らかにするのは困難です。

 

因果関係を調べるのは,何度も繰り返して調査する縦断調査が向きます。

 

5 横断調査では,時期を空けた2回目以降の調査で同じ調査対象者が脱落してしまうといった問題がある。

 

時期を空けた2回目以降の調査で同じ調査対象者が脱落してしまうのは,パネルの脱落,あるいはパネルの摩耗といいます。

 

縦断調査の一つであるパネル調査で生じます。

2024年11月9日土曜日

量的調査における標本調査

 

母集団の性質を探るためには,全数調査を行うのが一番正確です。

 

しかし,規模の大きな母集団に対して全数調査を行うことは,大変です。

 

そのために,標本調査を行います。

 

標本調査には,無作為抽出法(確率抽出法)と有意抽出法(非確率抽出法)があり,母集団の性質を偏りなく把握することが可能です。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題86

標本調査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 非標本誤差は,回答者の誤答や記入漏れ,調査者の入力や集計のミスなどで生じる。

2 無作為抽出法による標本調査には,道で偶然に出会った見知らぬ人々を調査対象者として選ぶ方法も含む。

3 系統的抽出法は,母集団を性別や年齢別などの比率で分けて標本を得る無作為抽出の方法である。

4 有意抽出法は,確率抽出法の一方法である。

5 無作為抽出法による標本調査では,サンプルサイズの大小は,母集団を推計する信頼度に関係しない。

 

誤差について出題されています。

 

誤差には,標本抽出という方法で行うために母集団の性質とずれる標本誤差とそれ以外の理由の非標本誤差(測定誤差)があります。

 

非標本誤差には,記入漏れや集計ミスが含まれます。

 

ということで正解は,選択肢1です。

 

1 非標本誤差は,回答者の誤答や記入漏れ,調査者の入力や集計のミスなどで生じる。

 

 

標本誤差と非標本誤差の違いは,確実に押さえておきたいです。

 

ほかの選択肢も確認します。

 

2 無作為抽出法による標本調査には,道で偶然に出会った見知らぬ人々を調査対象者として選ぶ方法も含む。

 

道で偶然出会った人を選ぶのは,一読すると無作為抽出法と思うかもしれません。

 

しかし,時間や場所などによって,得られるデータは影響を受けます。

 

曜日も関係しそうです。

 

ということで,道で偶然出会った人を選ぶのは,有意抽出に含まれます。

 

3 系統的抽出法は,母集団を性別や年齢別などの比率で分けて標本を得る無作為抽出の方法である。

 

母集団を性別や年齢別などの比率で分けて標本を得る無作為抽出の方法は層化抽出法です。

 

系統的抽出法は,最初だけランダムで選び,そのあとは等間隔で抽出していきます。

 

そのため,抽出する台帳に規則性があると,適切な抽出ができなくなります。

 

4 有意抽出法は,確率抽出法の一方法である。

 

有意抽出法は,非確率抽出法です。

 

確率抽出法は,無作為抽出法です。

 

5 無作為抽出法による標本調査では,サンプルサイズの大小は,母集団を推計する信頼度に関係しない。


サンプルサイズとは,標本数のことです。

 

標本数はある程度の大きさがないと,推計の信頼度は低くなります。

 

標本調査には,無作為抽出法(確率抽出法)と有意抽出法(非確率抽出法)があり,母集団の性質を偏りなく把握することが可能です。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題86

標本調査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 非標本誤差は,回答者の誤答や記入漏れ,調査者の入力や集計のミスなどで生じる。

2 無作為抽出法による標本調査には,道で偶然に出会った見知らぬ人々を調査対象者として選ぶ方法も含む。

3 系統的抽出法は,母集団を性別や年齢別などの比率で分けて標本を得る無作為抽出の方法である。

4 有意抽出法は,確率抽出法の一方法である。

5 無作為抽出法による標本調査では,サンプルサイズの大小は,母集団を推計する信頼度に関係しない。

 

誤差について出題されています。

 

誤差には,標本抽出という方法で行うために母集団の性質とずれる標本誤差とそれ以外の理由の非標本誤差(測定誤差)があります。

 

非標本誤差には,記入漏れや集計ミスが含まれます。

 

ということで正解は,選択肢1です。

 

1 非標本誤差は,回答者の誤答や記入漏れ,調査者の入力や集計のミスなどで生じる。

 

 

標本誤差と非標本誤差の違いは,確実に押さえておきたいです。

 

ほかの選択肢も確認します。

 

2 無作為抽出法による標本調査には,道で偶然に出会った見知らぬ人々を調査対象者として選ぶ方法も含む。

 

道で偶然出会った人を選ぶのは,一読すると無作為抽出法と思うかもしれません。

 

しかし,時間や場所などによって,得られるデータは影響を受けます。

 

曜日も関係しそうです。

 

ということで,道で偶然出会った人を選ぶのは,有意抽出に含まれます。

 

3 系統的抽出法は,母集団を性別や年齢別などの比率で分けて標本を得る無作為抽出の方法である。

 

母集団を性別や年齢別などの比率で分けて標本を得る無作為抽出の方法は層化抽出法です。

 

系統的抽出法は,最初だけランダムで選び,そのあとは等間隔で抽出していきます。

 

そのため,抽出する台帳に規則性があると,適切な抽出ができなくなります。

 

4 有意抽出法は,確率抽出法の一方法である。

 

有意抽出法は,非確率抽出法です。

 

確率抽出法は,無作為抽出法です。

 

5 無作為抽出法による標本調査では,サンプルサイズの大小は,母集団を推計する信頼度に関係しない。

サンプルサイズとは,標本数のことです。

 

標本数はある程度の大きさがないと,推計の信頼度は低くなります。

2024年11月8日金曜日

社会福祉調査における倫理

 

今回は,社会福祉調査の倫理を学びます。

 

前説なしに今日の問題です。

 

33回・問題85 

社会調査の倫理に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 社会福祉施設利用者に聞き取り調査をする際,聞き漏らしを防ぐための録音は,不安感を抱かせるので,調査対象者に告げずに行った。

2 介護施設で職員へのマネジメントに関する調査をする際,施設長に対する職員の評価を正確に把握するために,全員に記名式の質問紙の提出を義務づけた。

3 社会福祉学部の学生からの依頼で質問紙調査をする際,いつも出入りしている学生だったため,施設利用者に特に説明することなく質問紙を配布した。

4 社会福祉施設利用者の家族の実情を聴く際,第三者が出入りしない個室で聞き取り調査を行った。

5 施設にボランティア活動に来る小学生に質問紙調査をする際,本人たちの了承を得るだけでよい。

 

問題づくりが下手なために,知識なしでも正解できるタイプです。

 

このような問題は,今後は出題されなくなるでしょう。

 

正解は,ご想像のとおり,選択肢4です。

 

4 社会福祉施設利用者の家族の実情を聴く際,第三者が出入りしない個室で聞き取り調査を行った。

 

この問題には解説は必要ないでしょう。しかし,簡単に解説します。

 

1 社会福祉施設利用者に聞き取り調査をする際,聞き漏らしを防ぐための録音は,不安感を抱かせるので,調査対象者に告げずに行った。

 

録音は,調査対象者の承諾が必要です。

 

2 介護施設で職員へのマネジメントに関する調査をする際,施設長に対する職員の評価を正確に把握するために,全員に記名式の質問紙の提出を義務づけた。

 

名前を書く「記名式」では,施設長に忖度してしまい,正確な評価を書くことでできないでしょう。

 

無記名式が適切です。

 

 

3 社会福祉学部の学生からの依頼で質問紙調査をする際,いつも出入りしている学生だったため,施設利用者に特に説明することなく質問紙を配布した。

 

調査対象者には,目的等を伝えて,承諾を得て実施することが必要です。

 

4 社会福祉施設利用者の家族の実情を聴く際,第三者が出入りしない個室で聞き取り調査を行った。

 

先述のようにこれが正解です。

個室で聞き取り調査を行うことは,プライバシーへの配慮の面で適切です。

 

 

5 施設にボランティア活動に来る小学生に質問紙調査をする際,本人たちの了承を得るだけでよい。

 

社会調査協会の倫理規定では,以下のように規定されています。

 

7

調査対象者が年少者である場合には,会員は特にその人権について配慮しなければならない。

調査対象者が満15歳以下である場合には,まず保護者もしくは学校長などの責任ある成人の承諾を得なければならない。

 出典

一般社団法人社会調査協会倫理規程
https://jasr.or.jp/chairman/ethics/

2024年11月7日木曜日

社会福祉調査の対象

 

今回から「社会福祉調査の基礎」を学んでいきます。


新しいカリキュラムでは「社会福祉調査のデザイン」が含まれていますが,過去問にはありません。

しかし,そこを押さえずとも,ほかの部分で十分に補えると思います。


決して怖い科目ではありません。


満点を取るのは難しいですが,6問中4~5点は可能なのではないかと思います。


それでは,前説なしに今日の問題です。


第33回・問題84

政府が行う社会調査の対象に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国勢調査は,日本に常住する外国人を対象としない。

2 労働力調査は,調査時に求職中の人も対象とする。

3 社会保障生計調査は,被保護世帯を対象としない。

4 国民生活基礎調査は,20歳未満の国民を対象としない。

5 家計調査は,学生の単身世帯も対象とする。


「社会福祉調査の基礎」っぽくない問題ですが,新しいカリキュラムの出題基準では「社会福祉調査の意義と目的」の「公的統計と政策決定」あたりの問題だと言えます。


つまり,ほかの科目で出題される公的統計の知識がこの科目で生かされます。


各科目は単独で存在しているたけではなく,さまざまな科目とオーバーラップしています。

地道な勉強は,実力全体の底上げにつながります。


それでは,解説です。


1 国勢調査は,日本に常住する外国人を対象としない。


国勢調査は,調査時点で日本に常駐するすべての者を対象として実施します。


なお,常駐とは,当該住居に3か月以上住んでいる,あるいは住むことになっている者をいいます。


外国人も対象とします。


2 労働力調査は,調査時に求職中の人も対象とする。


これが正解です。


労働力調査は,日本に居住している全人口を対象として実施します。


ただし,全数調査で行われる国勢調査とは異なり,労働力調査は標本抽出で行っています。


労働力調査という名称ですが,実際には,就業状況だけではなく,不就労状況も一緒に調査しています。


3 社会保障生計調査は,被保護世帯を対象としない。


社会保障生計調査という聞きなれないものが登場しました。しかし,こういったものには正解はないことが多いものです。


社会保障生計調査という名称ですが,実は,この調査は,被保護世帯の家計収支の実態を明らかにする調査です。


4 国民生活基礎調査は,20歳未満の国民を対象としない。


国民生活基礎調査は,基幹統計に指定されている調査です。


調査対象は,全国の世帯及び世帯員です。


そのうち,以下については除外されます。

・単身赴任者

・出稼ぎ者

・長期入院中の者

・寄宿舎に居住する単独世帯 など


20歳未満の者であっても上記に当てはまらない者は調査の対象となります。


5 家計調査は,学生の単身世帯も対象とする。


家計調査は,全国の世帯を対象としますが,学生の単身世帯などは除外されています。


その理由は,世帯としての収入と支出を正確に計ることが困難なためです。

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