2017年10月31日火曜日

ワーク・ライフ・バランスは,新しい日本を作る!!

日本は,昭和3040年代にかけて,高度経済成長を成し遂げました。

その時代の典型的家族は,核家族で父は外で働いてお金を稼ぎ,母は専業主婦というものです。

共働き家族が多くなったのは,1990年代の後半のことです。

それから20年余りが過ぎ,新しいライフスタイルが目指されています。

その一つがワークライフバランス(仕事と生活の調和)です。


今年は過労死などが問題となりました。本当にライフスタイルを考えるターニングポイントに差し掛かっているように思います。

ある政党の代表は,ガラスの天井の上に「鉄の天井があることを知った」と語りました。

文化や科学が進化しても,人の考え方は大きくは変わりません。このタイムラグを社会学では「文化遅滞」と言います。


今,本当に考えなければならない時期が来ているのかもしれません。

さて,今日の問題は,出産,子育てに関する法規定に関するものです。


おそらく,これからも繰り返し出題されていくものだと思います。

しっかり押さえましょう!!


25回・問題124

妊娠・出産・育児に関連する法律に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 労働基準法に定められている産前産後休業の6週間の間であっても,労働者の請求があれば,就業させることができる。


2 「育児介護休業法」に定められている育児休業は,契約期間のある非正規職員は取得できない。


3 「育児介護休業法」では,病気やけがをした子のための看護休暇が取れ,日数に制限はないと規定する。


4 労働基準法は,妊娠中の女性に対して,請求の有無にかかわらず,深夜労働をさせてはならないと規定する。


5 「男女雇用機会均等法」は,女性の妊娠,出産,産前産後休業の請求や取得を理由とした解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと規定する。


いろいろな法律が出題されているので,難しく感じると思いますが,冷静に読めば,法制度を知らなくても解ける可能性はあります。

焦らないのが必勝法です。


それでは,詳しく見て行きましょう。


1 労働基準法に定められている産前産後休業の6週間の間であっても,労働者の請求があれば,就業させることができる。


かつては出産ぎりぎりまで働いたという人も多かったと聞きます。

しかし,それで何が起きたかと言えば子の流産や母の死亡などです。


周産期はとても危険です。

そのために,母性保護のために,産前産後は就業させてはならないという規定が設けられました。

もし本人から請求があった場合は,就業させることが出来るので,この規定はなし崩し的になり,母性保護にはならなくなってしまいます。

もちろん間違いです。


2 「育児介護休業法」に定められている育児休業は,契約期間のある非正規職員は取得できない。


非正規職員は育児休業が取れないということなら,非正規職員は仕事ができなくなってしまいます。

契約期間のある非正規職員の場合は,雇用期間が1年以上あることなどの制約はあるものの育児休業は取れます。

よって間違いです。


3 「育児介護休業法」では,病気やけがをした子のための看護休暇が取れ,日数に制限はないと規定する。


このような問題が出題された時は,極端な例を考えてみると良いです。

具体的には,日数に制限がない,ということなら,何か月も休むことができるということになってしまいます。

もちろん制限はあります。

看護休暇の期間は,子ども一人に対して年間5日までです。

よって間違いです。


4 労働基準法は,妊娠中の女性に対して,請求の有無にかかわらず,深夜労働をさせてはならないと規定する。


入所型施設でケアに携わる仕事をする場合は,深夜労働はつきものです。

法では,妊産婦が請求した場合,深夜労働をさせてはならないと規定されています。

よって間違いです。


5 「男女雇用機会均等法」は,女性の妊娠,出産,産前産後休業の請求や取得を理由とした解雇その他不利益な取扱いをしてはならないと規定する。


<労働基準法と男女雇用機会均等法の違い>

労働基準法 ➡ 労働条件を規定する法

男女雇用機会均等法 ➡ 特に女性の労働環境を整備するための法

男女同一賃金を定めているのは,どっちの法でしょうか。


答えは,労働基準法です。

国試では,過去に2回ほど男女雇用機会均等法で規定していると出題されていましたが,間違いですね。


さて,問題に戻ります。これは正解です。


先述のように男女雇用機会均等法は,特に女性の労働環境を整備するための法であることはしっかり押さえておきたいです。

高度経済成長の時代には,モーレツ社員という働き方がありました。

その陰には,女性のシャドウワーク(家事や家族介護などのような賃金が支払われない労働)が支えていたことを忘れてはいけません。



2017年10月30日月曜日

最低必要な知識は2,000アイテム

社会福祉士の国試の特徴は「広く浅く」です。覚えるべきアイテム数は,2,0004,000

19科目あるので1科目約100200アイテムです。

根気よく勉強を続けて行けば今からでも十分に間に合います。

さて,今日も「福祉サービスの組織と経営」です。

この科目は,今のカリキュラムによって加わったものです。

覚えるアイテム数は実は,そんなに多くはありません。

れでは,今日の問題です。


25回・問題121


組織学習論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 アージリス(ArgyrisC.)は,既存の枠組みとは異なる新しい可能性を探る組織の学習形態をシングルループ学習と呼び,組織が継続的に学習する上で必要であると指摘している。


2 他組織の成功体験や先進事例から学び,自組織に取り入れることは組織学習には含まれない。


3 ヘドバーグ(HedbergB.)は,組織にとって時代遅れとなったり,有効性が失われた知識を棄却するプロセスをアンラーニング(unlearning)と呼び,これが望ましい組織学習の上で欠かせないと考えた。


4 組織学習は,組織が短期的に適応していくプロセスについて説明するための概念である。


5 共通の専門知識と情熱によってインフォーマルに結びついた人々の集団である実践共同体(community practice)は,知識が生まれ共有される場にはならず組織の学習とは関係しない。


今日の問題は,組織学習です。

組織学習は,組織も個人のように学習するという考え方です。

それでは,詳しく見ていきましょう。


1 アージリス(ArgyrisC.)は,既存の枠組みとは異なる新しい可能性を探る組織の学習形態をシングルループ学習と呼び,組織が継続的に学習する上で必要であると指摘している。


シングルループは,学んだことをマニュアルなどにして,継続的に学ぶことです。


ダブルループは,シングループで対応できなくなった時,新しい学びをしていくことです。


この問題は,新しい可能性と述べているので,ダブルループです。

よって×。


2 他組織の成功体験や先進事例から学び,自組織に取り入れることは組織学習には含まれない。


他施設の成功事例を学ぶことはよくあることです。もちろん組織学習に含まれます。

よって×。


3 ヘドバーグ(HedbergB.)は,組織にとって時代遅れとなったり,有効性が失われた知識を棄却するプロセスをアンラーニング(unlearning)と呼び,これが望ましい組織学習の上で欠かせないと考えた。


これが正解です。


アンラーニングも組織学習のプロセスの一つです。


4 組織学習は,組織が短期的に適応していくプロセスについて説明するための概念である。


短期のものもありますが,長期的なものも含まれます。

よって×。


5 共通の専門知識と情熱によってインフォーマルに結びついた人々の集団である実践共同体(community practice)は,知識が生まれ共有される場にはならず組織の学習とは関係しない。


フォーマル組織の中にもインフォーマルな組織は存在します。仕事とは別に勉強会などを開くなど,知識を共有することは多くあります。
よって×。


組織学習論という難しく感じるかもしれませんが,シングルループ,ダブルループ,アンラーニングの3つを覚えるだけで良いです。


アージリス,ヘドバーグという名前が出てきていますが,それは覚える必要性は低いです。



人名が問題を解くためのキーになるのは,頻出の人たちだけです。

そういうことに気が付けば,勉強法も変わるでしょう。

覚えるポイントを間違うと,得点には結びつかないので要注意です!!

2017年10月29日日曜日

コンティンジェンシー理論は,激しい環境変化の時代だからこそ覚えておきたい!!


変化の小さいときは,経験が大きな武器となります。

変化が大きい時は,逆に経験は邪魔になることがあります。

さて,今日のテーマは,

コンティンジェンシー理論は,激しい環境変化の時代だからこそ覚えておきたい!!
です。

コンティンジェンシーとは,状況によって対応法が変わるという考え方です。

組織も環境も,最善の方法は唯一ではありません。

組織のリーダーシップであれば,組織を立ち上げる時,成長途中,安定期では変わるわけです。

組織の構造も,内部,外部の環境によって変わります。

これらのことをコンティンジェンシーと言います。


ここをしっかり押さえておけば,コンティンジェンシー理論は怖くないです。
それでは今日の問題です。

25回・問題120 

組織構造や環境に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 あらゆる環境に適した組織化の唯一最善の方法が存在するという考え方を,コンティンジェンシーアプローチと呼ぶ。


2 外部環境が不確実であるほど,組織は多くの規則や手続きを備え,明白な階層構造を持ち,中央集権化された機械的な管理システムとなる傾向にある。


3 有機的な管理システムでは,仕事内容が専門分化され,垂直方向のコミュニケーションが多く見られる。


4 官僚制は,ルールや手続き,専門化と分業,権限の階層構造などの特徴を持ち,組織を有効に機能させる上で利点がある。


5 組織にとって,環境不確実性の低い状況とは,外部環境が複雑で不安定な場合をいう。

組織理論は難しいですが,社会福祉士が組織の調整機能を持つと考えると,とても重要です。


それでは詳しく見ていきましょう。

1 あらゆる環境に適した組織化の唯一最善の方法が存在するという考え方を,コンティンジェンシーアプローチと呼ぶ。


あらゆる環境に適した組織化の唯一最善の方法は存在せず,状況によって変わる,とするのがコンティンジェンシーアプローチです。


しっかり覚えていきましょう!!


2 外部環境が不確実であるほど,組織は多くの規則や手続きを備え,明白な階層構造を持ち,中央集権化された機械的な管理システムとなる傾向にある。


機械的な管理システムとなる傾向が強くなるのは,外部環境の変化が少ない時です。

よって×。


外部環境が不確実であるほど,変化に柔軟に対応できるシステムが求められます。


3 有機的な管理システムでは,仕事内容が専門分化され,垂直方向のコミュニケーションが多く見られる。


有機的,機械的という表現が,この試験ではよく使われます。


有機的とは,変化すること。

機械的とは,変化しないこと。

組織の形態には,トップダウン型のライン型組織があります。


ライン型組織は,各専門部門が独立して働いているので,水平方向のコミュニケーションはそれほど多くは行われません。

機械的な管理システムは,ライン型組織だと言えます。有機的ではありません。

よって×。


4 官僚制は,ルールや手続き,専門化と分業,権限の階層構造などの特徴を持ち,組織を有効に機能させる上で利点がある。


これが答えです。

官僚制は,組織を動かすための仕組みを言います。


難しめの問題ですが,結局答えは超頻出の官僚制でした。

国家試験はこんなものです。


5 組織にとって,環境不確実性の低い状況とは,外部環境が複雑で不安定な場合をいう。


言葉遊びのような問題になっています。


環境不確実性が高い ➡ 変化が大きいこと。

環境不確実性が低い ➡ 変化が小さいこと。

よって×。

この科目が苦手な人は多いかもしれません。

しかし,意外と押さえるべきポイントは少ないです。

しっかり押さえていけば,点数は取れます。



2017年10月28日土曜日

社会福祉法人改革のポイントを押さえよう!! 出題の可能性が高い!!

社会福祉法は,平成28年に改正されています。

国試には,成立・改正直後の法制度が出題されることは稀ですが,12年後には出題されてきます。

そういう意味では

今回の社会福祉法改正は,出題される可能性が極めて高いです。

というか,試験委員から見ると,必ず出題したいものでしょう。


どの科目を担当している試験委員でも思いは同じだと思います。

しっかり覚えておきたいものです。

今日の問題に入る前に,社会福祉法人改革を押さえておきたいと思います。


社会福祉法等の一部を改正する法律のポイント

1.社会福祉法人制度の改革
・経営組織のガバナンス強化

<評議員会>

評議員会は,これまでは一部の社会福祉法人を除いて,設置は任意とされていました。

今回の改正で,評議員会は必置となり,役割は今までの諮問機関から「議決機関」へと変わりました。

理事,監事,会計監査人の選任や解任を行うことになります。

また役員報酬も決定します。

資格者は,「社会福祉法人の定期性に運営に必要な識見を有する者」となります。

評議員の人数は,これまでは理事の定数の2倍を超える数とされていましたが,この改正で,理事の員数を超える数(6名以上)となりました。

ただし現在は経過措置があり,収益が一定以下の法人は4人以上とされています。

理事との兼任は出来ません。

<理事会>

理事会は,業務執行に関する意思決定機関に位置付けられました。

評議会で選任された理事は理事会を開き,理事長を選出します。

理事長以外に,法人の業務を執行する理事として,業務執行理事を選任することができます(必置ではない)。

ただし,業務執行理事は代表権を持ちません。

理事は,理事長,業務執行理事,それ以外の理事に分類されます。

その他の理事は,業務執行の意思決定に参画するとともに,他の理事長その他の理事の職務の執行を監督することになります。

理事の中には,

①社会福祉事業の経営に関する識見を有する者
②法人が行う事業の区域における福祉に関する事業に通じている者
③法人が施設を設置している場合は,当該施設の管理者

が含まれていなければなりません。

<幹事>

幹事は,理事の職務執行を監査します。

理事会への出席と報告が義務付けられました。

監事には,

①社会福祉事業に識見を有する者
②財務管理に識見を有する者

が含まれていなければなりません。


<会計監査人>

会計監査人は,一定規模以上の法人への会計監査人による監査が義務付けられました。

会計監査人は,公認会計士又は監査法人でなければなりません。

因みに,平成24年から社会福祉法人の会計基準が導入され,平成27年からすべての法人で実施されています。


・運営の透明性の確保について

 定款,事業計画書,役員報酬総額,事業計画書を閲覧対象にして,閲覧請求者をこれまでの利害関係者から国民一般に広げています。

これらは,備え置き・閲覧だけではなく,ホームページ等を活用して公表します。


・社会福祉法人の財務規律について

 社会福祉法人が保有する財産のうち,社会福祉充実財産(再投下対象財産)を明確にして,社会福祉充実財産が生じた法人は,社会福祉充実財産を策定します。

使い道は,社会福祉事業,地域公益事業,公益事業の順に既存事業の充実や新たな取組みを検討します。


・地域における公益的な取組みについて

社会福祉法人は,公益性,非営利性の高い法人であることを踏まえて,「地域における公益的な取組み」を行う責務があることが明記されました。

ただし,責務(提供するよう努めなければならない)であり,義務付けられているものではないことに注意しましょう。

これによって,従来の社会福祉事業に加えて,無料又は低額の社会福祉事業,従来の公益事業に加えて,無料又は低額の公益事業を行うことになります。

この無料又は低額の公益事業が,地域公益事業と呼ばれるものです。


社会福祉法人改革のポイントを挙げてみました。


国試ではここまで詳しく覚えておかなくても解ける問題が出題されてくるとは思いますが,福祉を実施する担い手として社会福祉法人は重要なので,必ずどこかの科目で出題されてくると思います。

しっかり覚えておきましょう。


それでは,今日の問題です。


25回・問題119


社会福祉法人が行う事業に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 自主的に福祉サービスの質の向上に取り組むとともに,地域住民が求める限りにおいて,事業経営を透明にすることに,できるだけ協力しなくてはならない。


2 社会福祉事業を実施する必要があるが,当該法人の実施する事業において社会福祉事業は主たる地位を占める必要はない。


3 公益事業において剰余金が生じたときには,当該社会福祉法人の社会福祉事業や公益事業に充てることとされている。


4 収益事業として行う事業は,法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるものや投機的なものはもちろん,福祉に関連しないものは適当ではないとされている。


5 社会福祉事業を行うために必要な物件について,所有権を持つべきかどうかについて,特段の定めはない。


この問題は,まだ改革が始まる前の出題なので,極めてスタンダードなものです。


改革と絡めて出題される可能性もあります。

しっかり押さえていきましょう。


1 自主的に福祉サービスの質の向上に取り組むとともに,地域住民が求める限りにおいて,事業経営を透明にすることに,できるだけ協力しなくてはならない。



社会福祉法では

(経営の原則)

第二四条 社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため,自主的にその経営基盤の強化を図るとともに,その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。


と明記しています。


地域住民が求める限りできるだけ協力しなければならないではありません。

よって×。


2 社会福祉事業を実施する必要があるが,当該法人の実施する事業において社会福祉事業は主たる地位を占める必要はない。



社会福祉法人は,社会福祉事業の他に公益事業及び収益事業を行うことができます。

しかし,社会福祉事業は主たる地位を占めていなければなりません。

よって×。


3 公益事業において剰余金が生じたときには,当該社会福祉法人の社会福祉事業や公益事業に充てることとされている。



これが正解です。


4 収益事業として行う事業は,法人の社会的信用を傷つけるおそれがあるものや投機的なものはもちろん,福祉に関連しないものは適当ではないとされている。



収益事業は,福祉に関連しないものでも行うことができます。よって×。



5 社会福祉事業を行うために必要な物件について,所有権を持つべきかどうかについて,特段の定めはない。




社会福祉法人審査基準では,「社会福祉事業を行うために必要な物件は,所有権を持っていること,または貸与,使用許可を得ていること」と規定しています。

よって×。



社会福祉法人改革はかなりの確率で出題されることが予測されます。


模擬試験等でも取り上げられていると思います。


これに限るものではありませんが,模試は解いたら解きっぱなしにせず,しっかり覚えることが大切です。

これが模試を受けるための大きな意味でもあります。


過去問では出題予想はできませんし,参考書も基本的には過去問を加工してつくられています。


その点,模試はこの辺りが出るかもしれない,と予測して出題してきます。

多くの場合は,その予測は外れることが多いのですが,どの模試も少しずつ当たって,少しずつ外れます。


複数の模試を受験することで,その部分を重ねていくことができます。



模試はこのようなものが出題されるので難しく感じるかもしれませんが,万全を期して受験するためには,模試はとても重要な位置づけとなります。

地味な努力ですが,こういうものが,最後の1点・2点となって効いてくるのです。

2017年10月27日金曜日

国試まであと100日! この期間で確実に得点力を上げる勉強法!!

「相談援助の理論と方法」の出題数は,毎年21問です。

他の科目は710問(就労支援と更生保護は4問ずつ)なので,この科目の問題数は他を圧倒しています。

そのため,いろいろな範囲から出すことができるので,出題率が100%のものが続出しています。


今日の問題は,出題基準の中の「記録」です。

「記録」の出題率は100%!!



この科目は,合否を分ける科目です。


他の科目で1点を多く取るのは大変です。苦手な科目は特にそうでしょう。


この科目は10点くらい取れたら,二桁なのでたくさん取れたように思うかもしれません。


しかし,この科目は限りなく満点に近い点数を取りたいです。

その執念があるかどうかが,合否を分けます。

多くの人が覚えるのが苦手な人名や歴史が合否を分けているわけではありません。


法制度をしっかり覚える

相談援助の2科目で20点以上(できたら22~23点)取ること


が重要です。

これからの時間は,それらに時間をかけたいです。


さて,それでは詳しく見て行きましょう。


25回・問題118


相談援助における記録に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。


1 叙述体による記録では,実践の説明責任を示す根拠となるよう,事実の経過とともに,面接のやりとりを発話どおりに文字化する。


2 他機関からの報告は,記録の客観性を担保するため,ワーカーの判断を混じえず,かつ内容の取捨選択をせずに逐語体で記述する。


3 ワーカー・クライエント関係を中軸に行われる実践の記録では,事実関係に加えて,ワーカーの判断やその根拠を記述する。


4 記録は文字情報として残されるので,状況や援助過程を明確に把握・伝達するために図式化は控え,文章で説明する。


5 記録はクライエントに開示されることがあるため,本人に不愉快な思いをさせないために,本人に不利益な情報は記載しないよう作成する。


記録の文体には,「叙述体」「逐語体」「要約体」「説明体」があります。

それぞれの,特徴をしっかり押さえていきましょう。

それでは詳しく見て行きます。

1 叙述体による記録では,実践の説明責任を示す根拠となるよう,事実の経過とともに,面接のやりとりを発話どおりに文字化する。


発語通りに記述するのは,逐語記録です。

よって×。

プロセスレコードとも言います。


書くのは大変ですが,かかわりを再現するので,そのかかわりが良かったのか,悪かったのかを振り返ることができます。

逐語記録は,相談援助のプロフェッショナルを目指すなら必要な記録です。



2 他機関からの報告は,記録の客観性を担保するため,ワーカーの判断を混じえず,かつ内容の取捨選択をせずに逐語体で記述する。



逐語体は,かかわりをそのまま記述するので,長くなります。

報告書には向きません。

よって×。


3 ワーカー・クライエント関係を中軸に行われる実践の記録では,事実関係に加えて,ワーカーの判断やその根拠を記述する。



これは正解です。

ただし,その際気を付けたいのは,それは事実なのか,判断なのか,判別できるように書くことです。


4 記録は文字情報として残されるので,状況や援助過程を明確に把握・伝達するために図式化は控え,文章で説明する。



言葉で記録するよりも,図で書いた方が分かりやすくなるものもあります。

例えば,事故報告書ではどこを怪我したのか,あるいは,発赤がどこに見られるのか,など,人体図で示せば一目瞭然です。

よって×。


5 記録はクライエントに開示されることがあるため,本人に不愉快な思いをさせないために,本人に不利益な情報は記載しないよう作成する。



記録は求められたら開示しなければなりません。

必要な情報は書く必要があります。

よって×。

ただし,家族や本人が目にしても良いように尊厳ある表現を心がける必要があります。



適切な記録は,ソーシャルワークを深めることに役立ちます。


<今日の一言>

出題率の高いものは,絶対に落とさない!!


合否を分けるのは,誰もが解ける問題です。

何度も不合格になると


知識が足りない


もっと深い知識が必要


と思うかもしれません。

そう思うと,深い深い迷い道に入り込みます。


何度か受験した方へ



受験した国試では,相談援助の2科目は何点でしたか?

この2科目で15点以下だった方は,即刻勉強法を再検討する必要があります。








 

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