2022年11月28日月曜日

プログラム評価と評価の構成要素

プログラム評価とは,目標を達成するためのプログラムの実施とその結果の因果関係を評価するものです。

 

プログラム評価の主な構成要素

ニーズ評価

プログラムの対象者のニーズを評価する。

セオリー評価

プログラムが目的を達成するものとして適切に設計されているかを評価する。

プロセス評価

プログラムを実施したプロセス(過程)を評価する。

アウトカム・インパクト評価

プログラムのアウトカム(成果)やインパクト(効果)を評価する。

効率性評価

投入したコスト(費用)に対して十分な成果があったのかを評価する。

 

今日の問題は2つあります。

 

まずは1問目です。

 

30回・問題29 福祉サービスのプログラム評価の方法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 サービスを提供する群と提供しない群に分けて比較する評価は行われない。

2 評価者は,評価指標の策定に当たり,利害関係者と協議してはならない。

3 評価の次元は,投入,過程,産出,成果,効率性である。

4 プログラムの効率性は,産出された物やサービスの量のことである。

5 科学的な評価研究の結果を,実際のプログラム運営管理に活用してはならない。

 

プログラム評価の内容がわからなくても消去法で正解できそうな内容です。

 

それでは,解説です。

 

1 サービスを提供する群と提供しない群に分けて比較する評価は行われない。

 

サービスを提供する群と提供しない群に分けて比較するのは,集団比較実験計画法といいます。

 

しかし,介入が必要なのに適切な介入をしないのは,倫理的に問題があるので,プログラムが終了した後には,本来必要だったサービスを提供することが必要です。

 

2 評価者は,評価指標の策定に当たり,利害関係者と協議してはならない。

 

プログラム評価は,抜き打ちの監査とは異なります。プログラム評価のうちのプロセス評価は,サービスの提供過程も評価します。

 

その時に,評価対象の人と協議して評価指標を作るとより適切なものとなります。

 

3 評価の次元は,投入,過程,産出,成果,効率性である。

 

とても難しいですが,これが正解です。

 

投入:プログラムに投入する予算・マンパワーなど

過程:プログラムの実施過程

産出:プログラムの実施によって得られたもの

成果:プログラムの目標に対する達成度合い

効率性:投入したものと成果の効率

 

こんな感じになるでしょう。

 

4 プログラムの効率性は,産出された物やサービスの量のことである。

 

産出された物やサービスの量のことは,産出にあたります。

 

5 科学的な評価研究の結果を,実際のプログラム運営管理に活用してはならない。

 

科学的に得られた評価手法は,妥当性の高いものと言えるので,活用できるなら活用します。

 

それでは,もう1問です。

 

34回・問題41 事例を読んで,N市社会福祉協議会の職員であるC社会福祉士が企画したプログラム評価の設計に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 N市社会福祉協議会は,当該年度の事業目標に「認知症の人に優しいまちづくり」を掲げ,その活動プログラムの一つとして認知症の人やその家族が,地域住民,専門職と相互に情報を共有し,お互いを理解し合うことを目指して,誰もが参加でき,集う場である「認知症カフェ」の取組を推進してきた。そこで,C社会福祉士は,プログラム評価の枠組みに基づいて認知症カフェの有効性を体系的に検証することにした。

1 認知症カフェに参加した地域住民が,認知症に対する理解を高めたかについて検証するため,ニーズ評価を実施する。

2 認知症カフェの取組に支出された補助金が,十分な成果を上げたかについて検証するため,セオリー評価を実施する。

3 認知症カフェが,事前に計画された内容どおりに実施されたかを検証するため,プロセス評価を実施する。

4 認知症カフェに参加する認知症の人とその家族が,認知症カフェに求めていることを検証するため,アウトカム評価を実施する。

5 認知症カフェが,目的を達成するプログラムとして適切に設計されていたかを検証するため,効率性評価を実施する。

 

この問題は,1問目よりもきっちり出題されています。4年の期間のうちにプログラム評価の内容が定まってきたのかもしれません。

 

それでは解説です。

 

1 認知症カフェに参加した地域住民が,認知症に対する理解を高めたかについて検証するため,ニーズ評価を実施する。

 

認知症カフェに参加した地域住民が,認知症に対する理解を高めたかについて検証するのは,アウトカム・インパクト評価です。

 

2 認知症カフェの取組に支出された補助金が,十分な成果を上げたかについて検証するため,セオリー評価を実施する。

 

認知症カフェの取組に支出された補助金が,十分な成果を上げたかについて検証するのは,効率性評価です。

 

3 認知症カフェが,事前に計画された内容どおりに実施されたかを検証するため,プロセス評価を実施する。

 

これが正解です。プロセス評価はわかりやすいです。これを正解にしてくれたのは有難い問題だったと言えます。

 

4 認知症カフェに参加する認知症の人とその家族が,認知症カフェに求めていることを検証するため,アウトカム評価を実施する。

 

認知症カフェに参加する認知症の人とその家族が,認知症カフェに求めていることを検証するのは,ニーズ評価です。

 

5 認知症カフェが,目的を達成するプログラムとして適切に設計されていたかを検証するため,効率性評価を実施する。

 

認知症カフェが,目的を達成するプログラムとして適切に設計されていたかを検証するのは,セオリー評価です。

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