2024年7月8日月曜日

虐待防止3法の整理のポイント

 虐待防止法には,児童虐待防止法,高齢者虐待防止法,障害者虐待防止法の3つがあります。


整理するポイント

・定義

・虐待の種類

・通報(通告)先


※児童虐待の場合が「通告」。


この中でちょっと面倒なのが通報先です。


特に障害者虐待防止法の通報先は


【障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した場合】


  ↓    ↓    ↓


速やかに市町村に通報しなければならない。




【使用者による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した場合】


  ↓    ↓    ↓


速やかに市町村又は都道府県に通報しなければならない。


誰によって虐待を受けたのかによって,通報先が違うのです。


それでは,早速今日の問題を見て行きましょう。



第25回・問題83

「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 この法律において「障害者虐待」とは,養護者による障害者虐待,障害者福祉施設従事者による障害者虐待のことをいう。

2 この法律では,虐待の通報があった場合,市町村の障害者福祉担当職員は,当該障害者の住所又は居所に速やかに立入調査をしなければならない。

3 この法律により,市町村は市町村障害者虐待防止センター,都道府県は都道府県障害者権利擁護センターとしての機能を果たすことが義務づけられた。

4 この法律では,国及び地方公共団体に,成年後見制度の利用促進のための措置を講じることを求める規定は定められていない。

5 この法律の施行により,障害児の虐待防止に関する事項は,「児童虐待防止法」ではなくこの法律の対象となった。



日本語的にすぐ間違いだと分かるものも含まれていますが,この時点で答えは見えません。


それでは詳しく見ていきましょう。


1 この法律において「障害者虐待」とは,養護者による障害者虐待,障害者福祉施設従事者による障害者虐待のことをいう。


ヒントを書いたので,これは分かったかもしれません。


使用者による虐待」が抜けています。


よって×。


過去問では,病院従事者というものが加わっていたことがありますが,病院は入っていません。


2 この法律では,虐待の通報があった場合,市町村の障害者福祉担当職員は,当該障害者の住所又は居所に速やかに立入調査をしなければならない。


虐待の通報を受けた場合,必ず立入調査をしなければならないものではなく,調査あるいは質問することができる,とされています。


よって×。このような義務規定があると,実際の場面では,運用するのは難しいと思います。


3 この法律により,市町村は市町村障害者虐待防止センター,都道府県は都道府県障害者権利擁護センターとしての機能を果たすことが義務づけられた。


この時点では,参考書などに書かれていなかったので,答えが分かりませんでした。


こういう時は冷静に▲をつけましょう。


結果的に消去法でこれが残るのですが,これが正解です。


4 この法律では,国及び地方公共団体に,成年後見制度の利用促進のための措置を講じることを求める規定は定められていない。


こんなしょうもない問題は,めったにないと思います。


わざわざ「定められていないもの」を出題する意義は見つけられません。


このような「わざわざ問題」は,おそらく先に正しい文章を作って,それを否定形に直すことによって,間違い選択肢を作るという手法です。


一番楽な作問方法と言って良いでしょう。つまり試験委員の手抜き問題と言うことができます。


その点で「しょうもない」と思うわけです。


もちろん規定されているので☓。


5 この法律の施行により,障害児の虐待防止に関する事項は,「児童虐待防止法」ではなくこの法律の対象となった。


虐待防止は,デリケートな問題です。法律で線引きできるようなものではありません。


それを他の法律に移動させるようなことは絶対にありません。


生活保護法の養老施設が,老人福祉法が成立したことで,同法に規定され,名称も「養護老人ホーム」となった,といったものとはまったく別のものと言えます。


もちろん☓です。


答えは,状況に応じてそれぞれで対応します。

線引きする意味がわかりません。


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