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2025年1月29日水曜日

児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)の重要ポイント

童の権利に関する条約(子どもの権利条約)は,国際連合によって,1989年に採択されたものです。日本は1994(平成6)年に批准しています。


批准とは,条約を国内に適用させます,と宣言するものです。

そのあと,条約を締結します。


このように,条約と批准と締結は,ちょっと違ったものですが,国家試験ではそこの違いを問われることは絶対にあり得ません。


それはさておき,日本が批准するまでに5年の歳月を要しています。


理由は,批准するためには国内法を整備する必要があるからです。

条約は,法的拘束力をもつので,国内法で条約の内容に反するものがあった場合,条約違反となってしまいます。


児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)の特徴は,古典的な権利である「受動的権利」とともに「能動的権利」を児童に保障したことです。


受動的権利とは,児童は弱い存在なので,守られるべきである,というものです。

能動的権利
とは,児童が積極的に意見を述べることができる(意見表明権),結社の自由などを認める,というものです。

歴史としては,ホワイトハウス会議における声明などがありますが,それらは,受動的権利に言及したものです。

それらは,〇〇宣言などは,法的拘束力を持たないものであるのに対し,条約は,法的拘束力を持つものです。

歴史的にみると,受動的権利を法的拘束力をもつ条約として規定し直したものが,「子どもの権利条約」だということになります。

それでは,今日の問題です。

第30回・問題138 

児童が「自由に自己の意見を表明する権利を確保する」と明記しているものとして,正しいものを1つ選びなさい。

1 児童福祉法

2 児童の権利に関する条約

3 児童虐待の防止等に関する法律

4 児童権利宣言

5 児童憲章


正解は,選択肢2

2 児童の権利に関する条約


子どもの権利条約を受けて,現在の児童福祉法は以下のように規定されています。

第一条 全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。

今日の問題で「1 児童福祉法」を正解だと思った人は,別の面ですごい人かもしれません。

現在の児童福祉法およびこども基本法には,子どもの権利条約の精神が流れています。条約を批准するというのは,こういうことです。


児童福祉法の理念に関する記事
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/12/blog-post_4.html


こども基本法の目的
この法律は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担う全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して、社会全体としてこども施策に取り組むことができるよう、こども施策に関し、基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及びこども施策の基本となる事項を定めるとともに、こども政策推進会議を設置すること等により、こども施策を総合的に推進することを目的とする。


<今日の一言>

国家試験は,きちっと覚えた者勝ちです。

こども権利条約に関しては,受動的権利とともに能動的権利を保障しているのが特徴である,というところがポイントです。

一つひとつをきっちり覚えて,得点力を伸ばしていきましょう。

国家試験は,基本をきちっと覚えた者が合格をつかみ取ります。


おまけの問題

第29回・問題138 

「児童の権利に関する条約」に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 第1回ホワイトハウス会議で採択された。

2 日本政府は,この条約を批准するための検討を進めている。

3 児童の権利を,能動的権利と受動的権利に関する節に分けて規定している。

4 「児童とは,20歳未満のすべての者をいう」と規定している。

5 「自由に自己の意見を表明する権利の確保」について規定している。


正解は,選択肢5です。

5 「自由に自己の意見を表明する権利の確保」について規定している。

これが能動的権利そのものです。

ほかの選択肢のどこが間違っているのかは,次回で学んでもらうにして,間違えそうなものは,

3 児童の権利を,能動的権利と受動的権利に関する節に分けて規定している。

能動的権利と受動的権利を規定しているのは適切です。

おそらく,この問題は,

3 児童の権利を,能動的権利と受動的権利に関する節に分けて規定している。
5 「自由に自己の意見を表明する権利の確保」について規定している。

で迷う人がいたと思います。

しかし,ここで引っ掛けられてはいけません。

子どもの権利条約は,能動的権利を規定していることが特徴です。
「自由に自己の意見を表明する権利の確保」は,能動的権利そのものです。

これを自信もって正解にしなければなりません。

選択肢3を見たとき,子どもの権利条約を読んだことがない,わからない,と思ったら間違えます。
国家試験は,深い知識を求めるような出題はしません。
これは断言できます。

選択肢3が正解なら,

3 児童の権利として,能動的権利と受動的権利を規定している。

でよいはずです。

「節を分けて」という部分が余分です。

これが,チームfukufuku21が提唱している

人は,嘘をつくとき,饒舌になる

という解答テクニックです。

このテクニックを身につけることは難しいかもしれませんが,ここに気がつくことができれば,得点力は大幅にアップします。

3年の過去問を3回解いても,合格する知識は絶対につきません。これは断言します。
3年の過去問を3回解くことに意味があるとしたら,こういったところに気がつくことと言えるでしょう。

国家試験は人が作成します。そのため,よくよく問題文を見ると,間違い選択肢には,ほころびを生じていることがあるのです。

2024年11月25日月曜日

法務教官とは


法務教官は,少年院,少年鑑別所,少年刑務所,刑務所などで生活指導,教科指導,職業指導などを行います。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題142

子どもに関わる専門職等に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 家庭裁判所調査官は,家庭内の紛争や非行の原因などの調査や,児童福祉施設入所等の適否を判断するための調査等を行う。

2 法務教官は,児童自立支援施設において,生活指導,職業指導,教科教育等各種の教育訓練による矯正教育を行う。

3 保健師は,児童福祉法に基づき,妊産婦や新生児の訪問指導,乳幼児健診,保健指導などを行う。

4 児童委員は,要保護児童の把握や通告を行うこととされており,児童相談所の決定による子どもやその保護者への指導を行うことは業務外となっている。

5 保育士は,子どもを対象とした直接的な援助が主な業務であり,保護者への保育に関する指導を行うことは業務外となっている。


今日のテーマの法務教官は,選択肢2に出題されています。


それでは解説です。


1 家庭裁判所調査官は,家庭内の紛争や非行の原因などの調査や,児童福祉施設入所等の適否を判断するための調査等を行う。


これが正解です。


家庭裁判所調査官は,家庭裁判所に配置され,家庭内の紛争や非行の原因などの調査,児童福祉施設入所等の適否を判断するための調査等を行います。


2 法務教官は,児童自立支援施設において,生活指導,職業指導,教科教育等各種の教育訓練による矯正教育を行う。


法務教官の業務は,生活指導,職業指導,教科教育等各種の教育訓練による矯正教育を行うのは適切ですが,配置されるのは,少年院,少年鑑別所,少年刑務所,刑務所などです。


3 保健師は,児童福祉法に基づき,妊産婦や新生児の訪問指導,乳幼児健診,保健指導などを行う。


妊産婦や新生児の訪問指導,乳幼児健診,保健指導などの根拠法は,母子保健法です。


4 児童委員は,要保護児童の把握や通告を行うこととされており,児童相談所の決定による子どもやその保護者への指導を行うことは業務外となっている。


児童相談所の決定による子どもやその保護者への指導を行うことも児童委員の業務です。


5 保育士は,子どもを対象とした直接的な援助が主な業務であり,保護者への保育に関する指導を行うことは業務外となっている。


保護者への保育に関する指導も保育士の業務です。

2024年11月24日日曜日

子どもの貧困対策の推進に関する法律

出題基準に示されている「子どもの貧困対策の推進に関する法律」は,2024年(令和6年)に改正され,「こどもの貧困の解消に向けた対策の推進に関する法律」となりました。

 

法の目的

この法律は、貧困により、こどもが適切な養育及び教育並びに医療を受けられないこと、こどもが多様な体験の機会を得られないことその他のこどもがその権利利益を害され及び社会から孤立することのないようにするため、日本国憲法第二十五条その他の基本的人権に関する規定、児童の権利に関する条約及びこども基本法の精神にのっとり、こどもの貧困の解消に向けた対策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにし、及びこどもの貧困の解消に向けた対策の基本となる事項を定めることにより、こどもの貧困の解消に向けた対策を総合的に推進することを目的とする。

 

法の目的に,憲法第25条のことを述べられているのは,生活保護法以外では初めてかもしれません。

 

 

基本理念

・子どもの貧困対策は、社会のあらゆる分野において、子どもの年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、子どもが心身ともに健やかに育成されることを旨として、推進されなければならない。

・子どもの貧困対策は、子ども等に対する教育の支援、生活の安定に資するための支援、職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、経済的支援等の施策を、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを旨として、子ども等の生活及び取り巻く環境の状況に応じて包括的かつ早期に講ずることにより、推進されなければならない。

・子どもの貧困対策は、子どもの貧困の背景に様々な社会的な要因があることを踏まえ、推進されなければならない。

・子どもの貧困対策は、国及び地方公共団体の関係機関相互の密接な連携の下に、関連分野における総合的な取組として行われなければならない。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題141

子どもの貧困対策の推進に関する法律に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 基本理念として,子どもの貧困対策が児童虐待の予防に資するものとなるよう,明記している。

2 子どもの貧困対策では,子どもの年齢及び発達の程度に応じて,その意見が尊重され,その最善の利益が優先して考慮されなければならない。

3 政府は2年ごとに,子どもの貧困の状況と貧困対策の実施状況を公表しなければならない。

4 社会福祉協議会は,貧困の状況にある子どもの保護者に対する就労支援に関して必要な対策を講じなければならない。

5 文部科学省に,特別の機関として,子どもの貧困対策会議を置く。

 

子どもの貧困対策の推進に関する法律が出題されたのは,現時点(第36回国家試験実施後)このときの一回だけです。

 

それでは,解説です。

 

1 基本理念として,子どもの貧困対策が児童虐待の予防に資するものとなるよう,明記している。

 

このような規定はありません。

 

2 子どもの貧困対策では,子どもの年齢及び発達の程度に応じて,その意見が尊重され,その最善の利益が優先して考慮されなければならない。

 

これが正解です。

 

これと同様の規定は,児童福祉法にもあります。

 

全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならない。

 

「その意見が尊重され」と規定されている理由は,「児童の権利に関する条約」が保障する「能動的権利」を反映しているからです。

 

3 政府は2年ごとに,子どもの貧困の状況と貧困対策の実施状況を公表しなければならない。

 

公表は毎年度です。

 

4 社会福祉協議会は,貧困の状況にある子どもの保護者に対する就労支援に関して必要な対策を講じなければならない。

 

貧困の状況にある子どもの保護者に対する就労支援に関して必要な対策を講じなければならないのは,国及び地方公共団体です。

 

5 文部科学省に,特別の機関として,子どもの貧困対策会議を置く。

 

子どもの貧困対策会議は,内閣府に置かれています。

2024年11月23日土曜日

子ども・子育て支援法

 

子ども・子育て支援法は,これまでにも出題されてきましたが,正式に出題基準に含まれたのは,第37回国家試験です。


子ども・子育て支援制度は,市町村が実施主体になっています。


支給申請は,市町村に対して行います。


児童福祉法には,入所系があるので都道府県の役割がありますが,子ども・子育て支援制度には通所系しかありません。通所系は市町村の役割です。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題140 

子育て支援に係る法律に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 子ども・子育て支援法に基づき,国は,子どもと保護者に必要な子ども・子育て支援給付,地域子ども・子育て支援事業を総合的・計画的に行う。

2 次世代育成支援対策推進法に基づき,市町村は,3年ごとに次世代育成支援対策の実施に関する計画を策定することが義務づけられている。

3 次世代育成支援対策推進法に基づき,常時雇用する労働者が100人を超える一般事業主は,一般事業主行動計画を策定しなければならない。

4 児童福祉法に基づき,保育所等訪問支援では,小学校長が命じる者が保育所等を訪問して,就学前教育に関する助言を行う。

5 母子保健法に基づき,乳児家庭全戸訪問事業では,生後8か月に達した乳児の家庭を訪問して,指導を行う。


今日のテーマは,選択肢1に登場しています。


この問題にはあまりよいものではない選択肢があります。

それは後で話します。


それでは,解説です。


1 子ども・子育て支援法に基づき,国は,子どもと保護者に必要な子ども・子育て支援給付,地域子ども・子育て支援事業を総合的・計画的に行う。


子ども・子育て支援制度の実施主体は,市町村です。


2 次世代育成支援対策推進法に基づき,市町村は,3年ごとに次世代育成支援対策の実施に関する計画を策定することが義務づけられている。


市町村行動計画の策定は,かつては義務でしたが,今は任意です。


3 次世代育成支援対策推進法に基づき,常時雇用する労働者が100人を超える一般事業主は,一般事業主行動計画を策定しなければならない。


これが正解です。


4 児童福祉法に基づき,保育所等訪問支援では,小学校長が命じる者が保育所等を訪問して,就学前教育に関する助言を行う。


就学前相談は,訪問ではなく,相談機関に出かけていきます。


保育所等訪問支援と就学前相談は別物です。


5 母子保健法に基づき,乳児家庭全戸訪問事業では,生後8か月に達した乳児の家庭を訪問して,指導を行う。


これがよくないと思う選択肢です。

1つの文に誤りポイントが2つあります。


乳児家庭全戸訪問事業の根拠法は,児童福祉法です。


対象となるのは,生後4か月までの乳児です。

2024年11月22日金曜日

児童手当法と児童手当

 

今回は児童手当法と児童手当を学びます。


児童手当法,児童扶養手当法,特別児童扶養手当法は,児童扶養手当法(1961年),特別児童扶養手当法(1964年),児童手当法(1971年)の順で成立していきました。


児童手当法の児童の定義は,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者です。


児童手当は,15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者に支給されていましたが,2024年(令和6年)10月から,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者に拡大されています。


以前は定義と支給年齢が異なっていましたが,この改正によって統一されています。覚えやすくなったと言えます。


児童手当は親に給付されますが,児童が施設入所している場合は,施設の設置者に支給されます。


なお,この改正では,所得制限が撤廃されています。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題13

事例を読んで,Kさんの児童手当の支給先として,正しいものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 Kさん(13歳,女性)は,父からの身体的虐待によりS市に住む家族と離れ,T市にあるU児童養護施設に入所した。S市役所にKさんの母が来て,これまで父に支払われていたKさんの児童手当は誰に支払われるのかと聴いた。

1 T市

2 Kさん本人

3 Kさんの父

4 U児童養護施設の設置者

5 支給は停止される。


KさんはU児童養護施設に入所しています。


そのため,支給先は「4 U児童養護施設の設置者」となります。

2024年11月21日木曜日

面前DVは,心理的虐待です

 

今日のテーマは,「面前DVは,心理的虐待です」です。

 

面前DVとは,子どもの前で配偶者から暴力を受けることをいいます。

 

児童虐待防止法ができた当時は,この考え方はなく,途中で加わりました。

 

その時に,自分のきょうだいへの虐待も,心理的虐待に含まれるようになりました。

 

この変更により,法ができた当初は,身体的虐待が最も多かったものが,現在では心理的虐待が最も多くなっています。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題138

事例を読んで,Z配偶者暴力相談支援センターのH相談員(社会福祉士)によるこの時点での対応として,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 Jさん(35歳)は夫(45歳)と娘(7歳)の3人暮らしである。日々の生活の中で,「誰のおかげで飯を食わせてもらっているのか。母親失格,人間としても駄目だ」等と毎日のように娘の前で罵倒され,娘もおびえでおり,Z配偶者暴力相談支援センターに相談に来た。H相談員に,夫の言葉の暴力に苦しんでいることを相談し,「もう限界です」と話した。Jさんは娘の成長にとってもよくないと思っている。

1 家庭裁判所に保護命令を申し立てるようJさんに勧める。

2 Jさんの希望があれば,Jさんと娘の一時保護を検討できるとJさんに伝える。

3 「身体的暴力はないのだから」と,もう少し様子を見るようJさんに伝える。

4 警察に通報する。

5 父親の行為は児童虐待の疑いがあるので,児童相談所に通告する。

 

この問題で得点するためには,児童虐待防止法には,通告義務があることと面前DVは心理的虐待であることを知っていることが必要です。

 

それでは解説です。

 

1 家庭裁判所に保護命令を申し立てるようJさんに勧める。

 

DV防止法にかかわる裁判所は,家庭裁判所ではなく,地方裁判所です。

 

保護命令の申立先が間違っています。

 

2 Jさんの希望があれば,Jさんと娘の一時保護を検討できるとJさんに伝える。

 

これが1つめの正解です。

 

困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(困難女性支援新法)が規定する女性相談支援センターがDV防止法に規定される配偶者暴力相談支援センターとしての役割を果たしています。

 

女性相談支援センターには,一時保護を行う施設が設置されます。これをDV被害者のシェルターとして活用します。

 

3 「身体的暴力はないのだから」と,もう少し様子を見るようJさんに伝える。

 

児童虐待防止法では,児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者には通告義務を規定しています。

 

身体的暴力はありませんが,面前DVはあります。

 

 

4 警察に通報する。

 

DV防止法では,「配偶者からの暴力を受けている者を発見した者は,その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報するよう努めなければならない」と通報の努力義務を規定しています。

 

DV防止法が規定する警察は通報先の一つですが,この事例の場合,Jさんは配偶者暴力相談支援センターに相談に来ています。

改めて警察に通報する必要があるのは,DVの制止,DV被害者の保護などを求める場合です。

 

現時点では,Jさんは安全な場所にいるので,警察に通報する優先度合いは低いと言えます。

 

5 父親の行為は児童虐待の疑いがあるので,児童相談所に通告する。

 

これが2つめの正解です。

 

夫による娘の前でのJさんへの罵倒は面前DVなので,児童虐待防止法の心理的虐待に当たります。

 

罵倒があったのかどうかにかわらず,「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者」には通告義務があります。

 

児童虐待防止法の通告先は,市町村,福祉事務所,児童相談所です。

 

〈今日の一言〉

 

児童虐待の事例問題で注意しなければならないのは,児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者」には通告義務があることです。

2024年11月20日水曜日

児童福祉法の改正

 

1947年(昭和22年)に作られた児童福祉法は,何度も何度も改正され,現在も児童福祉の中心的法制度として重要な位置づけにあります。

 

特に近年では,児童虐待が増加する中,それに対応するための改正が続いています。

 

今日の問題もそんな問題です。

 

33回・問題137

2019年(令和元年)に改正された児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 児童相談所における介入担当と保護者支援担当は,同一の児童福祉司が担うこととなった。

2 児童相談所の業務の質について,毎年,評価を実施することが義務づけられた。

3 親権者は,児童のしつけに際して体罰を加えてはならないとされた。

4 特別区(東京23区)に,児童相談所を設置することが義務づけられた。

5 一時保護の解除後の児童の安全の確保が,市町村に義務づけられた。

 

2019年の改正法は「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律」という名称で,改正の趣旨は,児童虐待防止対策の強化を図るため,児童の権利擁護,児童相談所の体制強化及び関係機関間の連携強化等の所要の措置を講ずることでした。

 

それでは解説です。

 

1 児童相談所における介入担当と保護者支援担当は,同一の児童福祉司が担うこととなった。

 

この改正で行われたのは,一時保護等の介入的対応を行う職員と保護者支援を行う職員を分ける等の措置を講ずることでした。

 

2 児童相談所の業務の質について,毎年,評価を実施することが義務づけられた。

 

児童相談所の業務の質を評価することは,努力義務です。

 

3 親権者は,児童のしつけに際して体罰を加えてはならないとされた。

 

これが正解です。

 

「親権者は,児童のしつけに際して体罰を加えてはならない」と明文化されました。

 

この時の改正では,同時に児童福祉施設の長等についても体罰禁止が規定しています。

 

4 特別区(東京23区)に,児童相談所を設置することが義務づけられた。

 

特別区の児童相談所の設置は,任意です。

 

この改正によって,児童相談所の設置は以下のようになりました。

 

都道府県・指定都市

義務

中核市・特別区

任意

 

5 一時保護の解除後の児童の安全の確保が,市町村に義務づけられた。

 

一時保護の解除後の児童の安全の確保が義務づけられたのは,児童相談所です。

2024年7月30日火曜日

市町村,都道府県の役割を徹底解剖

市町村と都道府県の役割は法制度の科目では頻出です。


しっかり押さえて得点を稼ぎましょう。合否を分けるのは案外こんなところにあるのではないでしょうか。


<押さえるポイント>


市町村は,国民に最も近い基礎的自治体。

それをカバーするのは都道府県。


※国は,基本指針や基本計画で,条件整備をします。



市町村は,基礎的自治体なので,基本的な相談窓口は市町村にあります。


基本的な相談は市町村が行い,専門的相談は都道府県が行います。


専門的な相談窓口には,障害者領域では,身体障害者更生相談所,知的障害者更生相談所,そして,児童領域では,児童相談所があります。


高齢者は,都道府県には専門的な窓口はありません。高齢者はすべて市町村が担います。

手帳関係では,身体障害者手帳,精神障害者福祉手帳,療育手帳は,都道府県が交付します。


母子健康手帳は,市町村が交付します。介護保険証は,市町村が交付します。



<効率的,かつ効果的な覚え方のコツ>


①基本ライン(上記の「押さえるポイント」)を覚える。


②市町村・都道府県の役割が出てきたら,基本ラインを思い出す。


③基本ラインのままだったら,そのまま覚える。


④基本ラインと違ったら,特にそこを重点的に押さえる。



<応用編>


「基本計画」「基本方針」と出てきたら,国の役割です。


しかし,同じように「基本」がついていても「基本構想」となると,国ではなく,地方公共団体の役割となります。


さて,それでは今日の問題です。


問題25回・問題142 

児童家庭相談における児童相談所と市町村の制度的関係に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 児童虐待を受けた児童については,住所地を管轄する市町村が通告を受理し,必要に応じ子どもの心理学的,社会学的,医学的判定を行う。

2 市町村は,乳児院,児童養護施設等入所型の児童福祉施設への措置を必要と認める場合には,その児童を児童相談所に送致する。

3 市町村長は,療育手帳についての申請を受け付け,児童相談所の判定結果をもとに療育手帳を交付する。

4 児童相談所長は,児童委員の職務について,市町村長に委任して必要な指示をすることができる。

5 児童相談所長は,児童福祉法第33条に基づく一時保護に関して,必要な場合,市町村長が一時保護するよう指示することができる。



先述の解説で,分かるものもあると思いますが,分からないものもあるでしょう。


それでは,詳しく見て行きましょう。


1 児童虐待を受けた児童については,住所地を管轄する市町村が通告を受理し,必要に応じ子どもの心理学的,社会学的,医学的判定を行う。


判定は,かなり専門的なものです。


市町村ができるようなものではありません。


判定は児童相談所の業務です。


よって間違いです。


児童相談所は判定を行う専門機関です。専門的な業務は市町村の役割ではありません。


2 市町村は,乳児院,児童養護施設等入所型の児童福祉施設への措置を必要と認める場合には,その児童を児童相談所に送致する。


児童福祉施設への入所措置を行うのは,都道府県知事です。


その流れは,入所措置が必要だと認められる場合,市町村は児童相談所に送致し,児童相談所が必要と認める場合,都道府県知事に報告して,入所措置をとります。


よって正解です。


保護処分で,児童自立支援施設送致,児童養護施設送致の場合も,都道府県知事の措置が必要となります。


入所措置は,かなり高度な判断です。専門的で高度な判断を伴う業務は,市町村では行いません。


3 市町村長は,療育手帳についての申請を受け付け,児童相談所の判定結果をもとに療育手帳を交付する。


市町村長が交付する手帳は,母子健康手帳です。


療育手帳を交付するのは都道府県知事です。


よって間違いです。


障害者手帳の交付は専門的ですよね。


判断は児童相談所に行ってもらったとしても,かなり高度であることは間違いないです。


それに比べて・・・


母子健康手帳の妊娠したことを届け出た妊婦に対して交付するものです。


専門性の違いは歴然としていますね。専門的で高度な判断は必要とされていないからです。


4 児童相談所長は,児童委員の職務について,市町村長に委任して必要な指示をすることができる。


これは,ちょっと難しいです。


児童福祉法では,児童委員は,


児童福祉司又は福祉事務所の社会福祉主事の行う職務に協力すること。


児童委員は、その職務に関し、都道府県知事の指揮監督を受ける。


市町村長は、児童委員に必要な状況の通報及び資料の提供を求め、並びに必要な指示をすることができる。


と定めているだけで,児童相談所長が,市町村長に委託して必要な指示を出すことについての規定はありません。


よって間違いです。


このような「基本ライン」とは違うものは,特にねらわれやすいポイントとなりやすいです。


「児童相談所長が市町村長に委託して必要な指示を出す」は聞いたことがない。 ➡ 勉強不足


このように思ってしまうと,迷いの森に入り込みます。


聞いたことがないのは,勉強不足ではありません。こんな規定はないからです。


このように強い気持ちを持つことが,国試での実力発揮につながります!!



5 児童相談所長は,児童福祉法第33条に基づく一時保護に関して,必要な場合,市町村長が一時保護するよう指示することができる。



一時保護は,かなり判断が難しいですし,専門性は極めて高いです。


市町村長ができるようなものではないです。


よって間違いです。


一時保護を行うのは児童相談所長です。


一時保護を開始する場合,親権者等の意に反して2か月を超えて一時保護を行う場合は,家庭裁判所の承認を得ることが必要です。



<今日の一言>


基本ラインを押さえておけば,市町村,都道府県の役割の違いを押さえるのが簡単になります。


試験会場でも「あれっ,どっちだったっけ?」といった度忘れがなくなります。


おまけ


児童相談所は,従来,都道府県,指定都市は必置,中核市はおくことができるとされていました。


児童福祉法の改正により,特別区(東京23区)もおくことができるようになりました。


2024年5月25日土曜日

年齢は国家試験勉強に関係するか?

 国家試験勉強をしていると,覚えられないことに焦りを感じることは多々あります。


昨日勉強したはずなのに,今日開いたら,新しいページを開いているような気になることさえあります。


こんな時,記憶力の低下を実感するかもしれません。


しかし,以前に書いたように,脳の機能低下そのものによる記憶力の低下よりも,いろいろなことがじゃまするために,子どもの時のように反復して覚えることができない,ということの影響の方が大きいと考えています。


私は〇歳だから,覚えられない。限界を感じる


とよく聞きます。


その気持ちは痛いほど分かります。


しかし,逃げ道を作っても,良いことはないので,何か自分なりに勉強法を工夫してみませんか。


子どもとは違うので,昔やった方法と同じでは効果を出すのはちょっと厳しいかもしれません。


人生経験豊富な社会人には


若者や子どもにはない知識と知恵がある!


いわゆる結晶性知能です。


結晶性知能は年齢的にも向上していきます。


これを学習に活かさない手はありません。


無味乾燥に感じるものでも,ひと工夫を加えることで,見え方も変わって来ます。


さて,それでは今日の問題です。


第26回・問題142

次の記述のうち,次世代育成支援対策推進法に定められている内容として,正しいものを1つ選びなさい。

1 国に,児童の適切な保護又は支援を図るため,要保護児童対策地域協議会の設置義務が課されている。

2 都道府県に,次世代育成に関する相談その他の援助の業務を行う児童委員を置くこととされている。

3 市町村は,児童の適正な保護又は支援を図るために必要があると認めるときは,一時保護を行うことができる。

4 常時雇用する労働者が一定数以上の事業主には,次世代育成支援の実施に関する計画の策定義務が課されている。

5 企業は,雇用する労働者の申出により,3歳に達するまでの子について育児休業の取得を認めなければならない。


次世代育成支援対推進法に関する問題です。


同法は,子どもが健やかに生まれて育つ環境を社会全体で整備することを目的に,2003年に成立したものです。


同法では,行動計画を規定しています。


10年の時限立法でしたが,10年延長中です。

この延長に伴い,市町村・都道府県行動計画の策定は任意になりました。


101人以上雇用する一般事業主の行動計画の策定義務はそのまま残っています。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 国に,児童の適切な保護又は支援を図るため,要保護児童対策地域協議会の設置義務が課されている。


この選択肢を見て・・・


「わからない」


と思考を止めてはいけません。


日本語は漢字が基本なので,漢字を見ると意味が分かることもあります。


要保護児童は,保護が必要な児童ですから,次世代育成支援には関連しそうもないなぁ,と思えれば成功です。


同協議会は児童福祉法によるものです。


よって×。


因みに次世代育成支援対推進法が規定しているのは,次世代育成支援対策地域協議会です。


ここで思考を止めてしまうと,後半にある正解にたどり着くのは難しくなることでしょう。


最初に難しめの選択肢を配置し,受験生の思考を混乱させることで,後半に配置したやさしめの選択肢を選ぶ率を下げます。


国家試験問題の常とう手段です。


2 都道府県に,次世代育成に関する相談その他の援助の業務を行う児童委員を置くこととされている。


児童委員は児童福祉法に規定され,民生委員法による民生委員が兼任しています。


今でさえ民生委員のなり手がないのに,さらに次世代育成に関する相談の業務を行うようになったら,本当になり手がいなくなってしまいます。


もちろんこのような規定はなされていません。

よって×。


あなたが情熱あふれる児童委員でも,新たな業務を与えられたら大変だなぁ,と思うことでしょう。

それでもあなたは情熱あふれる児童委員なので,きっと継続しようと思うかもしれません。


しかしそれはあなたが情熱あふれた児童委員だからです。みんなが同じとは限りません。


日本の官僚は優秀です。彼らが作る法制度は極めて合理的です。国民の納得を得るのは,そんなに簡単なことではないからです。


3 市町村は,児童の適正な保護又は支援を図るために必要があると認めるときは,一時保護を行うことができる。


一時保護するのは,保護者から引き離す必要のある児童です。

これも次世代育成支援に関連しそうもないです。


一時保護は児童福祉法に規定されます。また市町村の業務ではなく都道府県の業務です。


よって×。


これらの問題で分かることは,この科目は児童福祉法が中心であることです。それを他の法律に絡めて出題しています。


勉強が進んだ人なら,一時保護を知らないわけはありません。


しかし,勉強が足りない人は・・・


一時保護って聞いたことがあるなぁ,と思ってこの選択肢を選んでしまいます。


勉強が足りない人の特徴は・・・


知っているものを選択肢しがちである,ということです。


4 常時雇用する労働者が一定数以上の事業主には,次世代育成支援の実施に関する計画の策定義務が課されている。


答えは,簡単なところにありました。


これが正解ですね。


一定数以上とは,101人以上ということになります。


5 企業は,雇用する労働者の申出により,3歳に達するまでの子について育児休業の取得を認めなければならない。


次世代育成支援対推進法は,先述のように,子どもが健やかに生まれて育つ環境を社会全体で整備することを目的とした法律です。


育児休業は極めて個人的な問題です。


法律の意図と違いそうです。


その通り,育児休業は,育児休業・介護休業法に規定されています。


よって×。


社会人の知識・知恵は,奥が深いです。


今まで見聞きしてきたことを手掛かりにしていけば,かなり問題を解く糸口がつかめます。


国家試験は,日本語で出題されます。

日本語的にとらえると,解ける問題はたくさんあります。


決して思考を止めてはいけません。



<今日の一言>


社会人には,記憶力に長ける学生にはない,知識・知恵がたくさんある



国家試験はマークシート。

答えは必ず問題文の中にあります。


知識・知恵を総動員して,正解にたどり着きましょう。

決して思考を止めてはいけません。

2024年5月24日金曜日

過去問を使った勉強法は社会人向き! そのコツを大公開!!

 

分厚い参考書をしっかり覚えるのも良いですが,時間が取れない社会人には,効果的とは必ずしも言えません。

参考書である程度の知識を付けたら,模擬問題や過去問をたくさん解いて勉強するのは,社会人に向いています。


その際,特に注目したいのは,正解できなかった問題です。


間違った問題でも,解説を読めば理解できると思います。



しかし時間をおいてもう一度同じ問題を解いてみると,

一度間違った問題は,また間違う率が高いです。


脳が間違って覚えているからです。



解説を読んだ時は,「なるほど」と思っただけでは,また間違う恐れがあります。



もし2回同じ問題で間違った場合は,

間違った問題は,正しい文章に書き替えてノートや参考書に書きましょう。

 

過去問や模擬問題を解くのはとても意義があるのですが,正しくない文章を見続けることになるので,間違った文章を右脳が覚えることになります。



正しい文章に書き換えることは,ただ書き写すのではなく,自分の頭で考えることになるので,とても印象深く脳に叩き込まれます。


勉強は,ひと手間かけることで効果が見違えます。



理解力が特に求められる科目では特に必要でしょう。


制度の中でもでも理解しにくい制度もあるので,その場合は図表などにまとめてみるのも良いと思います。


いずれにしても,


間違った問題は徹底的につぶし込む。



この作業を繰り返していけば,「問題が解ける」力はかなりアップします。

 

さて,それでは今日の問題です。

 

26回・問題141 

現行の児童手当制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 児童手当は,児童の年齢にかかわらず同一の金額が支給される。

2 児童手当の支給に要する費用の一部には,事業主からの拠出金が充てられる。

3 児童手当は,児童が18歳に達する日以後の最初の331日まで支給される。

4 児童手当は,第3子の児童から支給される。

5 児童手当を受けようとする父母等は,都道府県知事の認定が必要である。

 

児童手当は,民主党政権の時に子ども手当が支給されていましたが,児童手当法自体は存続していたので,子ども手当の期限が終了して,また児童手当が支給されています。

子ども手当には,所得制限がありませんが,児童手当には所得制限があることが相違点です。


それでは,詳しく見て行きましょう。

 

1 児童手当は,児童の年齢にかかわらず同一の金額が支給される。

 

 

児童の年齢にかかわらず同一というのが,とても怪しげですね。

もちろん同一ではありません。

よって×


このようなタイプの問題は,一度読むと,もう引っかからないと思います。

 

2 児童手当の支給に要する費用の一部には,事業主からの拠出金が充てられる。

 

知られていないと思いますが,事業主も拠出しています。

よって正解。

 

3 児童手当は,児童が18歳に達する日以後の最初の331日まで支給される。



子どもがいないと厳しいと思いますが,児童手当が支給されるのは,児童が15歳に達する日以後の最初の331日までです。

よって×

児童が18歳に達する日以後の最初の331日まで支給されるのは,児童扶養手当です。

これに引っかかった人は,正文化しておきましょう。

 

4 児童手当は,第3子の児童から支給される。

 

児童手当法が出来たのは1971(昭和46)年です。

最初は多子による貧困防止のために設けられました。

そのため,対象は第3子からでしたが,現在は第一子から支給されています。

よって×

5 児童手当を受けようとする父母等は,都道府県知事の認定が必要である。

 

 

認定請求書を市町村長に提出し,認定されれば支給されます。

よって×

都道府県と市町村の役割を考えた場合,都道府県が認定するとは考えにくいです。




<今日の一言>


学習は,ひと手間かけることでより効果的になります。



8
月から勉強を本格化すれば,時間に余裕があります。


焦りは,勉強の大敵です。


気持ちに余裕を持つためには,早めからのスタートは欠かせません。


特に再来年受験するという方は,たっぷり時間があります。

モチベーションを保ちながら,コツコツ頑張っていきましょう!!

2024年5月23日木曜日

合格する戦略

書店に行くと試験対策本がたくさん並ぶ時期になってきました。


何を選んで良いのか迷うことでしょう。


社会福祉士に限らず,試験対策には,「いろいろなものには手を出さず,一つを集中して使う」ことが鉄則です。


一つの参考書だと不安があるのか,複数のものを買ってしまう人もいます。


確かにこちらに出ているのに,こちらには出ていない,というものもあります。


しかしよく考えてみてください。


片方にしか出ていないというものは,頻出度はそれほど高くない


と考えられます。別な見方をすれば,複数の参考書を買う意義(皮肉です)は,「共通項を探し出し,覚えるポイントを絞り込む」というものはあるかもしれません。


でもそんな時間があるのなら,覚えることに集中した方が良いですよね。


複数のものがあっても,使い切れずどっちつかずになってしまうことは絶対に避けなければなりません。


ただ,最初に買ったものがどうしても使いにくいために,別の物に変える,ということはあるかもしれません。


しかし,その場合であって,前の物は完全に見切りをつけることが大切です。


薄っぺらい参考書ならいざ知らず,ある程度の分量がある参考書なら,その項目を選んで掲載しているのは,意味があると思います。


逆に・・・


掲載していないものにも意味があります。



今日の問題です。


第26回・問題140 

母子保健法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 妊産婦と18歳未満の子どもを対象にしている。

2 市町村長は,養育上必要があると認めるときは,その未熟児の保護者に対して保健師等による訪問指導を行うように定めている。

3 母子福祉センターの設置について定めている。

4 助産施設の設置について定めている。

5 妊婦が母子健康手帳を受け取る義務について定めている。


母子保健法は,母性および乳児と幼児の健康の保持・増進を図ることを目的に1965(昭和40)年に成立したものです。


日本の乳幼児の死亡率を大きく下げるのに貢献しました。


母子健康手帳,1歳6か月及び3歳児検診を規定しています。


それでは,詳しく見ていきましょう。


1 妊産婦と18歳未満の子どもを対象にしている。


対象は,先述のように妊産婦,乳児と幼児です。

よって×。


2 市町村長は,養育上必要があると認めるときは,その未熟児の保護者に対して保健師等による訪問指導を行うように定めている。


ここからがちょっと難しくなっていきます。


これが正解です。


この時点で▲をつけておいても良いです。消去法でこの選択肢が残ります。


3 母子福祉センターの設置について定めている。


母子福祉センターは母子及び父子並びに寡婦福祉法に規定されている施設です。


よって×。


母子保健法が規定しているのは「母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)でしたが,法制度の改正で,令和6年4月から,市区町村子ども家庭総合支援拠点の機能と合わせて,「こども家庭センター」に生まれ変わっています。


4 助産施設の設置について定めている。


助産施設は,児童福祉法に規定されている施設です。


よって×。


5 妊婦が母子健康手帳を受け取る義務について定めている。


届け出しなければならないとは,規定されていますが,受け取る義務は規定されていません。


よって×。


受け取る義務はちょっと変ですよね。大きなお世話です。


勉強を早い時期から始めた人は,模擬問題集などで勉強を進めていく人も出てくる時期ともなります。


〈今日の一言〉


このサイトでは,過去問を使って問題の解き方を紹介していますが,国試では,まったく同じ文章では出題してくれません。



模擬試験や模擬問題集は,新しい切り口の問題を解く訓練をすることになります。


そのため,過去問よりも難しいと感じることもあるでしょう。


しかし,それも訓練です。


この訓練をしないと,国試当日,問題用紙を開いたときに,頭が真っ白になって,平常心を失います。


そのまま問題に取り組んだ時にどんな結果になるのか,想像に難くありません。


2024年5月22日水曜日

何となく「変だな」と思えれば,答えは見つけられる!

勉強をしても覚えられない


覚えたつもりでもすぐ忘れる


いつの時代も受験生の悩みは一緒です。


特に,なじみのある制度は覚えやすいですが,なじみのない専門用語はなかなか簡単に覚えられるものではありません。



覚えられないので,勉強に行き詰っている



これもよく聞かれる言葉です。


しかし,地道な勉強は,国家試験では必ず底力となって現われます。


特に国家試験は,マークシート。


問題文の中には必ず答えはあり,覚えたものを直接的に想起できなくても「何か変だな?」と感じることができれば,国家試験では答えられる


忘れても反復して覚える作業を繰り返すことで,必ず頭のどこかに残ります。


特に限られた時間で問題文を読まなければならない国家試験では,直感的に「何か変だな?」と思えることは,とても大事なことです。


しっかり勉強をしてきた方が違和感を覚える選択肢はほとんど誤りだと思っても良いです。

そうなるためには,今の地道な勉強が何よりも大切です。


国家試験では,答えはこれだ!


とすぐ分かる問題はとても少ないです。


消去法で答えを導き出します。


そのため,少しでも冷静に,消去し,または分からない時には▲をつけることは極めて重要です。


今やっている勉強は,1つでも2つでも選択肢を消去するために行っていると言えるでしょう。


マークシート! 万歳!!


今日から科目は,児童・家庭福祉に入ります。


児童分野に関連した仕事をしていないとちょっと手ごわそうに感じるかもしれません。


しかし見方を変えると,障害者や低所得者よりももう少し身近なところに存在している領域であると言えます。


なぜなら,児童分野は自分が通り過ぎてきたもの,あるいは子どもがいれば現実問題だと言えますし,家庭分野もひとり親など,そんなに遠いものではないからです。


しかも,幾度も改正しているとは言え,この科目の中心は,戦後直後から70年も続いている児童福祉法です。その分,過去問の蓄積があります。


覚えるべき領域は広そうですが,ポイントをしっかり押さえると得点できるようになる科目です。


苦手意識は決して持たないことです。


それでは,今日の問題です。


第26回・138 

我が国の児童福祉の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 高木憲次は,愛知県北西部から岐阜県下にかけて大きな被害をもたらした濃尾大震災の孤児を救済するために,光明学校を設立した。

2 留岡幸助は,少年教護法の制定後,非行少年の教護事業を目的とした家庭学校を東京巣鴨に設立した。

3 石井亮一は,アメリカの発達保障の理論を持ち帰り,近江学園を設立した。

4 山室軍平は,イギリスのバーナード(Barnard,T.)が建てたビレッジ・ホームを模した小舎制のキングスレー館を設立した。

5 野口幽香は,貧困家庭の子ども等,不幸な境遇にある子女に対して幼児教育を行うために,二葉幼稚園を設立した。


現在の国家試験では,人名と実績を問うものは,この科目くらいです。


他の科目でも人名は出題されていますが,人名そのものよりも,その内容が合っているかを問う問題がほとんどです。



そういう意味で,単語カードを使った勉強法は,この科目の人名が一番向いていると言えます。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 高木憲次は,愛知県北西部から岐阜県下にかけて大きな被害をもたらした濃尾大震災の孤児を救済するために,光明学校を設立した。


この年に受験した人がこの問題を見たとき,かなりドキッとしたことでしょう。高木先生はこの時点ではまだ出題が多くなかったからです。


選択肢の最初に難しいものを配置したときは,正しい選択肢は後半に配置させるのは,国家試験の常套手段です。


分からないときは,冷静に▲を付けましょう。


この時に冷静に▲を付けられないと,そんなに難しくないこの問題で失敗しますので,注意が必要です。


結果的に,この選択肢は誤りです。


高木先生は,東京帝国大学の整形外科教室の教授で,肢体不自由児の療育を実践しました。



濃尾大震災の孤児を救済するために活動したのは後述の石井亮一です。


2 留岡幸助は,少年教護法の制定後,非行少年の教護事業を目的とした家庭学校を東京巣鴨に設立した。


留岡幸助は家庭学校を設立したのは正しいですが,少年教護法の制定の前か後かは分からないかもしれません。


こんな時は冷静に▲をつけましょう。


結果的にこの選択肢は誤りです。


しかしよく考えてみてください。


今の時代と違って,制度があって事業を始めるのではなく,制度がないところから始まるのです。


今あるほとんどの福祉サービスは,制度がないところから始まり,そのあとに制度がついてくるのです。


家庭学校を設立したのは明治期。

少年教護法ができたのは,昭和に入ってからです。


明治の豪傑は本当にすごいですね。


3 石井亮一は,アメリカの発達保障の理論を持ち帰り,近江学園を設立した。


これは,まったくひねりがないです。間違いを作っています。


石井亮一は滝乃川学園,近江学園は糸賀一雄です。


よって×。


4 山室軍平は,イギリスのバーナード(Barnard,T.)が建てたビレッジ・ホームを模した小舎制のキングスレー館を設立した。


山室軍平は久しぶりの出題でした。


日本で救世軍を広めた人ですね。


キングクレー館を設立したのは片山潜です。


因みにバーナードに影響を受けたのは岡山孤児院の石井十次です。


よって×。


いろいろな要素をごちゃまぜにした選択肢です。


5 野口幽香は,貧困家庭の子ども等,不幸な境遇にある子女に対して幼児教育を行うために,二葉幼稚園を設立した。


これはひねりがなく正解です。


ただ,野口幽香=二葉幼稚園


という単純図式で覚えるとだめです。


他の施設も同じですが,その施設はどのようなものであるかを覚えることが求められます。


選択肢5まで冷静にたどり着けた人だけが,正解できたと思います。


高木先生にダメージを受けて頭が真っ白になった人は,ここで正解するのは大変だったはずです。


<今日の一言>


消去法は,最高の解答テクニック!!

2024年1月16日火曜日

児童相談所について

児童相談所の出題頻度は極めて高いです。


どのように出題されてもよいくらいの知識を持って国家試験に臨みたいものです。


今日は,設置と業務がセットとなった問題を取り上げます。重要ポイントがまとまっていて,良い問題だと思います。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題142

児童相談所の設置及び業務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 都道府県及び政令指定都市・中核市は,児童相談所を設置しなければならない。

2 児童相談所長が行う一時保護は,保護者の同意なく1か月を超えてはならない。

3 児童相談所長は,児童本人の意に反して一時保護を行うことはできない。

4 児童相談所長は,児童等の親権者に係る民法の規定による親権喪失の審判の請求を行うことができる。

5 管理栄養士の配置又はこれに準ずる措置を行うものとする。


勉強不足の人は,5分の1以上の確率で正解することはかなり難しい問題です。

こういった問題が社会福祉士の国家試験の理想です。


知識がなくても消去できてしまう選択肢が混じっている問題は,あまり良い問題ではないからです。


それでは,解説です。


1 都道府県及び政令指定都市・中核市は,児童相談所を設置しなければならない。


児童相談所の設置義務があるのは,都道府県と政令指定都市です。


中核市と特別区(今ある特別区は東京23区のみ)は,設置義務はありません。

任意で設置することができます。


2 児童相談所長が行う一時保護は,保護者の同意なく1か月を超えてはならない。


一時保護の期間は,2か月を超えてはなりません。


ただし,児童相談所長又は都道府県知事がその必要を認めるときは,引き続き一時保護を行うことができます。


その際,親権者又は未成年後見人の意に反する場合,家庭裁判所の承認を得ることが必要です。


3 児童相談所長は,児童本人の意に反して一時保護を行うことはできない。


一時保護は,その必要性に応じて実施されます。本人,親などの意にかかわらず,必要であれば実施します。


自己決定の原則などと言っている場合ではありません。


4 児童相談所長は,児童等の親権者に係る民法の規定による親権喪失の審判の請求を行うことができる。


これが正解です。児童相談所長は,親権喪失および親権停止の審判の請求を行うことができます。


児童相談所長のほかに親権喪失および親権停止の審判の請求を行うことができるのは,


・児童本人

・児童の親族

・検察官

・未成年後見人

・未成年後見監督人


です。


5 管理栄養士の配置又はこれに準ずる措置を行うものとする。


児童相談所は生活施設ではないので,管理栄養士等は配置されません。


〈今日の注意ポイント〉


親権喪失および親権停止の審判の請求者は,児童本人が含まれます。


これは,「児童の権利に関する条約」で児童の「能動的権利」を認めていることに従っているためです。


児童の権利に関する条約は,児童は愛され守られる権利である「受動的権利」に加えて,意見表明や結社の自由などの「能動的権利」を保障していることが特徴です。

2024年1月15日月曜日

児童虐待が疑われる場合の対応

児童虐待防止法では以下のように規定されています。 

児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は,速やかに,これを市町村,都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村,都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。

 

重要なことは,児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者です。

虐待の事実は問われません。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題141

事例を読んで,学校が最初に行う対応として,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 小学校2年生のAちゃん(女児)には度々あざがあり,理由を聞かれると転んだと話していた。その日は顔が腫れ上がっており,学級担任が尋ねると,父親に殴られたことを打ち明けた。Aちゃんは,父親が怖いので家に帰りたくないと話した。父親は日頃から学校に対しても威圧的な要求が多かった。学級担任はすぐに校長にこのことを報告した。

1 養護教諭,学年主任,校長がそれぞれAちゃんから開き取りを行い,父親から殴られた詳細について,重ねて確認する。

2 Aちゃんが父親から殴られたと話していることを母親に伝え,あざの原因を問いただす。

3 Aちゃんを帰宅させ,速やかに職員会議を開いて,全教職員にこのことを伝え,情報収集と協議を行う。

4 速やかに児童相談所に通告する。

5 速やかに教育委員会に連絡する。

 

この問題は,少しだけ高度になっています。

正解を2つ選ぶものだからです。

 

それでは,解説です。

 

1 養護教諭,学年主任,校長がそれぞれAちゃんから開き取りを行い,父親から殴られた詳細について,重ねて確認する。

 

この選択肢には,いくつかの不適切な部分があります。

まず1つめは,重ねて確認することが不適切です。

 

虐待=犯罪ではありませんが,司法領域では,司法面接法という面接法が確立されています。

 

司法面接法では,事実に関する聞き取りを行うのは,原則1回のみです。

児童の心理的負担を軽くするためです。

 

2つめは,学校関係者が聞き取りを行うことです。

 

学校関係者は,捜査機関ではありません。

 

また,先に述べた司法面接法は,一般的に行う面接法とは全然違う方法論が確立されています。司法面接法に関しては素人である学校関係者が聞き取りを行うよりもスキルを身につけている専門家に任せるのが適切です。

 

2 Aちゃんが父親から殴られたと話していることを母親に伝え,あざの原因を問いただす。

 

これもいくつか不適切な部分があります。

 

1つめは,母親に事実を確かめる必要がないことです。

2つめは,問いただすという姿勢です。

 

3 Aちゃんを帰宅させ,速やかに職員会議を開いて,全教職員にこのことを伝え,情報収集と協議を行う。

 

これもいくつか不適切な部分があります。

 

1つめは,Aちゃんを帰宅させることです。かなり危険です。

2つめは,この時点で最優先することは職員会議ではないことです。教育に関してはプロでも虐待に関しては素人です。

 

もし,会議を開くとすれば,スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーなどを含めたチーム学校としての会議です。

 

4 速やかに児童相談所に通告する。

 

通告が最も優先されることです。児童虐待防止法に根拠があります。

ということで,これが1つめの正解です。

 

5 速やかに教育委員会に連絡する。

 

これが2つめの正解です。

 

根拠は「学校・教育委員会等向け虐待対応の手引き」(文部科学省)にあります。

 

この手引きによると,

 

虐待が疑われる場合は,児童相談所に通告。

虐待が疑われない場合は,市町村に通告。

児童の生命に危険がある場合は,警察に通報。

 

という3つの方法が示されています。

 

そして,いずれの場合でも,通告・通報したことを教育委員会等に報告することとされています。

 

〈今日の注意ポイント〉

 

児童虐待防止法によって,学校の教職員は,児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し,児童虐待の早期発見に努めなければならないことが定められています。

 

児童虐待を発見した場合は,もちろん通告です。

 

児童虐待があったという事実にかかわらず,虐待を受けているのでは? と思ったら,通告です。職員会議はそのあとです。

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