2024年7月29日月曜日

社会福祉士は多職種連携の要です

 

社会福祉士及び介護福祉士法において,社会福祉士は以下のように定められています。

 

(定義)

第二条 この法律において「社会福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第四十七条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第七条及び第四十七条の二において「相談援助」という。)を業とする者をいう。

 

 

社会福祉士とは

 

①ソーシャルワークのプロフェッショナル

 

であるのと同時に,

 

②福祉・医療関係者との連絡・調整を行う専門職

 

であることが分かります。

 

①と②は,実は違うスキルが求められます。

 

①ソーシャルワークのプロフェッショナルとしては,傾聴や自己決定などのケースワークのスキルが中心となります。

 

②福祉・医療関係者との連絡・調整としては,ファシリテーション,そしてアサーションスキルなどが必要です。

 

 

法では

 

(連携)

第四十七条 社会福祉士は、その業務を行うに当たつては、その担当する者に、福祉サービス及びこれに関連する保健医療サービスその他のサービス(次項において「福祉サービス等」という。)が総合的かつ適切に提供されるよう、地域に即した創意と工夫を行いつつ、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。

 

 

といったように,連携の責務があることが明記されています。

 

社会福祉士が,地域包括ケアシステムが進められる中,名実ともに多職種連携の要となるためには,ファシリテーション,そしてアサーションスキルを高めることが必要だと強く思っています。

 

傾聴も必要ですが,必要な時には主張することが連携には必要です。

 

 

さて,今日の問題は,サービス担当者会議(サー担会議)です。

 

 

サー担会議は,介護支援専門員が招集して実施するものです。

 

 

社会福祉士は,ソーシャルワークの共通基盤を共有しています。

高齢者分野では,現在では社会福祉士が増えてきているとは言え,まだまだ少ないのが実情です。

  

ちょっと飛躍して想像してみましょう。

  

社会福祉士は,それぞれが連携の責務を負っています。

 

もし,サービス担当者会議(サー担会議)に参加するメンバーがみんな社会福祉士だった場合,より高度なサー担になるのではないでしょうか。基礎資格が違っても,共通基盤を共有しているからです。

 

看護師の社会福祉士,介護福祉士の社会福祉士,そして介護支援専門員の社会福祉士,それぞれの専門性で意見を出し合いながら,サー担ができるとステキだと思いませんか。

 

夢はさておき今日の問題を見ましょう。

 

 

25回・問題133

居宅サービスにおけるサービス担当者会議に関する次の記述のうち,「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」に照らして正しいものを1つ選びなさい。

1 サービス担当者会議は,居宅サービス計画にかかわる担当者を招集し,サービス利用者や家族等の情報を共有するとともに,専門的な見地からの意見を求める場である。

2 サービス担当者会議は,介護保険の保険者である市町村が開催し,各サービス担当者の連携を図る。

3 サービス担当者会議は,原則として,指定サービス等の担当者に対する照会により意見を求めることによって実施される。

4 サービス担当者会議は,居宅サービス計画の変更がある場合に開催され,要介護更新認定や要介護状態区分の変更の場合等は,特に必要がなければ開催しなくてもよい。

5 サービス担当者会議は,サービス利用者や家族の状況の把握と,指定サービス等の担当者間の連絡調整の場なので,利用者が会議に参加することは適切ではない。

 

 

サー担会議を知っていれば,まったく難しくないですが,知らない人にとっては,こんな問題でも確実に正解するのは,そんなに簡単ではありません。

 

 

1 サービス担当者会議は,居宅サービス計画にかかわる担当者を招集し,サービス利用者や家族等の情報を共有するとともに,専門的な見地からの意見を求める場である。

 

これが正解です。サー担会議を招集開催するのは介護支援専門員です。

 

 

2 サービス担当者会議は,介護保険の保険者である市町村が開催し,各サービス担当者の連携を図る。

 

 

サー担会議は,居宅介護サービスの利用者に対して行われます。

市町村が開催するには,市町村のでは難しいです。

  

大きな市なら,いろいろなことをする人員を確保することができるかもしれませんが,過疎地域の村の職員は,〇〇兼〇〇兼〇〇兼〇〇課長,といったことはよくある話です。

 

国はその辺りの状況はよく知っています。

  

都道府県は,市町村の調整を行います。

市町村と都道府県の役割で迷った時,そんなところをヒントにして考えてみるとよいです。

  

問題に戻ると,先述のように,サー担会議は介護支援専門員が開きます。よって間違いです。

  

3 サービス担当者会議は,原則として,指定サービス等の担当者に対する照会により意見を求めることによって実施される。

 

サー担会議は,会議です。照会では会議にはなりません。

 

招集しなければなりません。よって間違いです。

 

サー担会議を開かないでケアプランを作成すると重大な法令違反です。

 

最悪の場合,指定が取り消されます。

 

 

4 サービス担当者会議は,居宅サービス計画の変更がある場合に開催され,要介護更新認定や要介護状態区分の変更の場合等は,特に必要がなければ開催しなくてもよい。

 

 

もちろん開催しなければなりません。よって間違いです。

 

34を選んだ方は,十二分に気を付けてください。

 

実際にこんなことが行われると最悪の場合,指定が取り消されます。

 

 

5 サービス担当者会議は,サービス利用者や家族の状況の把握と,指定サービス等の担当者間の連絡調整の場なので,利用者が会議に参加することは適切ではない。

 

 

サー担会議には,利用者及び家族が参加することを基本としています。参加するのは適切です。よって間違いです。

 

社会福祉士の国家試験の法制度は,基本的には法制度の骨格が出題されます。

 

細かいところまでは,出題されないのが基本です。

 

ケアマネ試験は,制度を細かく出題してきます。

 

その違いは,今日の問題で分かるように,介護支援専門員は,法制度を知らないと仕事ができないのに対し,社会福祉士は法の執行者ではないことです。

  

法は理由があって成立しているので,現在の状況,今後求められるものを考える(想像する)ことで,何となく見えてくることもあります。

 

他の科目は,問題数が少ないので細かいところを出題すると,制度の骨格を出題する余地がなくなります。

 

国家試験の基本を押さえておかないと,どんどん深掘りしたくなり,底なし沼に引きずり込まれます。

 

危険です。

 

教科書に書かれている知識で十分にボーダーラインを超えられます。

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