2024年7月7日日曜日

4親等以上の親族には,扶養の義務はありません

 民法は1,000条を超えます。


明治29年にできた古い法律なので,改正を繰り返すうちに必要事項が付け加えられていった結果です。


「権利擁護を支える法制度」の科目で覚えなければならないうち,ざっと3分の2は,民法に関連するものであると言っても過言ではないでしょう。



さて,今日のテーマは「4親等以上の親族には,扶養の義務はありません」です。



民法上の親族は,6親等以内の血族と3親等以内の姻族,及び配偶者です。


配偶者は0親等,つまり親等の上では,本人と同じということになります。


これを押さえて今日の問題です。


第25回・問題81

扶養義務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 直系血族及び同居の親族は,互いに扶養をする義務がある。

2 扶養の程度又は方法については,当事者が協議で定めるものであり,家庭裁判所が定めることはできない。

3 扶養をする義務のある者が数人ある場合において,扶養をすべき者の順位については,家庭裁判所が定めるものであり,当事者が協議で定めることはできない。

4 家庭裁判所は,特別の事情がある場合であっても,四親等の親族に扶養の義務を負わせることはできない。

5 扶養を受ける権利は,特別の事情がある場合には,処分をすることができる。


ちょっと難しそうですね。


しかし,答えだけは分かると思います。


1 直系血族及び同居の親族は,互いに扶養をする義務がある。


血族の場合,親族は6親等以内までとなります。


6親等とはどこの範囲かというと,またいとこ(はとこ)です。顔も知らないかもしれません。


いくら同居していてもそれは遠すぎます。


扶養義務があるのは,直系血族及び兄弟姉妹です。


よって×


2 扶養の程度又は方法については,当事者が協議で定めるものであり,家庭裁判所が定めることはできない。


家庭裁判所は,家庭内の紛争などを担当します。


もちろん,協議が整わなかった場合は,家庭裁判所が行うことができます。


よって×。


3 扶養をする義務のある者が数人ある場合において,扶養をすべき者の順位については,家庭裁判所が定めるものであり,当事者が協議で定めることはできない。


選択肢2と同じく,協議が整わなかった場合は,家庭裁判所が行うことができます。


よって×。


4 家庭裁判所は,特別の事情がある場合であっても,四親等の親族に扶養の義務を負わせることはできない。


扶養義務があるのは,直系血族及び兄弟姉妹です。


しかし,特別の事情がある場合は,3親等以内の親族に義務を負わせることができます。


つまり4親等以上の親族には扶養義務を負わせることはできません。


よってこれが正解です。


5 扶養を受ける権利は,特別の事情がある場合には,処分をすることができる。


選択肢4が正解ですから,これは間違いなのですが,民法では「扶養請求権の処分の禁止」が規定されています。

つまり処分することはできません。

よって×。

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