2021年7月17日土曜日

「この段階」の対応を問う事例問題

国家試験では,さまざまなスタイルの問題が出題されます。

 

事例問題の近年の定番は「この段階における」「この場面における」「この時点」などといった状況を設定した出題です。

 

対応そのものは不適切でなくても,「この段階」では適切ではないという問題です。

 

「この段階における」がいつから出題されているのかと思って調べたら,第24回が初めてでした。(この場面は第28回が初めて)

 

それ以前は一度も出題されていません。

 

それでは今日の問題です。

 

30回・問題105 事例を読んで,この段階における社会福祉協議会のH社会福祉士の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 P町の社会福祉協議会のH社会福祉士は,J民生委員からKさん世帯の相談を受けた。Kさん(70歳,女性)は,一人息子(45歳)との二人暮らしである。息子は20代に統合失調症を発症し,その後,精神科に入退院を繰り返していた。1年前に退院し,定期的に通院していたが,このところ通院が不定期になっている。最近,J民生委員はKさんから,「息子が暴力まではいかないが,暴言を吐くことがある」と聞き,Kさん世帯を心配するようになった。

1 P町の保健師と家庭を訪問し,息子の病状と世帯の生活状態を把握する。

2 息子に社会生活技能訓練(SST)を受けさせるための手続を行う。

3 息子の主治医に連絡し,措置入院の手続を行う。

4 息子の自立を当面の目標にして,就労支援サービスに結び付ける。

5 Kさん一家の家計状況について,地域住民から情報収集を行う。

 

この問題の「この段階」は,初回面接の前です。

 

この段階で真っ先に行うべきものは,「状況確認」です。

 

1 P町の保健師と家庭を訪問し,息子の病状と世帯の生活状態を把握する。

 

これしかあり得ません。


〈おまけ〉


赤字が正解です。


「この段階において」が初めて登場した問題


第24回・問題93 事例を読んで,Aさんの発言に対するG相談員(社会福祉士)のこの段階における対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを一つ選びなさい。

〔事例〕
 R総合病院の相談室に,妻(51歳)と息子(17歳)の三人で暮らしているAさん(56歳)が,妻の主治医から紹介されて来所した。Aさんは,妻がこのたび若年性認知症と診断され,初めて相談室を訪れた。G相談員が面接を開始するとAさんは,「妻の調子がおかしくなって家族の生活が一変した。妻は家事もまともにできなくなり,私が仕事から帰ってきても部屋は散らかっているし,食事の準備もできていない。私も疲れているのでつい怒鳴ってしまう。このたび若年性認知症と診断され,これから通院を続ける必要もあるが,息子の受験も近いので困っている。どうしたらいいか」と話した。

1 妻を入院させることを提案して,専門病院への入院手続を進める。

2 Aさんの怒鳴るという行為をたしなめ,妻の気持ちに寄り添うよう指示する。

3 息子のことを大切にするように伝えて,息子の受験を優先するように提案する。

4 妻への介護が十分にできるように,Aさんに就労のあり方を見直すように勧める。

5 具体的なサービスに関する情報提供を行い,継続しての面接をAさんに提案する。



「この場面において」が初めて登場した問題


第28回・問題103 事例を読んで,この場面におけるJ社会福祉士の対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕
 Kさん(85歳,男性)は,このところ物忘れが目立つ認知症の妻(82歳)を自宅で介護してい る。Kさんは当初,「自分ひとりで介護する」と言い,他県に住む一人息子に頼ることや,デイサービスなどを利用することを拒否していた。しかし最近は疲れを感じるようになり地域包括支援センターに相談に来た。
 J社会福祉士は,Kさんへの初回面接を行った。

1 Kさんに構造化面接を行い,虐待の有無を確認する。

2 Kさんの頑張りを労い,介護を継続するよう勧奨する。

3 Kさんに適切な認知症ケアの方法についての知識を伝える。

4 Kさんに家族会に参加することを勧める。

5 Kさんの気持ちを受け止めながら話を聴き,総合的な状況把握を行う。


「この時点」が初めて出題された問題


第24回・問題105 地域包括支援センターに勤務するJ社会福祉士は,地区の民生委員から,「近所に住むKさんのことなのですが,70代後半の女性で一人暮らしをしています。最近,どうも様子がおかしく,季節にそぐわない服装で出歩き,足元もおぼつかなくなっています。少し痩せてきているようにも見えます。また,家の周りにはごみが散乱して悪臭が漂い,近隣住民からの苦情が増えています。私も何度か訪ねているのですが,いつもすごい剣幕で『用はない,帰れ!』の一点張りです。何か良い方法がないものでしょうか」と相談を受けた。民生委員から相談を受けた後,すぐさま,J社会福祉士はKさん宅を訪問したが,その日はKさんに拒否されて会うことができなかった。
 次のうち,この時点でのJ社会福祉士の対応として,最も適切なものを一つ選びなさい。

1 玄関に名刺やKさん宛のメモを置いて,Kさん宅への訪問を継続する。

2 民生委員に今後の対応をゆだね,状況に変化があった際の報告を依頼する。

3 Kさん宅に電話を入れ,センターに来所するよう伝える。

4 民生委員と協力して,Kさん宅のごみの片付けを行う。

5 Kさんの意向を尊重し,センターに連絡があるのを待つ。



最新の記事

児童手当法と児童手当

  今回は児童手当法と児童手当を学びます。 児童手当法,児童扶養手当法,特別児童扶養手当法は,児童扶養手当法(1961年),特別児童扶養手当法(1964年),児童手当法(1971年)の順で成立していきました。 児童手当法の児童の定義は,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの...

過去一週間でよく読まれている記事