国民医療費は毎年必ず出題されています。
つまり出題率が100%です。
100%のものは,そんなに多くはないです。
頻出ではなく,必ず出るというのはすごいと思いませんか。
これを覚えないのはもったいないです。
覚えるポイントは,数少ないです。
対GDP比 約8%
対国民所得比 約11%
<10%の攻防>
下回っているのが対GDP比
上回っているのが対国民所得比
GDP > 国民所得
このため,分母が大きい対GDP比の方が,数字が小さくなります。
2つ覚えるのは,混乱の元なので,どちらか片方だけを覚えましょう。
それでは,今日の問題です。
第25回・問題71
2009(平成21)年度の国民医療費等に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 国民医療費の対前年度伸び率は,同年度の国内総生産(GDP),国民所得(NI)の伸び率を下回っている。
2 国民医療費の総額を前年度と比べると,65歳以上で増加しているが,65歳未満では減少している。
3 「平成21年度医療給付実態調査」(厚生労働省)によれば,65歳以上の年齢層では,高齢になるにしたがって,受診率,1件当たりの日数は低下するが,1日当たり医療費は増加する。
4 65歳以上の年齢層の国民医療費の総額は,それ未満の年齢区分の総額よりも大きい。
5 国民医療費の国民所得に対する比率は,依然として10%未満を保っている。
国民医療費の問題は,同じような内容を繰り返し出題しているので,過去問や参考書で押さえておけば必ず得点できます。
それでは詳しく見ていきましょう。
1 国民医療費の対前年度伸び率は,同年度の国内総生産(GDP),国民所得(NI)の伸び率を下回っている。
国民医療費は,2000年以降右肩上がりで上昇傾向にあります。
GDPとNIの伸び率と同じ,あるいは下回っているなら,国民医療費の高騰は社会問題にはならないはずです。
そこから類推できると思いますが,もちろん伸び率は上回っています。
よって×。
2 国民医療費の総額を前年度と比べると,65歳以上で増加しているが,65歳未満では減少している。
増加傾向にあるものが減少する,あるいは減少傾向にあるものが増加する,といったときには何か明確な理由があります。
もちろん65歳未満でも増加しています。
よって×。
3 「平成21年度医療給付実態調査」(厚生労働省)によれば,65歳以上の年齢層では,高齢になるにしたがって,受診率,1件当たりの日数は低下するが,1日当たり医療費は増加する。
違う傾向が出るときは,必ず何か明確な理由があります。
受診率,1件当たりの日数が減少する理由は見つけることができません。
もちろん増加しています。
よって×。
4 65歳以上の年齢層の国民医療費の総額は,それ未満の年齢区分の総額よりも大きい。
第25回以降,年齢階級別の出題が何度かされています。
75歳以上 約35%
70歳以上 約50%
65歳以上 約60%
65歳未満 約40%。
65歳以上では約60%なので,正解です。
5 国民医療費の国民所得に対する比率は,依然として10%未満を保っている。
「依然として」という言葉は蛇足ですね。
わざわざこの言葉をつけたことで,間違い選択肢ではないだろうか,と憶測することができてしまいます。
先述のように10%を超えているので×。