2024年7月11日木曜日

世論調査も社会福祉調査の一つです!

国政選挙などがあると報道各社は,独自の調査法を使って,世論調査を行います。


おそらく電話を使った世論調査が多いと思います。

社会福祉調査は,正しいサンプリングができないと適切な測定ができません。


電話の普及率は高いですが,固定電話を持たない人が多くなっている昨今,十分気を付けないと偏ったサンプリングとなります。


そこで期日前投票,当日の出口調査など,さまざまなものを組み合わせて,より適切な数字をはじき出します。

開票率0%という段階で「当確」が出ることもあるのはそういった調査データがあるからです。


さて,今日の問題です。


第25回・問題87

社会調査におけるデータ収集方法に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

1 郵送調査法においては,未回収の対象者に対して何度か督促を行うことを想定してあらかじめ督促状を準備する。

2 個別面接調査法は,個々の対象者に調査員が直接面接して行う自計式の調査である。

3 RDD(Random Digit Dialing)法を用いた電話調査では,対象とする調査地域の電話帳を用いる。

4 集合調査法は,一種の集団効果が作用してバイアスが生じることがある。

5 留置調査法では,対象者を個別に訪問するため,対象者本人の回答であることを確認できるというメリットがある。


データ収集は,慎重に行う必要があります。

それでは,詳しく見ていきましょう。


1 郵送調査法においては,未回収の対象者に対して何度か督促を行うことを想定してあらかじめ督促状を準備する。


この問題を初めて見た時は,とても不思議な問題だなぁ,と思った記憶があります。

なぜなら,回収率が低いと,正しいサンプリングになりませんが,最初から督促状を用意するのも変だなぁ,と感じたからです。


答えは,分からないので▲を付けておきます。


結果として消去法でこれは残りますが,督促状を用意しておくのは,回収率を高めるためには適切です。

よって正解です。


2 個別面接調査法は,個々の対象者に調査員が直接面接して行う自計式の調査である。


自計式,他計式は,分かりにくいので,何度も繰り返して出題されています。



「自」とは誰でしょう?


調査対象者 ➡ 「自」

調査者  ➡ 「他」


調査対象者が主体となります。


調査員が記入するのは「他計式」となります。


よって×。



3 RDD(Random Digit Dialing)法を用いた電話調査では,対象とする調査地域の電話帳を用いる。


これから,報道各社が世論調査を行います。

特に新聞社は,どのような調査を行ったのかを記載しています。

おそらく多くは,この「RDD」という方法を使います。


今は,コンピュータで乱数を発生させて,電話する方法を取ります。

昔から電話を使った世論調査は行われて来ました。


電話番号を電話帳に掲載している人が多かった時代は電話帳を使っても,母集団との隔たりは起きにくかったと思います。


しかし,今は電話帳が存在しているかどうかも分かりませんが,あっても掲載する人は限られているはずです。


電話帳は使えません。


よって×。


ぜひ世論調査が新聞に掲載された時は,どんな手法を使ったのか,着目してみてください。


なお,近年のRDDは,音声ガイドに従って,調査対象者が数字を入力する自計式の調査が用いられています。


昔ながらのオペレーターの質問に答えていくものは,他計式です。

同じRDDでも自計式と他計式があるので注意が必要です。


4 集合調査法は,一種の集団効果が作用してバイアスが生じることがある。


集合調査は,どのように集合させるのも問題があります。

テレビ局などで呼びかけた場合,そのテーマに興味を持った人が応募してくることになります。


その中から無作為抽出しても,もともとのリストが偏っているので,抽出したサンプルは,母集団とは隔たったものとなってしまいます。


テレビ局等の呼びかけではなく,公の機関が,うまく参加者を決めて,無作為抽出ができたとします。


しかし,集まってきた時点で,他の人の影響が出ることがあります。


以前あるテレビ局では,バイアスを有効活用し,でたらめ情報で番組を作っていたことがあります。それが発覚して番組は打ち切りになりました。このようにバイアスが生じやすいです。


よって正解です。


5 留置調査法では,対象者を個別に訪問するため,対象者本人の回答であることを確認できるというメリットがある。


留置調査は,調査員が訪問して,調査票を配布する方法です。


回収には,調査員が再び訪問して回収する方法や返信用封筒で送ってもらうなどの方法があります。


どちらの回収法を採用しても,回答している時に立ち会っているわけではありません。


例えば,調査対象はその地区に住む65歳以上の高齢者だと設定しても,本人が答えず,孫に回答させているかもしれません。


よって×。


〈今日の一言〉


選挙会場での出口調査は,報道各社にとって,とても重要なデータです。


以前は,調査員が調査対象者に質問して,調査者が記入する他計式が主流でした。


近年はタブレットPCを調査対象者に渡して,調査対象者が記入する自計式の調査も行われます。


単にRDD・出口調査は,他計式と覚えると危険なので,注意が必要です。

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