2018年2月28日水曜日

第31回国試で合格できる勉強法~確実な知識が合格をつかむ!!

年々,国試問題の文字数が少なくなっています。

文字数が少なくなるということは,引っ掛けポイントも少なくなることを意味します。

余計な言い回しがない分,知識がストレートに得点につながる問題だと言えます。

以前は,知識があっても得点できない国試だったことから考えると,今は基礎力をしっかりつけた人はぞの努力は報われる国試になってきたと言えます。

一見得点できそうですが,勉強不足の人は得点できない問題は実は多いです。


第30回・問題42 現行の地方公共団体の事務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 地方公共団体の事務は,機関委任事務,法定受託事務,自治事務の3つに分類される。
2 社会福祉法人の認可事務は,自治事務である。
3 生活保護の決定事務は,法定受託事務である。
4 児童扶養手当の給付事務は,自治事務である。
5 養護老人ホームへの入所措置は,機関委任事務である。

この問題は「福祉行財政と福祉計画」で出題されたものです。

答えは,選択肢3です。

この問題は多くの人が思うほど,簡単ではあまりません。

なぜならこの問題は,直近3年間の過去問に類似問題がないからです。

こういうところに基礎知識の違いが出てきます。

類似問題は,旧カリ時代までさかのぼらなければなりません。


第20回・問題70 次の記述のうち,地方公共団体が行う自治事務として正しいものを一つ選びなさい。

l 就学に関する事務。
2 生活保護の決定と実施に関する事務。
3 精神障害者に対する本人の同意によらない入院措置に関する事務。
4 「感染症予防法」に基づき行われる健康診断及び就業制限に関する事務。
5 一般旅券(パスポート)の発給に関する事務。

答えは2です。第30回と一緒ですね。

まず基礎知識とは,地方公共団体の事務は,自治事務と法定受託事務しかないということです。

過去問解説を見ると,団体委任事務がどうのこうの,機関委任事務がどうのこうの,とか書かれているので,混乱しますが,自治事務と法定受託事務しか現在はありません。

勉強不足の人は,第30回国試の問題では,

混乱したまま

機関委任事務が含まれた選択肢を選びがちになります。


2年連続で出題されることは少ないので,次に出題されるのは数年先ということになると思いますが,ここで覚えておきたいのは,

生活保護の自立の助長に関する指導は,自治事務に当たります。

機械的に,生活保護に関する事務は,法定受託事務である,と覚えていては引っ掛けられます。

2018年2月27日火曜日

社会福祉士の国家試験カリキュラム改正について


社会福祉士カリキュラムの改正のスケジュールは当初は以下のようになっていました。

平成29年 検討
平成30年 周知
平成31年 改正

しかし,どうやら1年ずれこむようです。

平成30年 検討
平成31年 周知
平成32年 改正

このようなスケジュールになると,

新カリでの国試は,当初は第32回を予定していましたが,第33回になります。

(2018/12/23追記)
現時点では,まだカリキュラム改正は発表されていません。もしカリキュラム改正は2020年に実施されても,新しい国試は第33回に実施することは難しそうです。そのため,現行カリキュラムでの国試はまだ続くと思います。

(2019/10/01)
新しいカリキュラムによる国試は,第37回から実施されます。
現行カリキュラムによる国試は,第32~36回の5回にわたって実施されます。

https://fukufuku21.blogspot.com/2019/06/37.html

(関連記事)
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/07/blog-post_4.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/07/blog-post_3.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/07/blog-post_2.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/07/blog-post.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/06/blog-post_30.html



なお,カリキュラムが変わっても,受験資格はなくなりません。

第31回国試が,現行カリキュラムの最後になるかと思っていましたが,1年ずれて第32回が最後になる可能性が高いです。

実はこのことは第31回国試で合格を目指している人にとっては大きな意味があります。

なぜかと言うと,変更直前の国試では,変更後を踏まえた内容が出題されるからです。

しかし,1年ずれたことで,第32回がおそらく現行カリキュラムの最後となる可能性が高いです。

つまり第31回国試は,第30回と出題傾向に変化はないと考えられます。

前回のカリキュラム改正よりは,今回の改正内容は大きく変化しないと思いますが,1年先延ばしになったことは,とても重要な意味をもつと思います。

私たちチームfukufuku21は,今まで国試で出題された国試問題を良く知っています。

国試は,少しずつ重なって出題されて,少しずつ形を変えて出題されます。

この「少しずつ重なって」というところが重要です。

ゼロベースで出題すると,誰も答えられないおそれがあります。

この「少しずつ重なって」があることで,消去法が使えます。

基礎力を蓄えると,消去法が有効に使えます。

答えは「これだ!!」と分からなくても,消去できる選択肢があると正解にたどり着きやすくなります。

国試はいつもそんな出題方法です。

ちょっと同じで,ちょっと違う。

これが今までの国試問題を見ている感想です。

第31回も第32回も,そして新カリキュラムになると思われる第33回もおそらく一緒です。

現行カリキュラムが旧カリキュラムに変わったときの問題です。

第22回・問題79 ピアソンの積率相関係数に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 相関係数がゼロになった場合は,2つの変数の間にはいかなる関係も存在しない。 
2 それぞれの変数の測定単位(mとcm,円とドルなど)が変われば,相関係数の絶対値の大きさも変化する。
3 変数Xと変数Yに正の相関が,変数Yと変数Zにも正の相関がある場合でも,変数Xと変数Zに相関が存在しないことがありうる。
4 2つの変数の間に相関があれば,どちらが原因となる変数でどちらが結果となる変数であるのかを特定できる。
5 相関係数が大きな値を示せば,2つの変数の間に必ず直接の関連がある。

この問題の布石があります。

第19回・問題60 社会福祉調査で用いられるデータ分析技法に則する次の記述のうち,適切なものに○,適切でないものに×をつけなさい。
A クロス集計表において,観測値の大小を単純に比較しただけでは,変数間の関連を統計的に検定することはできない。
B 変数の単位を変えると,ピアソンの積率相関係数の値は,変化する。
C クラスター分析は,データを,個々のデータ間の距離に応じたクラスターごとに分類する分析技法である。
D 重回帰分析は,二つの変数の間の関係に限って,その程度を分析することができる。

答えは,Aです。
クロス集計と出題されたら,χ(カイ)二乗検定とセットで覚えておきたいです。

第22回の国試はちょっと張り切りすぎました。ちょっと難しすぎですが,答えは選択肢3です。
あいまい表現に正解多し。

第28・問題87 ピアソンの積率相関係数に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 値は0から1の範囲の間で変動する。
2 2つの変数の因果関係を表すものである。
3 年齢と所得の相関係数は,所得が円単位でもドル単位でも同じ値になる。
4 2つの変数の間に完全な相関がある場合,散布図は円形になる。
5 2つの順序変数の関連の強さを測る指標である。

答えは,選択肢3。変数の単位を変えても,ピアソンの積率相関係数の値は変化しません。

ピアソンの積率相関係数が出題された3回とも,同じ内容のものが出題されて,しかも第28回の問題は,とうとうそこが正解選択肢となっています。

社会調査の基礎は,現行カリキュラムによって加わった科目です。

しかし,科目が新しくなっただけで,出題内容は,その前のカリキュラムかあったものであることが分かると思います。

<今日の一言>

カリキュラムが変わっても入れ物が変わるだけで,問題そのものが変わることはありません。

先述のように,ゼロベースで出題すると誰も解けなくなってしまうからです。

国試はいつも

少しずつ重なって出題されて,少しずつ形を変えて出題される

カリキュラムが変わらなくても,同じことが行われています。

おそらく,今日の問題の第28回のものを見た人も,過去3年の中にはピアソンは出題されていないので,「今年の傾向は変わったね」と思ったことでしょう。

しかしちっとも変わっていません。

早ければ第33回の国試でカリキュラムが変わりますが,恐れることはまったくありません。

基本事項は,いつの時代も同じ。

基礎力をつけることが国試突破のために一番重要なことです。

2018年2月26日月曜日

第31回国試に合格する勉強法~出題範囲が広いことへの対応~


社会福祉士国試は,19科目あります。

最も出題数が多い「相談援助の理論と方法」の21問,最も出題数が少ない「就労支援サービス」「更生保護制度」の2科目の4問です。

10問の出題

「現代社会と福祉」「地域福祉の理論と方法」「高齢者に対する支援と介護保険制度」

それ以外は7問です。

150問になってからの旧カリキュラムの国試は,13科目です。「社会福祉援助技術」が30問,それ以外の12科目は10問ずつの出題でした。

現在,10問出題される科目は,3科目のみです。

7問出題される科目と10問出題される科目の大きな違いは,10問の科目は出題は幅広く出題できるということです。

例えば,第30回の国試では・・・

現代社会と福祉
ロールズ
障害者差別解消法
日本の社会福祉制度の歴史
社会的企業
各国の福祉改革
貧困に関する理論
プログラム評価
住宅セーフティネット法
方面委員制度

地域福祉理論と方法
社会福祉協議会の歴史
地域福祉への参加
民生委員・児童委員
社会福祉法の規定
認知症にかかわる専門職とボランティア
(事例)生活支援コーディネーター
地域福祉に係る組織・団体
福祉ニーズの把握方法
(事例)住民による支えあいの地域づくり
第三者評価

高齢者に対する支援と介護保険制度
高齢社会白書(国際比較)
介護保険制度における市町村の役割
対麻痺
片麻痺のある人への介護
(事例)緩和ケアチームにおけるソーシャルワーカーの役割
高齢者の保健医療福祉施策
介護保険事業者の指定
介護保険における国保連の役割
居宅介護支援事業所の介護支援専門員の役割
(事例)地域包括支援センターの社会福祉士の対応

これらに対して7問の出題科目のうちの法制度の科目を見てみましょう。

障害者に対する支援と障害者自立支援制度
障害者スポーツ
障害者福祉制度の発展過程
障害者総合支援法の施設
就労継続支援A型
(事例)相談支援専門員の対応
(事例)サービス管理責任者の対応
知的障害者更生相談所

児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
幼保連携型認定こども園
この子らを世の光に
児童の能動的権利
母子生活支援施設
(事例)市の対応
児童委員の職務
里親支援専門相談員

7問の科目の方が,内容を絞り込んでいることが分かると思います。
ちょっと変な問題は,障害者スポーツだけです。

科目は19科目と多いですが,出題は科目を超えて出題しています。

出題範囲が広いというイメージは,旧カリの10問のころのものだと言えます。

ここから分かるのは,7問の出題の科目は,イメージほど出題は幅広くはないということです。

<今日のまとめ>

「過去は未来につながっている」

と同じように

「法制度は領域を超えてつながっている」

社会福祉士国試は,イメージほど出題範囲は広くありません。

ここ数日で本当に伝えたかったのは,法制度に関する問題は,トピックが出題されていても,多くの問題は対応可能であるということです。

過去問にヒントがあります。しかし法制度を必死に覚えているだけではヒントは見えてこないでしょう。

なぜなら,「現代社会と福祉」と「福祉行財政と福祉計画」を除けば,制度の縦割りとなっているからです。

これを乗り越えるには・・・

一つの科目に時間をかけないで,何度も19科目を繰り返すことが大切です。

そうすると法制度がつながってきます。

領域は違っても,法制度の作り方には共通性があるからです。

ぜひこういうところに着目してみましょう!!


(追記)
7問出題される科目と10問出題される科目では,7問出題される科目の方が対策が取りやすい傾向にあります。


2018年2月25日日曜日

社会福祉士国試は,過去3年間の過去問だけでは合格できない!

第3回国試問題,第10回国試問題,そして第20回国試問題を紹介してきました。


今まで30回行われた社会福祉士国試を振り返る~新しいスタートに向けて

http://fukufuku21.blogspot.jp/2018/02/30_23.html


過去は未来につながっている~第20回国試から

http://fukufuku21.blogspot.jp/2018/02/20.html

社会福祉士国試は,少しずつ重なり合いながら少しずつ形を変えながら進化していることが分かったでしょう。

社会福祉士の国家試験問題は,大きく分けると理論系の問題と法制度に関する問題があります。

理論系科目の代表は,「心理学理論と心理的支援」,そして「社会理論と社会システム」です。

知識がそのまま実力になりにくい問題が多く出題されてきました。

なぜなら同じような内容でありながら,言い回しを変えて出題されるからです。

しかし,昨今の国試問題は,問題文がどんどん短くなっているので,基礎をしっかり押さえれば,得点しやすい傾向の出題に変わってきています。

現在は,問題のプール制というものを採用しています。

旧カリキュラム時代は,その年に作成して出題されなかったもの問題はすべて破棄していました。

今は,破棄せずに保存されています。それも使いながら,国試問題を作ります。これが問題のプール制です。

過去に非常に似た問題がありますが,もしかすると,そういう問題は,同じ試験委員が一緒に作成したもので,一つは以前に出題して,一緒に作った類似問題が出題されているのかもしれません。

問題のプール制を採用している現在は,十分にあり得ますし,また,プールされている問題も膨大なものになっているはずです。

第30回・問題11 集団における行動に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会的ジレンマとは,集団的な討議を行うことによって,より安全志向な結論が得られやすくなることをいう。
2 ピグマリオン効果とは,集団において多数派の意見や期待に合わせて,個人の意見や行動が変化することをいう。
3 傍観者効果とは,緊急的な援助を必要とする場面であっても,周囲に多くの人がいることによって,援助行動が抑制されることをいう。
4 同調とは,他者の存在によって作業の効率が向上することをいう。
5 コーシャス・シフトとは,集団のメンバーの多くが個人的利益を追求した行動をとることで,集団全体にとって不利益な結果となることをいう。


第22回・問題9 社会的な行動に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 緊急の援助を必要としている人がいる場面で,目撃者が多数いることによって援助の手が差し伸べられにくくなる現象をピグマリオン効果という。
2 教師が生徒に対して成績向上の期待をもつことによって,実際にその生徒の成績が向上していく現象を傍観者効果という。
3 周囲で見ている人がいると作業が早くなるなど,個人の作業成績が向上する現象を同調という。
4 集団の成員の多くが個人の利益を追求することで,集団全体として大きな不利の結果が生じることを社会的ジレンマという。
5 集団の多数派の意見や期待に影響されて,同じ意見や行動をとることを社会的促進という。

とてもよく似ていますね。

第30回は,「傍観者効果」が正解。
第22回は,「社会的ジレンマ」が正解。

傍観者効果は,どの参考書にも掲載されていますが,現行カリキュラムで出題されているのは,このたった2回しかありません。
つまり,過去3年間の問題の知識だと,この問題は解けないことになります。

過去3年間の過去問の中からももちろん出題されます。

第26回・問題10 集団の機能に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 社会的促進は,未学習で複雑な課題については,動因水準が高まるほど,顕著に生じる。
2 PM理論によれば,どのような集団でも,PとMの両機能が低いpm型リーダーが,片方の機能だけ高いPm型やpM型よりも優れている。
3 内集団ひいきは,初対面の人々を,何かの好みのようなささいな基準でその場で2グループに分けた即席の集団間では生じることがない。
4 集団のサイズはある大きさまでは同調を促進させるが,あるサイズ(課題や被験者によって異なる)以上では差が生じないか,あるいは減少をもたらす。
5 集団思考(groupthink)は,集団の凝集性が高ければ高いほど生じにくい。

内集団バイアスは,内集団ひいきと同じで,自分が属している集団を好ましく思うことを言います。

第28回・問題11 個人と集団の関係に関する次の記述のうち,内集団バイアスの説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 各個人が,自分が属する集団の大多数と自分の意見が違う場合に,自分の意見を変えて多数の意見に従うこと。
2 各個人が,自分が属する集団の成員のことを,それ以外の集団の成員よりも好意的に評価すること。
3 各個人の意見が,集団内で発せられる極端な意見に影響されて,極端な方向に動いてしまうこと。
4 各個人が,自分が属している集団に魅力を感じていること。
5 各個人が,自分が属している集団の成員が共有する,規範や思考様式をもつこと。

第26回国試を押さえていれば,第28回国試のこの問題は,正解は2だと分かるでしょう。

第28回の問題は,
1 同調
2 内集団バイアス(内集団ひいき)
3 無難な方向に動く場合 ➡ コーシャスシフト 危険な方向に動くこと ➡リスキーシフト
4 凝集性
5 集団規範

第30回の問題

1 社会的ジレンマ
2 ピグマリオン効果
3 傍観者効果
4 同調
5 コーシャス・シフト

重なっているのは,同調及びコーシャス・シフトです。

しかもいずれも間違い選択肢です。消去はできますが,1~3は,過去3年間の過去問の知識では選べません。

これが「少しずつ重なっている」の意味です。

少しずつ重なっていますが,正解選択肢は出題されていません。

第26回と第28回といった関係にある問題もありますが,それは本当にわずかです。

過去3年間の過去問で合格できる,ということをアドバイスするなら,完璧にその証拠を示してもらいたいです。

国試問題は,

少しずつ重なって出題されて,少しずつ形を変えて出題されます。

それに対応するためには,過去問を分析して作られている参考書です。

現行カリキュラムの過去問で出題された内容は押さえられています。

過去問で,合格するためには,同じ分量の過去問が必要です。

しかし,理論系科目はそれで対応できますが,法制度は対応できません。

もし,学校で新しい法制度に修正して,過去問を提供してくれているなら,それは使えます。積極的に活用しましょう!!

私たちは,国試問題のデータを豊富に持っています。

過去問をよく知っていると

3年間の過去問を3回解けば合格できるよ

といったことは,恐ろしくて,口に出すことはできません。

第30回・問題11は,過去問だけの知識で正解するためには,第22回・問題9の知識が必要です。



2018年2月24日土曜日

過去は未来につながっている~第20回国試から

前回は,入手できる国試問題の中で最も古い第3回の問題を紹介しました。今と似たような問題,ぜんぜん違う問題がありました。

国試問題は毎年少しずつ形を変えていきます。

過去問は大切ですが,過去3年の過去問では戦えないことは明白です。

それにも関わらず,3年間の過去問を3回解けば合格できるという都市伝説が今も健在なのかがどうも納得できないのです。

チームfukufuku21は,その理由をプラスアルファ,別な言い方をすれば,ブラックボックスの部分があることを見落としているのではないかと見ています。

プラスアルファの部分,あるいはブラックボックスの部分とは,「問題を読み解く力」なのだと思います。

これはみんなが同じく持っているわけではありません。

過去問を解くのは,「問題を読み解く力」をつけることに他ならないと思います。

過去問の知識だけで合格しようと思えば,7年分以上の情報量は必要です。

なぜなら,4年周期で出題されるものも多いからです。

第31回の4年前は,第27回。第27回の4年前は第23回。

しかし実際にこれだけの情報を取る苦労を考えれば,参考書に頼った方が賢明です。

古本屋さんで古い過去問を買っても,ほとんど使えません。

なぜなら,毎年1~2割程度の問題は制度が変わっているからです。

さて,もう一つの節目である第20回国試問題を紹介します。

問題51 社会集団の概念に関する次の記述のうち,適切なものに〇,適切でないものに×をつけなさい。
A ゲマインシャフトとは,管理社会の中で孤立化した人々が人工的に組織する集団である。
B リファレンス・グループとは,個人の態度形成や意思決定の準拠フレームとなる集団である。
C アソシエーションとは,そのメンバーによって,特定の関心や目標の実現を目指そうとする集団である。
D プライマリー・グループとは,生計を成り立たせる上で不可欠な集用であり,主として職場集団のことである。

問題52 「団塊世代」に関連する次の記述のうち,適切なものに〇,適切でないものに×をつけなさい。
A 団塊世代が高校に進学する年齢に達した昭和40年代初頭(1960年代半ば)以降,我が国では,電気洗濯機や電気冷蔵庫などの家庭電化製品の普及率は急激に上昇した。
B 団塊世代が大学に進学する年齢に達した昭和40年代半ば(1960年代末)以降,我が国の大学進学率は目立って上昇した。
C 団塊世代は,被用者になるものが多く見られたため,我が国の就業人口に占める自営業の割合を減少させる一方,被用者の割合を増加させた。
D 団塊世代は,進学・就職時に3大都市圏以外に移住した者が多く見られたため,我が国では3大都市圏に居住する人口比率が低下傾向をたどった。

問題53 マスメディアの特徴に関する次の記述のうち,適切なものに〇,適切でないものに×をつけなさい。
A マスメディアは,オリジナルなコンテンツを複製し流通させる機能をもつ。
B マスメディアは,読者や視聴者にステレオタイプをもたらす疑似環境となるリスクをもつ。
C 一方通行的な性格の強い電子メディアとは異なり,マスメディアは双方向的なコミュニケーションが可能である。
D マスメディア集中排除原則とは,表現の自由と言論の多様性を確保するためのものである。

問題54 家族に関する次の記述のうち,最も適切なものを一つ選びなさい。
1 進学や就職のために別居している人は,家族には含まれない。
2 我が国では,住民基本台帳の記載は家族を単位として行われる。
3 我が国の民法では,扶養義務の範囲は1親等内の親族に限られている。
4 核家族とは,一組の夫婦のみによって構成される家族である。
5 定位家族とは,子どもが生まれ,社会化される場としての家族である。

問題55 高齢者介護と家族の機能に関する次の記述の空欄A,B,Cに該当する語句の組み合わせとして,正しいものを一つ選びなさい。

 かつては介護を必要とする家族成員に対して,家族内の性別役割分業に基づく女性による(  A  )が現在よりも一般的であったが,家族の介護機能の縮小につれて,介護の(  B  )が進行した。我が国でも介護保険制度の導入以降,高齢者介護が家族以外の従事者によって担われる機会が増加している。
 ケアの提供においては,身体的な世話をすることと,相手を思いやることが大切であるが,介護の(  B  )が進行する中,(  C  )側面と情緒的側面のどちらか一方だけに陥らない工夫が必要である。
     A         B       C
1 フォーマルケア-------------社会化-----------手段的
2 インフォーマルケア---------個人化-----------表出的
3 インフォーマルケア---------社会化-----------手段的
4 フォーマルケア-------------個人化-----------手段的
5 インフォーマルケア---------社会化-----------表出的

問題56 感情社会学アプローチによる感情に関する次の記述のうち,適切でないものを一つ選びなさい。

1 個人の特定の感情は,権力や地位など特定の社会関係に応じて喚起される。
2 どのような種類の感情をどれだけ持続するかは,社会的な影響を受けることなく,個人の主観に任されている。
3 カウンセラーやセラピストなどの専門家がどのような視点や方法で感情を扱うかは,私たちの日常的な感情のあり方に影響をもたらす。
4 特定の職業活動では,その目的実現に適合的な感情の管理が,労働者に要請される。
5 現代人は感情に非常にセンシティブで,それに大変こだわったり,囚われたり,あるいはそれを大事にして生きている。

問題57 国土づくりに関する次の記述の空欄A,B,Cに該当する語句の組み合わせとして,正しいもの-一つ選びなさい。
 我が国の国士づくりの長期的指針となる(  A  )は,昭和37年に初めて策定されて以来,これまで5次にわたり策定されている。平成10年に決定された第5次(  A  )では,(  B  )による国土づくりが新たな指針として示された。しかし,人口減少時代を迎えつつある中,開発基調・量的拡大を志向する(  B  )は時代に合わなくなってきた。そのため,これまでの(  A  )に代えて,新たに(  C  )を策定することとなった。(  C  )の基本理念の中には,「地域社会の自立的な発展」「活力ある経済社会」「国民生活の安全」「豊かな環境」といった方向性が示されている。

A          B         C
1 社会資本整備重点計画----------参加と連携------------国土保全計画
2 社会資本整備重点計画----------定住構想--------------国土形成計画
3 社会資本整備重点計画----------参加と連携------------国土形成計画
4 全国総合開発計画---------------定住構想-------------国土保全計画
5 全国総合開発計画---------------参加と連携-----------国土形成計画

問題58 地域社会のとらえ方に関する次の記述のうち,適切なものに〇,適切でないものに×をつけなさい。

A 「家連合」とは戦前農村での家々の相互補完的な関係を表現したものであるが,家同士の垂直的結合である「組」と水平的結合である「同族」の2つの形態がある。
B 「自然村」とは,人為的に制定された「行政村」に対置して提示された概念であり,「村の精神」によって統合された社会的統一としての村落を意味する。
C 我が国の大方の地域社会にみられる町内会の特徴として,加入単位は個人である点や入会・退会が自由である点が挙げられる。
D 「都市的生活様式」は「村落的生活株式」に対置される概念であり,専門処理システムへの高度な依存を特色とする社会的共同生活を意味する。

問題59 社会調査の倫理に関する次の記述のうち,正しいものに○,誤っているものに×をつけなさい。
A 調査活動は,常に「調査される側」よりも専門的な「調査する側」の立場から行われなければならない。
B 調査者は,調査対象者の求めに応じて,調査データの提供先と使用目的を知らせなければならない。
C テープレコーダーなどの記録機材を使用した記録は,内容の一貫性を保持する必要から,調査対象者の要請があっても破棄・削除してはならない。
l〕調査者は,調査対象者を,性別・年齢・出自・人称・エスニシティ・障害の有無などによって差別してはならない。

問題60 近代の組織類型の一つとしてヴェーバー(Weber,M.)が取り上げた「官僚制」の特色に関する次の記述のうち,適切でないものを一つ選びなさい。
1 規則によって,権限が秩序づけられている。
2 上下関係がはっきりした職階制を採る。
3 秘密主義である。
4 職務が専門化する。
5 文書による事務処理が行われる。

この問題は,社会学(現在のカリキュラムでは社会理論と社会システムに該当)です。

今も通用する問題は,社会集団,家族,社会調査,ウェーバーだけです。

この科目が難しいのは,昔も今も同じです。

この当時は,心理学,社会学,法学の3科目は勉強するのを捨てて,すべて3か4をマークする(すべてが大切)といった技法が使えました。

変に勉強して,0点を取るよりは,確実に点数を取ることができたからです。

第20回の国家試験が行われた年には,すでに新しいカリキュラムは明らかになっていたので,実は少しずつ,新しい国試に関連する問題を出題していたのです。

その一つが社会調査です。それまでも社会調査は,社会学,あるいは社会福祉援助技術(現在の相談援助に相当)では出題されていましたが,本当に意識して出題されたことがよく分かります。


国試は毎年少しずつ形を変えて出題されます。

あと数点の壁はそんなところから生まれます。

問題を解くのは,問題を読み解く力をつけることに他なりません。

内容を覚えるだけでは,あと数点を取るための力はつきにくいと言えます。

分からなくても分からないなりに思考を動かして,推測することを心がけましょう。
最後の最後は,その力が大きな意味を持ちます。


2018年2月23日金曜日

今まで30回行われた社会福祉士国試を振り返る~新しいスタートに向けて

社会福祉士の国家試験は,今まで30回実施されています。

30回って結構すごい歴史だと思います。


1990年 福祉関係八法改正

2000年 社会福祉法

大きな福祉のうねりを経験してきて今があるのだと思います。

私たちが入手できる国家試験問題は,平成3年の第3回が最も古いものになります。

その理由は,第1・2回の問題は,非公開だからです。

初期の問題と現在の問題が全く違うと感じるのは,設問が長いということです。

設問の中に,さまざまな説明を入れているのです。


第3回・問題56 

保険と呼ばれる制度は,私的・私営と公的・公営の分類の中間にあって,私的・公営のもの,または公的私営のものまである。これら保険が仕組まれて実施されるためには,いくつかの要件が必要とされるが,その代表的なものに関する次の記述のうち,誤っているものを一つ選びなさい。


設問を読むだけで面倒になりそうですね。ここに当時の試験委員の苦労を感じます。


1 生活保障(生命保険の場合)又は損害填補(損害保険の場合)の制度としての保険が社会的制度として成り立つためには,支払われた保険料と給付される保険金との間での経済的価値計算が正しくなされるための保険数理が把握されていなくてはならない。 

正しい


2 保険は貨幣を長い期間の中で操作して,生活保障や損害填補を最も必要とする者に,最も必要とする時に,できるだけ過不足なく行うための制度であるから,どうしても収支や財政の健全化を図らなければならず,そのために再保険の制度,資金の高率運用に努めるのみならず,すべての保険には最終的な国家の財政保証があるのである。

 間違い


3 保険には,間接的には生産性の刺激や向上への効果もあるが,直接的には災害や災難または不幸な事態や好ましからざる事態の発生に備えつつ,結果の事後処理を果たすものである。保険が活用され,この効用を発揮するためには,なんとしても社会並びに個人の拡大再生産的経済余力が存在していなければならない。


正しい


4 いずれの保険であれ,それは一種の長期に亘る約束事とみることができる。所定の条件と内容を事前に示し合い,この所与の条件を満たした時に保険金支払いや保険給付がなされることになる。この関係を,契約を結ぶという手続きによって確定し,明確にしておく必要があり,ここに法律的な要件が濃厚に保険制度に持ち込まれる理由がある。


正しい


5 保険は国民大衆,一般庶民の生活に関わる制度であるといっても過言ではない。しかも保険金支払いや保険給付がなされる時は,それを受ける者の極めて落ち込んだ時期とされるであろう。保険料は人々の生活の切りつめの中から支出される場合が多いことも考え万事に支障が生じては絶対にならない。そこで関係行政当局による厳しい規制,監督・指導・統制等の保険行政が展開される必要がある。 


正しい

設問も長ければ,選択肢も長い。最新の国試問題を知っている人なら,なんという周りくどいものなのだろう,と思うことでしょう。

それでは,次は第10回国試です。

第10回・問題3

次の人物と,その働きの場と業績との組み合わせのうち,誤っているものを一つ選ぴなさい。

1 浅賀ふさ--------聖路加国際病院---------医療社会事業

2 留岡幸助--------家庭学校---------------感化事業

3 糸賀一雄--------近江学園-----『この子らを世の光に』

4 片山 潜--------キングスレー館---セツルメント事業

5 小河滋次郎-----岡山県------------------方面委員制度


今度は,文章なし。

単なる組み合わせ問題です。

この時代なら,単語カードに書き込んた知識で対応できたことでしょう。

この時はまだ精神保健福祉士の資格がなかった時代です。

間違いは。選択肢5。岡山県は済生顧問制度。

もう一問

第10回・問題82 ソーシャルワークにおけるスーパービジョンの機能として,教育的機能,管理的機能に加えて強調されるものはどれが。次のうち,最も適切なものを一つ選びなさい。

1 評価的機能

2 相談的機能

3 治療的機能

4 支持的機能

5 モニタリング機能

第30回と比べてみましょう。


第30回・問題115 ソーシャルワークにおけるスーパービジョンに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 スーパーバイジーとは,スーパーバイズする立場の人のことである。

2 意義は,クライエントへのサービスの質,専門性の質などの維持・向上を図るために業務の振り返りを促すことにある。

3 管理的機能とは,スーパービジョン関係を用いて情緒的・心理的な面をサポートすることである。

4 支持的機能とは,専門職としての知識・技術・価値・倫理を習得させることである。

5 教育的機能とは,業務遂行が可能になるように適切な業務量などに目配りすることである。

この問題も近年の国試問題の中では,難易度が低い問題だったと思いますが,第10回のような単語帳に書き込んでその知識で解ける問題ではないことが分かるでしょう。

この辺りが,今の国試は,思考を動かした勉強が大事だと思う根拠です。

第3回国試の問題から一問

第3回・問題81 社会福祉協議会に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 福祉活動指導員は,市町村社会福祉協議会に配属され,地域福祉の推進にあたる。

2 1962(昭和37)年に策定された「社会福祉協議会基本要項」は,社会福祉協議会の運営に関する官民一体の原則を明記した。

3 市町村社会福祉協議会の法制化は,在宅福祉サービスが実体化してきた1975(昭和50)年に社会福祉事業法が改正されて行われた。

4 市町村社会福祉協議会は,法律により,当該市町村区域内の社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加するものでなければならない。

5 日本の社会福祉協議会は,国民の慈善意識の高揚と富国強兵を補完するために,1908(明治41)年,内務省により設立された。

第30回国試でも出題されているものが散見されています。出題されていないものは,福祉活動指導員だけです。

正解は,選択肢4。

いつまでも使える知識は「今」のものではなく,スタンダードなものだと言えるでしょう。


試験問題は,変わるものと変わらないものが組み合わさって出題されています。

しかし,少なくとも3年間の過去問を完璧に覚えて合格できるような試験ではないことは間違いありません。

じっかり最近の試験問題にアジャストして,無駄な勉強をせず,確実な知識にしていってくださいね。

これからまた1年かけてお伝えしていきたいと思います。

第31回国試は,今までの出題の歴史を踏まえて,新しい時代への幕開けとなることでしょう。

新しいことを学べるのは,とても楽しいことです。




2018年2月22日木曜日

国試における「貧困」の出現数の年次推移~社会福祉士国試は時代を映す鏡です!!

現在,社会福祉士を目指す方は,介護保険制度に関連した介護支援専門員などが多いと思います。

介護保険が出来る前は,高齢者介護は,社会福祉制度である老人福祉法によって行われていました。

介護保険が出来た時は,「介護の社会化」というキーワードが盛んに使われましたが,社会保障制度上は,低所得者層を対象とする社会福祉制度から,一般所得者層を対象とする社会保険制度に変わった,ということはとても重要なことです。

介護保険関連に従事している方は,国試を通して,改めて社会福祉制度を学んでほしいと思います。

そういった意味で,前回紹介したような老人福祉法の変遷などが出題されるのだと思います。

本題です。

社会福祉士の国家試験は,平成元年に第1回が実施されています。

国家試験問題は,第1・2回は非公表(つまり持ち帰り不可)で実施されています。

公開されているのは,第3回国試からです。

第3回国試は,170問もあります。びっくりですね。

第4回から150問になり,現在に至ります。

国試が始まった平成元(1989)年は,バブル景気の中で行われています。

平成元年の保護率はわずかに8パーミル程度です。

社会福祉士国家試験で「貧困」という言葉がどのように増減していると思いますか?

以下は,その結果です。

第3回 13回
第4回 5回
第5回 0回
第6回 1回
第7回 5回
第8回 0回(保護率が底だった年度。ここから保護率が上昇して来る)
第9回 3回
第10回 5回
第11回 4回
第12回 0回
第13回 1回
第14回 6回
第15回 6回
第16回 8回
第17回 0回
第18回 13回
第19回 12回(リーマンショックが起きた)
第20回 11回
第21回 6回

第22回 13回(現行カリキュラムの第1回試験)
第23回 16回
第24回 2回
第25回 8回
第26回 8回
第27回 22回(最多)
第28回 10回
第29回 16回
第30回 8回

これは,国試問題中に「貧困」という言葉が現れた回数を拾ったものです。

貧困問題そのものを取り上げた問題,といった別の切り口で調べると,また違ったものが見えてくるかもしれません。それは研究者に任せましょう。

この過程で分かったこと

初期の国試での貧困に関する出題

ブース,ラウントリーなどの貧困調査,あるいはタウンゼントの相対的剥奪など,古典的な貧困。


近年の国試での貧困に関する出題

社会的問題としての貧困を取り上げて来ている。


ここから見えてくるのは,約30年前は,貧困問題は過去のものであり,それから今の問題に変わってきたということです。

さて,第31回国試に関連して着目すべき第27回国試では,最も多い22回も出て来ています。


第27回国試における貧困に関する出題(一部)

問題22 

貧困及びニードのとらえ方に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 タウンゼント(Townsend,P)は貧困者には共通した「貧困の文化(culture of poverty)」があることを明らかにした。
2 リスター(Lister,R)は,「ノーマティブ・ニード」に加えて,「フェルト・ニード」を提案した。
3 ルイス(Lewis,O.)は,「相対的剥奪」の概念を精緻化することで,相対的貧困を論じた。
4 ブラッドショー(Bradshaw,J)は,絶対的貧困・相対的貧困の二分法による論争に終止符を打つことを目指した。
5 スピッカー(Spicker,P)は,「貧困」の多様な意味を,「物質的状態」,「経済的境遇」及び「社会的地位」の三つの群に整理した。

詳しい説明は,別の機会にすることにして,

正解は選択肢5です。

スピッカー(Spicker,P)は,「貧困」の多様な意味を,「物質的状態」,「経済的境遇」及び「社会的地位」の三つの群に整理した。

一見さんが正解になるのは,とても珍しいものです。

この時の一見さんは,第30回国試にも出題されたリスターと,第27回で正解になったスピッカーの2人です。

スピッカーとリスターはセットで覚えておきたいです。


スピッカー

「容認できない貧困」を中心に置いて,その周りに「物質的状態」「経済的境遇」「社会的地位」を配置しています。


リスター

「物質的欠乏」を車輪の軸にして,その周りの車輪として「非物質的欠乏」(社会的排除,スティグマなど)を配置しています。


もう一問


問題63 

貧困と格差に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 一人当たり可処分所得を低い順に並べ,中央値の半分に満たない人の割合を相対的貧困率という。
2 ジニ係数は,その数値が小さくなるほど,所得分布が不平等であることを表す。
3 タウンゼント(Townsend,P)は,栄養学の観点から科学的,客観的に貧困を定義する絶対的貧困の概念を主張した。
4 貧困の再発見とは,貧困線付近の低所得世帯より公的扶助世帯の方で可処分所得が上回ってしまい,いつまでも公的扶助から抜け出せないことをいう。
5 生活保護世帯の子どもが成長し,再び生活保護世帯になるという貧困の連鎖については,日本では確認されていない。

答えは,相対的貧困率の選択肢1です。


どちらの問題でも分かるように,古典的貧困と現代的貧困を並べて出題されているのが分かると思います。

古典的貧困は,ブース,ラウントリーらの「貧困の発見」,タウンゼントらの「貧困の再発見」が軸となります。

現代的貧困は,ポーガム,ピケティ,リスター,スピッカーらが出題されています。絶対に覚えておきたいのは,リスターの「車輪モデル」とスピッカーの「貧困の家族的類似」でしょう。

社会福祉士が真のソーシャルワーカーになるためには,制度の垣根を超えた複合的な問題を抱えたクライエントを理解することは欠かせません。

そのために,まずは現代的貧困をしっかり押さえていくことが大切です。


因みに第3回国試問題で出題された貧困に関連する問題はこれです。

第3回・問題9 

貧困水準に関する次の記述のうち,適切でないものを一つ選びなさい。
1 B.S.ラウントリー(Rowntree,B.S.)は,第1回のヨーク市調査において,その所得の総収入が肉体的能率を維持するための最低限を示す水準を,第1 次貧困線とか絶対的貧困線といっている。
2 B.S.ラウントリーは,第2次貧困線として,その収入が飲酒とか賭博などのように平常とは異なったものに消費されない限り,第1次貧困線以上の生活を送ることのできる水準を設定している。
3 B.S.ラウントリーは,第2回のヨーク市調査において,第2次貧困線を最低の社会生活を示すものとして捉え,第1次貧困線の代りに第2次貧困線で,貧困世帯を捉えることにした。
4 貧困水準を2つに分ける考え方は,チャールズ・ブース(Booth,C.)の第1次ロンドン調査のなかで示されている。
5 エンゲル(Engel,C.L.E.)の法則に示された家計に占める食費の割合は,貧困水準を示す有力な基準の一つとされている。


今はもうない「適切でないもの」を選ぶ問題です。

正解が「すぐにこれだ」と分かるものではなく,消去法で選択肢3が残る問題です。

間違いポイントは,第2回の調査では,第1次貧困線の設定は行っていない,というところらしいです。とても厳しい問題ですね。

この当時は,試験委員もどのように出題したらよいのか,模索していたのではないでしょうか。

受験生にとっては,参考書が充実していない時代ですから,ものすごく難しかったものと思います。

合格率はわずか20.6%。受験者数も少ないですが,見事合格をつかみ取ったのは,全国でわずか528名です。


第3回国試は,問題数は多いし,マニアックな問題は出題されるし,ものすごくハードな試験だったことでしょう。

今は,30回も国試が実施され,どんなところをチェックしておけば良いのか,何を覚えたらよいのか,それらはよく分かります。

マクロ的な視点を持つと,国試ではとても強いです。

チームfukufuku21は,独自の視点でそれを伝えていきたいと思っています。

平成の時代に生まれた国家資格を,次の時代につなげていけるようにみんなで頑張っていきましょうね!!

2018年2月21日水曜日

第31回国試に合格する勉強法~歴史編

年号を覚えるのが苦手

人名とともに,歴史を覚えるのが壁になっていると思う受験者は多いと思います。

社会福祉士の国家試験でも歴史に関する問題は出題されます。

しかし覚えるべきものは,年号ではありません。

年号を覚えて得点できる問題はほとんどありません。

社会福祉士の国試は,歴史の試験ではありません。

覚えるポイントは,年号ではなく内容です。

例えば・・・

べヴァリッジ報告=1942年

これで解ける問題は皆無です。


第27回・問題23

社会的リスクに関する次の記述のうち,「ベヴァリッジ報告」で想定されていなかったものを1つ選びなさい。

1 疾病により労働者の収入が途絶えるおそれ

2 勤務先の倒産や解雇により生計の維持が困難になるおそれ

3 老齢による退職のために,稼働収入が途絶えるおそれ

4 保育や介護の社会化が不充分なため,仕事と家庭の両立が困難になるおそれ

5 稼得者の退職や死亡により被扶養者の生活が困窮するおそれ


べヴァリッジ報告=1942年

単語カードに書いて覚える人もいることでしょう。

この覚え方をすると歴史な関する問題は,ほとんど対応できないと思います。

この問題の詳しい解説は,また別の機会にしますが,必要なのは,年号を覚えることではなく,大体いつの時代なのか,を押さえることです。

1950年代,60年代,70年代,80年代,90年代,2000年代といったようなものです。

制度別で覚えていくとつながらないものも,ポイントを押さえれば必ずつながっていきます。

話は戻って,べヴァリッジ報告は,第二次世界大戦中に出されたものです。

ドイツのファシズム(全体主義)に対抗するために,イギリスが「生まれてから死ぬまであなたの生活を国家が支えます」というスローガンを掲げたものです。

ドイツとイギリスのどちらが戦士の士気が上がるかを考えたら,やっぱりイギリスですよね?

話は戻って,この問題の答えは

4 保育や介護の社会化が不充分なため,仕事と家庭の両立が困難になるおそれ

その時代と今では何が変化しているのかを考えることが求められる問題です。


国試が終わると

「今年の問題の傾向は変わったね」

という声が必ず聞かれます。

国試は,毎年ちょっとずつ出題の形を変えられて出題されますが,それは毎年のこと。

傾向が変わったのではなく,毎年ちょっとずつ変えて出題されている例年と同じスタイルだったね

が正しい表現です。


第30回・問題131

高齢者に関わる保健医療福祉施策に関する次の記述のうち,施策の開始時期が最も早いものを1つ選びなさい。

1 老人福祉法による70歳以上の者に対する老人医療費支給制度

2 老人保健制度

3 老人福祉法による65歳以上の者に対する健康診査

4 介護保険制度

5 高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)


老人福祉法 1963年

老人医療費無料化 1973年

といった覚え方では対応できません。

その施策の内容を覚えることが必要です。

答えは,

3 老人福祉法による65歳以上の者に対する健康診査

この問題で得点できた人は,本当に少ないです。

こんな問題を見せつけられると

年号を覚えなきゃ

と思う人も出てくることでしょう。

これが試験委員が仕掛けるトラップです。



<今日の一言>

年号だけを覚えて解ける問題は皆無です。

必要なのは,施策の内容を覚えることです。


歴史の試験ではなく,社会福祉士の試験であることを忘れてはなりません。

歴史問題に見せかけて,実は法制度の問題なのです。


2018年2月20日火曜日

合否を分ける数点の差を克服する勉強法~第31回国試で合格するために

社会福祉士の国試で重要なのは,法制度をしっかり覚えることです。

結局は,最後の1点,2点は,法制度をしっかり押さえていることにかかっていることが多いという事実があります。

国家試験の勉強をする時,参考書を使うことが多いと思います。

多くの参考書は,国家試験の出題順に沿って,科目が並んでいます。

①人体の構造と機能及び疾病~⑲更生保護制度

という順番です。

法制度が出てくるのは,「④現代社会と福祉」以降です。

本格的に法制度が出てくるのは,「⑥福祉行財政と福祉計画」からです。

この科目から「⑪権利擁護と成年後見制度」まで法制度の科目がずらりと並びます。

つまりこの辺りの科目に時間をかけて,得点力を上げていくことが,合格をつかむためのポイントとなります。

前半の科目で時間をかけすぎて,法制度にとりかかるのは,秋になった,ということだけは絶対に避けなければなりません。

国試の実施は2月上旬です。
そこから逆算して,学習計画を立てていきましょう。

学習のコツは,一つのものに時間をかけるよりも,何度も繰り返していくことです。

法制度は,多領域でも同じように制度設計されているものが多いので,何度も繰り返していくことで,どんどんつながっていきます。

2018年2月19日月曜日

第31回社会福祉士の国試に出題される法制度

6月くらいまでの制度改正は出題されるよ

こんな話を聞くと,4月の制度改正を押さえておかなければならない,と思うでしょう。
確かに出題されることはあります。

第29回国試では,6月に改正された発達障害者支援法の発達障害者の定義が出題されました。

しかし,150問あるうちに,さいしんの法制度改正が出題されても,1問か2問です。

出題されない年もあります。

第30回国試では,平成28年10月の民法改正(成年後見制度)が一問出題されていますが,1問まるごと出題されたのはそれだけです。

法制度系科目は,高齢者に対する支援が10問で,そのほかは7問です。

変わったところが出題されるよ

7問の科目は,民法改正(成年後見制度)の出題で分かるように,重要な改正ならすぐ出題されることはありますが,小さな改正は,限られた問題数の中では,出題するほどの余裕はありません。

変わったところを出題するほど余裕はありません。

そこが,法制度を知らなければ仕事ができない介護支援専門員の試験とは違うところです。

第30回国試の保健医療サービスでは,平成28年の診療報酬改正が出題されたので,とても難しく感じたことでしょう。

しかし,これは第29回では出題されてはいません。

そこを考慮すると,平成30年の診療報酬改定は第31回国試では出題されそうもないと予測できます。

確かに先述のように,平成28年6月改正のものが第29回国試に出題されています。

しかし,たった1問です。

1点2点が合否を分けることはよくあります。

しかし,150問を分析すれば,誰もが解ける問題をしっかり得点することが合格への近道であることが分かります。

合否を分ける数点の差は,「後から読めば答えが分かった」という問題をいかに少なくするかにかかっていることは間違いありません。


<今日のまとめ>

確実に正解したい問題で正解できることが,合否を分ける1~2点につながります。

今出ている参考書の情報で十分戦えます!!

第31回国試に出題される法制度は,平成30年に改正されるものはほとんど出題されないからです。

以前から決まっている4月の制度改正は,すでに昨年版の参考書にも掲載されています。

社会保障には,マクロの視点とミクロの視点があります。

すぐ出題されるのは,マクロの視点のものです。

例えば,第30回の国試では,国民年金の受給資格期間の短縮について出題されています。

社会保険制度では,根本の部分です。

市町村国保の保険者に都道府県も加わるのは,マクロ的に極めて重要です。






2018年2月18日日曜日

社会福祉士の国家試験で合格できる覚え方~人物編(外国)

第30回で出題された外国人は以下の通りです。

科目
問題
人名
過去の出題実績
心理学理論と心理的支援
10
ビネー(知能検査)
35791217192030
12
ピアジェ(発達理論)
3101117182230
社会理論と社会システム
17
ウェルマン
(コミュニティ)
242830回に出題
現代社会と福祉
22
ロールズ(正議論)
232830
27
ブレア(イギリスの福祉政策)
212223252630
30
貧困
ポーガム
初出題
タウンゼント
41014192223262730
ピケティ
初出題
ラウントリー
3471819212223262730
リスター
2730
相談援助の基盤と専門職
95
ノーマライゼーション

ソロモン
1315161720212223242630
バンク-ミケルセン

612131623242630
ヴォルフェンスベルガー
1230
サリービー
162230
ニィリエ
232630
相談援助の理論と方法
100
ソーシャルワーク理論
リッチモンド
4578910111314151617192023242527282930
ロビンソン
(&タフト)
48212630
ピンカス
(&ミナハン)
1121262730
102
課題中心アプローチ
リード
(&エプスタイン)
15192124252830


第30回で出題された外国人は以上です。

実は人名にかかわる出題は,第22回以降の現行カリキュラムによる国試では,出題があまりされなくなってきています。

人名そのものを問われるよりもその内容を聞かれるものが多い傾向にあります。

もちろん,人名に関する問題でも得点できた方が良いに決まっていますが,参考書に載っている人名のほとんどは一見さんです。

多くの一見さんは,3回目くらいの出題でようやく正解選択肢にさせてもらえる(常連さんへの格上げ)のです。

一見さんが正解になる場合は,そのほかは常連さんで固められている場合が多いです。

逆の言い方をすると,常連さんは正解になることが多いということです。

今年の問題では,以下がいかにもそうです。

問題28

貧困に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ポーガム(Paugam,S)は,車輪になぞらえて,経済的貧困と関係的・象徴的側面の関係を論じた。

2 タウンゼント(Townsend,P)は,相対的剥奪指標を用いて相対的貧困を分析した。

3 ピケティ(Piketty,T.)は,資産格差は貧困の世代間連鎖をもたらさないと論じた。

4 ラウントリー(Rowntree,B.S)は,ロンドン市民の貧困調査を通じて「見えない貧困」を発見した。

5 リスター(Lister,R.)は,社会的降格という概念を通して,現代の貧困の特徴を論じた。

正解は,タウンゼント

ポーカムとピケティの一見さんで,常連さんのタウンゼントを取り囲んでいるというスタイルです。

ポーカムを見た時点で,多くの受験生は頭が真っ白になったことでしょう。

試験委員が仕掛けたトラップです。

冷静に問題を読めた人はタウンゼントにたどりつけたことでしょう。


「後から問題を読んだら解けた」という典型的な問題です。

後から解けても,試験会場で解けなければならないのは言うまでもありません。

試験会場で解けないのは,試験委員がトラップを仕掛けていることに他なりません。

過去問を何度も解くことの意味は,こういうところに気がつくことです。

夏になれば,各社が出す参考書には,一見さんが載ってきます。

そのあとに問題を解くとどれも見慣れた人になってしまいます。

国試では,どんなに勉強しても知らない問題は出題されます。

それを潜り抜けて,正解をつかむのは,いろいろ推論することが欠かせません。

国試のほとんどの問題は,法制度に関するものです。

一見さんの人名に時間をかけすぎて,本来勉強すべき法制度の部分がおろそかになるような勉強法は絶対に避けなければなりません。


今日の問題を簡単に解説すると

ポーカムとリスターが逆になっています。ピケティは,資産家と中級階級以下の資産格差はどんどん広がっていくと考えました。

しかし,そんなところには答えはないのです。

(2018/12/15追記)

過去問をよくよく見てみれば分かりますが,国試のロジックは確実に存在します。

そこに気がついた人は,勉強がすすんでいる証拠です。本番でも点数が取れることでしょう。

過去問を知識をつけるために使っている人は,合格するのは難しいように思います。使い方が間違っています。

解説文が長い過去問題集は危険です。たった1行の国試問題を長々と解説としていますし,国試に必要ではない情報も書かれている恐れがあるからです。

過去問を使った学習は,国試を解くためのセンスをつけるためのものです。たった3年間の過去問では合格に必要な知識は不足します。それでもなお,過去問を解く意味があるのは,センスをつけることがすべてと言っても良いのではないでしょうか。

知識+センスで国家試験を突破しましょう!!

2018年2月17日土曜日

社会福祉士の国家試験で合格できる覚え方~人物編(日本)

人物の名前を覚えるのが苦手

多くの人が感じています。

特に外国人の名前を覚えるのは,面倒だと思います。

しかし,多くは一見さん

参考書を見るとたくさん覚えないといけない,と思うかもしれません。

2回以上出題されているのはとても少ないです。

試験委員は,本当に留岡幸助が好きなんだと思います。

第30回国試では,実に2回も出題されています。

今年は,糸賀一雄の人物紹介がありましたが,かつては,留岡幸助の手記が出題されて,この手記を書いたのはだれ?

なんて出題もあったくらいです。

常連さんは,本当に少ないです。

しかも,答えは常連さんに置かれることがほとんどです。

福井達雨(ふくい・たつう)さんは,国試では初めて出題されましたが,まだご健在の方です。きっと糸賀一雄たちと同じく後世に語り継がれていく人になることでしょう。

因みに知的障害児施設「止揚(しよう)学園」の創立者です。

留岡幸助の手記に関する出題

第19回・問題103 以下の文章は,著者自身が行ってきた実践の内容について記述したものである。この文章の著者として,次のうち,正しいものを一つ選びなさい。

 人間社会で悪くなった者を人間の多い社会で善くするという事は極めて難しい…。…葱は不良少年に作られたからというて,汝が作るのだから成長してやらないとは申しますまい。不良少年といえども正直に労働さえすれば必ず好く出来るに違いない。そこで不良少年は考えるであろう,人間は我を不良少年として取り扱うけれども,馬鈴薯や葱は我を不良少年と見て居らぬと見える,いかんとなれは骨折りて労働さえすれば馬鈴薯も葱も善く出来ると,しかして…不良少年も大いに面白味を感じて仕事に精出すようになります,これがすなわち自然の感化であります。

 …私は同じ主義方針で巣鴨の地で少年を教育しましたが,…自然の背景の下で少青年を教育してみたいというので,北海道…の原生林に一千町歩の土地払い下げを出願し,遂に大正3年7月の下旬移住することにしました。

(注)日本図書センター発行の「人間の記録」シリーズの約82巻より抜粋。
 なお,原典である『自然と児童の教養』(大正13年刊行)の文章が一部変更されている。

1 石井十次
2 石井亮一
3 野口幽香
4 留岡幸助
5 高木憲次


答えは,留岡幸助です。

この問題を見た人は,度肝を抜かれた思いだったでしょう。

この問題のポイントは,巣鴨と北海道です。特に北海道の施設が出題されるのは,北海道家庭学校しかありません。

別な言い方をすれば,北海道なのに留岡幸助以外の名前が出てきたら間違いだと判断できます。

この問題では,第30回国試でも出題された高木憲次の名前があります。

日本人の常連さんの出題は以下の通り。

 
留岡幸助
石井十次
石井亮一
野口幽香
糸賀一雄
家庭学校
岡山孤児院
滝乃川学園
双葉幼稚園
近江学園
3
 
4
 
 
 
5
 
 
 
6
 
 
 
7
 
 
 
 
 
8
 
 
 
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これらで,すべての人たちが出題されている回は,第21回と第26回です。

第26回・問題138

1 高木憲次は,愛知県北西部から岐阜県下にかけて大きな被害をもたらした濃尾大震災の孤児を救済するために,光明学校を設立した。

2 留岡幸助は,少年教護法の制定後,非行少年の教護事業を目的とした家庭学校を東京巣鴨に設立した。

3 石井亮一は,アメリカの発達保障の理論を持ち帰り,近江学園を設立した。

4 山室軍平は,イギリスのバーナード(Barnard,T.)が建てたビレッジ・ホームを模した小舎制のキングスレー館を設立した。

5 野口幽香は,貧困家庭の子ども等,不幸な境遇にある子女に対して幼児教育を行うために,二葉幼稚園を設立した。

この問題の解説はこちら

 ↓   ↓


この問題では,またまた高木憲次が出題されています。

しかし,高木先生は残念ながら,間違い選択肢としてしか出題されない存在です。高木先生は,日本初の肢体不自由療育施設の整肢療護園の初代理事長を務められました。彼はこの功績で「肢体不自由児の父」と呼ばれています。

高木先生が出題されたのは,第19・26・30回です。次に出題されることがあると,第34回以降ということになるのではないでしょうか。


<今日のまとめ>

本当に覚えなければならない人物は本当に一握りです。

石井十次石井亮一が覚えられないという人もいるでしょう。

それらの人物をもしどうしても覚えられないというのでしたら,ネットで調べてみるのも一つの手です。

その人の生きざまが見えてきます。写真などもあるので,しっかり頭に残ります。

今なら時間がたっぷりあるので,こういうところに時間がかけられます。

石井十次石井亮一は,どちらも参考書では並んで書かれていると思いますが,出題回数は全然違います。

石井十については,彼のスポンサーだった大原孫三郎まで出題されています。

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