学問を学ぶのではなく,クライエント支援のために必要な知識を学ぶという目的があったものと思います。
しかし,次のカリキュラムではどちらの科目も「学」がついて,統一されています。
さて,それでは早速見ていきましょう。
ねらい(目標)
|
①現代社会の特性を理解する。
②生活の多様性について理解する。
③人と社会の関係について理解する。
④社会問題とその背景について理解する。
|
教育に含むべき事項(内容)
教育に含むべき事項
|
想定される教育内容の例
|
||
①社会学の視点
|
1社会学の歴史と対象
|
・社会学の発展と対象
|
|
②社会構造と変動
|
1社会システム
|
・社会システムの概念
・文化・規範,社会意識,産業と職業,社会階級と社会階層,社会指標
|
|
2組織と集団
|
・社会集団の概念
・第一次集団,第二次集団
・組織の概念,官僚制
・企業,学校,病院,施設(全制的施設),NPO
|
||
3人口
|
・人口の概念
・人口構造,人口動態,人口減少,人口問題,少子高齢化,超高齢社会
|
||
4グローバリゼーシ
ョン
|
・国境を超える移動(人・モノ・資本・情報等)
・エスニシティ,移民,多文化,国籍
・グローバル・エイジング
|
||
5社会変動
|
・社会変動の概念
・近代化,産業化,情報化
|
||
6地域
|
・地域の概念,コミュニティの概念
・コミュニティの再生,ソーシャルキャピタル
・都市化と地域社会,過疎化と地域社会,
中山間地域の課題
・地域社会の集団・組織
|
||
|
7環境
|
・気候変動
・環境破壊
・持続可能性
|
|
③市民社会と公共性
|
1社会的格差
|
・所得,教育,健康
|
|
2社会政策と社会問題
|
・福祉国家と福祉社会
・社会運動
・公共空間
|
||
3差別と偏見
|
・ラベリング理論,逸脱
・マイノリティ(LGBT等を含む)
・社会的排除,排斥
|
||
4災害と復興
|
・避難計画,生活破壊,生活再建
・災害時要援護者
・ボランティア
|
||
④生活と人生
|
1家族とジェンダー
|
・家族の概念,家族の変容
・世帯の概念
・男女共同参画
・ひとり親,子育て,介護,8050問題
・虐待,DV
|
|
2健康
|
・心身の障害,慢性疾患
・治療と仕事の両立
・依存症
・自殺
|
||
3労働
|
・ワークライフバランス
・女性の活躍推進
・正規雇用,非正規雇用
・失業
・過労死
|
||
4世代
|
・ライフステージ,ライフコース
・世代間交流
・個人化
・いじめ,ハラスメント
・社会的孤立と孤独
|
||
⑤自己と他者
|
1自己と他者
|
・相互作用,間主観性
・社会的自我
|
|
2社会化
|
・役割取得,アイデンティティ
・生涯発達
|
|
3相互行為
|
・シンボリック相互作用論
・親密性
・コミュニケーション(SNSを含む)
・ひきこもり
|
社会問題を理解する科目に変化しているのがわかります。
心理学と心理的支援は,ミクロの視点
社会学と社会システムは,マクロの視点
この2つの科目は切り口が違いますが,どちらもとても重要です。
この科目でびっくりなのは,
2社会政策と社会問題
|
・福祉国家と福祉社会
・社会運動
・公共空間
|
の部分です。
社会学という科目ではなく,社会政策と結びつけていることが特徴です。
実際にどのような内容になるのか,とても楽しみです。
現在のカリキュラムで国試が実施されるのは,第32~36回の5回です。
現在,受験資格を持っている人は,この期間での資格取得を目指しましょう。
新しい科目では,社会学の創始者であるコント,といった人名の出題もまた復活する可能性があります。