今回は,課題中心アプローチを取り上げます。
〈課題中心アプローチの特徴〉
提唱者:リードとエプスタイン 影響を受けているもの:プラグマティズム(実用主義)。また,心理社会的アプローチ,問題解決アプローチ,行動変容アプローチにも影響を受けている。 特徴的な部分:課題を明らかにして,ワーカーとクライエントが達成可能な目標を期限を定めて共有化すること。 |
それでは,今日の問題です。
第30回・問題102 リード(Reid,W.)とエプスタイン(Epstein,L.)が提唱した課題中心アプローチに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ストレングスモデルの影響を受けている。
2 過去に起きた出来事について探索し,問題の原因を究明する。
3 支援期間を短期に設定し,処遇目標や面接の回数などを明確化する。
4 クライエント自らが解決困難と考える問題を,支援対象とする。
5 精神分析的な方法を用いて,クライエントのアセスメントをする。
この問題は,ポイントを押さえて勉強した人なら,答えがすぐわかるはずです。
あなたは,すぐわかりましたか?
それでは解説です。
1 ストレングスモデルの影響を受けている。
課題中心アプローチは,たくさんのものに影響を受けていますが,ストレングスモデルは当てはまりません。
ストレングスモデルは,クライエントのもつストレングス(強み)に着目した援助スタイルです。
それに対して,課題中心アプローチは,クライエントの課題を明らかにして,その課題を解決するものです。
まったく違うことがわかるでしょう。
2 過去に起きた出来事について探索し,問題の原因を究明する。
問題の原因を究明するのは,医学モデルでしょう。課題中心アプローチのポイントは,今起きている課題です。
3 支援期間を短期に設定し,処遇目標や面接の回数などを明確化する。
これが正解です。
課題中心アプローチは,短期処遇が特徴です。
4 クライエント自らが解決困難と考える問題を,支援対象とする。
課題中心アプローチは,クライエントとともに課題を明らかにして,期限を決めてその課題を解決していきます。
クライエントが解決困難だと考えると,課題中心アプローチは使えません。この点は,問題解決アプローチも同じです。
精神分析を直接的に使うのは,心理社会的アプローチです。
心理社会的アプローチは,クライエントとワーカーのコミュニケーションを通して,クライエントのパーソナリティの変容を目指していきます。
そのため,課題中心アプローチの短期処遇とは逆に,時間をじっくりかけてかかわっていきます。