今回もシステム理論を取り上げます。
人と環境を一体のものととらえるのが,システム理論です。
現代のソーシャルワークには,システム理論は極めて重要です。
ただし,今日の問題は簡単すぎて,システム理論を知らなくても正解できるでしょう。
第30回・問題99 事例を読んで,NPO法人のC相談員(社会福祉士)の今後の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Dさん(30歳,女性)は半年前に,夫の転動によりN国から夫と二人の子どもと一緒に来日し,現在も四人で暮らしている。最近,長男のE君(10歳,小学生)が,弟(5歳)のおもちゃを取り上げたり,たたいたりするなどの行為を家庭内で行うようになった。Dさんは,E君から,「学校の同級生にからかわれている」と聞いた。E君の日本での生活について心配になったDさんは支援を求めてNPO法人を訪れ,C相談員の面接を受けた。
1 Dさんに,E君の暴力的な行為は時間が過ぎれば解决するので心配ないと伝える。
2 E君から,現在の学校や家庭での生活の様子や思いを聞く。
3 E君を他の学校に転校させるよう促す。
4 子どもたちを連れて帰国することを強く勧める。
5 個々の家族員に対し,E君に対する接し方を指示する。
E君の問題は,環境との交互作用によって発生していると考えるのがシステム理論の基本です。
E君に原因を求めるとシステム理論ではなくなります。
ただし,この問題はシステム理論と限定しているわけではありません。
正解は
2 E君から,現在の学校や家庭での生活の様子や思いを聞く。
これ以外を選ぶ受験者がいたとしたら,不合格にしてもよいくらいの問題です。
システム理論でなくても,ソーシャルワークの基本を外しているからです。
<今日の一言>
事例問題でミスしないためには,選択肢の中に情報を得る内容があれば,それが第一選択になるということを覚えておきたいです。
ただしそれはソーシャルワーク系の問題の場合です。虐待事例の場合,第一選択になるのは,通報あるいは通告です。