集団の凝集性とは,その集団のつながりの強さのことをいいます。
凝集性が高いのは,つながりが強いことです。
凝集性が低いのは,つながりが弱いことです。
凝集性が高いのは良いように思いますが,全体とは反対の意見を言いにくいなどのデメリットもあります。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題121
集団の力学に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 集団の凝集性を高めるには,メンバー間の異質性を強化して他の集団との競争を促進させる方策が重要である。
2 集団浅慮とは,集団が外部からの圧力により長期的視野に立つ戦略的な意思決定が起きる現象である。
3 コンフリクトとは,集団内部に発生する対立や闘争であり,集団に肯定的な影響を与えるものではない。
4 集団の凝集性が高まると,メンバー間の親近感が強まるとともにリスクに対する警戒感が強まり,意思決定は堅実なものになる。
5 集団の凝集性が高くても,集団目標と組織目標の一致度が低い場合には,生産性が低下する。
慎重に考えると正解できそうですが,言葉が難しいので,その言葉に影響されます。
いやだな,と思うと正解するのはかなり困難でしょう。
それでは,一緒に慎重に考えていきましょう。
1 集団の凝集性を高めるには,メンバー間の異質性を強化して他の集団との競争を促進させる方策が重要である。
共通の敵があると,集団の凝集性が高まります。
そこは正しいのですが,メンバー間の異質性では,同じ方向は向きません。
「同質性」が強ければ,向く方向は同じようになります。
2 集団浅慮とは,集団が外部からの圧力により長期的視野に立つ戦略的な意思決定が起きる現象である。
集団浅慮とは,集団で思考して結論を出す場合,個人で思考して結論を出す場合とは異なる結果を導くことをいいます。
危険な結果を出すことは,リスキーシフトといいます。
無難な結果を出すことは,コーシャスシフトといいます。
3 コンフリクトとは,集団内部に発生する対立や闘争であり,集団に肯定的な影響を与えるものではない。
コンフリクト(葛藤,紛争)は,良いイメージがないかもしれません。
しかし,集団や地域におけるコンフリクトは,その解決を目指す過程で,お互いの立場,専門性,考え方などを理解することにつながります。
4 集団の凝集性が高まると,メンバー間の親近感が強まるとともにリスクに対する警戒感が強まり,意思決定は堅実なものになる。
集団の凝集性が高まると,リスクに対する警戒感が弱まります。
5 集団の凝集性が高くても,集団目標と組織目標の一致度が低い場合には,生産性が低下する。
これが正解です。
〈今日の注意ポイント〉
今日の問題の正解は,よくよく考えると,ああ,なるほど,と思うでしょう。
国家試験の会場では,誰も解説してくれません。自分で考えて,判断することが必要です。
この正解を暗記しても,おそらくその知識がそのまま使える問題はほとんどないでしょう。
基本的な知識を用いて,思考することで答えを出すタイプの問題があるからです。
これを理解しておくと,国家試験当日は,慌てることなく,落ち着いて問題と向き合うことができます。