2021年7月29日木曜日

ソーシャルワークにおけるエンゲージメント

今回は,ソーシャルワークにおけるエンゲージメントを取り上げます。


第30回の国試で出題されるまでは,あまり知られていなかったものです。


エンゲージメントは,インテーク(受理面接)とほぼ同義語です。


それにもかかわらず,インテークのほかにエンゲージメントが使われるようになった理由は,インテークにはスクリーニングの意味合いも含むものですが,エンゲージメントは,クライエントとソーシャルワーカーは対等な立場にあるという意味合いがあるからです。


そのために,「契約」という意味がある「エンゲージメント」が使われます。


それでは,今日の問題です。


第30回・問題116 相談援助におけるプランニングに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 実現することが困難な課題を重視し,策定しなければならない。

2 サービス優先アプローチに基づいて策定しなければならない。

3 クライエントと協働して策定しなければならない。

4 短期目標は,将来的なビジョンを示すものとして設定しなければならない。

5 策定したプランの内容に基づいて,エンゲージメントをしなければならない。


プランニング(計画立案)に関する問題です。


決して難しい問題ではありませんが,エンゲージメントという見慣れないものが含まれているので,それによって難易度が上がります。


一問一答式の勉強の限界は,この問題のように,ほかの選択肢との相互作用によるものの練習ができないことです。


正解は,選択肢3です。


3 クライエントと協働して策定しなければならない。


この選択肢だけが単体であった場合に,×をつける人はまずいないでしょう。

それが国試の怖いところです。


今日のテーマであるエンゲージメントを含めて出題しているので,そこで混乱するのです。


それを克服するためには,最終的には国試と同じ5択の問題を解いて仕上げることが必要です。


一応ほかの選択肢も解説します。


1 実現することが困難な課題を重視し,策定しなければならない。


実現するのが困難なら,その目標は解決されないことになります。

そんな目標なら意味がないでしょう。


2 サービス優先アプローチに基づいて策定しなければならない。


サービス優先アプローチとは,提供できるサービスの中から選ぶタイプのものです。

必要なのは,クライエントの福祉ニーズを解決するためのニーズ優先アプローチです。


4 短期目標は,将来的なビジョンを示すものとして設定しなければならない。


将来的なビジョンから設定するのは,長期目標です。


5 策定したプランの内容に基づいて,エンゲージメントをしなければならない。


エンゲージメントは,ほぼインテークの意味です。

つまり援助の最初の段階でエンゲージが行われることになります。


エンゲージメントは,まだまだなじみのないものかもしれませんが,一度出題されたことで,これからも出題されることがあるでしょう。



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