2022年11月18日金曜日

資源の配分における貢献原則とニーズ原則

今回は,資源の配分における「貢献原則」と「ニーズ原則(必要原則)」を取り上げたいと思います。


貢献原則は,多く貢献した人に多くの資源を配分する原則です。


ニーズ原則(必要原則)は,必要としている人に資源を配分する原則です。


貢献原則は,社会保険,特に厚生年金がその代表です。

多く拠出した(つまり多く貢献した)人は,多く給付されます。


ニーズ原則(必要原則)は,社会扶助,特に公的扶助がその代表です。


拠出せずとも困窮の事実に基づいて(つまりニーズに応じて)給付されます。


どちらが優れていて,どちらが劣っているというものではありません。制度に応じてより適切な配分の方法を考えます。


それでは,今日の問題です。


第28回・問題25 福祉サービス利用者のニーズに関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 政府による資源配分では,ニーズ原則が貫かれている。

2 ニーズの質や水準にかかわりなく,サービスに定額の負担を課すことを,普遍主義という。

3 ニーズ充足の評価には,主観的評価も含まれる。

4 サービス情報が公開されていれば,ニーズが潜在化することはない。

5 その人の主観的な欲求が表現されたもの以外は,ニーズとはみなせない。


内容がわからなくても,正解するのは,それほど難しくない問題かもしれません。


正解は,選択肢3です。


3 ニーズ充足の評価には,主観的評価も含まれる。


主観的評価とは,「満足した」「良かった」というようなものです。


たとえば,身体の清潔が保てないというニーズがある場合,清潔になればそれだけで良いわけでありません。


清潔になっても,乱暴に扱われては良くないですね?


サービスには,どのようにサービスが提供されたのか,というプロセス評価が求められます。


その時の評価軸に「主観的評価」が必要です。


それでは,そのほかの解説です。


1 政府による資源配分では,ニーズ原則が貫かれている。


早速今日のテーマが登場しました。


資源配分には,ニーズ原則(必要原則)のほかに,貢献原則があります。


2 ニーズの質や水準にかかわりなく,サービスに定額の負担を課すことを,普遍主義という。


普遍主義とは,資力調査(ミーンズテスト)を行わずにサービスを提供することをいいます。


普遍主義の対義語は選別主義です。


ニーズの質や水準にかかわりなく,サービスに定額の負担を課すことは,応益負担だと言えます。


応益負担は,サービスを利用するとそれに応じた対価を負担するものです。


応益負担の対義語は応能負担です。応能負担は所得に応じて対価を負担します。


4 サービス情報が公開されていれば,ニーズが潜在化することはない。


サービス情報が公開されていても,サービスがあることが周知されていないとニーズがあることに気がつかないかもしれません。


5 その人の主観的な欲求が表現されたもの以外は,ニーズとはみなせない。


ブラッドショーが論じたニーズでは,その人の主観的な欲求が表現されたものとして,感得されたニード表出されたニードがあります。


それだけではなく,他者からの視点である「比較ニード」と「規範的ニード」もあります。


「比較ニード」と「規範的ニード」もニードです。

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