今回は,ソーシャルワークにおけるエンゲージメントを取り上げます。
第30回の国試で出題されるまでは,あまり知られていなかったものです。
エンゲージメントは,インテーク(受理面接)とほぼ同義語です。
それにもかかわらず,インテークのほかにエンゲージメントが使われるようになった理由は,インテークにはスクリーニングの意味合いも含むものですが,エンゲージメントは,クライエントとソーシャルワーカーは対等な立場にあるという意味合いがあるからです。
そのために,「契約」という意味がある「エンゲージメント」が使われます。
それでは,今日の問題です。
第30回・問題116 相談援助におけるプランニングに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 実現することが困難な課題を重視し,策定しなければならない。
2 サービス優先アプローチに基づいて策定しなければならない。
3 クライエントと協働して策定しなければならない。
4 短期目標は,将来的なビジョンを示すものとして設定しなければならない。
5 策定したプランの内容に基づいて,エンゲージメントをしなければならない。
プランニング(計画立案)に関する問題です。
決して難しい問題ではありませんが,エンゲージメントという見慣れないものが含まれているので,それによって難易度が上がります。
一問一答式の勉強の限界は,この問題のように,ほかの選択肢との相互作用によるものの練習ができないことです。
正解は,選択肢3です。
3 クライエントと協働して策定しなければならない。
この選択肢だけが単体であった場合に,×をつける人はまずいないでしょう。
それが国試の怖いところです。
今日のテーマであるエンゲージメントを含めて出題しているので,そこで混乱するのです。
それを克服するためには,最終的には国試と同じ5択の問題を解いて仕上げることが必要です。
一応ほかの選択肢も解説します。
1 実現することが困難な課題を重視し,策定しなければならない。
実現するのが困難なら,その目標は解決されないことになります。
そんな目標なら意味がないでしょう。
2 サービス優先アプローチに基づいて策定しなければならない。
サービス優先アプローチとは,提供できるサービスの中から選ぶタイプのものです。
必要なのは,クライエントの福祉ニーズを解決するためのニーズ優先アプローチです。
4 短期目標は,将来的なビジョンを示すものとして設定しなければならない。
将来的なビジョンから設定するのは,長期目標です。
5 策定したプランの内容に基づいて,エンゲージメントをしなければならない。
エンゲージメントは,ほぼインテークの意味です。
つまり援助の最初の段階でエンゲージが行われることになります。
エンゲージメントは,まだまだなじみのないものかもしれませんが,一度出題されたことで,これからも出題されることがあるでしょう。