2024年2月29日木曜日

迷いの道に入り込むとそこは抜け出せないくらいに深い

 まずは,前回の振り返り


難しい言葉に惑わされるな!


簡単な言葉に置き換えることができれば一番良いですが,それができなかった場合,そこを飛ばして読むという方法もあります。


社会的促進は,未学習で複雑な課題については,動因水準が高まるほど,顕著に生じる。


これを以下のように変えます。


社会的促進は,未学習で複雑な課題については,顕著に生じる。


これでも意味が通ります。


この割り切りは,実は得点力を上げるためには,重要だと言えます。


機会があったら,またご紹介します。


それでは今日の問題です。


第26回・問題11

発達に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 身体的発達は,首→胸→腰→脚→足首→足指という頭部から尾部への方向性と,肩→腕→手首→指先という中軸部から末梢部への方向性をとる。

2 個体発生は,それぞれの生物種が成立し絶減するまでの形態的変化,系統発生は,受精卵が成体に達し,更に死に至るまでの形態的変化をいう。

3 言語発達は,喃語,模倣語の言語形成準備期から,言語体系の基礎形成期,言語による抽象的思考が可能となる時期を経て,言語をイメージする力の獲得へと展開する。

4 発達心理学では,時間的経過による発達的変化についての一般的な特徴や法則性を明らかにすることから,出生後から心身の成熟する成人期までを対象範囲としている。

5 新生児は,親和欲求に基づく漠然とした生理的興奮を示すが,やがてこの興奮状態から,情緒の原初形態である快・不快の感情が芽生えてくる。


細かく見ていきましょう。


1 身体的発達は,首→胸→腰→脚→足首→足指という頭部から尾部への方向性と,肩→腕→手首→指先という中軸部から末梢部への方向性をとる。


発達に関する問題は,子育て経験が役立ちます。

この問題を見て,私の子どもが,手を自分で動かせるようになった時,それを面白がって手を動かしながらずっと眺めていたことを思い出しました。ただし,子育て経験がないからといっても不利になることはありません。そのことについては安心して良いと思います。

正解はこの選択肢です。ここで正解を選べなかった人は,迷いの道に引き込まれていきます。


2 個体発生は,それぞれの生物種が成立し絶減するまでの形態的変化,系統発生は,受精卵が成体に達し,更に死に至るまでの形態的変化をいう。


「何だ,この問題は?」


迷いの道の第一歩です。


それでも冷静に読むことができると,次のことに気が付くでしょう。


個体発生 → その人個人


系統発生 → 先祖代々


つまり・・・


個体発生は,受精卵が成体に達し,更に死に至るまでの形態的変化。


系統発生は,それぞれの生物種が成立し絶減するまでの形態的変化。


が正しいこととなります。よって×。


冷や汗ものです。


3 言語発達は,喃語,模倣語の言語形成準備期から,言語体系の基礎形成期,言語による抽象的思考が可能となる時期を経て,言語をイメージする力の獲得へと展開する。


さてさて,次の迷いの道が現れました。


ここで,ヒントになる手掛かりは,ピアジェの発達理論です。


「抽象的思考」があるからです。


ピアジェの発達理論では,


感覚運動期 

 ↓

前操作期

 ↓

具体的操作期

 ↓

形式的操作期


というように発達します。


抽象的思考ができるようになるのは,このうちの「形式的操作期」です。つまり最後の段階です。


抽象的思考はかなり高度であることがわかります。


問題文では・・・


言語による抽象的思考が可能となる時期を経て,言語をイメージする力の獲得へと展開する。


とさらに次の段階が示されているので,間違いとなります。


4 発達心理学では,時間的経過による発達的変化についての一般的な特徴や法則性を明らかにすることから,出生後から心身の成熟する成人期までを対象範囲としている。


またまた新たな迷いの道です。


先ほどは,ピアジェの発達理論の知識が求められました。今度はエリクソンの発達理論です。


エリクソンは,乳児期から老年期まで8つの段階に分けて,それぞれの発達課題を示しています。


つまり,人は死ぬまで発達することを示しています。よって×。


5 新生児は,親和欲求に基づく漠然とした生理的興奮を示すが,やがてこの興奮状態から,情緒の原初形態である快・不快の感情が芽生えてくる。


親和欲求という難しい用語が出てきました。これは読み飛ばすことができません。


親和欲求とは,誰かと一緒にいたいと思う欲求です。この気持ちは,快・不快の感情よりも上位にあると考えられます。よって×。


赤ちゃんが母親と離れたくないという感情はわかりますが,誰かと一緒にいたいというのは,よく考えてみると不自然ですね。


最後の最後まで,迷いの道だらけで構成された問題です。


最初の選択肢を選べなかったら,迷いの道に深く深く入り込むように意図された問題です。

そのため,簡単に感じる人ととてつもなく難しく感じる人に分かれたのではないかと思います。

2024年2月28日水曜日

難しい用語に惑わされるな!

前説なしで,今日の問題です。


第26回・問題10

集団の機能に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 社会的促進は,未学習で複雑な課題については,動因水準が高まるほど,顕著に生じる。

2 PM理論によれば,どのような集団でも,PとMの両機能が低いpm型リーダーが,片方の機能だけ高いPm型やpM型よりも優れている。

3 内集団ひいきは,初対面の人々を,何かの好みのようなささいな基準でその場で2グループに分けた即席の集団間では生じることがない。

4 集団のサイズはある大きさまでは同調を促進させるが,あるサイズ(課題や被験者によって異なる)以上では差が生じないか,あるいは減少をもたらす。

5 集団思考(groupthink)は,集団の凝集性が高ければ高いほど生じにくい。


心理学を難しく感じさせる理由はいくつかあると思います。


その一つとして,医学などの自然科学系の学問は「A+B=C」であると証明できやすいものに対し,心理学,社会学,哲学などの人文科学系の学問は,Aはこう述べた,というものが多く,目に見えるものを言葉を使って説明しようとしているので,用語が明快ではないということがあるのではないでしょうか。


そのことによって,


知識 = 得点


になりにくい分野である,と言えます。


さて,問題を見てみましょう。


集団に関連した出題です。


ある程度勉強した人なら・・・

・社会的促進

・PM理論

・内集団

・同調

・集団思考

の知識はある程度知っているでしょう。


しかし,だからと言って,単純に得点させてくれないのが,この試験の特徴と言えます。


簡単に得点させてくれない


一度でも受験されたことのある方は,強く実感されていることでしょう。


それでは,改めて見ていきましょう。


1 社会的促進は,未学習で複雑な課題については,動因水準が高まるほど,顕著に生じる。


動因水準


という聞いたことがない言葉ですね。


この言葉に惑わされると,この問題で正解を引き出すことが難しくなります。


最初の選択肢にわかりにくいものを配置するのは,この国試の常とう手段です。

動因とは,英語ではdrive,動かすことを言うそうです。


水準はレベルです。


二つ合わせると「動かすレベル」となります。難解な表現です。


社会的促進は,周りに引っ張られて作業効率が上がることですね。


有村架純さんが演じたNHK朝ドラの「ひよっこ」の主人公のみね子は,電機メーカーの工場で働いていました。


不器用な彼女は,トランジスタラジオの組み立ての作業効率をなかなか上げることができません。ミスも起こします。


そんな彼女を見かねて,周りの人が「遅くても気にしないで。その分,私たちがカバーするから大丈夫」と声をかけます。


するとその日は失敗せず,しかも効率を上げることができたのです。


その要因の一つは「仕事なのにちゃんとできない」という気負いが,周りの人の言葉で気が楽になったことがあると思います。


もう一つは,不器用だった彼女が作業慣れしてきたことがあります。


作業慣れすると,周りに作業が早い人がいると,それに引っ張られて,作業が早くなります。


これこそが「社会的促進」です。


作業慣れしていないと,周りに作業が早い人がいても,それに引っ張られて,作業が早くなることはありません。


作業は複雑なものよりもなるべく単純なほうがより促進します。


徒競走で,早い人と一緒に走るとタイムが上がる,という話を聞いたことはないでしょうか。


これも社会的促進の一場面ととらえることができます。


徒競走のような単純な運動なら社会的促進はありますが,障害物競争のような複雑な運動ならあまり社会的促進は起きないことが予測できますね。


問題に戻ります。


1 社会的促進は,未学習で複雑な課題については,動因水準が高まるほど,顕著に生じる。


未学習で複雑な課題 ×

学習済みで単純な課題 〇


と言えそうですね。よって×。


動因水準に惑わされると,未学習で複雑な課題の部分に目がいかなくなってしまいます。


難しい用語は,無理に理解しようとせず,そのほかの部分で判断できないかを考えてみましょう。


2 PM理論によれば,どのような集団でも,PとMの両機能が低いpm型リーダーが,片方の機能だけ高いPm型やpM型よりも優れている。


PM理論は,日本人の三隅二不二先生提唱のリーダーシップ理論です。


大文字 → 強い

小文字 → 弱い


で表現します。


PM型,Pm型,pM型,pm型


のうち,最も優れたものは,PM型だとしました。

よって×。


3 内集団ひいきは,初対面の人々を,何かの好みのようなささいな基準でその場で2グループに分けた即席の集団間では生じることがない。


内集団,外集団は,それぞれ,私たち,あの人たち,と認識される集団のことです。


内集団ひいきという言葉は勉強していなくても,

内集団をひいきすること

だとイメージがつくことでしょう。


ひいきならイメージがつきやすいですが,第28回国試では,内集団バイアスと出題されました。バイアスは「偏見」を言いますが,かなり難しくなりますね。


話を戻します。


文の終わりに着目すると・・・


生じることがない


と断定しています。断定表現は,数が多いなので一度でもその事象が起きると破たんするので,不正解になる率が高くなります。


初めて顔を合わせた人でも,自分と同じ趣味,同じ出身地,など共通点が見つかれば親しく感じることがあるのは,多くの人が経験したことがあるのはないでしょう。


人と親しくなるためには「一緒探し」をするのが効果的です。

それはさておき,選択肢3は不正解ですね。


4 集団のサイズはある大きさまでは同調を促進させるが,あるサイズ(課題や被験者によって異なる)以上では差が生じないか,あるいは減少をもたらす。


この選択肢が最も考えさせられる問題ではないでしょうか。


同調は,周りの人の言動に合わせることですね。


集団が大きくなると,同調しやすいのか,あるいは同調しにくいのか,が問われています。


同調のメカニズムは,


人と違う言動は取りにくい。


という社会心理が働いていると考えられます。


集団が大きくなれば,自分の行動は目立たなくなります。

また,同調しない人も増えてきます。


それらを考えると,集団が大きくなった時は,同調は促進しなさそうだ,と考えてよいと思います。


ただし,この時点では,はっきりわからないので▲をつけておきます。


5 集団思考(groupthink)は,集団の凝集性が高ければ高いほど生じにくい。


集団思考には,一人で決断するよりもみんなで出した結論の方が危険なものになりやすい「リスキーシフト」などが知られています。


凝集性は,集団のまとまりの強さのことです。


凝集性が低ければ,同調しないが表れて,危険な意見にくぎを刺すこともあるでしょう。


しかし,凝集性が高ければ,みんなが同じような意見を持っているので,結論を十分精査しないままに,結論を出してしまうこともあるでしょう。


凝集性に関連する出題は,「福祉サービスの組織と経営」でよく出題されているので,凝集性が高くなればどのようなことが起きるのか,低ければどのようなことが起きないのか,をよく理解しておきましょう。


話を戻すと,凝集性が高ければ高いほど,集団思考は起きやすくなります。よってこの選択肢は×。


4番目の選択肢の△を〇に格上げして,これが正解となります。

この問題のポイントは,「動因水準」という言葉に惑わされないことです。

そこを乗り越えることができたときに,道は大きく開かれます。

2024年2月27日火曜日

しっかり覚えるコツ

 

まずは,昨日の振り返りから。

 

 

◎冷静沈着さが得点力を増す。

 

 当たり前だ,と思われる方が多いと思います。


しかし,その当たり前なことが当たり前にできなくなるのが,国試です。

 

国試会場では,雰囲気にのまれて普段通りの力を発揮できないものです。 

野球のメジャーリーグで活躍したイチローさんは,毎回同じスタイルでピッチャーの投げる球を待ちました。彼のルーティーンです。

 

ルーティーンとして紹介した「問題用紙に,しっかり〇×をつけること」は,実は簡単ではありません。

しかし,簡単ではないことが試験当日にも忘れることなくできたとすると,あなたは国試に勝っています。

 

 出題者も味方につけることができることでしょう。


 

 それでは,今日の問題です。


 

 第26回・問題9

レスポンデント(古典的)条件づけとオペラント(道具的)条件づけに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 レモンを心の中でイメージしていると,次第に睡液が出てきた。これはオペラント条件づけである。

2 池のコイにエサを毎日与えていたら,池に近づいていくとコイが素早く寄ってくるようになった。これはレスポンデント条件づけである。

3 イヌが前足を出そうとしたときに,その行動をほめていたら,「お手」をするようになった。これはオペラント条件づけである。

4 プラナリアという原始的生物に,光を当てた後に電気ショックを与えていた。すると光を当てるだけで収縮するようになった。これはオペラント条件づけである。

5 ボタンをつつくとエサの出る装置にハトを入れたら,ボタンを盛んにつつくようになった。これはレスポンデント条件づけである。


心理学と心理的支援の問題です。

 

過去問を解く意味は,「正解できる」ことではなく,その問題のポイントをしっかり押さえていくことです。

 

 レスポンデント条件づけはオペラント条件づけとセットで覚えなければなりません。

  

しかも2つ覚えなけれはならないものは,それぞれを混同させるように出題するのは,国試の常とう手段です。

 

 レスポンデント条件づけ

 

刺激(S)が反応(R)に変わること。SRの間には,何も介在しません。

 

例:梅干しを見ると唾液が出る。

 

梅干しを見る(S) ⇒ 唾液が出る(R

 

  

オペラント条件づけ

 

ある自発的な行動の後に賞罰をつけることで自発的に新たな行動をするようになること。

 

ある行動 ⇒ 賞罰 ⇒ 新たな行動

 

 

レスポンデントと違い,賞罰が関与しています。

 

 

例:檻に入れられたネズミが,檻の中にあるレバーを押すと餌が出ることを知った後,ネズミはレバー押し行動を増加させた。

 

レバーを押す(ある行動) ⇒ 餌が出る ⇒ レバー押し行動を増加させた(自発的な新たな行動)

  

餌が賞罰です。

  

子どもの行動をほめる ⇒ 賞

 

子どもの行動をしかる ⇒ 罰

 

オペラントは,賞罰を伴うことが特徴です。

レスポンデントは,賞罰を伴いません。

 

 これをもとに問題をみてみましょう。

 

 1 レモンを心の中でイメージしていると,次第に睡液が出てきた。これはオペラント条件づけである。

 

レモンをイメージ(刺激) ⇒ 唾液が出てきた(反応)

 

賞罰は伴っていません。レスポンデントです。

 

よって×。

  

2 池のコイにエサを毎日与えていたら,池に近づいていくとコイが素早く寄ってくるようになった。これはレスポンデント条件づけである。

 

コイにエサを毎日与える(賞罰) ⇒ 池に近づいていくとコイが素早く寄ってくるようになった。(自発的な行動)

 

賞罰による学習が,自発的な行動を生じさせています。オペラントですね。

 

よって×。

 

 

3 イヌが前足を出そうとしたときに,その行動をほめていたら,「お手」をするようになった。これはオペラント条件づけである。

 

イヌが前足を出そうとした ⇒ その行動をほめる(賞罰) ⇒ 「お手」をするようになった

 

ほめること(賞罰)が,お手をするようになったという行動を生じさせています。オペラントそのものですね。

 

よって〇。

 

動物に芸を教え込むのは,オペラント条件づけの応用です。

 

 

4 プラナリアという原始的生物に,光を当てた後に電気ショックを与えていた。すると光を当てるだけで収縮するようになった。これはオペラント条件づけである。

 

レスポンデント,オペラントの違いを理解していれば,迷いなくイヌの「お手」を正解にできたと思います。

 

ここで迷った人は,引っ掛けられてしまいます。

 

光 ⇒ 電気ショック(賞罰) ⇒ 光を当てるだけで収縮する

 

このように考えさせようという出題者の意図が見えます。

 

正しくは,

 

電気ショックを与える(刺激) ⇒ 収縮する(反応)

  

つまり,レスポンデントです。

 

よって×。

 

梅干しを見ると唾液が出ると一緒です。

 

 5 ボタンをつつくとエサの出る装置にハトを入れたら,ボタンを盛んにつつくようになった。これはレスポンデント条件づけである。

 

ボタンをつつく ⇒ エサが出る(賞罰) ⇒ ボタンを盛んにつつく

 

賞罰が伴っているので,オペラントですね。よって×。

  

このようにして,オペラントとレスポンデントの違いがしっかり理解できました。

 

しかし,明日になったら,賞罰が伴うのはどっちだったか忘れてしまうこともあるでしょう。

  

2つある場合は,混同させるように出題させるように出題するのは国試の常とう手段です。

 

そのため記憶を定着させるもう一工夫が必要です。

 

覚え方の例

 

 レスポンデントは,レスポンス(反応)からきています。

 

⇒ 刺激が反応に変わるレスポンス

 

オペラントは,オペレーション(操作)からきています。

 

⇒ 賞罰で操作するオペレーション

 

 

 どちらか覚えやすいほうに着目して覚えるようにします。

 

両方覚えるのは効率が悪いので,片方だけでよいです。

確実に,しかも効率よく覚えるコツでもあります。

 

 

今日の教訓

 

 

覚え方にはコツがある!

2024年2月26日月曜日

国家試験攻略法 ルーティーンを作ろう

合格基準点よりも数点足りなくて合格できないのはとても悔しいことですね。

知識が足りなかったと思う瞬間でしょう。


まずは,昨日の振り返りから・・・


取れる問題は落とさないこと。


過去問解説では・・・問題〇は,何を読んでいれば解ける問題でした,と書かれていることがあります。確かに知識的にはそうかもしれないです。


でも・・・でも・・・でも・・・国試では何が起きるかわからない・・・


普段しないような読み間違いはしょっちゅうです。


知識的には,●●をやっていれば解ける可能性があるかもしれません。


実際にあの緊張感あふれる中で通常通りの実力を発揮するのはそんな簡単ではないです。


それでは,今日の問題です。


第26回・問題8

マズロー(Maslow,A.)の人間の動機又は欲求理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 生理的欲求と承認欲求がかなり満足されたものになったら,さらに上位にある愛情を求めたくなると同時に,所属への渇望が生じるようになる。

2 幼児の場合,恐怖又は危険に対する反応が直接的かつ明瞭に出現するのは,幼児はこの反応を抑制しないからだと考えられている。

3 自己実現の欲求には,資格保持や社会に示す自信といった自尊心にかかわるものと,他者から受ける尊敬とか尊重と定義できる評判や名声,他者からの理解などがある。

4 承認又は自尊心の欲求が満たされれば人は安堵感を覚え,その後に不安や不満,又は新たな欲求が生じることはない。

5 音楽家は音楽を作り,画家は絵を描くように,人間は自分のなり得るものになりたいという欲求をもつ。これを承認の欲求と呼んでいる。


マズローの「欲求の階層説」に関する問題です。


知ってる,知ってる・・・過去問やワークブックなどで何度もやった問題です。


マズローの覚え方はいろいろあると思いますが,動物的に覚えると・・・


<第1段階> 生きるために食べる。 ⇒ 生理的欲求

<第2段階> 生き残るために安全を求めて洞窟の中で生活する。 ⇒ 安全・安定の欲求

<第3段階> 群れをつくる。 ⇒ 所属・愛の欲求

<第4段階> 群れの中で認められたい。リーダーになりたい。 ⇒ 自尊・承認の欲求

<第5段階> なりたい自分になりたい。 ⇒ 自己実現欲求


第1~4段階までが,欠乏欲求。第5段階は成長動機ですね。


この知識をもとに各選択肢を見てみましょう。


1 生理的欲求と承認欲求がかなり満足されたものになったら,さらに上位にある愛情を求めたくなると同時に,所属への渇望が生じるようになる。


生理的欲求は第1段階,承認欲求は第4段階,所属・愛の欲求は第3段階。


承認欲求よりも所属・愛のほうが下位ですね。これは間違いだと言えそうです。


2 幼児の場合,恐怖又は危険に対する反応が直接的かつ明瞭に出現するのは,幼児はこの反応を抑制しないからだと考えられている。


知らない・・・わからない・・・どうしよう・・・


1つ目の選択肢が解けて安心していたら,2つ目は勉強したことがないものが出て来ました。


やさしめの選択肢を先に置いて,その後に難しめの選択肢を配置するのは,この国試の常とう手段 


この時点で,


おそらく多くの受験者は「今年の国試の出題傾向が変わった」と思うはずです。実際には,ほとんど変わっていないのですが・・・


この選択肢は,この時点では答えが〇か×か分からないので,▲をつけておきます。

結果的に,この選択肢が正解です。


3 自己実現の欲求には,資格保持や社会に示す自信といった自尊心にかかわるものと,他者から受ける尊敬とか尊重と定義できる評判や名声,他者からの理解などがある。


よく読めば,自尊・承認の欲求だとわかると思いますが,前の選択肢を読んだ後には,冷静さを保つのはとても難しいものです。ペースがすっかり狂っているからです。


4 承認又は自尊心の欲求が満たされれば人は安堵感を覚え,その後に不安や不満,又は新たな欲求が生じることはない。


よく考えると,欲求が満たされた後でも不安や不満をもつことはよくあることだと思えると思います。


しかし,試験会場では,欲求の階層説は,下位の欲求が満たされることで,より高次の欲求を満たそうとする,ということが頭に浮かんできて,正解にしてしまった人もいると聞きました。


5 音楽家は音楽を作り,画家は絵を描くように,人間は自分のなり得るものになりたいという欲求をもつ。これを承認の欲求と呼んでいる。


よく読むと,自己実現欲求のことを言っているのがわかると思います。これは多くの人が☓をつけることができたことでしょう。


この問題の正解は選択肢2です。


受験生は,


わかりそうなものの中から答えを選ぶ


という解答傾向があります。


そのため,本当は▲だった選択肢2を格上げして〇とすべきですが,▲を〇に格上げできずに,3か4を選んでしまう,ということが出て来ます。


これが,国試の時は解けなかったのに,家に帰ったら解けた,というメカニズムの一つだと考えられます。



取れる問題は落とさないこと。


言うは易し。行うは難し。です。


なぜなら,一見易しそうに見える問題でも,簡単には正解できないようなひと工夫がなされているからです。


ちょっと難しめな選択肢を挟むことで冷静さを失わせ,簡単な選択肢の読み間違いを誘うというひと工夫です。


攻略法は?


冷静さを保つこと・・・  これも言うは易し。行うは難し。ですね。


いろいろな方法があると思います。


問題を解く時のルーティーンを作ること もその一つ。


チームは,fukufuku21は・・・


問題文に〇☓をしっかり書き込むこと


をおすすめします。


後から見て,どれを正解にしたのかわからない問題は,かなりの混乱した結果と言えます。


少しだけ手間がかかってしまいますが,マークする前に,〇はしっかりして,×はしっかり☓をつけてからマークすると,冷静さを保つことができることが多いようです。


ただし,これはいつも練習してしっかりとルーティーンにしておくことが大切なのは言うまでもありません。


取れる問題は落とさないこと。

しかし,言うは易し。行うは難し。


試験会場では今まで紹介してきたように,問題文を冷静に読むことが難しいからです。

解ける問題が解けないのは,決して知識がないからではありません。


国試会場で冷静さを保つ工夫をすることも大切です。


今日の教訓


◎冷静沈着さが得点力を増す。

2024年2月25日日曜日

取れる問題は落とさないこと

難しい問題を正解するのは難しいです。


取れる問題は落とさないこと



合否を分けるのは,1・2点の差・・・


合格基準点に1点や2点足りなくて不合格になってしまうと


もっと知識をつけなきゃ・・・  と思うかもしれません。


合否を分けるのはほんの数点の差・・・


知識 = 得点


になりにくいのが,この試験のいやらしいところです。


取れる問題は落とさないこと


知識をつけて,取れる問題を取ることが,合格基準点を超えることになります。

しかし普段しないようなミスをしてしまうのが,国試の怖いところです。


それでは,今日の問題です。


第26回・問題7

リハビリテーションに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 温熱療法などの物理療法は,作業療法に含まれる。

2 作業療法は,身体又は精神に障害のある者に対して行われる。

3 理学療法と作業療法は,脳血管障害発症後の急性期には行わない。

4 リハビリテーションには,教育や職業などの分野は含まれない。

5 リハビリテーション医学では,障害の予防や再発予防は取り扱われない。


この問題は,理学療法士と作業療法士の違いをしっかり理解していることが必要です。


理学療法の対象 ⇒ 身体に障害のある者。

作業療法の対象 ⇒ 身体又は精神に障害のあるもの。


つまり,精神障害者を対象とするのは作業療法士。


ここからわかるように,正解は2ですね。


チームfukufuku21は,こんな時は文章の結びの表現に着目してみることをお勧めします。


1 ・・・作業療法に含まれる。

2 ・・・に対して行われる。

3 ・・・行わない。

4 ・・・分野は含まれない。

5 ・・・取り扱われない。



3,4,5の選択肢は,言い切り表現ですよ。


ここで思い出してください。


「言い切り表現」に正解少なし。



3,4,5はこれを意識しなくても消去できそうです。


でもでも・・・


国試では何が起きるかわからないので,消去すべき選択肢はしっかり消去しておきたいです。1と2の選択肢は,知識がゼロだとちょっと難しいです。


ここでヒントを一つ・・・


含まれる,含まれない,は間違い選択肢を作りやすい表現



今日の教訓


取れる問題は落とさないこと。

2024年2月24日土曜日

1問にどのくらいの時間を使えるか?

まずは,昨日の振り返りから・・・


「ことがある問題」は正解になる可能性高し。


▲をつけた選択肢があるときは,それを判断するときに使ってみましょう。

昨日は,正解を選び出す思考プロセスを追ってみました。

一問解くのにそんなことをやっていたら,一問90秒で問題を解かなければならないのに,時間が足りなくなってしまう


こんな声が聞こえてきそうです。


しかし,90秒ではないです。

90秒じゃないの?

平均すると90秒かもしれません。しかし3分使うことも可能です。

なぜなら・・・


90秒は平均です。答えがすぐわかる問題もあれば,時間をかけなければならない問題もあります。

一問を解くのに何秒,というのは目安であって,それ自身はあまり意味がないものです。


90秒にこだわると,ペースが乱れます。


午前,午後ともに制限時間内で解き終えること。

模擬試験等を受ける,過去問を解くことで,このペース感覚を養いましょう。


タイマーで一問ごとに区切った90秒を測った練習はあまり効果がないと考えています。


早く読むための練習では意味がありません。


国試の時,重要なキーワードを見落とすことにつながります。

早く読めても得点にはなりません。


もちろん・・・


問題を読むための時間は大切です。


時間があれば得点できた


国家試験の一つひとつの難易度はそれほど高くありません。


そのため,時間があれば得点できた,は多くの人が感じるのでないでしょうか。


時間があれば得点できた


ではなく,


時間内で得点できた


にならなくてはなりません。


1問90秒にこだわると,ペースを乱します。


ペースをつかむためには,問題を読む訓練が欠かせません。


3か月で合格はつかめる,という話はよく聞きます。


文章を読むことに慣れている人なら

知識の蓄積 = 得点

となり得ます。


「3か月で合格がつかめた」


とてもキャッチーですね。



しかし・・・


勉強期間や期間は重要ではないです。問題を解く力は人それぞれだからです。


「モチベーションを保つ」「目標を持つ」


それらが大切なことは間違いありません。


もう一つ・・・


問題を解く力をアップさせることができれば,さらに良いことです。


適切に,そして時間内で問題を解くためには,それなりの戦略が必要です。


どこに着目して勉強するか・・・

これからも一緒に考えていきましょう。

2024年2月23日金曜日

あいまいな表現は,正解になる率が高いのは本当?

 昨日の話をもうちょっとだけ確かめてみましょう。


まずは,昨日の教訓・・・


言い切り表現には正解少なし。 「よりも」問題に正解少なし。


それでは・・・



「言い切り表現に正解少なし」の逆は?


あいまい表現に正解多し


第26回・問題6

発達障害に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 

1 学習障害(LD)の原因は,不適切な学習環境である。

2 注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療には,薬物を用いることがある。

3 自閉症(自閉性障害)の症状は,通常6歳以降に出現する。

4 自閉症(自閉性障害)の多くは,精神遅滞を伴わない。

5 自閉症(自閉性障害)の原因は,親の冷たい養育態度である。


まずは,この問題の出題時点と現在の変更点です。


DSM-5では,それまでの自閉症,アスペルガー症候群という診断名はなくなり,自閉症スペクトラム障害に変更されています。


また,注意欠陥多動性障害は,注意欠如多動性障害となっています。


さて,この問題の答えは2です。


文章の結びに着目すると・・・


「用いることがある」


この逆の


「用いることはない」


であれば,


数多くの症例の中で,1例でも用いられることがあれば,成立しない文章になります。


「用いることがある」


であれば,先述のように,1例でも用いられれば,成立します。


薬剤の処方は,使用目的が限定されているかもしれないので,実際には試しに投与しているということはあり得ないかもしれません。あくまでも確率の話です。


「●●することがある」の問題例


第29回・問題27

個人の福祉ニードに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 

1 利用者のフェルト・ニードとは,専門職が社会規範に照らして把握する福祉ニードのことである。

2 人々の心身機能の状態が同一であれば,福祉ニードも同一である。

3 経済的な福祉ニードは,相談援助の対象とはならない。

4 サービス供給体制の整備に伴い,潜在的な福祉ニードが顕在化することがある。

5 福祉サービスの利用を拒んでいる人の福祉ニードは,専門職の介入によって把握されることはない。


文章の結びを見てみると・・・



1 「ことである」

2 「同一である」

3 「対象とはならない」

4 「顕在化することがある」

5 「把握されることはない」


正解は4の「顕在化することがある」でした。


話は戻って,最初の問題文を見てみましょう。


1 学習障害(LD)の原因は,不適切な学習環境である。


発達障害は,「環境」が要因ではなく,「脳の機能障害」が要因です。そのため間違いですね。


発達障害は,「育て方が悪い」と母親が責められた時代がありました。今でも知識がない義理の両親などはそう思っている人もいるかもしれません。


そうではない,ということを広く知ってもらうための問題だと考えられます。


ソーシャルワークは,根拠をもつことで説得力が増します。


2 注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療には,薬物を用いることがある。


これは,先述のように正解です。


「ことがある問題」は正解になるかもしれないことを頭の片隅に置いて問題を解きましょう。


しかし,この時点では,まだ正解かどうかわからないので,▲をつけておきます。


3 自閉症(自閉性障害)の症状は,通常6歳以降に出現する。


発達障害者支援法では,


この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。


としています。


発達障害は,脳の機能障害であることを理解しておけば,「6歳以降」ということはなさそうだ,と思えるのではないでしょうか。


したがって間違いですね。


4 自閉症(自閉性障害)の多くは,精神遅滞を伴わない。


精神遅滞を伴うかどうかはわからなければお手上げに感じてしまうかもしれません。


知識がなければ答えられないので,この時点では▲をつけておきます。


5 自閉症(自閉性障害)の原因は,親の冷たい養育態度である。


1と同じように,発達障害の要因は「環境」にあるとする文ですね。もちろん間違いです。


国家試験で問われるのは,発達障害の要因は「環境」ではなく,「脳の機能障害」であることです。


国試では,答えがわからない時には,1と5の選択肢のように,同じ要素の選択肢がないかを考えることも時には有効です。


なぜって・・・


正しいものを1つ選ぶ問題の場合


言い方が違っても,同じようなことを言っている選択肢が2つある場合は,どちらも正しいということはあり得ないので,どちらも間違っていると考えられるからです。


この問題は,複数の選択肢を使って,発達障害は「環境」が要因ではなく,「脳の機能障害」が要因である,ということをしっかり押さえてほしい,という出題者のメッセージがこめられていそうです・・・


さて答えを選び出す最終段階までやってきました。


1 ×

2 ▲

3 ×

4 ▲

5 ×


となりました。



それでは,改めて▲の選択肢を見てみます。


2 注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療には,薬物を用いることがある。

4 自閉症(自閉性障害)の多くは,精神遅滞を伴わない。


ここで,登場させたいのが「ことがある問題」。


4も「伴わない」という言い切り表現になっているのが気になります。


どちらも選べなかったら,正解になりやすいほうを選びたいところです。



「ことがある問題」は正解になる可能性高し。 

  → 「あいまい表現に正解多し」 の応用


「言い切り表現」に正解少なし。


ということから,4を消去して2を残します。


今日の教訓


「ことがある問題」は正解になる可能性高し。


2024年2月22日木曜日

言い切り あいまい どちらが正解になりやすい?

第26回・問題5

認知症に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 アルツハイマー型認知症の治療に用いられる薬物は,現在,存在しない。

2 レビー小体型認知症では,パーキンソン症状を生じることはまれである。

3 血管性認知症は,生活習慣病(糖尿病,脂質異常症,高血圧など)が原因となっていることが多い。

4 正常圧水頭症による認知症は,外科手術で回復することがある。

5 認知症に伴うせん妄は,夜間よりも昼間の方が多い。



この問題は2つ選ぶものです。


うっかり見落としたらもったいな~い・・・


第36回国家試験から,2つ選びなさい


とアンダーラインが引かれるようになったので,見落としは,この時よりも少ないかもしれません。


見落とすことがなくても,1つ選ぶ問題よりも2つ選ぶ問題は正解するのは難しい。


ただし,この問題の難易度自体はそんなに高い問題ではないかもしれません。


私たちチームfukufuku21は,答えそのものよりは,問題文に着目しました。


楽勝問題ですが,この問題からも教訓を見つけることができました。


言い切り表現とあいまい表現なら,どちらが正解になりやすいと思いますか?


言い切り表現の「存在しない」の場合・・・


1つでも存在してしまうと,「存在しない」という状況は崩れてしまいます。



あいまい表現の「ことがある」の場合・・・


めったにないことだけれど,それが100万回に1回でも起こったら,「ことがある」という状況は成り立ちます。


つまり・・・


言い切り表現 ⇒ 1つでも存在したら,その状況は成り立たない。


あいまい表現 ⇒ 1つでも存在したら,その状況は成り立つ。



広い世の中です。いろいろなことが起きます。


さて,もう一度同じ質問をしますね。



言い切り表現とあいまい表現なら,どちらが正解になりやすいと思いますか?


はい,その通り。あいまい表現の方が正解になりやすいことになります。


もし,どうしても答えがわかりにくい時は,あいまい表現になっているがないか,に着目して答えを探すのも良いでしょう。


さてさて・・・・・・


今日の問題の正しい選択肢から見ていきましょう。


正しいものは,3と4の選択肢でした。



3 血管性認知症は,生活習慣病(糖尿病,脂質異常症,高血圧など)が原因となっていることが多い。



これは,そんなに手ごわくないかもしれません。これは1つめの答えとして,すぐ選べたのではないでしょうか。



4 正常圧水頭症による認知症は,外科手術で回復することがある。



正常圧水頭症って何? 勉強したことがないからわからない,と感じちゃったらダメです。


「回復することがある」。


ものすごくあいまい表現ですね。


10万人の患者の手術を行って,1人でも回復すれば,この問題は成立します。


手術の成功確率はわずかですが,1例でも成功例があれば良いです。


おそらく,これが正解になりそうですが,この時点では▲をつけておきましょう。


1 アルツハイマー型認知症の治療に用いられる薬物は,現在,存在しない。


これは言い切りなので間違いになりやすいですね。


実際に,よく知られるものでアリセプトやメマリーなどがあります。


したがって,間違い。



2 レビー小体型認知症では,パーキンソン症状を生じることはまれである。


これはテッパンと言ってもよいのでは?

レビーと言えば,パーキンソン症状,はっきりとした幻視が特徴です。


5 認知症に伴うせん妄は,夜間よりも昼間の方が多い。


「せん妄」って何? 


せん妄がわからないとお手上げになりそうです。


せん妄  ⇒  意識が混乱した状態になること。


せん妄は,夜間と昼間がどっちが多い?


これも知識がないとちょっと難しいかも・・・


しかし,ここでまたまた教訓を発見!!


「●●よりも▲▲の方が多い」 が正解文だった場合,



「▲▲よりも●●の方が多い」 のように前後を入れ替えます。



するとチョー簡単に間違い文章が一丁出来上がります。



「よりも」問題の例(第29回国家試験)


発症に生活習慣の関与が強いのは,2型糖尿病  よりも 1型糖尿病である。

非経済的幸福 よりも 経済的幸福を重視している。

生活保護法による生活扶助は,居宅 よりも 保護施設において行うことが優先される。

年齢階級別の割合をみると,61歳以上の医療費 よりも 61歳未満の医療費の方が高い。



これらは,すべて☓☓☓☓です。



第29回で「よりも問題」で正解だったのはたった一つ。


これだけです。


  ↓    ↓    ↓


問題の原因の追求 よりも ,クライエントのリソース(能力,強さ,可能性等)を活用することを重視する。



第29回の「よりも問題」の正しかった数と間違いだった数は・・・


正しかった数 1


間違いだった数 5



どうやら「よりも問題」は,間違いの選択肢をつくるときの道具の一つになっていると言えそうです。


試験を問題では,作問者の意図通りに間違い選択肢は確実に間違い文になってくれないと不適切問題になってしまいます。


そのために,試験委員は不本意かもしれませんが,「よりも問題」のようなものを作らざるを得ないのかもしれません。


このようなものは,他にもたんさん存在しています。


しかし,しかし・・・


ここでは,あまり明らかにしないようにします。


なぜなら,しっかり身についていなければ,限られた時間の中で答えを見つけ出すとき,かえって時間がかかってしまうことになります。


自分で見つけ出したものは,人に教えられたものよりも確実に使える武器になるからです。


そうすると,確実に本試験の点数は上がりますよ。


確実に使える武器にするためには・・・


過去問を解くときには,こういうものがないか,気をつけながら問題文を読むようにしてください。


何回か受験を経験した方へ


これを特に心がけて勉強しましょう。


あなたが合格するためには知識も大切ですが,受験テクニックを身につけることが重要です。


今日の教訓


●言い切り表現には正解少なし。


●「よりも問題」に正解少なし。


2024年2月21日水曜日

国家試験対策 どんな勉強をするか

国家試験に合格するためには,「どれだけ勉強するか」ではなく,「どんな勉強をするのか」が大切です。


勉強の仕方に戦略を立てることで,足りない勉強時間でも学習が効果的なものになります。

別な言い方をすると,戦略がない勉強は,無駄が多いことになります。


過去問を反復練習すればよい,というアドバイスがあります。


しかし,それをやっても,合格できる人とできない人が分かれます。


過去問を3回繰り返せば合格できる,というアドバイスもあります。


しかし,それをやっても,合格できる人とできない人が分かれます。

「どのように」があるかないか。ここが決め手です。


国家試験の試験委員は,国家試験対策参考書などを参考にして問題を作っているわけではありません。必ず一次資料にあたって作問します。


毎回,表現が変わって出題されるのは,いじわるをしているためではなく,一次資料から新たに問題を作っているからだと考えられます。


過去問を3回繰り返せば合格する,というのは,そのアドバイスしてくれた人にとっての真実です。


何度も試験にチャレンジしている方には,2つのタイプに分かれます。


タイプ1 ⇒ 勉強量が足りないために,国家試験で得点できない。


タイプ2 ⇒ 勉強量が十分だが,国家試験では得点できない。


タイプ1の人は,知識を増やすことが先です。



タイプ2の人こそ,「どのように」を考えた勉強が必要です。



過去問を漫然と繰り返しているだけでは,同じ結果しか得られません。


現在の国家試験では,決して深い知識は問われません。深掘りして勉強する必要はないです。

必要なのは,深掘りではなく,どのように出題されるのかに備えた思考です。


これから一緒に考えていきますね・・・

2024年2月20日火曜日

国家試験の誤りの文章をつくるのは難しい

 問題を作るときに,正しい選択肢を作るのと,誤りの選択肢の文章を作るのでは,誤りの選択肢を作るほうが何倍も難しいって知ってました?


正しい選択肢は,そのままの文章で良いですが,誤りの選択肢は,正しいものを下書きにして,間違った文章を作るという作業を行わなければなりません。


上手に文章を作らなければ,その文章はとても違和感があるものになってしまいます。


第26回・問題3

健康に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 

1 健康寿命とは,介護を受けたり病気で寝たきりになったりせずに自立して生活できる期間をいう。

2 WHO憲章では,「健康とは,身体的,精神的,社会的,そしてスピリチュアル的に完全に良好な状態をいう」と定義された。

3 集団の健康を図る指標に罹患率は用いられない。

4 プライマリ・ヘルスケアの理念は,一次医療(プライマリケア)による治療で健康を改善すべきという考えである。

5 「健康日本21」(第二次)の基本的な方針は,活力ある社会の実現のために高齢者の死亡率を減少させることである。


正解は1です。

1 健康寿命とは,介護を受けたり病気で寝たきりになったりせずに自立して生活できる期間をいう。


比較的分かりやすい選択肢が答えとなりました。

同じものでも正解が問題の後半に配置されていると,正解にたどり着くまで迷い道があるので,正解するのが難しくなります。


それはあとで解説することにして,本題です。


3 集団の健康を図る指標に罹患率は用いられない。


違和感がありませんか? わざわざ「罹患率は用いられない」と述べていますね・・・


この文章は,


集団の健康を図る指標に罹患率が用いられる。


を単に否定形にしたものと考えられます。


もしもっともらしい文章にするなら,健康を図る指標として絶対に用いられないものを入れて,


集団の健康を図る指標に「・・・・・・」が用いられる。


とすると,引っ掛けられる率が高くなるとなると思います。


しかししかし・・・


健康に対するアプローチはたくさんありますので,絶対に用いられないものというのを探し出すのは,実質困難だと考えられます。


そのため,


集団の健康を図る指標に「・・・・・・」が用いられる。


にすると,誤りの選択肢を意図して作った文であっても,正解選択肢になってしまう恐れが出てきてしまいます。そうなると不適切問題になってしまいます。


誤りの選択肢を作るのは,とても難易度が高いことがわかるでしょう。


そこで違和感がある文章であっても,


集団の健康を図る指標に罹患率は用いられない。


にせざるを得なかったのではないでしょうか・・・


これだと,めったに用いられないものであっても,たまに用いられることがあれば,意図通りの間違いの文章となります。


それ以外も見ていきましょう。


2 WHO憲章では,「健康とは,身体的,精神的,社会的,そしてスピリチュアル的に完全に良好な状態をいう」と定義された。


正しくは,身体的,精神的,社会的,です。


「スピリチュアル的」は含まれません。


実は「スピリチュアル的」が含まれた文章が過去に何度か出題されたことがあります。


不思議だなぁ,と思っていました。


調べてみると,WHOは1999年に健康の定義の見直しをしたことがあり,その改正案でスピリチュアル的を含めたものを提示されていたようです。


しかし,結局現行の健康の定義で十分であるとのことで,「スピリチュアル的」が含まれたものに定義が改正されることはなかったそうです。


4 プライマリ・ヘルスケアの理念は,一次医療(プライマリケア)による治療で健康を改善すべきという考えである。


聞き慣れない「プライマリ・ヘルスケア」と「プライマリケア」が出題されています。こういった理解しにくいものは,繰り返し出題される可能性が高いですね・・・


プライマリ・ヘルスケア

 「健康を基本的人権と位置づけ,健康のための自己決定権を保障する」とアルマ・アタ宣言で位置づけられているものです。


プライマリケア

 身近な医療機関で医療を受けることで,自分の健康をよく知っているかかりつけ医療のようなものと押さえましょう。


プライマリ・ヘルスケアとプライマリケアを混同させられそうです。しっかり覚えてしまいましょう。



5 「健康日本21」(第二次)の基本的な方針は,活力ある社会の実現のために高齢者の死亡率を減少させることである。


人は必ず死ぬので,高齢者の死亡率を減少させるって難しいと思いませんか? 


不老不死の人を作ること?  


4番目の選択肢で混乱させられた人は,こんな文章でも正しく理解ができなくなったことでしょう。これが国試の怖いところです。


今日の教訓


違和感のあるものは,間違いである可能性高し


難しめの用語には要注意! しかしそこには正解少なし


こういったところに気がつくようになると,実力がアップすること間違いなしです。


2024年2月19日月曜日

過去問は,勉強のヒントの宝庫!

 第26回・問題2

人体の部位と病変に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 

1 変形性関節症が頻発する部位は,肘関節である。

2 手をついて転倒して起きる骨折は上腕骨に多い。

3 側臥位では,仙骨部に褥瘡ができる。

4 対麻痺とは,左右両側の下肢の麻痺である。

5 脳死とは,脳幹以外の機能の不可逆的な停止をいう。


第26回国試は,魔の第25回国試の次年度だったということもあり,慎重な問題の作り方がなされていたようです。


第25回がなぜ悪夢のような魔の国試だったかというと,その前の年の26.3%からこの年は18.8%まで低下したからです。


勉強しても得点できない問題が多く,そして答えを2つ選ぶ問題がひっそりと出現した年でもあります。2つ選ぶ問題があったことを最後の最後まで気がつかなかった人も多かったと聞きます。


話を戻します・・・


なぜ,この問題を見て,慎重な作問だったと思ったかと言うと・・・


第23回・問題2

成人疾患と人体部位に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。 

1 側臥位での褥瘡好発部位は,仙骨部である。

2 対麻痺では,両側上肢に麻痺が認められる。

3 痛風発作は,足の親指のつけ根部の関節に多い。

4 手をついて転倒すると,前腕の橈骨近位端で骨折することが多い。

5 脳血管障害による片麻痺は,脳の障害部位と同側に症状が出る。


この問題を下書きにして,問題をつくったのだなあ,と感じたからなんです。


受験生が最も苦労するのは,今までと違うスタイルの問題に対応しなければならないことです。


同じような出題でも,スタイルが変わった出題になると極端に難しく感じてしまいます。


第23回問題3と第26回問題2は見れば見るほどそっくり・・・


5つの選択肢のうち,実に3つが同じです。手抜きかいな,と思ってしまうほどです。


第23回 手をついて転倒すると,前腕の橈骨近位端で骨折することが多い。 ×

第26回 手をついて転倒して起きる骨折は上腕骨に多い。 ×


これは2つとも間違い。


第23回 側臥位での褥瘡好発部位は,仙骨部である。 ×

第26回 側臥位では,仙骨部に褥瘡ができる。 ×


これも2つとも間違い。


第23回 対麻痺では,両側上肢に麻痺が認められる。 ×

第26回 対麻痺とは,左右両側の下肢の麻痺である。 〇


ここに来てようやく正解が出て来ました。


第23回問題2の答えは,3の痛風発作は,足の親指のつけ根部の関節に多い。自分自身が痛風だったり,周りに痛風の人がいたら,チョー簡単! 1点ゲット!!


でもでも・・・


痛風を覚えても第26回の問題でわかるように,痛風はもう出題されません。選択肢も同じ,答えも一緒なら,問題は易しくなりすぎるからです。


簡単すぎる選択肢は,出題されにくいという傾向が見えてきそうですね。


それに比べて,対麻痺は勉強した人でなければ分かりにくいものではないでしょうか。


さて,それでは第26回の問題を一緒に見ましょう。


1 変形性関節症が頻発する部位は,肘関節である。


介護の仕事をしている人なら,変形性関節症とはどんなものかわかるかもしれませんね。極端なO脚になっている高齢女性を見たことはないですか? あれが変形性膝関節症です。



2 手をついて転倒して起きる骨折は上腕骨に多い。


これも簡単そうで難しいです。第23回での出題がなければ,これを選んでしまいそうです。「橈骨遠位端に多い」。これはしっかり覚えておきたいです。遠位端は体の中心側から遠い側,近位端は体の中心部に近い側ですね。



3 側臥位では,仙骨部に褥瘡ができる。


側臥位(横向き),仰臥位(あおむけ)がわかっていることが前提の問題です。褥瘡は,圧迫されることで血液の流れが悪くなるなどでおきますね。


介護現場にいる方ならそんなに難しい問題ではないですが,学生は「仙骨部」とはどこなのかが引っかかると思います。国試では,このようなちょっぴり難しい用語を入れ込むことで,受験生を混乱させます。


仙骨部は骨盤の真ん中にあたる部分です。



4 対麻痺とは,左右両側の下肢の麻痺である。


第23回の問題で痛風に意識がいって,対麻痺をあいまいに覚えていると解けない問題です。


これが正解です。


片麻痺に比べると対麻痺は聞き慣れない率が高いので,これからも繰り返し出題されるでしょう。


対麻痺は,両下肢の麻痺。これが上半身にも麻痺があると四肢麻痺になります。


片麻痺は,右あるいは左の半身の麻痺です。



5 脳死とは,脳幹以外の機能の不可逆的な停止をいう。


問題1に続き,不可逆という言葉が出てきました。しつこいです。可逆的,不可逆的に拒否反応があると,とてもいやな気持ちになるでしょう。試験委員は,本当にいやらしいです。少しずつ少しずつ,戦意を喪失させようとする意図がこんなところにも見えてきます。


可逆的=もとに戻る

不可逆的=もとに戻らない


ここで,注目するのは,この部分ではなく,「以外の」という部分です。


不可逆的という部分に目をもっていかせて,「以外の」という部分に目をいかせないようにする出題テクニックです。正しくは脳幹も含めてすべての脳機能です。



「以外の」「含めて」などは地味な表現ですが,間違い選択肢をつくりやすい表現であることは要注意です。これから過去問を解くときは,このような表現があったら,特に気を付けて問題を読んでみることが大切です。


試験が終わった後に問題を見ると,なぜこんな問題を間違ったのだろうということはよくあることです。


国家試験問題は,一つひとつの問題の難易度は高くないのに,実際には正解するのは簡単ではないということをよく肝に銘じておきましょう。

2024年2月18日日曜日

過去問の有効性

 知識をつけながら,得点力を上げていくには,やっぱり国試問題を使うのが一番の近道です。


第26回・問題1

老化に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。 

1 加齢に伴う疾患の増加は,生理的老化の原因になる。

2 生理的老化の特徴の一つに可逆性がある。

3 老化は環境因子に影響されるが,遺伝因子には影響されない。

4 老化が進むとともに,生理機能低下度の個人差は減少する。

5 肺や腎臓は,老化による生理機能低下が顕著な器官である。


今なら参考書類に書いてあるので難しく感じないかもしれません。


しかし,国家試験会場で問題を初めて見たときには,そんなに簡単ではないです。


まず言葉がすぐ入ってきません。


⇒ 1 加齢に伴う疾患の増加は,生理的老化の原因になる。


加齢に伴う疾患とは?

生理的老化とは?


そして,「加齢に伴う疾患」と「生理的老化」の関係性とは?


加齢に伴う疾患とは,どんなものなのだろうか・・・

年をとるとなりやすい病気には,認知症やパーキンソン病などがありそうですね。


生理的老化とは,どんなものだろうか・・・

生理の反対語は病理というらしいです。つまり生理は「正常の」という意味合いになります。正常の老化だったら意味がわかりやすいですね。


耳が遠くなる,目が見えにくくなる,白髪になる,顔のシミが増える,などは正常な老化っぽいです。


問題文に置き換えると・・・


認知症やパーキンソン病などの病気が増えると,耳が遠くなる,目が見えにくくなる,などの正常な老化の原因となる。


何か変ですね。


これは正常な老化ではなく,正常ではない老化,つまり「病的老化」のことを言っているのではないか?


と考えられます。


ここでのキーワードは,「生理的老化」=「正常な老化」がわかっていることです。


⇒ 2 生理的老化の特徴の一つに可逆性がある。


生理的老化はわかりました。


次の疑問は,「可逆性」です。


可逆性は,元に戻ることです。元に戻らないことは不可逆性です。


先の例を,あてはめてみると・・・


耳が遠くなるなどの正常な老化の特徴の一つに,元に戻ることがある。


不老不死でない限り,老化現象はもとに戻ることはなさそうです。もちろんアンチエージングで老化の進行を遅くはできます。


この問題は,


生理的老化の特徴の一つに,不可逆性がある。


あるいは,


病的老化の特徴の一つに,可逆性がある。


というのが,正しいものとなります。


可逆性,不可逆性,の言葉は難しいですが,日本語なら,何とか意味は類推できそうです。


この問題のキーワードは,可逆性の意味がわからなくても,類推できる発想力です。


⇒ 3 老化は環境因子に影響されるが,遺伝因子には影響されない。


環境因子,遺伝因子は,環境が原因となるもの,遺伝が原因となるもの,ですね。遺伝が原因となる老化が存在するかどうかはわかりませんが,「影響されない」という言い切りは,一つでも例外があれば,成り立たなくなります。


⇒ 4 老化が進むとともに,生理機能低下度の個人差は減少する。


80歳代でも60歳代に見える人や,逆に60歳代でも80歳代に見える人がいるのは,経験的にもよくわかることでしょう。


こんな問題に間違う人はいない,と笑っているあなた・・・


国家試験会場では,とにかく冷静になるのは難しいです。どんな問題でも間違う可能性はあります。慎重に・・・。


⇒ 5 肺や腎臓は,老化による生理機能低下が顕著な器官である。


肺は,肺活量が落ちますし,腎臓は,腎機能が落ちます。生理機能の低下が顕著かどうかはわかりませんが,低下するのは間違いないです。


正解は,この選択肢でした。


この問題の特徴は,難しい選択肢を前半に配置していることがわかります。


そこで混乱させようという意図がありそうです。


その証拠に,そんなに難しくない答えを5つめの選択肢に配置しています。


最後の選択肢に至るまでにかなり混乱しているので,難しそうではない問題でも間違う可能性は高いです。


5つめの選択肢も若干難しめに作成されていることはわかりますか?


肺や腎臓は,老化による生理機能低下が顕著な器官である。


肺 腎臓 と2つ並べています。


いくつか並べると,その中に例外を入れることができるので間違い選択肢をつくりやすいです。


この問題に似た間違いをつくると・・・


心臓や腎臓は,老化による生理機能低下が顕著な器官である。


となります。


脳死という概念がなかったときは,心臓の停止が死である,とされていたことから類推できるように,心機能はそれほど低下しません。


肺や腎臓は,老化による生理機能低下が顕著な器官である。 〇


心臓や腎臓は,老化による生理機能低下が顕著な器官である。 ×


試験委員は,受験生は過去問を解いて受験に臨んでいることをよく知っています。


しかも,試験センターは今までの受験生の膨大なデータを持っています。


こういう問題を出せば,間違う,正解する,といったデータです。


機械的に,過去問を解いていたら,


心臓や腎臓は,老化による生理機能低下が顕著な器官である。


という出題をされれば,正解だと思いがちになります。


試験センターもそれをねらっています。


生理的老化の特徴の一つに可逆性がある。×


という問題も,


生理的老化の特徴の一つに不可逆性がある。〇


というように,たった一文字「不」をつけるだけで正解選択肢にすることができます。


この問題で「可逆性」「不可逆性」などの出題から分かるように,国試は,国語力との闘いとも言えます。

2024年2月17日土曜日

また不合格になるかもという不安

また不合格になるのではないか・・・


合格する能力がないのではないか・・・


何度も試験にチャレンジしていると,不安が募りますね~


その気持ち「わかる,わかる」と思った人も多いのでは?


試験で勝ち抜くには,その不安は最小限にすることが必要です。


不安な気持ちをもって国試に臨むとダークサイドに引き込まれます。そうするとせっかく持っている実力を発揮することができなくなります。


まずは,今まで勉強法を見直してみましょう。


歴史を覚えるのが苦手。外国人の名前を覚えるのが苦手。

だからそこに多くの時間をかけて勉強している。


という人もいるでしょう。


国試問題をよく見てみてください。歴史問題や人名問題は出題されますが,それは全体のほんの一部です。


確かにそういう問題が解けていたら合格点に達していたという見方もあるかもしれません。


しかし,一番多いのは福祉制度に関する知識を問う問題です。それらをしっかり覚えることが実は合格へのもっとも近道です。


そうなると今度は


数字を覚えるのが苦手・・・


という気持ちも強くなります。細かい数字が問われることはないです。年度で順位が変わるような出題はされません。


過去問でどのように出題されていたのか調べてみてみるとよいです。


数字が問われる問題は,予算にかかるもの,費用,など一部に限られ,しかも同じような部分を繰り返して出題されていることがわかるでしょう。


不安に思うポイントを一つひとつ消去して,国試当日は強い気持ちで臨めることを願っています。


国試当日,ダークサイドに決して引き込まれませんように・・・

2024年2月16日金曜日

弱いところをつかもう~次回の合格をつかむ


こんなに勉強したのに・・・


何回か受験したことのある人の中には,今年よりも去年の方が点数が良かったという経験をされた方は多いことと思います。


知識がなければ,得点は稼ぐことはできません。


知識は勉強を積み重ねれば増えますね。これは間違いないです。


それにもかかわらず,点数が伸びないのはなぜだと思います?


こんなとき,自分のふがいなさにがくぜんとしてしまうかもしれません。


しかし,勉強ポイントがずれているのかもしれません。


よく言われますが,社会福祉士の国家試験は,とにかく出題範囲が広いことが特徴ですね~


試験センターから,出題基準が発表されていることをご存知でしょうか。


問題はこの基準で作られます。


何度か受験したことのある方は,出題基準と自分の試験結果を見比べてみてください。


過去問や模擬問題を解いた後には,出題基準をチェックしましょう。


まずは現状をつかむことが大切です。


出題範囲が広いことは,勉強することが多くなるというデメリットとともに,苦手な範囲を捨てるという大胆な戦略を取ることができるメリットともなります。


苦手な科目の中にも,比較的苦手ではない分野を見つけ出すことができれば,チェックは成功です。

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