2019年7月28日日曜日

社会福祉法における社会福祉法人の規定

社会福祉法人は,社会福祉法に規定される特別法人です。

社会福祉法は134条ありますが,社会福祉法人に関する規定は,第22~59条です。
約3割を占めています。

社会福祉事業に関する規定は第60~79条です。
この2つを合わせると社会福祉法の半分を占めていることになります。

社会福祉法は,2000年(平成12年)に制定されたものです。
社会福祉法人及び社会福祉事業の分量が多いのは,この法律は1951年(昭和26年)の「社会福祉事業法」を改称して作られたことによります。

社会福祉法の背景や目的等は別の科目で学ぶとして,この科目では,社会福祉法人の具体的内容が問われます。

勉強を始める前に社会福祉法の社会福祉法人に関する部分は目を通しておきましょう。

最新の社会福祉法(e-gov)
 ↓   ↓
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=326AC0000000045#1374

それでは,今日の問題です。

第29回・問題119 社会福祉法人に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 第二種社会福祉事業の経営主体は,社会福祉法人に限られる。
2 社会福祉法人は,社会福祉事業の主たる担い手である。
3 社会福祉法人は,他の社会福祉法人と合併することはできない。
4 社会福祉法人の非営利性とは,収益を出してはならないという意味である。
5 社会福祉法人には,株式会社の法人税率と同じ税率が適用される。

近年の国試の問題の特徴は,「最も適切なもの」あるいは「適切なもの」を選びなさいという出題が多くなってきていることです。

以前は,こういった出題の多くは,事例問題に多く,一般的な一問一答式の問題にはあまり見られなかったものです。

多くは「正しいもの」あるいは「誤っているもの」を選びなさい,というものです。
問題の厳密性を高めること意味合いなのでしょう。

この問題の正解は,

2 社会福祉法人は,社会福祉事業の主たる担い手である。

です。

社会福祉法では,

(経営の原則等)
第二十四条 社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない。
2 社会福祉法人は、社会福祉事業及び第二十六条第一項に規定する公益事業を行うに当たつては、日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスを積極的に提供するよう努めなければならない。

と規定しています。

二項は平成28年改正で加わったものです。

社会福祉法人は,社会福祉事業を行うことを目的とした法人です。

社会福祉事業には,2種類あります。

第一種社会福祉事業と第二種社会福祉事業です。
第一種社会福祉事業は,国、地方公共団体又は社会福祉法人が経営することを原則としています。

第二種社会福祉事業は,実施主体は限定されていません。

これらで,社会福祉事業を主としているものは,社会福祉法人しかないことになります。


この問題が「最も適切なもの」として出題したのは,

4 社会福祉法人の非営利性とは,収益を出してはならないという意味である。

があるからです。

この選択肢のみが法制度に規定された内容ではありません。
そのために,「最も適切なもの」としての出題が必要だったと思います。

このように出題しないと,「あるコンサルタントは『社会福祉法人,収益を出してはなりません』と言っているので正解ではないのか」と考える人が出てきますし,不適切問題として指摘する人も出てくるかもしれません。
しかし一般的には,「非営利」という意味は,収益を分配してはならないという意味だとされています。

株式会社は,収益を「配当」という形で株主に還元します。そのため「営利法人」と言われます。

社会福祉法人には,収益の分配が認められていません。これが「非営利」という意味です。


<今日の一言>

社会福祉法では,

第四十八条 社会福祉法人は、他の社会福祉法人と合併することができる。

と規定しています。

参考書には,社会福祉法人は、社会福祉法人意外と合併することができない。

と記載していることでしょう。

法制度は読みにくいので,参考書を発行する会社が読み替えてくれているのです。
法律は読みにくいですが,法制度の問題に強くなるためには,法に慣れることは必要です。

何度も受験している人は,新しい発見をすることもできるでしょう。

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