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2025年1月28日火曜日

介護報酬と診療報酬との比較

 高齢者支援は,主に老人福祉法と介護保険法によって行われています。


介護保険は,2000年(平成12年)に導入されました。

老人福祉法は,社会福祉制度です。

介護保険法は,社会保険制度です。

多くの場合,社会福祉制度では,応能負担を採用します。

応能負担の「応能」とは,「支払い能力に応じて」といった意味です。
所得によって,支払う金額が定められます。

それに対して,社会保険制度では,応益負担を採用します。

応益負担の「応益」とは,「受けたサービス量に応じて」といった意味です。
ここで思い出してほしいのは,1962年(昭和37年)の社会保障制度審議会勧告です。

同勧告では,

一般所得者層に対する施策は「社会保険制度」
低所得者層に対する施策は「社会福祉制度」
生活困窮者に対する施策は「生活保護制度」

でそれぞれ対応するということを示しています。

老人福祉法は,社会福祉制度ですから,低所得者層を対象としている制度であると言えます。

それに対して,介護保険法は,社会保険制度ですから,一般所得者層を対象としている制度だと言えます。

介護保険が創設された際には「介護の社会化」ということが一つの目的でしたが,それよりも重視したいのは,一般所得者層を対象とした社会保険制度を取り入れたことです。

日本国民の多くは,一般所得者層です。

それまで介護問題は,一部の福祉ニーズだったものが,全国民の問題としてとらえたことになります。

そして,応益負担が導入されました。

当初,1割負担だったものが,一部は2割負担,そして現在は,現役並み所得者は3割負担となっています。

所得によって自己負担割合が変わることは,応能負担の考え方を一部導入したとも言えますが,サービス量に対して,一定割合を負担するという基本的枠組みは堅持されています。

介護保険制度の介護給付は,介護報酬という形で,支給されます。

本来,保険給付は,被保険者に支給されますが,代理受領という制度を取り入れているので,被保険者は,1~3割の自己負担分を窓口で支払うだけですみます。

そして,自己負担分を引いた分が,サービス事業者に支払われます。

措置制度では,措置委託費が市町村から事業者に支払われます。そして利用者は所得によって決まった額を支払います。

介護報酬と診療報酬との比較

介護報酬
診療報酬
決定
厚生労働大臣
諮問
社会保障審議会
(介護給付費分科会)
中央社会保険医療協議会
単位
地域差あり
全国一律1点10
改定
3年ごと
2年ごと


こういった違いがあります。

それでは,今日の問題です。

第28回・問題131 

介護保険制度における介護報酬(介護給付費)と利用者負担に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 介護報酬の1単位の単価は,全国一律に定められ,地域による割増しはない。

2 介護報酬の算定基準を厚生労働大臣が定める際には,あらかじめ内閣総理大臣の意見を聴かなければならない。

3 居宅介護サービスにおける支給限度基準額を超えて介護サービスを利用する場合には,その超えた費用は全額が利用者負担となる。

4 施設サービスにおける食費と居住費は,生活保護の被保護者を除く市町村民税非課税世帯などの低所得者も全額の自己負担が求められる。

5 介護報酬は,2年に1回改定される。


介護保険サービスを利用する場合は,要介護認定を受けます。

要介護認定は,必要なサービス量を決定するという役割を果たしています。

要介護度に応じて,支給限度基準額が決定します。

その範囲で,保険給付されます。

その範囲を超えた量の介護サービスを利用すると,保険給付されないので,自己負担となります。

ということで,この問題の正解は,選択肢3

3 居宅介護サービスにおける支給限度基準額を超えて介護サービスを利用する場合には,その超えた費用は全額が利用者負担となる。

こういったところが,措置制度ではなく,契約制度らしい点だと思います。

それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。


1 介護報酬の1単位の単価は,全国一律に定められ,地域による割増しはない。

介護報酬の単価は地域差が設けられています。
地域差がないのは,診療報酬です。


2 介護報酬の算定基準を厚生労働大臣が定める際には,あらかじめ内閣総理大臣の意見を聴かなければならない。

意見を聴かなければならないのは,社会保障審議会(介護給付費分科会)です。


4 施設サービスにおける食費と居住費は,生活保護の被保護者を除く市町村民税非課税世帯などの低所得者も全額の自己負担が求められる。

施設サービスにおける食費と居住費は,居宅とのバランスをとるために,2005年(平成17年)10月に,原則自己負担となりました。

市町村民税非課税世帯などの低所得者は,それでは困ってしまうので,一部負担を残しました。

一部負担以外の部分は,特定入所者介護サービス費が給付されます。
一般所得者層を対象とした社会保険制度ですから,このように低所得者に対する対策はあります。


5 介護報酬は,2年に1回改定される。

介護報酬は,3年に1回改定されます。

3年に1回改定されるのは,診療報酬です。


<今日の一言>

国家試験では,今日の問題のように,介護報酬と診療報酬と絡めたように出題されることが多くあります。

勉強不足の人は,混乱しやすいからです。

2年だったかな,3年だったかな,とあやふやになります。

介護報酬や診療報酬のように,似たような制度は,違いを押さえておくことが必要です。
こういったところで足元がすくわれないようにしましょう。

2024年11月19日火曜日

サービス付き高齢者向け住宅

 

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は,高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)に規定され,状況把握サービス及び生活相談サービスその他の高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスを提供します。


高齢者向けの賃貸住宅や老人福祉法に規定される有料老人ホームが,都道府県知事の登録を受け,サ高住となります。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題135

高齢者の住まいに関する法制度についての次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 住宅確保要配慮者に対して居住支援に取り組む法人(居住支援法人)は,その申請により,都道府県知事から指定されることとなっている。

2 サービス付き高齢者向け住宅は,入居者に対し,介護保険制度における居宅介護サービス若しくは地域密着型サービスの提供が義務づけられている。

3 シルバーハウジングにおいては生活支援コーディネーターが配置され,必要に応じて入居者の相談や一時的な身体介護を行うこととなっている。

4 終身建物賃貸借制度は,賃借人が死亡することによって賃貸借契約が終了する借家契約であり,75歳以上の高齢者が対象とされている。

5 市町村は,住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する計画(市町村賃貸住宅供給促進計画)の作成を義務づけられている。


今見てもなかなかの難問です。


この科目の前身となる「高齢者に対する支援と介護保険制度」は10問出題される科目だったために,このようなチャレンジングな出題が可能だったのでしょう。


今は,6問になったために,これだけの難問は出題されないのではないかと思います。


それでは解説です。


1 住宅確保要配慮者に対して居住支援に取り組む法人(居住支援法人)は,その申請により,都道府県知事から指定されることとなっている。


これが正解です。


居住支援法人は,住宅セーフティネット法が規定されるもので,高齢者など住宅確保要配慮者に対して,居住支援を行うもので,都道府県知事の指定を受けます。


2 サービス付き高齢者向け住宅は,入居者に対し,介護保険制度における居宅介護サービス若しくは地域密着型サービスの提供が義務づけられている。


今日のテーマのサ高住が登場してきました。


サ高住が提供するサービスは,状況把握サービス及び生活相談サービスその他の高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスです。


介護保険サービスは,外部のサービスを利用します。


3 シルバーハウジングにおいては生活支援コーディネーターが配置され,必要に応じて入居者の相談や一時的な身体介護を行うこととなっている。


シルバーハウジングは,高齢者世帯向けの公的賃貸住宅等で,生活援助員(ライフサポートアドバイザー)が日常生活支援サービスを提供するものです。

根拠法はありません。



4 終身建物賃貸借制度は,賃借人が死亡することによって賃貸借契約が終了する借家契約であり,75歳以上の高齢者が対象とされている。


終身建物賃貸借制度の対象年齢は,60歳以上です。


5 市町村は,住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する計画(市町村賃貸住宅供給促進計画)の作成を義務づけられている。


市町村賃貸住宅供給促進計画は,住宅セーフティネット法に規定されるもので,策定は任意です。

2024年11月18日月曜日

老人福祉法

 

今回は,老人福祉法を学びます。

 

こんにちの高齢者の介護ニーズには,介護保険法による介護サービスを提供しますが,老人福祉法は今も重要です。

 

市町村長の措置によって介護サービスを提供することもあるからです。

 

緊急性がある場合,介護保険による契約ができない場合,虐待によって世帯分離を行う場合などに措置が行われます。

 

それでは今日の問題です。


第33回・問題134

老人福祉法に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 市町村は,市町村老人福祉計画において,当該市町村の区域において確保すべき老人福祉事業の量の目標を定めるものとしている。

2 養護老人ホームの入所要件は,60歳以上の者であって,経済的理由により居宅において介護を受けることが困難な者としている。

3 老人福祉法に基づく福祉の措置の対象となる施設の一つとして,救護施設が含まれている。

4 特別養護老人ホームについて,高齢者がやむを得ない事由により自ら申請できない場合に限って,市町村の意見を聴いた上で都道府県が入所措置を行う。

5 老人介護支援センターは,介護保険法の改正(2005年(平成17年))に伴って,老人福祉法から削除され,介護保険法上に規定された。


ちょっと難問かもしれませんが,良い問題だと思います。

それでは解説です。

 

1 市町村は,市町村老人福祉計画において,当該市町村の区域において確保すべき老人福祉事業の量の目標を定めるものとしている。

 

これが正解です。

 

老人福祉事業とは,老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設のことです。

 

老人福祉計画で定める内容

市町村老人福祉計画

都道府県老人福祉計画

老人福祉事業(老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設による事業)の量の目標など。

養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの必要入所定員総数その他老人福祉事業の量の目標など。

 

都道府県は,入所系サービスが加わっているところに着目して覚えます。

 

 

2 養護老人ホームの入所要件は,60歳以上の者であって,経済的理由により居宅において介護を受けることが困難な者としている。

 

養護老人ホームの入所対象年齢は65歳以上です。

 

養護老人ホームは老人福祉法の中でもとても重要です。

 

入所要件に経済的理由が含まれている理由は,養護老人ホームのルーツは,救護法に規定されていた養老院だからです。

 

戦後,生活保護法によって,養老施設となり,老人福祉法で養護老人ホームとなり,現在に至ります。

 

なお,養護老人ホームの入所要件は,「65歳以上の者であって,環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難なもの」です。

 

3 老人福祉法に基づく福祉の措置の対象となる施設の一つとして,救護施設が含まれている。

 

救護施設は,生活保護法に基づく保護施設です。根拠法は老人福祉法ではありません。

 

4 特別養護老人ホームについて,高齢者がやむを得ない事由により自ら申請できない場合に限って,市町村の意見を聴いた上で都道府県が入所措置を行う。

 

特別養護老人ホームの入所措置は,市町村が行います。

 

1990年(平成2年)の福祉関係八法改正で,入所措置が都道府県から町村に権限移譲されています。

 

細かい理由ですが,「市町村」ではなく,「町村」である理由は,市には福祉事務所があるため,もともと入所措置を行っていたためです。

 

5 老人介護支援センターは,介護保険法の改正(2005年(平成17年))に伴って,老人福祉法から削除され,介護保険法上に規定された。

 

老人介護支援センターは,今も老人福祉法のままです。

 

老人福祉法が定める老人福祉施設

・老人デイサービスセンター

・老人短期入所施設

・養護老人ホーム

・特別養護老人ホーム

・軽費老人ホーム

・老人福祉センター

・老人介護支援センター


2024年11月17日日曜日

福祉用具専門相談員

 

所定の研修を受講することで,福祉用具専門相談員として従事することができますが,社会福祉士や介護福祉士などは,研修を受けなくてもその資格で従事することができます。


それでは,今日の問題です。


第33回・問題133

事例を読んで,X事業者(福祉用具貸与事業者及び特定福祉用具販売事業者)に勤務するE福祉用具専門相談員(社会福祉士)が行う支援として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 E福祉用具専門相談員は,Y居宅介護支援事業所のF介護支援専門員からの依頼で,R市で一人暮らしをしているGさん(女性,84歳,要介護1)の自宅を訪問し,福祉用具の選定に関する相談を行うこととなった。Gさんは約10年前の大腿骨頸部骨折の後遺症により股関節が動きにくくなり,現在では浴糟への出入りと屋外での移動に支障がある。しかし,その他の日常生活動作や認知機能に支障はなく,状態も安定している。GさんはこれまでT字杖以外の福祉用具は使用したことがない。 

1 Gさんに,福祉用具貸与による入浴補助用具の給付が可能と説明した。

2 Gさんに,特定福祉用具販売による自宅廊下の手すりの設置が可能と説明した。 

3 Gさんに屋外での移動のため,福祉用具貸与による歩行器の利用が可能と説明した。 

4 Gさん及びF介護支援専門員と相談した上で福祉用具貸与計画と特定福祉用具販売計画を作成し,利用前にR市に提出して承認を得た。

5 Gさんが将来,身体状況が悪化したときのことを想定して,玄関の段差を解消するために移動用リフトを設置した方がよいと説明した。


現場に精通していないと難しい問題です。


今後は,こういったタイプの問題は出題されなくなることが予想されますが,一応押さえておきたいです。


それでは,解説です。


1 Gさんに,福祉用具貸与による入浴補助用具の給付が可能と説明した。


入浴補助用具は,福祉用具販売の対象です。


2 Gさんに,特定福祉用具販売による自宅廊下の手すりの設置が可能と説明した。


手すりの設置は,住宅改修費によって行います。


3 Gさんに屋外での移動のため,福祉用具貸与による歩行器の利用が可能と説明した。


これが正解です。歩行器は福祉用具貸与の対象です。


4 Gさん及びF介護支援専門員と相談した上で福祉用具貸与計画と特定福祉用具販売計画を作成し,利用前にR市に提出して承認を得た。


これが現場にいないとわからないものです。これは二度と出題されないでしょう。


利用前に市町村に提出が必要なのは,福祉用具貸与に係る協議書です。


5 Gさんが将来,身体状況が悪化したときのことを想定して,玄関の段差を解消するために移動用リフトを設置した方がよいと説明した。


移動用リフトはネットで調べるとわかりますが,自分で移乗などができない人をアシストしてくれるものです。

階段の段差は,小さな段を設置すると解消できます。移動用リフトは必要ではありません。

2024年11月16日土曜日

国民健康保険団体連合会の役割

 

今回は,介護保険制度における国民健康保険団体連合会(国保連)の役割を学びます。

 

介護保険法の規定

・市町村から委託を受けての介護報酬等の審査・支払。

・介護サービス事業者等の質の向上に関する調査。

・介護サービス事業者等に対する必要な指導及び助言。

・介護保険施設等の運営。 など

 

これを押さえたところで,今日の問題です。

 

33回・問題132

次の記述のうち,国民健康保険団体連合会の介護保険制度における役割として,正しいものを1つ選びなさい。

1 介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用を充てるため,財政安定化基金を設ける。

2 介護サービス事業者が利用者に提供したサービスに伴う介護給付費の請求に関し,市町村から委託を受けて,審査及び保険給付の支払を行う。

3 介護サービスの苦情処理等の業務や事業者・施設への指導・助言のための機関として,運営適正化委員会を設置する。

4 市町村が介護認定審査会を共同設置する場合に,市町村間の調整や助言等の必要な援助を行う。

5 保険給付に関する処分や保険料などの徴収金に関する処分について,不服申立ての審理・裁決を行うための機関として,介護保険審査会を設置する。

 

国保連は出題頻度が高いので,しっかり覚えたいです。

 

それでは,解説です。

 

1 介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用を充てるため,財政安定化基金を設ける。

 

財政安定化基金を設けるのは。都道府県です。

 

財源は,国:都道府県:市町村それぞれが3分の1ずつ負担します。

 

2 介護サービス事業者が利用者に提供したサービスに伴う介護給付費の請求に関し,市町村から委託を受けて,審査及び保険給付の支払を行う。

 

これが正解です。

 

国保連は,審査・支払を行います。

 

注意すべきなのは,「市町村からの委託を受けて」という部分です。ここが都道府県となっていることがあります。

 

3 介護サービスの苦情処理等の業務や事業者・施設への指導・助言のための機関として,運営適正化委員会を設置する。

 

運営適正化委員会を設置するのは,都道府県社会福祉協議会です。

 

4 市町村が介護認定審査会を共同設置する場合に,市町村間の調整や助言等の必要な援助を行う。

 

市町村間の調整や助言等の必要な援助を行うのは,広域的地方公共団体である都道府県です。

 

5 保険給付に関する処分や保険料などの徴収金に関する処分について,不服申立ての審理・裁決を行うための機関として,介護保険審査会を設置する。

 

介護保険審査会を設置するのは,都道府県です。

 

似たような名称のものに,要介護認定の二次判定を行う「介護認定審査会」があります。

 

介護認定審査会は,市町村が設置します。

 

介護保険審査会(介護保険の不服申立て機関) → 都道府県

 

介護認定審査会(要介護認定の二次判定を行う機関) → 市町村


2024年11月15日金曜日

高齢者の保健・福祉制度の変遷

 

今回は,高齢者の保健・福祉制度の変遷を学びます。

 

歴史的にみると,高齢者福祉は,貧困対策として始まっています。

 

老人福祉法の制定によって,社会福祉制度となりました。

 

その当時,老人保健制度は老人福祉法によって含まれ,老人保健法の制定によって,老人保健制度は同法に移行しています。

 

それでは,今日の問題です。

 

33回・問題127

高齢者の保健・福祉制度の展開に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 生活保護法(1950年(昭和25年))により,全国老人クラブ連合会が結成され,老人クラブが規定された。

2 老人福祉法(1963年(昭和38年))により,軽費老人ホームが規定された。

3 老人保健法(1982年(昭和57年))により,介護予防事業が規定された。

4 高齢社会対策基本法(1995年(平成7年))により,21世紀までの介護基盤の量的整備が規定された。

5 介護保険法(1997年(平成9年))により,認知症サポーター養成研修事業が規定された。

 

歴史は苦手とする人は多いですが,覚えることはそれほど多くないので,点数は取りやすいと言えます。

 

それでは解説です。

 

1 生活保護法(1950年(昭和25年))により,全国老人クラブ連合会が結成され,老人クラブが規定された。

 

老人クラブが規定されたのは,老人福祉法です。

 

2 老人福祉法(1963年(昭和38年))により,軽費老人ホームが規定された。

 

これが正解です。

 

老人福祉法では4種の老人ホーム(特別養護老人ホーム,養護老人ホーム,軽費老人ホーム,有料老人ホーム)が規定されました。

 

このうちの養護老人ホームは,生活保護法に規定されていた養老施設が,老人福祉法に鞍替えして,施設名称も変更されています。

 

3 老人保健法(1982年(昭和57年))により,介護予防事業が規定された。

 

介護予防事業が規定されたのは,介護保険法です。

 

4 高齢社会対策基本法(1995年(平成7年))により,21世紀までの介護基盤の量的整備が規定された。

 

21世紀までの介護基盤の量的整備が規定されたのは,1994年(平成6年)の新ゴールドプランです。

 

5 介護保険法(1997年(平成9年))により,認知症サポーター養成研修事業が規定された。

 

認知症サポーター養成研修事業を法的に規定している法律はありません。

厚生労働省の要綱によって実施されています。

2024年7月29日月曜日

社会福祉士は多職種連携の要です

 

社会福祉士及び介護福祉士法において,社会福祉士は以下のように定められています。

 

(定義)

第二条 この法律において「社会福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第四十七条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第七条及び第四十七条の二において「相談援助」という。)を業とする者をいう。

 

 

社会福祉士とは

 

①ソーシャルワークのプロフェッショナル

 

であるのと同時に,

 

②福祉・医療関係者との連絡・調整を行う専門職

 

であることが分かります。

 

①と②は,実は違うスキルが求められます。

 

①ソーシャルワークのプロフェッショナルとしては,傾聴や自己決定などのケースワークのスキルが中心となります。

 

②福祉・医療関係者との連絡・調整としては,ファシリテーション,そしてアサーションスキルなどが必要です。

 

 

法では

 

(連携)

第四十七条 社会福祉士は、その業務を行うに当たつては、その担当する者に、福祉サービス及びこれに関連する保健医療サービスその他のサービス(次項において「福祉サービス等」という。)が総合的かつ適切に提供されるよう、地域に即した創意と工夫を行いつつ、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

 

 

といったように,連携の責務があることが明記されています。

 

社会福祉士が,地域包括ケアシステムが進められる中,名実ともに多職種連携の要となるためには,ファシリテーション,そしてアサーションスキルを高めることが必要だと強く思っています。

 

傾聴も必要ですが,必要な時には主張することが連携には必要です。

 

 

さて,今日の問題は,サービス担当者会議(サー担会議)です。

 

 

サー担会議は,介護支援専門員が招集して実施するものです。

 

 

社会福祉士は,ソーシャルワークの共通基盤を共有しています。

高齢者分野では,現在では社会福祉士が増えてきているとは言え,まだまだ少ないのが実情です。

  

ちょっと飛躍して想像してみましょう。

  

社会福祉士は,それぞれが連携の責務を負っています。

 

もし,サービス担当者会議(サー担会議)に参加するメンバーがみんな社会福祉士だった場合,より高度なサー担になるのではないでしょうか。基礎資格が違っても,共通基盤を共有しているからです。

 

看護師の社会福祉士,介護福祉士の社会福祉士,そして介護支援専門員の社会福祉士,それぞれの専門性で意見を出し合いながら,サー担ができるとステキだと思いませんか。

 

夢はさておき今日の問題を見ましょう。

 

 

25回・問題133

居宅サービスにおけるサービス担当者会議に関する次の記述のうち,「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」に照らして正しいものを1つ選びなさい。

1 サービス担当者会議は,居宅サービス計画にかかわる担当者を招集し,サービス利用者や家族等の情報を共有するとともに,専門的な見地からの意見を求める場である。

2 サービス担当者会議は,介護保険の保険者である市町村が開催し,各サービス担当者の連携を図る。

3 サービス担当者会議は,原則として,指定サービス等の担当者に対する照会により意見を求めることによって実施される。

4 サービス担当者会議は,居宅サービス計画の変更がある場合に開催され,要介護更新認定や要介護状態区分の変更の場合等は,特に必要がなければ開催しなくてもよい。

5 サービス担当者会議は,サービス利用者や家族の状況の把握と,指定サービス等の担当者間の連絡調整の場なので,利用者が会議に参加することは適切ではない。

 

 

サー担会議を知っていれば,まったく難しくないですが,知らない人にとっては,こんな問題でも確実に正解するのは,そんなに簡単ではありません。

 

 

1 サービス担当者会議は,居宅サービス計画にかかわる担当者を招集し,サービス利用者や家族等の情報を共有するとともに,専門的な見地からの意見を求める場である。

 

これが正解です。サー担会議を招集開催するのは介護支援専門員です。

 

 

2 サービス担当者会議は,介護保険の保険者である市町村が開催し,各サービス担当者の連携を図る。

 

 

サー担会議は,居宅介護サービスの利用者に対して行われます。

市町村が開催するには,市町村のでは難しいです。

  

大きな市なら,いろいろなことをする人員を確保することができるかもしれませんが,過疎地域の村の職員は,〇〇兼〇〇兼〇〇兼〇〇課長,といったことはよくある話です。

 

国はその辺りの状況はよく知っています。

  

都道府県は,市町村の調整を行います。

市町村と都道府県の役割で迷った時,そんなところをヒントにして考えてみるとよいです。

  

問題に戻ると,先述のように,サー担会議は介護支援専門員が開きます。よって間違いです。

  

3 サービス担当者会議は,原則として,指定サービス等の担当者に対する照会により意見を求めることによって実施される。

 

サー担会議は,会議です。照会では会議にはなりません。

 

招集しなければなりません。よって間違いです。

 

サー担会議を開かないでケアプランを作成すると重大な法令違反です。

 

最悪の場合,指定が取り消されます。

 

 

4 サービス担当者会議は,居宅サービス計画の変更がある場合に開催され,要介護更新認定や要介護状態区分の変更の場合等は,特に必要がなければ開催しなくてもよい。

 

 

もちろん開催しなければなりません。よって間違いです。

 

34を選んだ方は,十二分に気を付けてください。

 

実際にこんなことが行われると最悪の場合,指定が取り消されます。

 

 

5 サービス担当者会議は,サービス利用者や家族の状況の把握と,指定サービス等の担当者間の連絡調整の場なので,利用者が会議に参加することは適切ではない。

 

 

サー担会議には,利用者及び家族が参加することを基本としています。参加するのは適切です。よって間違いです。

 

社会福祉士の国家試験の法制度は,基本的には法制度の骨格が出題されます。

 

細かいところまでは,出題されないのが基本です。

 

ケアマネ試験は,制度を細かく出題してきます。

 

その違いは,今日の問題で分かるように,介護支援専門員は,法制度を知らないと仕事ができないのに対し,社会福祉士は法の執行者ではないことです。

  

法は理由があって成立しているので,現在の状況,今後求められるものを考える(想像する)ことで,何となく見えてくることもあります。

 

他の科目は,問題数が少ないので細かいところを出題すると,制度の骨格を出題する余地がなくなります。

 

国家試験の基本を押さえておかないと,どんどん深掘りしたくなり,底なし沼に引きずり込まれます。

 

危険です。

 

教科書に書かれている知識で十分にボーダーラインを超えられます。

2024年7月28日日曜日

介護サービス相談員を知っていますか?

 介護サービス相談員は,以前は,介護相談員と言われていたものです。

そのため,今日の問題は介護相談員と出題されていますが,介護サービス相談員と読み替えてください。


さて,それでは今日の問題です。



第25回・問題132

介護保険制度にかかわる専門職や人材に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 介護支援専門員は,要介護者等からの相談に応じ,サービス利用に向けて事業者等と連絡調整を行う者で,介護支援専門員実務研修受講試験の合格をもって登録される。

2 訪問介護員は,要介護者等に対して,入浴・排せつ等の介護その他の日常生活上の世話を行う者で,介護員養成研修修了者に限りその業務が認められている。

3 福祉用具専門相談員は,要介護者等への福祉用具の貸与等にかかわる相談や助言を行う者で,介護保険施設に配置される。

4 介護相談員は,介護サービス提供の場を訪ね,サービス利用者等の話を聴き,相談に応じる者で,利用者の疑問や不満の解消やサービスの質の向上を図る。

5 介護認定審査会の委員は,要介護(要支援)認定の申請を行った者につき,本人に面接し,心身状況,置かれている環境などについて調査をする。



介護サービス相談員は,都道府県の研修,あるいは指定研修を受けて,市町村に登録して活動します。



介護保険の地域支援事業の任意事業(介護サービスの質の向上に資する事業)なので,市町村が条例で定めて介護サービス相談員派遣事業を実施します。


しかし条例で定めている市町村はあまり多くありません。


派遣を希望する介護保険サービス事業者等に対して,市町村が介護サービス相談員を派遣します。


派遣された介護サービス相談員は,

・利用者の話を聞き、相談にのる

・サービスの現状把握に努める

・事業所の管理者や従事者と意見交換する


などを行いサービス提供等で気づいたこと,あるいは提案がある場合,事業所にその旨を伝えます。


介護サービス相談員は,若干の報酬はもらえますが,基本はボランティアです。積極的な問題解決を図るような性格のものではありません。



それでは詳しく見て行きましょう。


1 介護支援専門員は,要介護者等からの相談に応じ,サービス利用に向けて事業者等と連絡調整を行う者で,介護支援専門員実務研修受講試験の合格をもって登録される。


ケアマネ試験と一般的に言われますが,正しくは,「介護支援専門員実務研修受講試験」です。実務研修を受講する資格を得るための試験です。


これを受講して,登録することで晴れて介護支援専門員となります。


よって間違いです。


実務研修のカリキュラムが変わり,現場の「見学」が新しく加わっています。


カリキュラムに加わっても,実習生を受け入れしてくれる事業所がないと研修が成り立たなくなってしまいます。


国は頭がいいなぁと思うのは,この改正に伴って,特定事業所加算の算定要件に実習受け入れを加えたことです。


2 訪問介護員は,要介護者等に対して,入浴・排せつ等の介護その他の日常生活上の世話を行う者で,介護員養成研修修了者に限りその業務が認められている。


ヘルパー研修は,かつては1級から3級までありましたが,現在は廃止されています。


指定訪問介護事業者の訪問介護は,旧ヘルパー(1・2級),介護福祉士,介護職員初任者講習修了者,実務者研修修了者が行うことが認められます。


よって間違いです。


3 福祉用具専門相談員は,要介護者等への福祉用具の貸与等にかかわる相談や助言を行う者で,介護保険施設に配置される。


福祉用具専門相談員は,介護保険施設ではなく,福祉用具貸与事業所等に配置されます。

よって間違いです。


任用資格は,福祉用具専門相談員指定講習を修了した者ですが,社会福祉士,介護福祉士は指定講習を修了しなくてもなることができます。


指定講習を指定するのは,もちろん都道府県の役割です。


4 介護相談員は,介護サービス提供の場を訪ね,サービス利用者等の話を聴き,相談に応じる者で,利用者の疑問や不満の解消やサービスの質の向上を図る。


これが正解です。


都道府県等が実施する研修を受けて,介護サービス相談員になります。しかし基本はボランティアであることを忘れてはなりません。


5 介護認定審査会の委員は,要介護(要支援)認定の申請を行った者につき,本人に面接し,心身状況,置かれている環境などについて調査をする。


介護認定審査会は,一次判定を踏まえて,要介護認定のための二次判定を行う機関です。


置かれるのは市町村です。

介護保険審査会は都道府県に設置されます。


言葉が似ているので読み間違いしないように気を付けましょう。

訪問調査を行うのは,介護認定審査会の委員ではなく,訪問調査員です。


よって間違いです。

2024年7月27日土曜日

都道府県・市町村の役割の整理の仕方

法制度の科目では,その科目の出題基準に「国の役割,都道府県の役割,市町村の役割」が含まれています。


これらを正しく覚えられれば,得点力は格段に上がることとなります。


<国・都道府県・市町村の役割の基本形>


国の役割 ➡ 基本指針などを示す。


都道府県の役割 ➡ 医療に関するもの,現場職員の人材育成に関するもの,サービス評価に関するもの,体力のない市町村の調整,事業者の指定,など。


市町村の役割 ➡ サービス受付の窓口,報酬の支払い,事業者の指定,など。


ざっくりと洗い出すとこんな感じです。


重なっているのは,事業者の指定です。

事業者の指定は,基本的には都道府県の役割ですが,権限移譲で市町村が行っているものもあります。


都道府県 ➡ 介護保険事業者,一般相談支援事業者,など。


市町村 ➡ 居宅介護支援事業者,地域密着型サービス事業者,地域密着型介護予防サービス事業者,介護予防支援事業者,特定相談支援事業者,など。


基本形を押さえて,例外があればそこを覚えて行くのがコツです。


都道府県,市町村の役割は,なぜそのようになっているのかの理由を考えて,ルールを見出すことを心がけましょう!!


それでは,今日の問題です。


第25回・問題131

介護保険制度における各組織・団体等の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 市町村は,共同で,介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用に充てるため,財政安定化基金を設けることができる。

2 市町村長は,地域密着型サービス事業者,居宅介護支援事業者及び介護予防支援事業者の指定を行う。

3 都道府県知事は,介護サービス情報の公表制度に基づき,介護サービス事業者から受けた介護サービス情報の報告に関して必要と認めるときは,調査を行うことができる。

4 国民健康保険団体連合会は,都道府県の委託を受けて介護サービス費等の請求に関する審査及び支払を行い,介護サービス等の質の向上に関する調査等を行う。

5 介護保険審査会は市町村におかれ,保険給付に関する処分又は保険料等に関する処分にかかる審査請求の審査を行う。



さて,それでは詳しく見ていきましょう。



1 市町村は,共同で,介護保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用に充てるため,財政安定化基金を設けることができる。


介護保険は,一般会計とは切り離して,特別会計で行わなければなりません。


介護保険が赤字になっても,一般会計から補てんしなくても良いように財政安定化基金が設けられています。


設置されるのは,都道府県です。


よって間違いです。


2 市町村長は,地域密着型サービス事業者,居宅介護支援事業者及び介護予防支援事業者の指定を行う。



先述のように,居宅介護支援事業者の指定は現在,都道府県が行っていますが,2018年4月からは,市町村が行います。


制度が変わる前のものは出題されない傾向がありますが,せっかくだから覚えておきましょう。


現時点(2017年11月)では,市町村が指定するのは,地域密着型サービス事業者,地域密着型介護予防サービス事業者,介護予防支援事業者です。


よって間違いです。


3 都道府県知事は,介護サービス情報の公表制度に基づき,介護サービス事業者から受けた介護サービス情報の報告に関して必要と認めるときは,調査を行うことができる。



都道府県は人材育成や,サービスの質に関連するものを担っています。


よって正解です。


事業所の職員の研修事業は,ほとんどが都道府県ですが,市民後見人など,市民を対象とする事業は,市町村が行っています。


4 国民健康保険団体連合会は,都道府県の委託を受けて介護サービス費等の請求に関する審査及び支払を行い,介護サービス等の質の向上に関する調査等を行う。



報酬の支払いは,介護保険も障害者も市町村です。


都道府県ではありません。


よって間違いです。


5 介護保険審査会は市町村におかれ,保険給付に関する処分又は保険料等に関する処分にかかる審査請求の審査を行う。



介護保険審査会は,不服申し立てを審査する機関です。


都道府県が設置しなければなりません(必置)。


よって間違いです。


障害者にも同じような障害者介護給付等不服審査会というものがあります。


都道府県が設置しますが,介護保険と違い,設置は任意です。


この違いは,社会保障制度の違いなのかなぁ,と思います。


介護保険は保険料を拠出するので権利性が強いのに対して,障害者福祉は,事前の拠出を前提としない福祉制度なので,権利性はそれほど強くならない,といった傾向があるからです。

2024年5月21日火曜日

市町村の役割と都道府県の役割の違い

法制度に関連した科目の出題基準には,ほとんどの科目に,


国の役割


都道府県の役割


市町村の役割


というものがあります。


都道府県と市町村の役割は,正しいものを間違ったものに入れ替えてしまえば,誤りの文章が一丁上がり。


作成は結構簡単ですし,しかも不適切問題にはなりにくいです。


従って,国家試験ではかなりの頻度で見られます。



しっかり覚えておかないともったいないです。


一つひとつの科目に限定して勉強していると他の科目との関連が見えづらいですが,意識して関連するように見てみると,他領域であっても仕組み自体は似ているものがあることに気が付くことでしょう。


逆に他では見られないその領域の特徴というものも見られます。


例えば・・・共通するものには・・・


都道府県

・サビ管やケアマネなどの研修事業を行なう。

・事業者の指定。

・不服申立て先。

・市町村の支援的立場。


市町村

・介護保険サービスや障害福祉サービスなどの利用申請窓口。

・要介護認定,障害支援区分認定の実施。

・サービスの実施。


その領域の特徴

介護保険

・指定は都道府県。ただし地域密着型は市町村。

障害福祉

・精神通院医療の支給決定は都道府県。育成医療と更生医療は市町村

・指定一般相談支援事業者の指定は都道府県。指定特定相談支援事業者の指定は市町村。


共通するものは,共通する原則を覚えること。応用が効きます。


その領域の特徴は,しっかり違いを覚えましょう。特に狙われやすいです。

いずれもしっかり押さえておくことで,得点力はぐ~んと上がります。


それでは今日の問題です。


第26回・問題133 

介護保険制度における保険者としての市町村の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 要介護認定において,限界集落や離島,豪雪地帯などの地理的特性や,同居家族の有無などの家庭環境,所得などの経済的状況等に配慮した独自の認定基準を,地域ごとに条例により定めることができる。

2 地域支援事業の任意事業として,介護方法の指導,介護者の健康相談実施,認知症見守り支援事業等の家族介護支援事業を実施することができる。

3 地域密着型サービスに関し,その適正な事業運営に資するとともに,地域に開かれたサービスとすることでサービスの質の確保と向上を図るために,運営適正化委員会を設置しなければならない。

4 介護保険施設に入所している低所得の要介護者等について,入所中の居住費及び食費の負担に関し, 一般会計を財源として特定入所者介護サービス費(いわゆる補足給付)の給付を行うことができる。

5 介護保険財政の安定化を図るため,財政安定化基金を設置して,保険料未納により収入不足が生じた場合に交付金を交付したり,給付費の増大のために収支不均衡が生じた場合に資金を貸与したりするなどの事業を行うことができる。


介護保険の保険者としての問題です。



介護保険の保険者は,市区町村です。


介護保険は,わが国5つめの社会保険として創設されたものです。


5つの社会保険のうち,都道府県が保険者となるのは,国民健康保険のみです。

国民健康保険は,もともとは市町村が保険者でしたが,制度改正によって,現在は市町村と都道府県が保険者となっています。


介護保険は,家族などが担っていた介護を社会連帯の考え方に基づき社会保険制度にして,介護の社会化(家族労働から解放)を目指しました。


しかも国の保険ですから,どこでサービスを受けようとも,同じ基準で実施されることに特徴があります。これが介護保険の特徴です。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 要介護認定において,限界集落や離島,豪雪地帯などの地理的特性や,同居家族の有無などの家庭環境,所得などの経済的状況等に配慮した独自の認定基準を,地域ごとに条例により定めることができる。


介護保険は法定受託事務ではなく自治事務ですが,全国一律の基準が定められています。


要介護認定が条例によって独自に定めることが出来ると,どこでも同じサービスが受けられるという介護保険の大前提が崩れてしまいます。


例えば・・・


特養の入所基準は,原則として要介護3以上ですが,同じ身体状況にもかかわらず,A市では要介護2,B市では要介護4,となってしまえば,B市に住んでいれば利用可能ですが,A市では利用はできないこととなってしまいます。


よって×。


2 地域支援事業の任意事業として,介護方法の指導,介護者の健康相談実施,認知症見守り支援事業等の家族介護支援事業を実施することができる。


介護保険は,自治事務です。


これだけがっちり制度が決められているにもかかわらず,自治事務である理由は,保険者で独自に実施することができる事業があるからです。


市町村特別給付,そして地域支援事業です。


地域支援事業の中でも必須事業がありますが,それ以外にも任意事業として独自に行うことができるようになっています。


よって正解です。


3 地域密着型サービスに関し,その適正な事業運営に資するとともに,地域に開かれたサービスとすることでサービスの質の確保と向上を図るために,運営適正化委員会を設置しなければならない。


運営適正化委員会は,社会福祉法に規定されています。


かなり頻出です。


運営適正化委員会が設置されるのは,都道府県社協です。


介護保険の不服申し立ては,都道府県の介護保険審査会


障害福祉サービスは都道府県(障害者介護給付費等不服審査会を設置している場合は同委員会に事務を行わせることができる。ただし窓口は都道府県)。


介護保険の苦情は国保連。


地域密着型サービス事業者の指定は市町村が行いますが,サービスの質確保に関するものは,先述のように都道府県レベルです。


市町村レベルではそこまでの体力がないからだと言えます。


よって×。


4 介護保険施設に入所している低所得の要介護者等について,入所中の居住費及び食費の負担に関し, 一般会計を財源として特定入所者介護サービス費(いわゆる補足給付)の給付を行うことができる。


介護保険や国民健康保険の会計については,一般会計と切り離して,特別会計を組まなければなりません。


よって×。


5 介護保険財政の安定化を図るため,財政安定化基金を設置して,保険料未納により収入不足が生じた場合に交付金を交付したり,給付費の増大のために収支不均衡が生じた場合に資金を貸与したりするなどの事業を行うことができる。


財政安定化基金は,介護保険特別会計が赤字になった際に,一般会計から繰り越さなくても良いように都道府県に設置された機関です。


財源は,国,都道府県,市町村がそれぞれ3分の1ずつ負担しています。


よって×。


どんなに勉強しても,知らない問題は出題されます。


丸暗記で勉強していたら,国家試験当日・・・


分からない,どうしよう・・・


と思考が停止してしまいます。


知っている知識をフル活用して,足りないピースを埋めていくこと。


これができるように勉強している人は合格します。

これができるように勉強していない人は,合格するのに苦労します。


似たような制度を整理して覚えることは,知らないものが出題されても,そこを手掛かり・足掛かりにして,壁をよじ登って行くことが出来ます。


手掛かり・足掛かりは,多ければ多い方が壁を登りやすくなるのは言うまでもありません。


今,このサイトで提案していることは,試験当日の手掛かり・足掛かりをたくさん用意することに他なりません。

2024年5月20日月曜日

しっかり勉強することの重要性

国家試験では,頻出の人物にもかかわらず,見たことのない文になっていることがあります。


「自分が勉強不足だったのか」と不安になる瞬間でしょう


しかし・・・


「この人はこんなことを言ったのかな」と思うものは,多くの場合は誤りです。


しっかり参考書を勉強してきた方はこの感覚を信じてください。


今の国家試験は,しっかり勉強した人は得点できるように問題が作成されています。

国家試験はいかにも難しそうに見えるように,予防線を張って作問しています。


それは誤りとなる選択肢を「いかに正しいように見せるか」にかかっています。

そのパターンは見えていますので,試験委員を逆手にとることはできそうです。

国家試験は,決して怖くはないです。


それでは,今日の問題です。


第26回・問題132 

地域密着型サービスに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 地域密着型サービスは,事業所が存在する市町村の住民を対象としているため,他の市町村の住民は利用することはできないとされている。

2 地域密着型サービスの費用の財源は,国及び地方公共団体の公費負担のほか,第1号被保険者の保険料が充てられており,第2号被保険者の保険料は充てられていない。

3 市町村は,厚生労働大臣が定める基準により算定した額に代えて,その額を超えない額を,当該市町村の地域密着型介護サービス費の額とすることができる。

4 小規模多機能型居宅介護とは,通所介護,短期入所,訪問介護及び訪問リハビリテーションの4つのサービスを提供する事業である。

5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは,夜間の巡回訪問により,介護その他の生活上の世話をするものである。


地域密着型サービスは,2005年の法改正で創設されたものです。


その前からあった「認知症対応型共同生活介護」(グループホーム)は,地域密着型サービスとなりました。


地域密着型サービスは,従来型と違い小規模の事業所であり,指定は市町村が行います。

基本的には,その市町村の住民が対象となるものです。

それでは詳しく見ていきましょう。


1 地域密着型サービスは,事業所が存在する市町村の住民を対象としているため,他の市町村の住民は利用することはできないとされている。


先述のように地域密着型サービスはその市町村の住民を対象としています。そのため,住所地特例がありません。


しかし,完全に利用できないかというと,実はそうでもなく,市町村同士の同意があれば利用可能です。


よって×。


2 地域密着型サービスの費用の財源は,国及び地方公共団体の公費負担のほか,第1号被保険者の保険料が充てられており,第2号被保険者の保険料は充てられていない。


この問題はおそらく,市町村特別給付と混同させるための出題のように思います。


市町村特別給付には,第1号被保険者の保険料だけが使われます。

これは市町村が把握できるのは第1号被保険者の保険料のみであるという事情があります。


地域密着型サービスは,市町村が指定するサービスですが,市町村特別給付と違って,介護保険の基準内サービスです。


そのため。第2号被保険者の保険料も使われます。


よって×。


3 市町村は,厚生労働大臣が定める基準により算定した額に代えて,その額を超えない額を,当該市町村の地域密着型介護サービス費の額とすることができる。


地域密着型サービスは,市町村が指定するので,ある程度の自由が認められています。


基準を超えてしまうと,上乗せサービスになり市町村特別給付の範ちゅうになってしまいますが,それを超えない範囲で定めることができるようになっています。


よって正解。


 4 小規模多機能型居宅介護とは,通所介護,短期入所,訪問介護及び訪問リハビリテーションの4つのサービスを提供する事業である。


いくつも列記される選択肢は,その中に間違いを織り込むことができるので,誤りになりやすくなります。


この問題では・・・


通所介護

短期入所

訪問介護

訪問リハビリテーション


の4つがあります。


落ち着いて見てみる必要があります。


列記されたものの中で小規模多機能型居宅介護のサービスに含まれないのは訪問リハビリテーションです。


よって×。


5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは,夜間の巡回訪問により,介護その他の生活上の世話をするものである。


定期巡回・随時対応型訪問介護看護は,夜間に限定されるものではありません。

夜間に巡回訪問するのは,夜間対応型訪問介護です。


よって×。


国家試験は,日本語


落ち着いて問題文を読めば,知識が足りなくても,分かるものもあります。


自分の努力を信じましょう。

2024年5月19日日曜日

勉強が進めば,知識がつながってくる!!

勉強のし始めは,すべての言葉が分からないので,勉強は遅々として進まないと思います。


こんなペースで合格するのだろうか・・・


と心配になるかもしれません。


でも・・・・・・大丈夫!!


勉強が進むにつれて知識が増えると,だんだん進むペースは早くなります。


なぜなら・・・


科目は違っても,内容はつながっているものがあるからです。


辛い気持ちを乗り越えるのは大変だと思いますが,今が頑張り時です。


それでは今日の問題です。


第26回・問題128 

老人福祉法が制定された1963年(昭和38年)当時の状況に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 老人福祉法の制定に先立つ1960年(昭和35年)の国勢調査において,我が国の人口の高齢化率は7% を超え,高齢化社会に突入した。

2 老人福祉法では,市町村による老人家庭奉仕員に関する規定が置かれた。

3 老人福祉法において,特別養護老人ホームの制度が創設されたが,常時介護を要する者であれば,市町村の措置でなくても,施設との契約により入所することができた。

4 老人福祉法には,有料老人ホームに関する規定は設けられていなかった。

5 老人福祉法において,70歳以上の老人の医療費の一部負担分を国と地方自治体が支給することにより,1963年(昭和38年)から老人医療費は無料とされた。



高齢者分野で働いていても,介護保険サービス事業所で働いているとなじみのない法律と言えるでしょう。


第29回国試では,措置の問題が出題されました。

その中で,「老人居宅介護等事業」というのが出題されました。


この時は知らなかったのですが,調べてみると介護保険の「訪問介護」だということが分かりました。「居宅介護」という名称から,障害者総合支援法を連想した人もいたかもしれません。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 老人福祉法の制定に先立つ1960年(昭和35年)の国勢調査において,我が国の人口の高齢化率は7%を超え,高齢化社会に突入した。


日本が高齢化社会に突入したのは1970年です。


よって×。


高齢社会は1995年。超高齢社会は2007年です。


2 老人福祉法では,市町村による老人家庭奉仕員に関する規定が置かれた。


老人家庭奉仕員は,現在のホームヘルパーです。


全国で初めて制度を実施したのは,長野県です。

そのあと,大阪,東京が続き,老人福祉法で規定されました。


よって正解。


1980年代までこの言葉が使われました。


3 老人福祉法において,特別養護老人ホームの制度が創設されたが,常時介護を要する者であれば,市町村の措置でなくても,施設との契約により入所することができた。


老人福祉法以前は,生活保護法に規定された養老施設がありました。


養老施設は法制定とともに養護老人ホームになり,特別養護老人ホームが新設されました。


老人福祉法は現在でも同じですが,契約ではなく,措置によって利用します。


よって×。


なお,現在の特別養護老人ホームは老人福祉法における名称です。


介護保険法に基づく名称は,指定介護老人福祉施設が正式名称です。



老人福祉法による措置による利用の時は,特別養護老人ホーム,介護保険法による契約による利用の時は,指定介護老人福祉施設,が正式名称です。ここまでは国試には出題されません。


4 老人福祉法には,有料老人ホームに関する規定は設けられていなかった。


老人福祉法制定時に新たに規定されたのは,「特別養護老人ホーム」「軽費老人ホーム」「有料老人ホーム」「老人福祉センター」です。


よって×。


5 老人福祉法において,70歳以上の老人の医療費の一部負担分を国と地方自治体が支給することにより,1963年(昭和38年)から老人医療費は無料とされた。


老人医療費無料化は,先進的な一部の自治体が実施していましたが,1973年の法改正で法制化されました。


一部負担が導入されたのは,1982年の老人保健法制定の時です。


無料化の時代はたった9年間で終了しましたが,これがその後のわが国の医療を大きく変えていくことになります。


2024年1月30日火曜日

第36回の介護福祉士の問題をチラ見(ヒント満載)

 以前は,社会福祉士の国家試験は,介護福祉士と同じ日程で行われていましたが,現在は,介護福祉士のほうが一週間早く行われるようになっています。


ということで,一足早く実施された第36回の介護福祉士の国家試験問題を見てみたいと思います。


第36回・問題8 

特定非営利活動法人(NPO法人)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 社会福祉法に基づいて設置される。

2 市町村が認証する。

3 保健,医療又は福祉の増進を図る活動が最も多い。

4 収益事業は禁じられている。

5 宗教活動を主たる目的とする団体もある。


社会福祉士の国家試験で出題されても良いような問題です。


答えは,選択肢3です。

3 保健,医療又は福祉の増進を図る活動が最も多い。


約6割が,「保健,医療又は福祉の増進を図る活動」です。


ちょっと変わった問題としては,改正道路交通法がありました。


第36回・問題39 

高齢者の自動車運転免許に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 75歳から免許更新時の認知機能検査が義務づけられている。

2 80歳から免許更新時の運転技能検査が義務づけられている。

3 軽度認知障害(mild cognitive impairment)と診断された人は運転免許取消しになる。

4 認知症(dementia)の人はサポートカー限定免許であれば運転が可能である。

5 認知症(dementia)による運転免許取消しの後,運転経歴証明書が交付される。

(注)「サポートカー限定免許」とは,道路交通法第91条の2の規定に基づく条件が付された免許のことである。


これはちょっと解説します。


1 75歳から免許更新時の認知機能検査が義務づけられている。


これが正解です。75歳以上の高齢者が更新する時には,認知機能検査を受けなければなりません。


2 80歳から免許更新時の運転技能検査が義務づけられている。


運転技能検査を受けなければならないのは,75歳以上信号無視などの一定の違反歴のある人です。


3 軽度認知障害(mild cognitive impairment)と診断された人は運転免許取消しになる。


運転免許取消しになるのは,認知症のある場合です。軽度認知障害(MCI)では取消しとはなりません。


4 認知症(dementia)の人はサポートカー限定免許であれば運転が可能である。


認知症の人は,免許取消しとなります。サポートカー限定免許は,交付されません。


5 認知症(dementia)による運転免許取消しの後,運転経歴証明書が交付される。


免許を自主返納した場合は,運転経歴証明書は交付されますが,認知症で取消しとなった場合は,交付されません。


<今日の注意ポイント>


自動車運転免許の問題は,制度を知らないと難しく感じるかもしれません。


しかし,この問題自体を正解するのは,決して難しくありません。


なぜなら,関連する内容のものが一緒に出題されているためです。


1 75歳から免許更新時の認知機能検査が義務づけられている。

2 80歳から免許更新時の運転技能検査が義務づけられている。


年齢が75歳と80歳になっています。そのために75歳,つまり後期高齢者になると何かがあるのだと推測可能です。70歳では早いですし,80歳では遅すぎると考えることもできます。


選択肢5が引っ掛かるかもしれませんが,それが分からなくてもこの問題は正解できるところが国家試験の不思議なところです。

2024年1月9日火曜日

『高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査

 厚生労働省では,毎年,『高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査を発表しています。


傾向は,毎年大きくは変化していません。


年度が違うものを覚えていても,十分に対応できます。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題135

「平成29年度『高齢者虐待の防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」(厚生労働省)で示されている「養介護施設従事者等」による高齢者虐待に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 市町村等が虐待と判断した件数は,2008年度(平成20年度)以降減少傾向にある。

2 虐待の発生要因として最も多いものは,「倫理観や理念の欠如」である。

3 虐待の事実が認められた施設・事業所のうち,およそ3割が過去に何らかの指導等(虐待以外の事案に関する指導等を含む)を受けている。

4 被虐待高齢者の状況を認知症高齢者の日常生活自立度でみると,「Ⅰ」が全体のおよそ4分の3を占めている。

5 虐待の内容として最も多いものは,「経済的虐待」となっている。

(注) 「養介護施設従事者等」とは,養介護施設又は養介護事業の業務に従事する者を指す。


この問題自体は,調査結果を知らずとも,十二分に正解できる可能性はあります。

これが国家試験の面白いところです。


それでは解説です。


1 市町村等が虐待と判断した件数は,2008年度(平成20年度)以降減少傾向にある。


もちろん,増加傾向にあります。


減少傾向にあるなら,出題する意義がないかもしれません。


2 虐待の発生要因として最も多いものは,「倫理観や理念の欠如」である。


虐待の発生要因として最も多いものは,「教育・知識・介護技術等に関する問題」です。


3 虐待の事実が認められた施設・事業所のうち,およそ3割が過去に何らかの指導等(虐待以外の事案に関する指導等を含む)を受けている。


これが正解です。


しかし,3割という数字がよくわからないので,この時点では冷静に△をつけて次に進みます。


4 被虐待高齢者の状況を認知症高齢者の日常生活自立度でみると,「Ⅰ」が全体のおよそ4分の3を占めている。


認知症高齢者の日常生活自立度の「Ⅰ」は最も軽度なもので,何らかの認知症を有していても,日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している状態です。


最も多いのは,日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さがときどき見られて介護を必要とする「Ⅲ」です。


何となくわかるような気がしませんか。 


5 虐待の内容として最も多いものは,「経済的虐待」となっている。


最も多い虐待の種類は「身体的虐待」です。


〈今日の注意ポイント〉


認知症高齢者の日常生活自立度が出題されて,慌てた人も多かったのではないかと思います。


Ⅰが最も重い症状なのか,最も軽い症状なのか,わかりません。


しかし,それがわからずとも,虐待が起きそうなのは,いわゆる「BPSD」が多く出てくる段階なのではないかと思います。


軽い時には,BPSDは生じることなく,重い時には,寝たきりに近くなります。


それを考えると,「Ⅰ」の時に,虐待が多く発生することはないだろうと推測できそうです。

2024年1月8日月曜日

介護保険制度の地域支援事業

介護保険の地域支援事業は,改正を重ねて,だんだんボリュームが増えてきています。


さらには,従来,全国一律の基準で行われていた介護予防訪問介護と介護予防通所介護は,地域支援事業に移行し,地域独自でさまざまなサービスが提供されています。


さて,今日の問題は,介護予防・生活支援サービス事業です。


第32回・問題133

介護保険制度の地域支援事業における介護予防・生活支援サービス事業に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 この事業は,被保険者のうち,居宅で生活している要介護者及び要支援者が幅広く対象となっている。

2 通所型サービス(第一号通所事業)では,保健・医療専門職による短期間で行われるサービスが実施可能となっている。

3 訪問型サービス(第一号訪問事業)では,訪問介護員による身体介護は実施されないこととなっている。

4 介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業)については,地域包括支援センターヘ委託をしてはならないこととなっている。

5 この事業における利用者負担は,全国一律になっている。


この問題は,地域支援事業を正しく理解していないと正解することができません。


それでは,解説です。


1 この事業は,被保険者のうち,居宅で生活している要介護者及び要支援者が幅広く対象となっている。


介護予防・生活支援サービス事業は,要支援者,及び基本チェックリスト該当者を対象としています。


2 通所型サービス(第一号通所事業)では,保健・医療専門職による短期間で行われるサービスが実施可能となっている。


これが正解です。


通所型サービスは,従来の介護予防通所介護から地域支援事業の介護予防・生活支援サービス事業に移行したものです。


さまざまなサービスが提供されますが,その中には,保健・医療専門職による短期間で行われるサービスも含まれます。



3 訪問型サービス(第一号訪問事業)では,訪問介護員による身体介護は実施されないこととなっている。


訪問型サービスは,従来の介護予防訪問介護から地域支援事業の介護予防・生活支援サービス事業に移行したものです。


さまざまなサービスが提供されますが,その中には,訪問介護員による身体介護も含まれます。


4 介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業)については,地域包括支援センターヘ委託をしてはならないこととなっている。


介護予防ケアマネジメントは,地域包括支援センターが行うものです。


5 この事業における利用者負担は,全国一律になっている。


介護予防・生活支援サービス事業の利用料は,市町村が独自に定めます。


〈今日の注意ポイント〉


地域支援事業は,前説のように,だんだん複雑になってきています。


特に介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)は覚えるべき内容が多いですが,確実に覚えておきたいです。

2024年1月7日日曜日

繰り返し出題されないと思われる問題

国家試験には,何度も何度も繰り返し出題されるものと,一度しか出題されないものがあります。


一度しか出題されないものを一生懸命になって覚えるのは,時間がもったいないです。


今日,取り上げる問題は,いかにも繰り返し出題されないと思われる問題です。

しかし,問題を解く訓練には使えます。


ぜひ取り組んでみてください。


第32回・問題134 

厚生労働省の介護人材確保対策に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 介護福祉士の資格等取得者の届出制度では,離職した介護福祉士に対し,その再就業を促進し効果的な支援を行うため,都道府県福祉人材センターに氏名・住所等を届け出ることを努力義務としている。

2 介護保険制度の介護報酬における介護職員処遇改善加算では,介護サービス事業所・施設等が特段の届出や要件を問われることなく,介護職員の賃金増額などを図るための加算を取得できることとなっている。

3 福祉・介護人材確保緊急支援事業により,キャリア支援専門員が福祉事務所に配置され,個々の求職者にふさわしい職場を開拓するとともに働きやすい職場づくりに向けた指導・助言を行うこととなっている。

4 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,介護人材の構造転換を図るために,専門性の高い人材を活用する「富士山型」の方策から,基礎的な知識を有する人材を活用する「まんじゅう型」の方策へと転換を図る必要性が示されている。

5 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,中高年齢者等や介護未経験の者に対し,生活支援サービスの担い手養成のための研修の受講を支援するため,介護福祉士等修学資金貸付制度の充実を図るとされている。

(注) 「2025年に向けた介護人材の確保」とは,「2025年に向けた介護人材の確保~量と質の好循環の確立に向けて~」(平成27年2月25日社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会)のことである。


文字数がとんでもなく多い問題なので,そこからナンセンスです。


この問題が出題された時に受験した人は,勉強したことがない内容であり,さらには,文字数が多いので頭が混乱したはずです。


国家試験には,こういったタイプの問題がこれまでは一定数出題されてきました。これからも出題されるかどうかわかりません。


しかし,こういった問題も出題されると想定しておくと,試験当日の混乱をある程度,防止することができるように思います。


それでは,解説です。


1 介護福祉士の資格等取得者の届出制度では,離職した介護福祉士に対し,その再就業を促進し効果的な支援を行うため,都道府県福祉人材センターに氏名・住所等を届け出ることを努力義務としている。


これが正解です。


今後,再び出題されることがあるとすれば,この「介護福祉士の資格等取得者の届出制度」でしょう。


2 介護保険制度の介護報酬における介護職員処遇改善加算では,介護サービス事業所・施設等が特段の届出や要件を問われることなく,介護職員の賃金増額などを図るための加算を取得できることとなっている。


介護職員処遇改善加算を算定するためには,事前に届出する必要があります。


3 福祉・介護人材確保緊急支援事業により,キャリア支援専門員が福祉事務所に配置され,個々の求職者にふさわしい職場を開拓するとともに働きやすい職場づくりに向けた指導・助言を行うこととなっている。


キャリア支援専門員というのは聞いたことがなかったはずです。

こういったものがいきなり正解になることはあまりありません。


キャリア支援専門員が配置されるのは,都道府県社会福祉協議会です。


4 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,介護人材の構造転換を図るために,専門性の高い人材を活用する「富士山型」の方策から,基礎的な知識を有する人材を活用する「まんじゅう型」の方策へと転換を図る必要性が示されている。


なんだかよくわからないものでしょう。


しかし,富士山はイメージできるでしょう。今後,目指されるのは,富士山型らしいです。


富士山は,すそ野が広がっているのが特徴です。富士山型は,そのように,すそ野を広げて,多くの人材を集めることをイメージしたものです。


まんじゅう型は,基礎的な資格を取ってから参入するもので,今までの方策です。


5 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,中高年齢者等や介護未経験の者に対し,生活支援サービスの担い手養成のための研修の受講を支援するため,介護福祉士等修学資金貸付制度の充実を図るとされている。


介護福祉士等修学資金貸付制度は,介護福祉士や社会福祉士の受験資格を得られる学校に通う生徒に対して,修学資金を貸与するものです。


貸与なので卒業後は返還しなければなりませんが,資格を取って一定の実務を経験すると返還免除になるような措置も設けられています。


〈今日の注意ポイント〉


解説を読めば,「なるほど~」と思うでしょう。

しかし,国家試験会場では,解説してくれる人はいません。調べることもできません。


自分の頭で考えて,答えなければなりません。


これはとても辛いことでしょう。しかし,現場は,自分で考えて,行動できる人材を求めています。


社会福祉士の国家試験は,社会福祉士に必要な力をつけるためのものでもあります。


辛いのは,ほかの人も同じです。もう一頑張りです。

2024年1月6日土曜日

介護保険制度における国,地方公共団体の役割

介護保険の実施主体は,市町村です。


国は,市町村が参酌すべき指針を示します。


都道府県は,広域的な立場から市町村の調整,専門職の養成・資質の向上,基盤整備などを行います。


これらの関係性は,ほかの分野でもほとんど変わりありません。


ただし,介護保険には,ほかの分野と異なる部分があります。


市町村が事業者指定を行うものがあること(地域密着型サービス事業者など)などです。


それでは,今日の問題です。


第32回・問題132

介護保険制度に関する次の記述のうち,国の役割として,正しいものを1つ選びなさい。

1 介護保険事業支援計画を策定すること。

2 介護給付費等審査委員会を設置すること。

3 介護保険に関する収入及び支出について特別会計を設けること。

4 市町村に対して介護保険の財政の調整を行うため,調整交付金を交付すること。

5 指定情報公表センターの指定をすること。


近年では,国の役割が出題されるようになってきていますが,拍子抜けしないでください。


基本を押さえるとどんな問題にも対応可能です。


それでは,解説です。


1 介護保険事業支援計画を策定すること。


国は,基本指針を策定します。

都道府県は,介護保険事業支援計画を策定します。

市町村は,介護保険事業計画を策定します。


2 介護給付費等審査委員会を設置すること。


介護給付費等審査委員会は,介護給付費請求書及び介護予防・日常生活支援総合事業費請求書の審査を行います。


設置するのは,国民健康保険団体連合会(国保連)です。


3 介護保険に関する収入及び支出について特別会計を設けること。


特別会計を設けるのは,市区町村です。


4 市町村に対して介護保険の財政の調整を行うため,調整交付金を交付すること。


これが正解です。


国は介護給付費の25%を負担しますが,定額分は20%です。


5%分が調整交付金と呼ばれるもので,市町村の介護保険財政の状況に応じて交付するものです。


5 指定情報公表センターの指定をすること。


介護サービス情報の報告の受理及び公表などを行う情報公表センターを指定するのは都道県知事の役割です。


〈今日の注意ポイント〉


今日の問題で特に覚えておきたいのは,指定に関する事務です。


制度の中には,国が指定するものもあります。


例えば,社会福祉士の国家試験を実施する機関などです。


国が指定するのは,このように全国に1か所しかないもの,あるいは数か所しかないものです。


多くの指定事務は,都道府県が行います。


ただし,前説に書いたように介護保険制度では,地域密着型サービス事業者や介護予防事業者,居宅介護支援事業者など,市町村が指定事務を担うものもあります。


これらは特別なものであり,指定は基本的に都道府県の役割であることを覚えておきたいです。

2024年1月5日金曜日

介護保険制度におけるケアマネジメント

今日の問題は,介護保険に関する事例問題を取り上げます。


介護保険の内容がわからなくても,落ち着いてソーシャルワークの基本を考えると正解できそうな問題です。


それでは,早速,今日の問題です。


第32回・問題131

事例を読んで,L介護支援専門員(社会福祉士)が行う支援で,適切なものを2つ選びなさい。

〔事 例〕

 脳梗塞後遺症で左片麻痺のMさん(84歳,要介護3)の在宅生活に向けた退院時カンファレンスが開催された。Mさんは79歳の妻と二人暮らしで,主たる介護者は妻である。Mさんは杖歩行の訓練中であるが,転倒防止のため車いすを使用している。カンファレンスで,「在宅生活でも車いすの継続利用が望ましい」と理学療法士の意見があった。そのため,自宅の住宅改修などを行う必要性があることが話し合われ,居宅介護支援事業所のL介護支援専門員が居住環境の見直しをすることとなった。

1 住宅改修は,Mさんより,介護者である妻の希望を優先する。

2 在宅生活のため,屋外の段差解消は必要ないと説明する。

3 浴室での座位保持のため,入浴用椅子の購入を勧める。

4 居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は10万円であることを伝える。

5 畳からフローリングヘの変更が可能であると伝える。


選択肢1と2は,すぐ消去できるはずです。


特に,選択肢1は,ソーシャルワーク系の科目でも問われます。


優先するのは,本人の希望です。


残るのは,

3 浴室での座位保持のため,入浴用椅子の購入を勧める。

4 居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は10万円であることを伝える。

5 畳からフローリングヘの変更が可能であると伝える。


の3つです。


2つ消去できた時点で,この問題は,66.7%の確率で正解できます。


結論を言えば,この中で誤りなのは,選択肢4です。


4 居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は10万円であることを伝える。


居宅介護住宅改修費の支給限度基準額は,20万円だからです。


しかし,金額うんぬんよりも,この選択肢が正解になりにくい理由は,ほかの2つは,具体的な居住環境を提示しているのに対し,この選択肢4は,金額を提示していることです。


お金はとても重要なことであるのは当然のことです。


しかし,優先するのは,住宅改修の内容です。


必要なものをピックアップして,その見積もりを出してもらって,支給限度基準額がいくらで,自己負担できるのはどのくらいなのか,その中で優先すべきものは何か,の検討を進めていきます。


ということで正解は,選択肢3と5です。

3 浴室での座位保持のため,入浴用椅子の購入を勧める。

5 畳からフローリングヘの変更が可能であると伝える。


〈今日の注意ポイント〉


ケアマネジメントは,ニーズ優先が大原則です。

先に金額を提示するのは,ニーズ優先ではなく,サービス優先の考え方です。


「介護保険では,〇〇万円が支給されるので,その範囲で行える住宅改修は,〇〇です」という思考になっていきます。

これがサービス優先です。

ケアマネジメントに関する出題では,サービス優先のものが正解になることはないと言えるでしょう。


支給限度基準額の知識があった方がもちろん良いですが,試験委員が本当に問いたかったのは,支給限度基準額の金額ではなかったのではないかと思います。

特定の分野の人しかわからないものを社会福祉士の国家試験の論点にするのはフェアではありません。

細かい内容は,現場に入ってから覚えればよいものです。受験するのは,社会福祉士の国家試験であることは,絶対に忘れてはなりません。

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