今日のテーマは「成年後見制度の確実な覚え方!!」です。
「権利擁護を支える法制度」は,制度系の科目の中では,難しめかもしれません。
しかし,その中でも,成年後見制度は比較的易しいです。
それでは,問題を解きながら,確実な覚え方を確認していきましょう。
第25回・問題80
保佐人の権限及び職務に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 家庭裁判所は,必要があると認めるときは,被保佐人,その親族若しくは保佐人の請求により又は職権で保佐監督人を選任することができる。
2 保佐人と被保佐人との利益が相反する行為については,保佐人は特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
3 被保佐人は,日用品の購入その他日常生活に関する行為につき,保佐人の同意を要する。
4 保佐人は,保佐の事務を行うに当たっては,被保佐人の心身の状態及び生活の状況の悪化が予想されても,被保佐人の意思を尊重しなければならない。
5 家庭裁判所は,職権で枝保佐人のために特定の行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
さすがは,難しかった第25回だなぁと思う問題です。
1 家庭裁判所は,必要があると認めるときは,被保佐人,その親族若しくは保佐人の請求により又は職権で保佐監督人を選任することができる。
まず,難しいとおもうのは,「保佐監督人」です。
保佐に限らず,後見,補助,それぞれに監督人が選任されます。
監督人は,文字通り,後見人,保佐人,補助人を監督する役割の人です。
財産がとても多いとか,紛争が絶えない,といったときに選任されることが多いです。
申立権者の請求あるいは,家庭裁判所の職権で選任されます。
よって正解です。
成年後見制度の覚え方のポイント1
職権で選任した者は,職権で解任できる。
後見開始の審判の請求は,申立権者の請求によって行われます。
後見人,あるいは後見監督人の選任は,家庭裁判所の職権で行います。
職権で選任した者は,職権で解任できます。
後見開始の審判の請求 → 家庭裁判所の職権で行うことができない。
後見人の選任 → 家庭裁判所の職権で行うことができる。
後見人の解任 → 家庭裁判所の職権で行うことができる。
2 保佐人と被保佐人との利益が相反する行為については,保佐人は特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
特別代理人という聞き慣れないものが出題されました。
特別代理人の選任が必要なのは,成年被後見人と成年後見人,子と親権者の関係の中で利益が相反する場合です。
よって×。
保佐人と被保佐人との利益が相反する行為に選任するのは,臨時保佐人です。
成年後見制度の覚え方のポイント2
特別代理人の選任の請求が必要
→ 成年被後見人と成年後見人との利益が相反する行為の場合
3 被保佐人は,日用品の購入その他日常生活に関する行為につき,保佐人の同意を要する。
日用品の購入その他日常生活に関する行為には,同意も必要としませんし,取り消すこともできません。
よって×。
これは,被後見人,被補助人も同様です。
成年後見制度の覚え方のポイント3
日用品の購入その他日常生活に関する行為には,同意権も取消権もない。
理由は,日用品の購入などはそんなに高価なもまのではないので,このくらいは人権として認めましょう,というものです。
4 保佐人は,保佐の事務を行うに当たっては,被保佐人の心身の状態及び生活の状況の悪化が予想されても,被保佐人の意思を尊重しなければならない。
実に社会福祉士的な出題だなぁ,と思います。
ソーシャルワーク原則には「自己決定」があります。
しかしそれより優先されるのは,生命の尊重です。
よって×。
5 家庭裁判所は,職権で枝保佐人のために特定の行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
これは職権ではなく,請求によって行います。
よって×
成年後見制度の覚え方のコツ4
家庭裁判所が職権で行うことが出来るのは,後見人・後見監督人の選任及び解任,後見人の事務の監督,後見人が複数いる場合の取り扱いのみ。
それ以外は請求が必要です。