2023年12月31日日曜日

モチベーションが上がらない方へ

近年の問題は,勉強をしっかり積み重ねた人は,正解しやすいものを出題している傾向にあります。


国家試験の受験者の成績に関するデータは公表されていませんが,10年前に比べると,データのばらつきを示す標準偏差は大きくなっているのではないかと思います。


勉強をずっと続けていると,覚えたことを本当に覚えているのかがわからず,不安に陥ります。


これは誰もが感じることです。


先にも書いたように,今の社会福祉士の国家試験は,難易度がそれほど高い問題が出題されているわけではありません。


国家試験の問題の文字数は限られているために,高度な問題を出題することはできず,標準的な知識を使って解くことが中心となります。


チームfukufuku21がおすすめしたいのは,問題を解きながら覚えていく方法です。


これなら,問題を正解できれば,覚えたことを証明できます。


中には,答えを覚えてしまっているので正解できるという人もいるでしょう。


答えられるだけではもちろんだめで,正解以外の選択肢も覚えることが必要ですが,答えさえも覚えていないという人も多いです。


そんな中,答えを覚えているというのは,とても立派なことだと思います。


今の勉強はとても苦しいものだと思いますが,努力は必ず報われることを信じて,国家試験まで頑張りぬきましょう。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題127

高齢者等に関する近年の政策の動向についての次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年(平成28年)6月閣議決定)において,2025年度に向けて,高齢者の介護予防施策に関する成果と要介護認定者数の伸びの抑制についての数値目標が掲げられた。

2 「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(2017年(平成29年)改訂(厚生労働省))の7つの柱において,若年性認知症の人の特性に配慮した就労・社会参加支援等の推進が掲げられた。

3 「高齢社会対策大網」(2018年(平成30年)2月閣議決定)において,高齢者の支援において新技術(人工知能や介護ロポット,情報通信技術など)を活用することは,人間的な温かさが乏しいため,避けることが望ましいという提言が行われた。

4 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年(平成30年)改訂(厚生労働省))では,本人の意思による積極的安楽死についての決定プロセスが規定された。

5 「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(2018年(平成30年)(厚生労働省))において,認知症の人の意思決定支援については,ケアを提供する専門職員や行政職員は関与しないことが規定された。


この問題は,「高齢者に対する支援と介護保険制度」で出題されたものですが,「高齢者福祉」では,こういったタイプの問題は出題しにくくなるのではないかと思います。


問題数が6問に減るためです。


その話は置いておいて,こういった問題が出題されるとドキドキするでしょう。


しかし,決して慌ててはいけません。勉強を重ねてきた人でも知らない問題は,多くの人が正解できないことが多いために,正解できなくて当然と考えると良いです。


さっさと頭を切り替えて,次の問題に進むのが良いです。


とは言っても,視点を変えると正解できるものもあるので,その視点を今日はお伝えしたいと思います。


それでは解説です。


1 「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年(平成28年)6月閣議決定)において,2025年度に向けて,高齢者の介護予防施策に関する成果と要介護認定者数の伸びの抑制についての数値目標が掲げられた。


「ニッポン一億総活躍プラン」の内容が問われています。


しかし,ここでは,高齢者介護について述べられています。


一億総活躍には,関係しない内容なので,誤りだと判断できます。


2 「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(2017年(平成29年)改訂(厚生労働省))の7つの柱において,若年性認知症の人の特性に配慮した就労・社会参加支援等の推進が掲げられた。


これが正解です。


しかし,この時点では正解かよくわからないので,冷静に△をつけて,先に進みます。


3 「高齢社会対策大網」(2018年(平成30年)2月閣議決定)において,高齢者の支援において新技術(人工知能や介護ロボット,情報通信技術など)を活用することは,人間的な温かさが乏しいため,避けることが望ましいという提言が行われた。


これは,すぐに消去できるでしょう。


4 「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(2018年(平成30年)改訂(厚生労働省))では,本人の意思による積極的安楽死についての決定プロセスが規定された。


我が国において,安楽死が容認されたことはありません。


5 「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(2018年(平成30年)(厚生労働省))において,認知症の人の意思決定支援については,ケアを提供する専門職員や行政職員は関与しないことが規定された。


これもすぐ消去できるでしょう。


〈今日の注意ポイント〉


今日の問題でわかるように,一見難しそうに見えても,正解できる問題も多く存在します。


国家試験当日は,新しい文章を読み続けていくために,とても疲れます。試験対策の講師によっては,勉強にあきたら,あるいは疲れたら,勉強をやめる,あるいは中断する,というアドバイスをする人もいます。


学習効率的にはもちろんそれは正しいことです。しかし,その勉強法を続けていくと,脳が疲れた時に思考することを経験せずに国家試験に臨むことになってしまいます。


疲れた,もう勉強をやめたい,と思ったときは,もうひと頑張りしてから休むのがよいと思います。

2023年12月30日土曜日

高齢化社会,高齢社会,超高齢社会

日本の高齢化は

 

1970年(昭和45年) 高齢化社会(高齢化率7%以上)

1995年(平成7年) 高齢社会(高齢化率14%以上)

2007年(平成19年) 超高齢社会(高齢化率21%以上)

 

というように進展しています。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題126

「平成30年版高齢社会白書」(内閣府)にみる日本の人口の高齢化の動向及び将来推計に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 2025年に後期高齢者数と前期高齢者数が逆転し,後期高齢者数が上回ると予測されている。

2 高齢化率の「倍加年数」は24年であり,1970年から1994年にかけてであった。

3 2017年時点で,都道府県の中で高齢化率が最も低いのは東京都であった。

4 65歳以上人口に占める一人暮らしの者の割合は,2040年には男女共に40%を超えると予測されている。

5 2060年に高齢化率は50%を超えると予測されている。

(注) 「倍加年数」とは,人口の高齢化率が7%から14%に達するまでに要した年数のことである。

 

昔の統計ですが,覚えおいてほしいポイントを中心に解説します。

 

1 2025年に後期高齢者数と前期高齢者数が逆転し,後期高齢者数が上回ると予測されている。

 

実際に上回ったのはいつのことなのかはよくわかりませんが,この白書では2018年に逆転するとされていました。

 

2 高齢化率の「倍加年数」は24年であり,1970年から1994年にかけてであった。

 

これが正解です。

 

3 2017年時点で,都道府県の中で高齢化率が最も低いのは東京都であった。

 

高齢化率が最も低いのは,沖縄県です。

理由はわかりますね?

 

4 65歳以上人口に占める一人暮らしの者の割合は,2040年には男女共に40%を超えると予測されている。

 

40%ではなく,20%です。

 

5 2060年に高齢化率は50%を超えると予測されている。

 

人口の将来推計は5年ごとに発表されていますが,高齢化率が40%を超えると予測したことは今までありません。

 

少し下回る程度です。

2023年12月29日金曜日

減価償却と社会福祉法人の財務諸表

今回は,財務会計です。

 

まずは,減価償却についてです。

 

減価償却とは,固定資産(土地を除く)を購入した費用を法定期間で分散させて,費用を分散させるものです。

 

会計に計上する費用を減価償却費といいます。

 

減価償却費はあくまで会計処理なので,減価償却費自体は,費用が外部に流通しているものではありません。

 

もう一つのテーマは,社会福祉法人の財務諸表です。

 

社会福祉法人が公表しなければならない財務諸表は,

 

・貸借対照表

・資金収支計算書

・事業活動計算書

 

があります。

 

貸借対照表

当該会計年度末現在における全ての資産,負債及び純資産の状態を表示するもの。

資産の部(表の左側,いわゆる借方),負債の部及び純資産の部(表の右側,いわゆる貸方)に区分し,更に資産の部は流動資産及び固定資産に,負債の部は流動負債及び固定負債に区分しなければならない。

2 純資産の部は,基本金,国庫補助金等特別積立金,その他の積立金及び次期繰越活動増減差額に区分する。

資金収支計算書

当該会計年度における全ての支払資金の増加及び減少の状況を表示するもの。

支払資金残高は,当該流動資産と流動負債との差額。

事業活動計算書

当該会計年度における全ての純資産の増減の内容を表示するもの。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題125 

社会福祉法人の会計財務等に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 減価償却費は,法人の外部に資金が流出する費用である。

2 貸借対照表の負債の部は,資金を何に投下したかを表す。

3 管理会計は,組織外部者への情報開示を目的とする。

4 事業活動計算書とは,一時点のストックを表すものである。

5 貸借対照表は,バランスシートと呼ばれるように,負債及び純資産の部合計と資産の部合計の金額は一致する。

 

この科目が苦手な人は,いやになるような問題でしょう。

 

しかし,国家試験では繰り返し繰り返し出題されてきているので,出題内容が明確です。

 

覚えるか覚えられないかの違いはあれど,覚える内容は,極めて明確です。

 

それでは,解説です。

 

1 減価償却費は,法人の外部に資金が流出する費用である。

 

前説に書いたように,減価償却費は,固定資産を法定の期間内にわたって,会計上に計上するものであり,実際には,法人の外部には費用は流出していません。

 

資金が外部に流出するのは,固定資産を購入した時です。

 

2 貸借対照表の負債の部は,資金を何に投下したかを表す。

 

貸借対照表の負債の部に示されるのは,流動負債及び固定負債です。

 

3 管理会計は,組織外部者への情報開示を目的とする。

 

管理会計は,管理という名称がついているところから推測できるように,組織管理に役立てることを目的とします。

 

4 事業活動計算書とは,一時点のストックを表すものである。

 

一時点のストック(〇年〇月〇日現在と表示される)を表すものは,貸借対照表です。

 

事業活動計算書と資金支払計算書は,当該会計年度(〇年〇月〇日~〇年〇月〇日と表示される)の内容を表します。

 

5 貸借対照表は,バランスシートと呼ばれるように,負債及び純資産の部合計と資産の部合計の金額は一致する。

 

これが正解です。

 

貸借対照表

                    〇年〇月〇日現在

資産の部

負債及び純資産の部

 

 

 

 

 

 

(負債)

 

 

(純資産)

 

 

 

 

合計

合計

 

左側と右側の合計額は,一致します。

 

〈今日の注意ポイント〉

 

現場ではなじみがない用語が並んでいるので,知識がないと正解するのは,なかなか難しいと思います。

 

そのために,受験生の得点に差が生じる部分でもあります。

減価償却と財務諸表だけでも覚えたいです。

2023年12月28日木曜日

経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者

 人口減少が顕著な日本では,不足するマンパワーを確保するためには,外国人労働者の受入れが欠かせません。


外国人労働に関して,現時点(2023年12月)では,


・経済連携協定(EPA)

・技能実習制度

・特定技能制度


の3つがありますが,そのうち,技能実習制度は廃止され,今後「育成就労制度」となる予定です。


さて,今日のテーマは,経済連携協定(EPA)です。


介護人材については,現在,インドネシア,フィリピン,ベトナムの3か国と協定を結んでいます。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題124 

介護サービスの人材の確保に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づく介護人材の必要数は,2020年度末には約100万人が見込まれている。

2 経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れの対象国は,インドネシア,フィリピン,ベトナムの3か国である。

3 厚生労働省が示す「介護に関する入門的研修」の目的は,潜在介護福祉士の現場復帰を目指すプログラムの一環である。

4 介護分野の有効求人倍率は,全産業平均とほぼ同程度で推移している。

5 「平成29年度「介護労働実態調査」の結果」(公益財団法人介護労働安定センター)によると,訪問介護員,介護職員の1年間の離職率は正規職員,非正規職員合わせて約30%であった。


古いデータが含まれていますが,もう二度と出題されることはないと思いますので,覚えても覚えなくても大した影響はないでしょう。


それでは,解説です。


1 第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づく介護人材の必要数は,2020年度末には約100万人が見込まれている。


第7期の時は,約200万人がみこまれていました。


2 経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者の受入れの対象国は,インドネシア,フィリピン,ベトナムの3か国である。


前説のとおり,これが正解です。

介護人材については,現在,インドネシア,フィリピン,ベトナムの3か国と協定を結んでいます。


3 厚生労働省が示す「介護に関する入門的研修」の目的は,潜在介護福祉士の現場復帰を目指すプログラムの一環である。


「介護に関する入門的研修」を知っている人はそれほど多くないように思います。


しかし,名称から判断することができます。


「入門的研修」ですから,介護経験のない人を対象とするものであるだろうと考えることが可能です。


4 介護分野の有効求人倍率は,全産業平均とほぼ同程度で推移している。


介護サービスはニーズが高まっているので,求人も多いだろうと考えることが可能です。


現在は,人材が集まらなくて,閉鎖を余儀なくされる事業者もあるくらいです。


5 「平成29年度「介護労働実態調査」の結果」(公益財団法人介護労働安定センター)によると,訪問介護員,介護職員の1年間の離職率は正規職員,非正規職員合わせて約30%であった。


この時点での離職率は,16%程度だったようです。現在もそれほど大きく変化していません。


〈今日の注意ポイント〉


解説に書いたように,この問題は,知識がなくても推測することができる選択肢が含まれます。


消去法でなくても,正解はできますが,消去法で考えると,正解できる確率がアップします。


過去問を解く意味には,こういった思考の訓練をする意味もあります。

知らないものが出題された時,あきらめてしまって拙速に答えを出すことは避けたいです。

2023年12月27日水曜日

カタカナ語にはご用心

社会福祉士の国家試験には,カタカナ語がたくさん登場します。

覚えにくい分,しっかり覚えると得点力がみるみるアップします。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題123 

福祉サービス提供組織の社会的責任に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 コンプライアンスは,営利組織のためのものであるため,福祉という公益性の高いサービス提供組織においてその確立は求められていない。

2 ディスクロージャーとは,組織内において課題を発見し事故を未然に防ぐ内部監査である。

3 アカウンタビリティとは,ステークホルダーに対する説明責任を指す。

4 ガバナンスは,営利組織の問題であり非営利組織にはその確立が求められていない。

5 公益事業への苦情を通報した利用者を保護するために,公益通報者保護法を遵守しなければならない。


カタカナ語が登場しないのは,選択肢5のみです。

しかし,何と問題づくりが下手なのでしょう。


こんな下手な問題は,もう二度と見られないかもしれません。


下手すぎて,選択肢1と4は,意味がわからずとも消去できてしまいます。

しかし,ここで重要なのは,この問題を正解することではなく,ここに出題されているものをしっかり覚えることです。


これをしないと,過去問を解いても,合格できる知識量にはなりません。


過去問を解くとき,正解することを目的にしている人がいるとは思ってもみませんでしたが,結構そういう人がいるようです。


それでは,解説です。


1 コンプライアンスは,営利組織のためのものであるため,福祉という公益性の高いサービス提供組織においてその確立は求められていない。


コンプライアンスは,近年では,自主規制といった文脈で使われることがありますが,本来は「法令遵守」という意味です。


法令遵守がなされない組織は,虐待,不正などが発生します。


2 ディスクロージャーとは,組織内において課題を発見し事故を未然に防ぐ内部監査である。


ディスクロージャーとは,情報開示を意味します。


クローズ(閉じる)に,否定の「ディス」がついて,「閉じないこと」,つまり「オーブン」を意味します。


3 アカウンタビリティとは,ステークホルダーに対する説明責任を指す。


アカウンタビリティは,説明責任のことです。


ステークホルダーは,利害関係者のことです。


ということで,これが正解です。


4 ガバナンスは,営利組織の問題であり非営利組織にはその確立が求められていない。


ガバナンスは,内部統制のことです。


ガバナンスがあってこそ,組織に緊張感が生まれ,適切な組織運営ができるようになります。


逆にガバナンスが確立していない組織は,その組織に属するそれぞれの者が自分勝手に考えて動き,統制が取れなくなっていきます。


その結果として,やる気のあるものが退職し,残ったものに無理がかかり,さらに退職者が生まれる,といった悪循環に陥ります。


5 公益事業への苦情を通報した利用者を保護するために,公益通報者保護法を遵守しなければならない。


公益通報者保護法は,賞味期限の付け替えなど,企業の不正が次々と明らかとなった時代に作られました。


利用者保護ではなく,従業員保護のための法律です。


企業に不都合な通報をしたことを理由に退職を迫ることなどを禁止しています。

利用者は,外部の第三者なので,このような保護がなくても,通報できます。


〈今日の注意ポイント〉


この問題で注意しなければならないのは,選択肢5です。


一読すると正解に思えます。それには理由がちゃんとあります。


下手な問題を作った試験委員の割に,この選択肢だけはうまいです。


公益事業への苦情を通報した利用者を保護」という文章の中に,「公益通報・(者)保護・(法)」の要素が詰まっています。


そのために正解に思えます。


国家試験の中には,でたらめな内容にもかかわらず,このような問題づくりをしているために,正しく思えてしまう問題があります。気をつけないとミスします。

2023年12月26日火曜日

社会福祉法人における評議員会

社会福祉法人は,評議員,評議員会,理事,理事会,監事を置かなければなりません。


そのうち,評議員会は,社会福祉法人の最高議決機関として,役員の選任及び解任などを決議します。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題122 

福祉サービス提供組織の経営体制と財源に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

1 個人が社会福祉法人に対してその主たる目的である業務に関連して寄附した場合には必要書類を添付の上確定申告をすることで所得控除を受けることができる。

2 社会福祉法人のうち,第一種社会福祉事業を経営しない法人は,評議員会を設置しなくてもよい。

3 介護保険制度における介護報酬の支払には,保険者がサービス利用者本人に支払い,その後利用者から事業所に対して支払う法定代理受領の仕組みがある。

4 特定非営利活動法人における社員総会に出席できない社員は,定款の定めるところにより書面による表決に代えて電磁的方法によって表決を行うことができる。

5 特定非営利活動法人は,特定非営利活動に係る事業に支障がない限り,利益の配当をすることができる。


前説に書いた内容は,選択肢2に出題されています。


それでは,解説です。


1 個人が社会福祉法人に対してその主たる目的である業務に関連して寄附した場合には必要書類を添付の上確定申告をすることで所得控除を受けることができる。


これが1つめの正解です。


社会福祉法人に寄附すると,所得控除を受けることができます。


2 社会福祉法人のうち,第一種社会福祉事業を経営しない法人は,評議員会を設置しなくてもよい。


評議員会は,社会福祉法人に必置の機関です。


3 介護保険制度における介護報酬の支払には,保険者がサービス利用者本人に支払い,その後利用者から事業所に対して支払う法定代理受領の仕組みがある。


法定代理受領とは,利用者は窓口で自己負担分のみ支払い,サービス提供事業者が保険者に請求して,サービス提供事業者に保険給付するという仕組みです。


法定代理受領がないと,利用者がサービス提供事業者に代金を支払い,利用者は保険者に請求することで,保険給付するという面倒なことになります。


また,あとで保険給付されるといっても,先に全額支払うのは大変です。そのために,作られた仕組みです。

保険者がサービス利用者本人に支払い,その後利用者から事業所に対して支払う

は誰も代理に受領していません。また,国民に先払いする制度は通常ありません。こういうことを考えると法定代理受領を知らずとも,正解ではなさそうだと判断できそうです。


4 特定非営利活動法人における社員総会に出席できない社員は,定款の定めるところにより書面による表決に代えて電磁的方法によって表決を行うことができる。


これが2つめの正解です。


社員総会とは,NPO法人における最高議決機関で,年1回以上,開催しなければなりません。


その時に,電磁的方法によって表決を行うことができることが規定されています。


また,表決権は,全員平等です。会費を多く払っているから,発言力が強いといったことはありません。

表決権が平等なのが株式会社の株主総会とは異なる点です。


5 特定非営利活動法人は,特定非営利活動に係る事業に支障がない限り,利益の配当をすることができる。


NPO法人も社会福祉法人も利益の配当をすることができません。


利益を配当することができないことが,非営利の意味です。

別な言い方をすると

利益を配当することができるのが,営利組織です。


〈今日の注意ポイント〉


社会福祉法人制度改革を目的とした2016年(平成28年)の社会福祉法の改正で,それまで評議員会の設置は任意だったものが,必置の機関に変更されています。

2023年12月25日月曜日

集団の凝集性によるチームの変化

集団の凝集性とは,その集団のつながりの強さのことをいいます。


凝集性が高いのは,つながりが強いことです。

凝集性が低いのは,つながりが弱いことです。


凝集性が高いのは良いように思いますが,全体とは反対の意見を言いにくいなどのデメリットもあります。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題121

集団の力学に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 集団の凝集性を高めるには,メンバー間の異質性を強化して他の集団との競争を促進させる方策が重要である。

2 集団浅慮とは,集団が外部からの圧力により長期的視野に立つ戦略的な意思決定が起きる現象である。

3 コンフリクトとは,集団内部に発生する対立や闘争であり,集団に肯定的な影響を与えるものではない。

4 集団の凝集性が高まると,メンバー間の親近感が強まるとともにリスクに対する警戒感が強まり,意思決定は堅実なものになる。

5 集団の凝集性が高くても,集団目標と組織目標の一致度が低い場合には,生産性が低下する。


慎重に考えると正解できそうですが,言葉が難しいので,その言葉に影響されます。


いやだな,と思うと正解するのはかなり困難でしょう。


それでは,一緒に慎重に考えていきましょう。


1 集団の凝集性を高めるには,メンバー間の異質性を強化して他の集団との競争を促進させる方策が重要である。


共通の敵があると,集団の凝集性が高まります。


そこは正しいのですが,メンバー間の異質性では,同じ方向は向きません。


「同質性」が強ければ,向く方向は同じようになります。


2 集団浅慮とは,集団が外部からの圧力により長期的視野に立つ戦略的な意思決定が起きる現象である。


集団浅慮とは,集団で思考して結論を出す場合,個人で思考して結論を出す場合とは異なる結果を導くことをいいます。


危険な結果を出すことは,リスキーシフトといいます。


無難な結果を出すことは,コーシャスシフトといいます。



3 コンフリクトとは,集団内部に発生する対立や闘争であり,集団に肯定的な影響を与えるものではない。


コンフリクト(葛藤,紛争)は,良いイメージがないかもしれません。


しかし,集団や地域におけるコンフリクトは,その解決を目指す過程で,お互いの立場,専門性,考え方などを理解することにつながります。


4 集団の凝集性が高まると,メンバー間の親近感が強まるとともにリスクに対する警戒感が強まり,意思決定は堅実なものになる。


集団の凝集性が高まると,リスクに対する警戒感が弱まります。


5 集団の凝集性が高くても,集団目標と組織目標の一致度が低い場合には,生産性が低下する。


これが正解です。


〈今日の注意ポイント〉


今日の問題の正解は,よくよく考えると,ああ,なるほど,と思うでしょう。


国家試験の会場では,誰も解説してくれません。自分で考えて,判断することが必要です。


この正解を暗記しても,おそらくその知識がそのまま使える問題はほとんどないでしょう。


基本的な知識を用いて,思考することで答えを出すタイプの問題があるからです。


これを理解しておくと,国家試験当日は,慌てることなく,落ち着いて問題と向き合うことができます。

2023年12月24日日曜日

特定非営利活動法人の活動分野

特定非営利活動法人の活動分野は,20分野あります。


そのうち,最も多いのは,「保健,医療又は福祉の増進を図る活動」です。


ほかの活動分野に比べると圧倒的に多く,全体の半数以上が「保健,医療又は福祉の増進を図る活動」を行っています。


なお,20分野の詳細を覚える必要は一切ありません。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題120 

特定非営利活動法人の制度や実態に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 内閣府の統計によると,2018年度(平成30年度)末時点の特定非営利活動法人の活動分野として最も多いのは,「保健,医療又は福祉の増進を図る活動」である。

2 特定非営利活動法人の全ての職員のうち,給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならないと法に定められている。

3 一つの市町村のみに主たる事務所を置く特定非営利活動法人の所轄庁は,市町村長であると法に定められている。

4 特定非営利活動法人は非営利組織であるので,収益事業を行うことはできない。

5 特定非営利活動法人の認証を受けるには,社員のうち3人以上の者の氏名(法人にあってはその名称及び代表者の氏名)や住所又は居所を記載した書面が必要である。


ある程度,勉強している人であれば,確実に正解したい問題です。


理由は,消去法ではなく,正解できる問題だからです。


それでは,解説です。


1 内閣府の統計によると,2018年度(平成30年度)末時点の特定非営利活動法人の活動分野として最も多いのは,「保健,医療又は福祉の増進を図る活動」である。


前説のように,これが正解です。


こんな古い統計データは約に立たないと思わないでください。


社会福祉士の国家試験の特徴は,年度によって順位がころころ入れ替わるようなものは出題しないことです。


そのために,相当古い問題ではない限り,出題当時と現在も傾向が変わらないものがほとんどです。


2 特定非営利活動法人の全ての職員のうち,給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならないと法に定められている。


給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならないと法に定められているのは,職員ではありません。


この規定が,事実なら,NPO法人の職員として働きたいと思う人はそれほど多くないと思います。


また,NPO法人も職員を確保することは困難でしょう。


NPO法人は,ボランティア集団ではありません。もちろんボランティア団体として活動しているNPO法人もあるかもしれません。


特定非営利活動とは,不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とした活動のことです。


給与を受ける者の数は3分の1以下でなければならないと法に定められているのは,役員です。


3 一つの市町村のみに主たる事務所を置く特定非営利活動法人の所轄庁は,市町村長であると法に定められている。


福祉に関連するもので,市町村長が所轄庁になるものは,ほとんどありません。


介護保険法の地域密着型サービス事業者などや障害者総合支援法の特定相談支援事業者など,ほんとうに少ないです。


NPO法人の所轄庁は,都道府県知事,政令指定都市長です。


町村長が所轄庁になることはありません。


4 特定非営利活動法人は非営利組織であるので,収益事業を行うことはできない。


NPO法人は,特定非営利活動のほかに,収益事業を行うことができます。


5 特定非営利活動法人の認証を受けるには,社員のうち3人以上の者の氏名(法人にあってはその名称及び代表者の氏名)や住所又は居所を記載した書面が必要である。


特定非営利活動法人の認証を受けるには,社員のうち10人以上の者の氏名や住所又は居所を記載した書面が必要です。


また,社員の資格の得喪に関して,不当な条件を付さないことが必要です。


〈今日の注意ポイント〉


解説にも書きましたが,所轄庁が市町村長となるものは,ほとんどありません。

勉強の段階で,市町村長が所轄庁になるものが出てきたら,そこをしっかり押さえます。


2023年12月23日土曜日

社会福祉法人制度

社会福祉法人は,社会福祉法に規定される特別法人です。

 

ほかの法人に比べて,税制上の優遇などがあるのが特徴です。

 

その分,求められるものもたくさんあります。

 

その一つが「経営の原則等」です。 

社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。

社会福祉法人は、社会福祉事業及び公益事業を行うに当たつては、日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題119

社会福祉法人制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 社会福祉法人が行える事業は,社会福祉事業と公益事業に限定される。

2 社会福祉法人は福祉サービス提供のための法人であるため,診療を行う事業を実施できない。

3 社会福祉法人が解散した際の残余財産は,設立時の寄附者に帰属する。

4 社会福祉法人は,他の社会福祉法人と合併することはできない。

5 社会福祉法人は,社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を行うため,自主的にその経営基盤の強化を図らなければならない。

 

問題づくりが下手なので,知識なしでもあることに気がつけば,正解できそうな問題かもしれません。

 

それでは解説です。

 

1 社会福祉法人が行える事業は,社会福祉事業と公益事業に限定される。

 

「限定される」が「のみである」だったら,いかがでしょうか。

 

どちらも同じ意味です。

 

「のみである」であれば,選ぶ人はほとんどいないのではないでしょうか。

 

試験委員もそれはよく知っているので,「のみ」「すべて」といったものは避ける傾向にあります。

 

社会福祉法人が行える事業は,本業である「社会福祉事業」,そして「公益事業」「収益事業」があります。

 

2 社会福祉法人は福祉サービス提供のための法人であるため,診療を行う事業を実施できない。

 

この文章が正しければ,

 

社会福祉法人は,診療を行う事業を実施できない。

 

で良いはずです。

 

「福祉サービス提供のための法人であるため」を加えることによって,その後に続く文章をいかにも正しく思わせる問題のつくり方をしています。

 

試験委員が巧妙に仕掛けたわなです。

 

社会福祉法人は,診療を行う事業を行うことができます。

 

有名なところでは,済生会病院を運営している社会福祉法人 恩賜財団 済生会があります。

 

現在の総裁は,秋篠宮殿下が務められています。

済生会が社会福祉士の国家試験で出題されることはほとんどありませんが,福祉を学ぶ上では重要な法人だと言えるでしょう。

 

国家試験に合格したら,ぜひ調べてみてください。

 

3 社会福祉法人が解散した際の残余財産は,設立時の寄附者に帰属する。

 

知識なしで消去できないのは,この選択肢です。

 

一時期は,社会福祉法人の合併を促したことがあるので,その頃は国家試験にもよく出題されていました。

 

今は,法人を合併させなくても,「社会福祉連携推進法人」という制度ができたので,またあまり出題されなくなるかもしれません。

 

話は戻って,この選択肢は誤りです。

 

〈残余財産の帰属〉

解散した社会福祉法人の残余財産は、定款の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。

前項の規定により処分されない財産は、国庫に帰属する。

 

社会福祉法人は,寄附した者の手を離れて,公の存在となります。

その公共性のために,税制上の優遇があるとも言えます。

 

4 社会福祉法人は,他の社会福祉法人と合併することはできない。

 

社会福祉法人は,他の社会福祉法人と合併することができます。

 

5 社会福祉法人は,社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を行うため,自主的にその経営基盤の強化を図らなければならない。

 

前説の通り,これが正解です。

 

〈今日の注意ポイント〉

 

今後の国家試験では,学ばない内容を出題するかどうかはわかりません。

 

しかし,学ばない,つまり,勉強したことがないものを出題する時は,正解にたどり着けるように国家試験は道筋をつけているものです。

 

試験委員の論理に気をつけて問題を読むとかなりの確率で正解できます。

 

もちんそこには最低限の知識がなければなりません。

 

知識不足の人が合格できる試験ではありませんが,勉強で正しく理解してきた人は合格できる試験です。

 

私たちチームfukufuku21は,面白おかしなことは言えませんし,YouTube動画のような映像も音声もありませんが,合格するために必要な情報を提供していきます。

2023年12月22日金曜日

地域福祉計画の策定は努力義務です

地域福祉(支援)計画の策定は,以前は任意でしたが,現在は努力義務に変更されています。


義務ではないことに注意が必要です。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題118

T市役所で地域福祉計画を担当する職員であるK社会福祉士は,次期の地域福祉計画の策定に向けて,2017年(平成29年)に改正された社会福祉法の内容を踏まえ,策定の準備に取り組むこととなった。

 次のうち,K社会福祉士が取り組む内容として,適切なものを2つ選びなさい。

1 現行の計画を評価するために評価委員会を立ち上げ,数値化できる,定量的な事項に限定して客観的に評価を行う。

2 地域住民,福祉・保健・医療関係者,市役所内で計画に係る複数の部局の職員等が参加する地域福祉計画策定委員会を組織する。

3 地域福祉計画に地域住民の意見を反映させるために各地区の公民館等を会場として地域住民が主体的に参加する懇談会を開催する。

4 計画に対する地域住民の意見は,前回の計画の策定時におけるアンケート調査結果のデータを基にして計画の策定を進める。

5 計画の策定には専門的な知識と技術が必要になるため,市内の社会福祉法人に策定の作業を委託することを検討する。


この問題では,「2017年(平成29年)に改正された社会福祉法」と限定して出題していますが,それがあってもなくても,正解はできる問題でしょう。


それでは,解説です。


1 現行の計画を評価するために評価委員会を立ち上げ,数値化できる,定量的な事項に限定して客観的に評価を行う。


評価には,数値化した客観的データを使った定量的な評価と主観的な定性的な評価の2つがあります。


定性的評価は,「満足」「不満足」といったものです。


定性的な評価も重要です。


2 地域住民,福祉・保健・医療関係者,市役所内で計画に係る複数の部局の職員等が参加する地域福祉計画策定委員会を組織する。


これが1つめの正解です。


地域福祉計画策定委員会は,市町村の地域福祉担当部局に設置されて,さまざまな立場から検討していきます。


3 地域福祉計画に地域住民の意見を反映させるために各地区の公民館等を会場として地域住民が主体的に参加する懇談会を開催する。


これが2つめの正解です。


懇談会は,地域住民のニーズを把握するために用いられます。


4 計画に対する地域住民の意見は,前回の計画の策定時におけるアンケート調査結果のデータを基にして計画の策定を進める。


T市では,以前に地域福祉計画を策定していたようですが,その時とは地域住民のニーズは変化しています。


過去のデータを参考にすることはあるかもしれませんが,新たにニーズ把握することが必要です。


5 計画の策定には専門的な知識と技術が必要になるため,市内の社会福祉法人に策定の作業を委託することを検討する。


地域福祉計画は,地域福祉の推進主体である地域住民等が参加して策定することが大切です。


〈今日の注意ポイント〉


今日の問題は,何のひねりもありませんが,注意すべきこととして,選択肢1の「限定して」が注意ポイントです。

ここを見逃すと正解に思えてしまいます。たった4文字で大違いです。

2023年12月21日木曜日

ソーシャルワークの記録方法

今回は,ソーシャルワークの記録方法を取り上げます。


現場に入ったら,自然と覚えるものなので,国家試験でわざわざ出題する必要もないように思いますが,正しい知識を持つことは,受験者を選別できるので,国家試験としては適切なのかもしれません。


ということで,今日の問題です。


第32回・問題117

ソーシャルワークの記録に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 プランニングシートには利用者がサービスを利用してどのような生活をしたのかについて記述する。

2 時間の経過に沿ってソーシャルワーク過程において起こる事実を記録する形式を説明体という。

3 逐語録では,話し言業の記録にソーシャルワーカーの説明や解釈を加えて記述する。

4 的確に情報を伝達することを求められるため,文字情報で統一する。

5 グループインタビューの記録係は,参加者の非言語的反応を含めて記録する。


ちょっと変わった問題だと思いませんか?


正解は,


5 グループインタビューの記録係は,参加者の非言語的反応を含めて記録する。


至極もっともなものだと思いますが,疑心暗鬼になるとこれを選べません。

素直な気持ちはとても大切です。


正解以外のものを解説しますね。


1 プランニングシートには利用者がサービスを利用してどのような生活をしたのかについて記述する。


利用者がサービスを利用してどのような生活をしたのかについて記述するのは,支援経過記録といいます。


プランニングシートは,その名のとおり,支援計画を記録する記録様式です。


2 時間の経過に沿ってソーシャルワーク過程において起こる事実を記録する形式を説明体という。


説明体は,事実だけではなく,解釈なども記録していきます。


3 逐語録では,話し言業の記録にソーシャルワーカーの説明や解釈を加えて記述する。


逐語録は,話し言葉(会話)をそのまま記録するものです。

説明や解釈は一切加えません。要約もしません。


4 的確に情報を伝達することを求められるため,文字情報で統一する。


図や写真なども適宜用いて記録します。


〈今日の注意ポイント〉


解説にも書きましたが,この問題の正解は,肩透かしを食らったようなものとなっています。

国家試験では,かなりの頻度でみられます。


知識不足だと心がぶれるので,ほかの選択肢に引っ掛かります。

しかし,素直な気持ちを持てば,知識なしでも正解できる問題もあります。

2023年12月20日水曜日

スーパービジョンの出題の2パターン

 

スーパービジョンが国家試験に出題されるときのパータンは,2種類あります。

 

①スーパービジョンの種類  

個別スーパービジョン

スーパーバイザーとスーパーバイジーが1対1で行うスーパービジョン。

グループスーパービジョン

1人のスーパーバイザーと複数のスーパーバイジーで行うスーパービジョン。

ライブスーパービジョン

ソーシャルワーク場面にスーパーバイザーが同席して行うスーパービジョン。

ピアスーパービジョン

仲間同士で行うスーパービジョン。スーパーバイザーとなる者はいない。

セルフスーパービジョン

自分自身で振り返りを行うスーパービジョン。自分がスーパーバイザー。


②スーパービジョンの機能 

教育的機能

価値・知識・技術を教える機能

支持的機能

スーパーバイジーを支える機能

管理的機能

スーパーバイジーの業務を管理する機能

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題116

グループスーパービジョンに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 スーパーバイザーがスーパーバイジーの個々人の資質や能力を比較し評価することを目的とする。

2 スーパーバイザーとスーパーバイジー間の信頼関係を,個人スーパービジョンよりも短時間のうちに構築できる。

3 スーパーバイジー同士の議論や検討により,学習効果の高まりを期待することができる。

4 スーパーバイジー個人が抱える課題を,複数のスーパーバイザー間で共有することで,より適切な支援が行われる。

5 個々のスーパーバイジーが担当する事例ではなく,一般的な模擬事例を検討に用いる。

 

スーパービジョンの種類のうち,グループスーパービジョンのピンポイントの出題です。

 

読み間違えないように,しっかり読みましょう。

 

それでは,解説です。

 

1 スーパーバイザーがスーパーバイジーの個々人の資質や能力を比較し評価することを目的とする。

 

スーパービジョンは,ワーカーの能力を評価する場ではありません。

 

よりよい支援を行うために行われるものです。

 

2 スーパーバイザーとスーパーバイジー間の信頼関係を,個人スーパービジョンよりも短時間のうちに構築できる。

 

信頼関係を構築する時間を個人スーパービジョンと比較すると,おそらく,グループスーパービジョンのほうが,距離が遠くなるために時間がかかるのではないでしょうか。

 

3 スーパーバイジー同士の議論や検討により,学習効果の高まりを期待することができる。

 

これが正解です。

 

これは,個人スーパービジョンにはないメリットです。

 

4 スーパーバイジー個人が抱える課題を,複数のスーパーバイザー間で共有することで,より適切な支援が行われる。

 

共有するのは,スーパーバイジー間です。

 

5 個々のスーパーバイジーが担当する事例ではなく,一般的な模擬事例を検討に用いる。

 

スーパービジョンでは,担当事例を用いるのが一般的です。

一般的な模擬事例を検討に用いるのだったら,スーパービジョンというよりも研修になるでしょう

 

〈今日の注意ポイント〉

 

スーパービジョンの種類が出題されると,カタカナのラッシュとなります。

 

注意しないと読み間違えます。

この問題でも,選択肢4を正解だと思った人がいるはずです。

 

スーパーバイーとスーパーバイーは,たった1文字違いです。

 

うっかりすると読みミスするので,くれぐれもご注意ください。

そんなことあるわけないと思っていると失敗します。国家試験では普通はしないことが起きるものです。

2023年12月19日火曜日

セルフヘルプグループ(自助グループ)

セルフヘルプグループは,当事者のグループです。


専門職が主導的にかかわるグループワークと異なり,当事者が主体的に参加して活動しているところに特徴があります。


セルフヘルプグループには,「ヘルパーセラピー原則」という効果があります。

人を援助することで,自分も援助されるという原則です。


認知症の人の家族の会といった当事者の家族や周りの人が参加している会もありますが,これもセルフヘルプグループです。


それでは,今日の問題です。


第32回問・問題115 

セルフヘルプグループに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 セルフヘルプグループのメンバーは,特定の体験を共有し,蓄積し吟味することによって生み出される体験的知識を活用し,問題に対処する。

2 セルフヘルプグループは,既に組織的に活動しているグループを基に形成される。

3 セルフヘルプグループは,多様な専門性を持つ専門職による,多職種連携の一形態である。

4 セルフヘルプグループでは,メンバー間の上下関係を活用する。

5 セルフヘルプグループヘの入退会は,グループ運営を円滑に行うために,ソーシャルワーカーがその可否を決定する。


何だかよく分からない文章があるので,それにやられないことが大切です。


それでは,解説です。


1 セルフヘルプグループのメンバーは,特定の体験を共有し,蓄積し吟味することによって生み出される体験的知識を活用し,問題に対処する。


これが正解です。


よくぞ,こんな分かりにくい文章のものを正解したにしたと思います。


蓄積し吟味することによって生み出される体験的知識


これは,修飾語を外して,


セルフヘルプグループのメンバーは,特定の体験を共有し,体験的知識を活用し,問題に対処する。


と読めば,何となくでも理解できそうです。


しかし,この時点ではよくわからないため,とりあえず,△をついておき,次に進みます。


2 セルフヘルプグループは,既に組織的に活動しているグループを基に形成される。


既に組織的に活動しているグループを基に形成されることもあるかもしれません。


しかし,そればかりではありません。自分たちで形成することもあります。


3 セルフヘルプグループは,多様な専門性を持つ専門職による,多職種連携の一形態である。


セルフヘルプグループは,専門職のグループではありません。当事者の集まりです。


4 セルフヘルプグループでは,メンバー間の上下関係を活用する。


メンバーの関係は対等です。


5 セルフヘルプグループヘの入退会は,グループ運営を円滑に行うために,ソーシャルワーカーがその可否を決定する。


ソーシャルワーカーが立ち上げるセルフヘルプグループもあるでしょう。


セルフヘルプグループに対するワーカーのかかわり方は,情報提供です。


入退会にかかわることは通常ありません。


〈今日の注意ポイント〉


セルフヘルプグループの問題には,ワーカーはどのようなかかわり方をするのかの内容が含まれます。


セルフヘルプグループに対するワーカーのかかわり方は,情報提供です。

2023年12月18日月曜日

集団を活用したソーシャルワーク(グループワーク)

 ソーシャルワークには,対象別に3つの手法に分類することができます。


ケースワーク 個別援助技術

グループワーク 集団援助技術

コミュニティワーク 地域援助技術


コミュニティワークは,平成19年度カリキュラムに入っていなかったために,過去問がほとんどありません。そのため,注意が必要です。


今日のテーマは,グループワークです。


グループワークは,集団を活用して援助するものです。

集団を活用しないのでしたら,グループワークではなく,ケースワークで良いことになります。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題114

次のうち,グループワークにおいて,グループワーカーが活用する援助媒体として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 メンバー間に形成されるソーシャルワーク関係

2 メンバーとグループワーカーの間に形成される相互援助関係

3 現在のグループの発達段階では達成が難しい,高い目標設定をしたプログラム

4 グループワーカーが運営する別のグループの集団規範

5 援助目標達成に関わる人,物,社会制度等の社会資源


かなりひねった問題です。


この問題が出題された当時,とても違和感がありました。

皆さんもそう思いませんか?


その感性は大切にしてください。得点力を高める宝物になります。


それでは,解説です。


1 メンバー間に形成されるソーシャルワーク関係


メンバー間に形成されるのは,集団規範です。


2 メンバーとグループワーカーの間に形成される相互援助関係


メンバーとグループワーカーの間に形成されるのは,ソーシャルワーク関係です。


相互援助関係が形成されるのは,メンバー間です。


3 現在のグループの発達段階では達成が難しい,高い目標設定をしたプログラム


プログラム活動で用いるプログラムは,達成可能なものでなければなりません。


4 グループワーカーが運営する別のグループの集団規範


活用するのは,グループ内で生じる集団規範です。


5 援助目標達成に関わる人,物,社会制度等の社会資源


これが正解です。


人,物,社会制度等の社会資源を活用するのは,ケースワーク,グループワークに共通です。


〈今日の一言〉


今日の問題は,何とも不思議な感じがします。


選択肢1と2は,いかにもそうではないでしょうか。


逆に,正解となった選択肢5は,よくよく考えると,その通りだと思えます。


しかし,何とも不思議な選択肢1と2があるために,思考がそれに引っ張られます。

2023年12月17日日曜日

連携業務

 社会福祉士は,ソーシャルワーク専門職であると同時に,福祉サービス関係者等との連絡・調整を行います。


今日の問題は,そのうち連携業務に関係するものです。


第32回・問題113 

事例を読んで,地域包括支援センターのG社会福祉士が,現段階で行う関係者の連携による会議として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 近隣住民から,Hさん(82歳,女性)宅から異臭がするとの相談を受けたJ民生委員が,その地域を担当する地域包括支援センターのG社会福祉士に,訪問への同行を依頼した。Hさん宅を訪問し話を聞く中で,ゴミ収集の曜日や分別の方法の理解が難しくなっている状況が分かってきた。他にも同様のケースの存在を意識したG社会福祉士は,Hさん個人への支援と,地域でHさんと同じような困難を持つ高齢者を支えるために会議を開催することにした。

1 住宅確保が難しい人の,民間賃貸住宅への入居を進める住宅確保要配慮者居住支援協議会

2 高齢者虐待対応のための個別ケース会議

3 高齢者のニーズ調査を企画する,介護保険法に基づくサービス担当者会議

4 地域包括支援センターと関係者で協議する地域ケア会議

5 介護支援専門員の資質向上を目指す地域包括支援センターの事例検討会


絶対に正解にならないのは,

1 住宅確保が難しい人の,民間賃貸住宅への入居を進める住宅確保要配慮者居住支援協議会


Hさんは家があります。


2 高齢者虐待対応のための個別ケース会議


個別ケース会議は,Hさんに対して行うものです。Hさんと同じような困難を持つ高齢者を支えるための会議ではありません。


それでは,ほかのものを解説します。


3 高齢者のニーズ調査を企画する,介護保険法に基づくサービス担当者会議


サービス担当者会議も特定の高齢者を支援するための会議です。


4 地域包括支援センターと関係者で協議する地域ケア会議


これが正解です。


介護保険法に規定される地域ケア会議は,地域が抱える課題を解決するための地域づくりなどを行います。


地域でHさんと同じような困難を持つ高齢者を支えるために会議を開催する


にぴったり合います。


5 介護支援専門員の資質向上を目指す地域包括支援センターの事例検討会


介護支援専門員の資質向上は必要です。しかし,この場合の目的とは異なります。


〈今日の注意ポイント〉


今日の問題は,決して難しくなりません。

知識がなくても消去できるものがあるからです。


確実に正解するためには,事例を正しく読み取ることが必要です。

2023年12月16日土曜日

ソーシャルワークのコーディネーション

 今回は,コーディネーションです。


コーディネーションは,一般的に使用される意味とほぼ同じで,調整をいいます。


コーディネーターは,その調整を行う人のことです。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題112

S市社会福祉協議会は,S市から避難行動要支援者への支援の役割調整等のコーディネートを委託されている。

 次の記述のうち,コーディネーターであるS市社会福祉協議会のF社会福祉士が平常時から行う行動として,適切なものを2つ選びなさい。

1 避難行動要支援者を個別に訪問し,避難支援を行うに当たっての留意点を聞き取る。

2 内閣府が策定する,避難支援のための個別計画を地域の支援者と共有する。

3 地域住民に声を掛け,避難訓練を避難行動要支援者と一緒に行う。

4 災害発生に備えて,避難行動要支援者名簿を地域の全戸に配布する。

5 避難行動要支援者に対して,住民の中から住民基本台帳によって支援者の役割を割り当てる。


コーディネーションになっていないものは,


2 内閣府が策定する,避難支援のための個別計画を地域の支援者と共有する。

4 災害発生に備えて,避難行動要支援者名簿を地域の全戸に配布する。


これらは正しそうに思いますが,共有や配布をするだけで終わっていては,コーディネーションにはなりません。


5 避難行動要支援者に対して,住民の中から住民基本台帳によって支援者の役割を割り当てる。


これも正しそうに思いますが,それぞれを調整するならコーディネーションだと言えますが,役割を割り当てること自体は,コーディネーションにはなりません。


ということで,この問題の正解は,以下の2つです。


1 避難行動要支援者を個別に訪問し,避難支援を行うに当たっての留意点を聞き取る。

3 地域住民に声を掛け,避難訓練を避難行動要支援者と一緒に行う。


〈今日の注意ポイント〉


今日の問題は,コーディネーターの問題ですが,コーディネーションそのものを聞いているわけではありません。


そのために,消去法が用いられるタイプの問題となっています。


正解となったものを改めてみます。


1 避難行動要支援者を個別に訪問し,避難支援を行うに当たっての留意点を聞き取る。

3 地域住民に声を掛け,避難訓練を避難行動要支援者と一緒に行う。


おそらく地域福祉の問題なら,正解しやすいでしょう。

選択肢1は,ニーズの確認,選択肢3は,地域住民との連携となっています。

ケアマネジメントのモデル

今回は,ケアマネジメント(ケースマネジメント)のモデルを紹介しますが,似たような問題はもう出題されないかもしれません。

 

主要なテキストには,掲載されていないからです。

 

因みに,中央法規のテキストには,以下の4つが紹介されています。

 

ブローカーモデル(仲介型モデル)

 クライエントのニーズと社会資源を結びつけるもの。

 

リハビリテーションモデル

 クライエントの機能向上を目指すもの。

 

ストレングスモデル

 クライエントのストレングス(強み)に着目して支援するもの。

 

集中型モデル

 ほかのモデルよりも,クライエントにより多くの配慮やサービス提供を行うもの。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題111

ケースマネジメントの範囲や目的に関するモデルについての次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 クライエントのケアプランを作成し,サービス提供者へ送致するまでの中核的な機能に焦点化したものを最小限モデルという。

2 クライエントの暮らす地域のケアシステムを変革するために,ネットワーク推進,システム改変計画化(施策提言)を含めるものを包括的モデルという。

3 クライエントが利用する資源開発に向けての弁護機能,サービスの品質の監視,市民教育を含めるものをコーディネーションモデルという。

4 クライエント本人を尊重し,利用者の利益を向上させるというソーシャルワークの価値,倫理を基盤にするものをシステム指向モデルという。

5 クライエントに対して,効果的で効率的なサービスの調整を目指すものを利用者指向モデルという。

 

テキストに書かれているものは,一つもありません。

これは苦しすぎです。

 

それでも解説します。

1 クライエントのケアプランを作成し,サービス提供者へ送致するまでの中核的な機能に焦点化したものを最小限モデルという。

 

これが正解です。

 

2 クライエントの暮らす地域のケアシステムを変革するために,ネットワーク推進,システム改変計画化(施策提言)を含めるものを包括的モデルという。

 

クライエントの暮らす地域のケアシステムを変革するために,ネットワーク推進,システム改変計画化(施策提言)を含めるものは,システム思考モデルです。

 

3 クライエントが利用する資源開発に向けての弁護機能,サービスの品質の監視,市民教育を含めるものをコーディネーションモデルという。

 

クライエントが利用する資源開発に向けての弁護機能,サービスの品質の監視,市民教育を含めるものは,包括的モデルです。

 

4 クライエント本人を尊重し,利用者の利益を向上させるというソーシャルワークの価値,倫理を基盤にするものをシステム指向モデルという。

 

クライエント本人を尊重し,利用者の利益を向上させるというソーシャルワークの価値,倫理を基盤にするものは,利用者指向モデルです。

 

5 クライエントに対して,効果的で効率的なサービスの調整を目指すものを利用者指向モデルという。

 

クライエントに対して,効果的で効率的なサービスの調整を目指すものは,コーディネーションモデルです。

 

これらを整理すると以下のようになります。


最小限モデル

クライエントのケアプランを作成し,サービス提供者へ送致するまでの中核的な機能に焦点化したもの。

システム思考モデル

クライエントの暮らす地域のケアシステムを変革するために,ネットワーク推進,システム改変計画化(施策提言)を含めるもの。

包括的モデル

クライエントが利用する資源開発に向けての弁護機能,サービスの品質の監視,市民教育を含めるもの。

利用者指向モデル

クライエント本人を尊重し,利用者の利益を向上させるというソーシャルワークの価値,倫理を基盤にするもの。

コーディネーションモデル

クライエントに対して,効果的で効率的なサービスの調整を目指すもの。


2023年12月15日金曜日

パターナリズムが正解になることはありません

パターナリズムは,父権主義などと訳されます。

 

ソーシャルワークの場面では,クライエントよりもワーカーの方が情報もあるし,専門家としていろいろなことを知っているので,クライエントに変わって,ワーカーが判断するというようなことです。

 

国家試験の事例問題では,パターナリズムになっているようなタイプのものが正解になることはありません。

 

なぜだかわかりますか?

 

ケースワークの原則の1つである「自己決定の原則」から外れるためです。

 

国家試験では,さまざまに出題してきますが,パターナリズムの選択肢は,真っ先に消去しても良いでしょう。

 

それでは,今日の問題です。

 

32回・問題107 

ソーシャルワークにおける援助関係に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ラポールとは,被援助者に代わって援助者が意思決定することを表す。

2 パートナーシップとは,援助者と被援助者が共に課題に取り組む関係性を表す。

3 逆転移とは,被援助者が自己の感情を援助者に向けることを表す。

4 パターナリズムとは,援助者と被援助者間の情動的な絆を表す。

5 アタッチメントとは,被援助者が援助者から自立している状態を表す。

 

事例問題を取り上げると思ったでしょう。

 

時には,こういった用語問題も出題されます。

 

この問題は,少し難しめです。

知識を使って考えなければならないからです。

 

ただし,この問題は専門知識がなくても正解できます。

そういう意味では,問題づくりが下手なのかもしれません。

 

正解は,

2 パートナーシップとは,援助者と被援助者が共に課題に取り組む関係性を表す。

 

びっくりするほどのものが正解になっています。

 

それでは,正解以外のものの解説です。

 

1 ラポールとは,被援助者に代わって援助者が意思決定することを表す。

 

被援助者に代わって援助者が意思決定することを表すのは,今回のテーマである「パターナリズム」です。

 

3 逆転移とは,被援助者が自己の感情を援助者に向けることを表す。

 

被援助者が自己の感情を援助者に向けることを表すのは,転移です。

 

逆転移は,援助者が自己の感情を被援助者に向けることです。

 

4 パターナリズムとは,援助者と被援助者間の情動的な絆を表す。

 

援助者と被援助者間の情動的な絆を表すのは,ラポールです。

 

5 アタッチメントとは,被援助者が援助者から自立している状態を表す。

 

アタッチメントは,愛着形成と訳されます。心理学で学びます。

 

〈今日の注意ポイント〉

 

今日の問題の正解は,あまりに素直すぎるので,何か裏があるのかと思う人もいるかもしれません。

 

国試で点数が伸びない人に共通していることとして,文章を素直に読めないことがあるように思います。

 

文章を読むことは慎重であるべきですが,「慎重であること」と「裏があると思うこと」は別物です。

 

うまく言葉で伝えられないのがもどかしいですが,国家試験の中には,びっくりするほど素直なものが正解になることは本当によくあります。

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