2020年10月31日土曜日

健康増進法

健康増進法は,国民の健康づくり・疾病予防を推進するために2002(平成14)年に成立したものです。


近年では,2018(平成30)年に,「望まない受動喫煙をなくすこと」などを趣旨として改正されています。


健康増進法で規定されている重要ポイント


・健康診査の実施

・保健指導の実施

・受動喫煙防止


また,同法に基づいて,40歳,50歳,60歳,70歳の男女に歯周疾患健診が実施されています。


それでは今日の問題です。


第28回・問題4 日本における健康施策に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 「健康日本21」(第二次)には,アルコール摂取に関する項目は含まれていない。

2 8020運動は,乳幼児を対象としない。

3 歯周疾患検診は,健康増進法に基づき実施されている。

4 特定健康診査には,血圧測定は含まれていない。

5 特定保健指導の目的は,健康診査の受診勧奨である。


正解は,選択肢3です。

3 歯周疾患検診は,健康増進法に基づき実施されている。


前説に書いたので,これを選ぶのは簡単だったと思いますが,この時の国家試験を受験された人にとってこの問題は,決して簡単なものではなかったように思います。


それは,同法には,「歯周疾患健診」ということばは出てこないからです。


この検診は,


第十七条 市町村は、住民の健康の増進を図るため、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、管理栄養士、栄養士、歯科衛生士その他の職員に、栄養の改善その他の生活習慣の改善に関する事項につき住民からの相談に応じさせ、及び必要な栄養指導その他の保健指導を行わせ、並びにこれらに付随する業務を行わせるものとする。


という規定に基づいて実施されています。


歯周疾患健診そのものが健康増進法で規定されているわけではないのです。


しかし,だからといって決して正解できない問題ではありません。

丁寧に見ていけば,ほかの選択肢は消去できるからです。


その年の国試は,特徴的な問題が多かったように思います。

それは,正しい文章を否定形にすることで,正解にするというらくらく作問法が多用されたことです。


それでは解説です。


1 「健康日本21」(第二次)には,アルコール摂取に関する項目は含まれていない。


このような出題があると,健康日本21(第二次)の内容は読んだことはない,失敗した,思うかもしれません。


しかし,焦ることはありません。このような出題の多くは,含まれているから,その出題ができるのです。


つまり,もともとの文章は,


「健康日本21」(第二次)には,アルコール摂取に関する項目が含まれている。


これを否定形にすることで間違い選択肢を生成しています。


2 8020運動は,乳幼児を対象としない。


8020運動は,80歳まで自分の歯を20本残そう,という運動です。

歯の健康は,子どもの生活習慣が重要です。乳幼児を除外する意味がわかりません。


これももともとの文章を否定形にしたことで,おかしな文章になったと思われます。


4 特定健康診査には,血圧測定は含まれていない。


これも同様です。


5 特定保健指導の目的は,健康診査の受診勧奨である。


この問題の中で,いちばんの曲者はこの選択肢でしょう。


特定保健指導は,特定健康診査で,メタボリックシンドロームだとされた人に対して,生活習慣などの保健指導を行うものです。


<今日の一言>


国家試験問題は,試験センターによって委嘱された試験委員がそれぞれの専門分野についてつくります。

しかし,その分野の専門家であっても,問題をつくる専門家ではありません。

そのため,問題をつくるのに慣れていない人は,問題を成立させるための常とう手段を用いて,確実な問題に仕上げます。

その一つが,正しい文章を否定形に変える,という作問法です。

問題を解きながら,こういうところに気がつくことができるようになると,つまらないミスはかなり減少させることができるでしょう。

試験委員も人の子です。問題をつくるには結構苦労しているのではないでしょうか。

2020年10月30日金曜日

国際生活機能分類(ICF)

国際生活機能分類(ICF)は,第22・25・27・28・31・32回で出題されています。


かなり出題頻度の高いものだと言えます。

平均すると,約2回に1回は出題されています。


ICFは,世界保健機関(WHO)が,それまでの国際障害分類(ICIDH)に変わって2001年に採択したものです。


ICIDHは,障害を「機能障害」「能力障害」「社会的不利」で分類したものです。


ICFは,障害に変わって,「生活機能」という概念を採用して,「心身機能・身体構造」「活動」「参加」という概念でとらえ直したことが特徴です。


生活機能に影響を与えるものして,「健康状態」(病気や変調など)と「背景因子」(環境因子と個人因子)があり,それぞれが相互に作用しています。


ICIDHは,障害に焦点を当てていたものに対して,ICFは,ICIDHには抜けていた「環境」に着目したことも特徴の一つです。


それによって,生活機能に焦点化する生活モデルへの転換が図られたものです。


それでは,今日の問題です。


第28回・問題3 国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 対象は,障害のある人に限られる。

2 障害を,社会環境から切り離して捉えている。

3 健康状況とは,課題や行為の個人による遂行のことである。

4 障害を機能障害,能力障害,社会的不利に分類したものである。

5 世界保健機関(WHO)により採択され,国際的に用いられている。


ものすごくシンプルなところに正解がある問題です。


これまでICFが出題された中では,最も簡単なものだったかもしれません。


正解は,選択肢5です。


5 世界保健機関(WHO)により採択され,国際的に用いられている。


ICFの内容ではなく,どこが作ったのかが正解でした。


あまりにシンブルすぎて,疑い深い人は何か引っ掛けがあるのかも思ってしまうくらいでしょう。


しかし,国試は皆さんが思うほどいじわるではないものです。


それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。


1 対象は,障害のある人に限られる。


対象は,すべての人です。

「健康状態」という概念によって,すべての人の健康をとらえることができます。


2 障害を,社会環境から切り離して捉えている。


ICFは,ICIDHにはなかった環境に着目しているのが特徴です。

それによって,生活機能が明らかになります。


たとえ障害があったとしても,それをカバーすることができれば,生活に困難はきたしません。

そういった生活モデルがICFの特徴です。


3 健康状況とは,課題や行為の個人による遂行のことである。


健康状態とは,病気や変調などです。


課題や行為の個人による遂行のことは「活動」といいます。


4 障害を機能障害,能力障害,社会的不利に分類したものである。


障害を機能障害,能力障害,社会的不利に分類したものは,ICIDHです。


ICFは,障害に変わって,生活機能という概念を取り入れました。


生活機能は,「心身機能・身体構造」「活動」「参加」に分類されます。

2020年10月29日木曜日

片麻痺と対麻痺

今回は,片麻痺と対麻痺(ついまひ)を押さえたいと思います。

 

片麻痺

対麻痺

左右のどちらかの半身に起きる麻痺。

両下肢に起きる麻痺。

 

このように,並べて出題されればわかりやすいですが,国家試験は,片麻痺,あるいは対麻痺のどちらかを出題されると難しくなります。

 

それを私たちは「セット入れ替え作問法」と呼んでいます。

 

片麻痺とは,両下肢に起きる麻痺である。

 

あるいは,

 

対麻痺とは,左右のどちらかの半身に起きる麻痺である。

 

どちらも間違いだということになります。

 

さて,今日の問題です。

 

28回・問題2 人体の部位と疾病,病態との関連性に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 吐血とは,気道から口腔を経て血液を排出することである。

2 上腕骨骨折は,寝たきりを引き起こしやすい。

3 対麻痺とは,左右どちらか半身に起こる麻痺である。

4 踵骨部の褥瘡は,仰臥位で起こる。

5 声帯の障害は,誤飲を引き起こす。

 

この問題は,学生にはちょっと難しいかもしれません。

 

というのは,正解は,

 

4 踵骨部の褥瘡は,仰臥位で起こる。

 

ですが,仰臥位が何かをわかっていないと選べないからです。

 

仰臥位は,あおむけ

側臥位は,横向き寝

伏臥位は,うつ伏せ

 

褥瘡は,圧迫などがあって血液の流れが悪くなる場所が好発部位となります。

 

つまり,体位によって,褥瘡が発生しやすい部位は変わるということです。

踵骨部は,かかとの部分です。

 

あおむけでは,かかとが下向きになるので,かかとに褥瘡が発生しやすくなります。

 

横向き寝(側臥位)では,くるぶしの部分(外踝)に褥瘡が発生しやすくなります。

 

さて,それではほかの選択肢も確認します。

 

1 吐血とは,気道から口腔を経て血液を排出することである。

 

吐血は,喀血(かっけつ)とセットになるものです。

 

食道から口腔を経て,血液を排出するのが「吐血」です。

 

気道から口腔を経て,血液を排出するのが「喀血」です。

 

時代劇などで,登場人物が,口から急に血を吹き出すシーンがあります。

周りの人が「まさか肺病では」というと

血を吐いた人は,「ほかの人には言わないでください」

と口外するのを止めるようなことがあります。

肺病とは,肺結核のことです。肺結核を患って喀血しているというシーンとなります。

 

今の若い人は,喀血と聞いてもわからないかもしれませんね。

 

2 上腕骨骨折は,寝たきりを引き起こしやすい。

 

上腕骨とは,腕のひじよりも体幹に近い方の骨です。腕の骨を折って,寝たきりになることは通常考えられないでしょう。

 

3 対麻痺とは,左右どちらか半身に起こる麻痺である。

 

これが,今日のテーマの「対麻痺」です。

 

対麻痺とは,両下肢に起きる麻痺です。

対麻痺という言葉は,日常ではあまり使わないので,勉強しないと知らないかもしれませんね。

 

5 声帯の障害は,誤飲を引き起こす。

 

声帯の障害は,多くの場合,発声に障害を引き起こします。

 

誤飲は,危険なものを飲み込むことをいいます。

 

<今日の一言>

 

セット入れ替え作問法は,試験委員にとっては,倍の文章を考えなければならないので,面倒ですが,受験生を混乱させる効果は絶大です。

 

なぜなら,受験生が「これはどっちだったっけ?」と悩んでくれるからです。

 

試験委員にとって簡単なのは,セットになったものをどちらも出題することです。

これで選択肢を2つ作ることができます。

 

しかし,受験生にとって,入れ替えになっていることに気がつくことができれば,選択肢を2つ消去できることになるので,受験生を混乱させる効果はあまりありません。

 

ここで言えることは,もしわかりにくいものが出題されていたら,入れ替えになっていないかを考えるようにしましょう。

 

セットになったものが2つとも出題されていれば,2つ消去できますし,2つとも出題されていなくても,セットになったもう一つのほうのことを述べている文章ではないかと注意することができます。

2020年10月28日水曜日

国家試験の1問目に注意!

社会福祉士の国家試験は,「医学概論」から始まる構成となっています。


以前の「社会福祉原論」から始まるものよりはよいですが,1問目はかなり難しい問題が出題されます。


この時点で見るとそれほど難しくは感じないと思いますが,それは参考書などで勉強しているからです。


丸暗記勉強をしてきた人は,1問目を見て「こんなはずではなかった。今までの勉強は意味がなかった」と思うかもしれません。


しかし,それは受験者すべての人が感じることです。


考えてもわからないものは,さっさと気持ちを整えて,次に進んだほうが良いです。


そうしないと2問目以降もずっと引きずり,実力を発揮できずに午前中を終えることになります。


それでは今日の問題です。


第28回・問題1 以下は,乳幼児期にみられる標準的な発達の特徴を示したものである。2歳前後で始まるものはどれか。最も適切なものを1つ選びなさい。

1 あやすと笑うようになる。

2 「アーアー」などの意味のない発声を始める。

3 意味のある単語を言い始める。

4 集団遊びの決まりごとを守れるようになる。

5 2語文を言い始める。


こんな問題を見ると,子育て経験のない人は不利だと思うかもしれません。

しかし,子育てをした人でも,毎日が必死だったため,自分の子がいつの時期にどのように成長したのかを正確に覚えていることはそれほど多くはないようです。


そのため,子育て経験のない人とある人で不利・有利だということはほとんどないと言えます。


答えは,選択肢5です。


5 2語文を言い始める。


2語文とは,「ママ。これ」といった2つの単語の言葉です。

2歳くらいから出てくるらしいです。


ほかの選択肢を確認します。


1 あやすと笑うようになる。


あやすと笑うようになる「社会的微笑」は,2・3か月ころから出てきます。

それまでも笑っているように見えますが,それは「生理的微笑」と呼ばれるもので,あやしているから笑っているものではありません。


2 「アーアー」などの意味のない発声を始める。


意味のない言葉は,クーイングや喃語と呼ばれますが,クーイングは2・3か月ころから,喃語は5・6か月ころから始まり,意味のある言葉を発する初語は,12か月ころから始まります。


3 意味のある単語を言い始める。


先述のように,意味のある言葉である初語は,12か月ころから始まります。


4 集団遊びの決まりごとを守れるようになる。


集団遊びの決まりごとを守れるようになるのは,4・5歳ころからです。


<今日の一言>


今日の問題は,かなり難しいものです。


人の発達は,人によって異なります。


そのため,3・4か月を6・7か月に変えて出題するということはほぼ考えられません。


勉強のポイントは,だいたいいつ頃なのか,といったように覚えるようにします。

1歳前

1~2歳ころ


といったように,自分なりにわかりやすい区切りで覚えます。


ちなみにサザエさんの登場人物のタラちゃんは3歳,イクラちゃんは1歳6か月前後だそうです。


そのため,イクラちゃんは,2語文を話していません。

2020年10月27日火曜日

今までの国家試験で見えているもの

社会福祉士の国家試験の出題範囲は,国家試験の実施機関に指定されている「社会福祉振興・試験センター」が「出題基準」として示しています。

 

同センターでは,必ずしも出題範囲を限定するものではないとしていますが,ほとんどの問題はその中に納まっています。

 

問題の並び方も実は,出題基準に沿っています。

 

そのため,例えば,毎年必ず出題されている心理療法は,ほとんどの回で,問題14で出題されています。

 

ところが,模擬試験によっては,その並びが無視されているものがあります。

 

それは意図してそうなっているのか,意図せず国試の構造を十分に把握しないでそうなっているのかはわかりませんが,出題基準の並びと違う模擬試験は,何となく座り心地が悪いように感じます。

 

当初にはなかった答えを2つ問題が出題されるようになるなど,突然,並び方を変えた出題をすることもあるかもしれませんが,現在のカリキュラムになってから,そういった国試問題を見たことがありません。

 

国家試験問題は,意外とそういったところは律義に組み立てているようです。

 

さて,第33回国試に向けて要チェックだった第29回国試の150問の解説が終わりました。

 

引き続き,第30回の解説をしていこうと思っていましたが,第30回国試問題は,第34回国試の時に,チェックしておきたい問題です。

 

今の時点で第34回国試を受験予定の人がこの学習部屋に訪れている人は少ないと思います。

 

国家試験問題は,過去に出題されたものをまんべんなく出題されていますが,回を分析するとほんのちょっとだけ偏りがあることがわかっています。

 

実施回

類型問題がみられることが多い回

27

23

28

24

29

25

30

26

31

27

32

28

33

(予測)第29

 

だからといって,対応する回にヤマをはって勉強しても合格できる実力はつくものではありません。

 

最近では,中央法規もこれに気づいたのかわかりませんが,過去問題集は,昨年度から3年の範囲から,プラス2年で構成するようになっています。

 

3年間の過去問では合格できるという幻想を打ち破るためには,ほんのちょっと良かったと思っています。

2020年10月26日月曜日

国家試験に合格する勉強法

この学習塾に訪れていただいている多くの方は,社会福祉士の国家試験を受験される方だと思います。

 

これまでに,数多くの国家試験問題を紹介してきました。

 

問題を一つひとつ丁寧に見ていけば,それほど詳しい知識は求められていないことがわかるでしょう。

 

国家試験の特徴は,

 

少しずつ同じで,少しずつ違う


が特徴です。

 

そのため,結果の出ない国家試験の勉強として,丸暗記があります。

 

「暗記が苦手です」という人は多いでしょう。

 

暗記という表現には,いろいろなスタイルがあるかしれません。しかし,それが参考書などに書かれているものを一字一句そのまま覚えるという意味だとしたら,それはおそらく国試で思うような点数は取れないように思います。

 

その理由は,繰り返しになりますが,

 

少しずつ同じで,少しずつ違う

同じ表現で出題されることはないからです。

 

だいたいこんな意味だろうと考えて理解することが必要です。

2020年10月25日日曜日

非行少年の取扱い

非行少年は,何度も取り上げてきましたが,ここでもう一度取り上げたいと思います。

 

非行少年 

犯罪少年

14歳以上で,罪を犯した少年。

触法少年

14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年

虞犯少年

その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞(おそれ)のある少年

 

非行少年は,この3種類がありますが,取り扱い上は,

 

「犯罪少年」と「触法少年・虞犯少年」に分けた方が理解しやすいでしょう。

 

というのは,犯罪少年だけが刑事処分の対象となるからです。

 

それでは,今日の問題です。

 

29回・問題150 非行少年の取扱いに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 触法少年に対して,家庭裁判所は少年院送致の保護処分をすることができる。

2 触法少年に対して,検察官は起訴猶予処分を行うことができる。

3 犯罪少年に対して,警察は児童相談所に送致することができる。

4 少年院在院者に対して,少年院長は仮退院の許可決定を行うことができる。

5 虞犯少年に対して,児童相談所長は検察官に送致することができる。

 

ものすごく難しい問題ですね。

 

犯罪少年に着目すると,警察は検察に送致(罰金刑以下の場合は家庭裁判所に送致)します。

家庭裁判所は刑事処分が必要だと判断すると,検察に送致します。これを逆送致といいます。

 

逆送致されるのは,犯罪少年のみです。検察は刑事処分が必要だと判断した場合,起訴します。

 

つまり,起訴されるのは,犯罪少年のみです。

 

それでは解説です。

1 触法少年に対して,家庭裁判所は少年院送致の保護処分をすることができる。

 

これが正解です。

 

家庭裁判所は,非行少年に対して,以下の保護処分を行うことできます。

 

家庭裁判所は保護処分が適切だと審判した場合の保護処分には,以下の3種類があります。

 

保護観察処分(1号観察)

児童自立支援施設・児童養護施設送致

少年院送致

 

少年院送致は,少年院送りという言葉があるので,刑事処分のように思われますが,刑事処分ではなく,保護処分です。

 

2 触法少年に対して,検察官は起訴猶予処分を行うことができる。

 

刑事処分を受ける可能性があるのは,犯罪少年です。

触法少年は,刑事処分を受けないので,検察に送致されることはありません。

そのため,起訴も起訴猶予処分も受けることはありません。

 

3 犯罪少年に対して,警察は児童相談所に送致することができる。

 

非行少年のうち,触法少年と虞犯少年は児童福祉法が優先されるので,児童相談所に送致されます。

 

犯罪少年は,家庭裁判所の審判を受けます。

 

4 少年院在院者に対して,少年院長は仮退院の許可決定を行うことができる。

 

仮退院の許可決定を行うのは,地方更生保護委員会です。

 

5 虞犯少年に対して,児童相談所長は検察官に送致することができる。

 

児童相談所が送致することがあるのは,家庭裁判所です。

2020年10月24日土曜日

保護観察官&保護司

更生保護の中心は,保護観察です。


保護観察を担うのが,今日のテーマである「保護観察官&保護司」です。


保護司は保護監察官で十分ではないところを補い,両者は協力しながら保護観察を行います。


それでは今日の問題です。


第29回・問題149 保護観察官及び保護司に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 保護観察官は家庭裁判所に配置されている。

2 保護司には給与が支給される。

3 保護司は,保護観察官で十分でないところを補うこととされている。

4 保護司は保護観察所長の指揮監督を受けることはない。

5 保護観察官は呼出し面接によって,保護司は訪問面接によって保護観察を行うこととされている。


この問題の正解は,選択肢3です。

3 保護司は,保護観察官で十分でないところを補うこととされている。


更生保護法にこのように規定されています。


それでは,ほかの選択肢を解説します。


1 保護観察官は家庭裁判所に配置されている。


保護観察官が配置されるのは,保護観察所,あるいは地方更生保護委員会です。


2 保護司には給与が支給される。


保護司には,給与は支給されません。

ただし,法務省令の定めるところにより、予算の範囲内において、その職務を行うために要する費用の全部又は一部の支給を受けることができます。


4 保護司は保護観察所長の指揮監督を受けることはない。


保護司が指揮監督を受けるのは,保護観察所の長,あるいは地方更生保護委員会です。


5 保護観察官は呼出し面接によって,保護司は訪問面接によって保護観察を行うこととされている。


保護司は保護監察官で十分ではないところを補い,両者は協力しながら保護観察を行います。このような役割分担は規定されていません。


2020年10月23日金曜日

更生緊急保護

今回は,更生緊急保護を学びます。

更生緊急保護とは,刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後,親族からの援助を受けることができないなどの場合,緊急に金品の給与・貸与,宿泊場所の供与を行うものです。 

 

更生緊急保護のポイント

・保護観察に付されている者は対象とならない。 → 保護観察に付されている者は同様の保護として,「応急の救護」があるため。

・本人からの申し出があって,保護観察所の長が必要だと認めた場合,保護観察所の長が自ら保護を行うか,適当な者に委託して保護を行う。 → 保護観察所の長が必要だと認めても,本人からの申し出がないと保護は行われない。

・保護の期間は6か月を超えない範囲で実施される。 → ただし,必要がある場合は,6か月を超えない範囲で延長することができる。

 

更生緊急保護に関する問題のほとんどはこれだけの知識で解けるはずです。

 

更生保護法では,更生緊急保護の対象になる者として,以下のように規定していますが,覚える必要はありません。

 

一 懲役、禁錮又は拘留の刑の執行を終わった者

二 懲役、禁錮又は拘留の刑の執行の免除を得た者

三 懲役又は禁錮につき刑の全部の執行猶予の言渡しを受け、その裁判が確定するまでの者

四 前号に掲げる者のほか、懲役又は禁錮につき刑の全部の執行猶予の言渡しを受け、保護観察に付されなかった者

五 懲役又は禁錮につき刑の一部の執行猶予の言渡しを受け、その猶予の期間中保護観察に付されなかった者であって、その刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わったもの

六 訴追を必要としないため公訴を提起しない処分を受けた者

七 罰金又は科料の言渡しを受けた者

八 労役場から出場し、又は仮出場を許された者

九 少年院から退院し、又は仮退院を許された者(保護観察に付されている者を除く。)

 

法は適用範囲を明確にするために,上記のような規定をします。

 

しかし,これを覚えるよりも,「更生緊急保護は保護観察に付されている者は対象とならない」という知識の方が確実です。

 

それでは,今日の問題です。

 

29回・問題148 更生緊急保護の対象者に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 起訴猶予を受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

2 罰金刑の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

3 懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。

4 懲役・禁錮の刑につき仮釈放中の者は,更生緊急保護を受けることができない。

5 懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,更生緊急保護を受けることができない。

 

更生緊急保護の対象にならないのは,保護観察に付されている者です。

 

この中で,保護観察に付されている者は,選択肢4だけです。

これ以外は。保護観察に付されないので,更生緊急保護の対象となり得ます。

 

刑事施設から仮釈放された者は,必ず保護観察に付されます。

更生緊急保護の対象とならないのは,保護観察に付されていない者です。

もう少し詳しく言うと,刑事施設から仮釈放された者,保護観察付き執行猶予者は,更生緊急保護の対象とならないということになります。


 

<今日の一言>

 

更生緊急保護に関する出題は,内容が決まっています。

そういった意味では,更生緊急保護が出題されたラッキー問題だと言えるでしょう。

2020年10月22日木曜日

更生保護法の目的

今回は,更生保護法の目的を学びましょう。

 

更生保護法の目的

犯罪をした者及び非行のある少年に対し,社会内において適切な処遇を行うことにより,再び犯罪をすることを防ぎ,又はその非行をなくし,これらの者が善良な社会の一員として自立し,改善更生することを助けるとともに,恩赦の適正な運用を図るほか,犯罪予防の活動の促進等を行い,もって,社会を保護し,個人及び公共の福祉を増進すること。

 

更生保護は,社会内において適切な処遇を行います。

刑事施設等の矯正施設内ではありません。

 

それでは,今日の問題です。

 

29回・問題147 更生保護法の目的に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 犯罪をした者及び非行のある少年に対して,矯正施設内において適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,自立と改善更生を助ける。

2 犯罪をした者及び非行のある少年に対して,社会内において適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,自立と改善更生を助ける。

3 犯罪及び非行を行うおそれのある者に対して,適切な予防活動を行うことにより犯罪を防ぎ,又はその非行性をなくし,自立と改善更生を助ける。

4 犯罪をした者に対して,本人との契約に基づき,適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,自立と改善更生を助ける。

5 犯罪をした者に対して,矯正施設及び社会内において適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,自立と改善更生を助ける。

 

同じような文章が続きます。

 

疲れ切った頭で読み込むのは,意外と大変なことです。

 

正解は,選択肢2です。

 

2 犯罪をした者及び非行のある少年に対して,社会内において適切な処遇を行うことにより再犯を防ぎ,又はその非行をなくし,自立と改善更生を助ける。

 

更生保護は,社会内処遇です。

その中心は,保護観察となります。

恩赦も更生保護法で規定されていますが,今まで出題されたことがありません。



<今日の一言>


更生保護は,社会内処遇である。

2020年10月21日水曜日

障害者就業・生活支援センターの業務

今回は,通称「なかぽつ」の障害者就業・生活支援センターを学びます。

 

同センターは,就業面と生活面の一体的な相談支援を行う機関です。それぞれの担当者が配置されます。

都道府県知事の指定を受けて,以下のような障害者の支援を行います。

 

就業面の支援

・就職に向けた準備支援(職業準備訓練,職場実習のあっせん)

・就職活動の支援

・職場定着に向けた支援

・事業所に対して,障害特性を踏まえた雇用管理に関する助言 など

生活面の支援

・生活習慣の形成,健康管理,金銭管理 等の日常生活の自己管理に関する助言

・住居,年金,余暇活動など地域生活,生活設計に関する助言 など

 

それでは,今日の問題です。

 

29回・問題146 事例を読んで,障害者就業・生活支援センターのD就業支援担当職員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕

 障害者就業・生活支援センターのD就業支援担当職員は,登録者の精神障害のあるEさんの就職先である企業の人事担当者Fさんから,職場における合理的配慮の提供について相談を受けた。最近,Eさんから疲労感を覚えたときのために,職場内に専用の休憩室を設置して欲しいとの申出があったが,スペースの確保が難しいため,企業としての対応に悩んでいるという。

1 Eさんからの申出のとおり,休憩室を設置するように助言する。

2 Eさんからの申出は,障害の特性とは関係ないので,断るように助言する。

3 事業所にとって,過重な負担となるので断るように助言する。

4 EさんとFさんとの対立が予想されるので,弁護士に相談するように助言する。

5 Fさんに,必要に応じて自分も同席するので,Eさんと可能な対応について話し合うように助言する。

 

「合理的配慮」を含めた事例問題ですね。

注意すべきなのは,「最も適切なもの」を選ぶことです。

 

さて,合理的配慮は,障害者権利条約に盛り込まれ,障害者差別解消法などで展開されています。

 

合理的配慮とは,障害者から求められた場合,負担が重すぎない範囲で対応することです。

 

それを含めて,事例を考えましょう。

 

1 Eさんからの申出のとおり,休憩室を設置するように助言する。

 

「スペースの確保が難しい」ということから,申し出どおりに休憩室を設置するのは,合理的配慮の範囲とは言えないでしょう。


2 Eさんからの申出は,障害の特性とは関係ないので,断るように助言する。

 

障害の特性とは関係ないという根拠はありません。

 

3 事業所にとって,過重な負担となるので断るように助言する。

 

事業所にとって,過重な負担であることは間違いないですが,Eさんの職場定着のために助言ではありません。

 

4 EさんとFさんとの対立が予想されるので,弁護士に相談するように助言する。

 

弁護士に相談するように助言するのは,相談援助のプロフェッショナルとは言えないでしょう。

 

5 Fさんに,必要に応じて自分も同席するので,Eさんと可能な対応について話し合うように助言する。

 

これが正解です。

 

<今日の一言>

 

正解がわかると,それしか正解に見えないものです。

しかし,最初に問題を読む時は,それほど簡単なものではありません。なぜなら,問題を読む時のポイントが定まっていないからです。 

国試で不合格になる人は,このような問題であっても確実に正解できないことがあります。

この問題の場合は「合理的配慮」というワンクッションを入れているので,余計に考えてしまうからです。

もちろん合理的配慮というものがどのようなものであるかを知っておくことは必要ですが,それよりも職場定着の視点で考えることを忘れてはなりません。そうしないと思わぬミスを起こします。

問題それぞれに解き方のポイントがあります。国試当日は誰も教えてくれません。調べることもできません。自分がもつ情報が足りなくても,知恵を使って解くことが必要です。

今日の問題のような問題を甘く考えていると,落とし穴に落ちます。

2020年10月20日火曜日

公共職業安定所(ハローワーク)の業務



今回は,公共職業安定所(ハローワーク)を取り上げます。


通称:ハローワークは,身近な人にとっては身近な存在ですが,身近ではない人は遠い存在です。


禅問答のような内容からのスタートです。


ハローワークは,

・無料の職業相談

・雇用保険の窓口

・雇用対策 など


を行います。


この中で,あまり知られていないものに,雇用対策の一つとして障害者雇用の届け出機関となっていることがあります。

法定雇用率を達成していない企業に対しては,改善のための指導を行います。

外国人を雇用した場合の届け出もハローワークに対して行います。


それでは,今日の問題です。


第29回・問題145 公共職業安定所(ハローワーク)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 求職者に対して,有料で職業紹介を行っている。

2 各市町村にその設置が義務づけられている。

3 雇用保険に関する業務を行っている。

4 障害者に対して,職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練を行っている。

5 生活保護のうち,生業扶助の支給に関する事務を行っている。


この中には,ハローワークの業務をよく知らないと引っ掛けられてしまいそうな選択肢があります。注意が必要です。


それでは,正解も含めての解説です。


1 求職者に対して,有料で職業紹介を行っている。


ハローワークが行っているのは,無料の職業紹介です。


2 各市町村にその設置が義務づけられている。


この選択肢が要注意のものの一つです。


厚生労働省が設置しているのですが,どこが設置しているのかを普段意識したことがないでしょう。


都会に住んでいる人は,自分の住むところにハローワークがあるので,どの市町村にも設置されているように感じるかもしれません。


しかし,それほどは設置されていません。

郡部に住む人は,自分の市町村にないということを経験的に知っている人もいるでしょう。


全国では,約500か所が設置されています。全国の市町村数は,約1,700市町村なので,かなり少ないことがわかるでしょう。


都会に住む人にとっては,ちょっぴり不利な選択肢だったかもしれません。


3 雇用保険に関する業務を行っている。


これが正解です。

失業等給付を受けたことがある人なら,とても常識的な問題でしょう。

しかし,学生にとっては,雇用保険はなじみのないものだと思います。


4 障害者に対して,職業能力開発促進法に基づく公共職業訓練を行っている。


ハローワークが行っているのは,公共職業訓練のあっせんです。

自ら訓練を開発したり,実施したりはしていません。


<今日の一言>


今日の問題は,ハローワークの業務を知っている人にとっては,とても簡単な問題です。

ボーナス問題だと言えるでしょう。


国家試験は難しいイメージがありますが,多くの問題の難易度はこのようなものです。


決して深掘りはしません。


勉強をきっちり行った人は解けますし,勉強不足の人は解けたり,解けなかったりします。


多くの受験者が解ける問題は確実に正解できることが,国試突破に必要です。

そのような問題のミスをいかに少なくして,確実に正解するかがとても大切です。

2020年10月19日月曜日

法の適用範囲~求職者支援法

今回は,求職者支援法を学びます。

同法に基づく求職者支援制度は,雇用保険を受給できない求職者が早期の就職を目指すための制度です。

内容は,

・無料で公的職業訓練(ハロートレーニング)を受講できる。
・一定の支給要件を満たすと職業訓練受講給付金を受給できる。
・ハローワークが中心となった就労支援を受けられる。

内容も重要ですが,特に重要なのは,求職者支援制度は,雇用保険を受給できない求職者のための制度であることです。

具体的には,以下のような人が対象とした制度です。

・雇用保険の適用がなかった人。
・加入期間が足りないため,雇用保険の給付を受けられない人。
・雇用保険の受給が終了した人。
・就職が決まらないまま大学等を卒業した人。
・自営業を廃業した人  など

それでは,今日の問題です。

第29回・問題144 「求職者支援法」に基づく求職者支援制度の利用対象となり得る場合として,正しいものを2つ選びなさい。
1 個人事業を廃業した者が企業に就職したい場合
2 現在雇用保険の被保険者である者が転職したい場合
3 雇用保険に加入できずに企業で働いていたが,現在失業している者が職業訓練を受講したい場合
4 就労経験のない大学生が職業訓練を受講したい場合
5 現在失業している者が雇用保険の失業等給付を受給しながら職業訓練を受講したい場合
(注) 「求職者支援法」とは,「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律」のことである。

この問題は,雇用保険を受給できる可能性のある人を消去することで,答えをあぶり出します。

雇用保険を受給できる可能性のある人は,以下のとおりです。

2 現在雇用保険の被保険者である者が転職したい場合
4 就労経験のない大学生が職業訓練を受講したい場合
5 現在失業している者が雇用保険の失業等給付を受給しながら職業訓練を受講したい場合

ちょっと引っ掛けられそうなのは,選択肢4でしょう。

就職が決まらないまま大学等を卒業した人は対象となりますが,現役大学生は対象ではありません。

残るは,

1 個人事業を廃業した者が企業に就職したい場合
3 雇用保険に加入できずに企業で働いていたが,現在失業している者が職業訓練を受講したい場合

この2つが正解です。

2020年10月18日日曜日

怖いのは疑心暗鬼

今回は「就労支援サービス」です。


今日の問題には出て来ませんが,障害者に対する就労支援は,「障害者総合支援法」に基づくものと「障害者雇用促進法」に基づくものがあります。


事業の内容を覚えることはもちろん大切ですが,その事業はどの法制度に基づいて実施されているのかを覚えることを忘れないようにしましょう。


それでは,今日の問題です。


第29回・問題143 障害者の就労支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 就労支援の対象は,一般就労を目指す者に限定される。

2 就労支援においては,対象者の就労へのニーズを確認することが重要である。

3 就労支援の中核的な業務は,職業紹介である。

4 生活保護受給者が就労支援を受けるためには,保護の廃止が条件となる。

5 就労支援においては,就職後のフォローアップは行わないこととされている。


制度内容を問う問題ではありません。

たった4問しか出題されない「就労支援サービス」でこういった問題を出題することもあるというのは不思議な感じもします。


基本姿勢も学んでおいてほしいということなのでしょう。


正解は,選択2です。

2 就労支援においては,対象者の就労へのニーズを確認することが重要である。


もしこれを選べないとしたら,何か裏があるのではないかという疑心暗鬼です。


国家試験問題は,多くの人が思っているほど,いじわるな出題はされません。


この学習部屋では,今まで数多くの問題を取り上げてきましたが,いやらしい問題はなかったと思いませんか?


現在の国試問題は,勉強した人は解ける,勉強不足の人は解けない,という問題でおよそ8割がた構成されています。


国試を受験する人には,辛いことかもしれませんが,勉強不足の人が運よく合格できる試験ではありません。


しかし,合格に向けて正しい努力を続けた人は報われる試験です。


勉強した人も解けなかった「魔の第25回国試」の反省に基づいたものとなっているからです。


2020年10月17日土曜日

家庭支援専門相談員と里親支援専門相談員

今回は,家庭支援専門相談員と里親支援専門相談員を学びましょう。

 

 

家庭支援専門相談員

里親支援専門相談員

通称

ファミリーソーシャルワーカー

里親支援ソーシャルワーカー

配置

乳児院

児童養護施設

児童心理治療施設

児童自立支援施設

乳児院

児童養護施設

業務

施設入所している児童の保護者等に対し,児童の早期家庭復帰,里親委託等を可能とするための相談援助など

里親委託の推進,里親支援など

資格要件

社会福祉士もしくは精神保健福祉士の資格を有する者など

 

それでは今日の問題その1です。

 

29回・問題142 次の説明に該当するCさんの職種として,正しいものを1つ選びなさい。

 Cさんは,児童福祉施設に配置されており,児童相談所等と連携を取りながら子どもと保護者の関係調整,関係機関と連携しながら保護者支援を行っている。主に家庭復帰を支援し,家庭復帰後の地域での見守り体制の調整を行うほか,要支援児童・要保護児童を含み,地域における子育てに関する相談にも応じる。この職に就くことができるのは,社会福祉士若しくは精神保健福祉士の資格を有する者,児童養護施設等において乳幼児の養育や児童の指導に5年以上従事した者,児童福祉司となる資格を有する者,などのいずれかに該当する者とされている。

1 里親支援専門相談員

2 児童自立支援専門員

3 家庭支援専門相談員

4 主任児童委員

5 家庭相談員

 

正解は,「3 家庭支援専門相談員」です。

 

今日の問題その2です。

 

30回・問題142 里親支援専門相談員に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 社会福祉士の資格を有する者でなければならない。

2 施設入所している被虐待児童等への生活場面での11の対応,保護者への援助を主な目的としている。

3 施設入所している児童の保護者等に対し,児童の早期家庭復帰,里親委託等を可能とするための相談援助を主な目的としている。

4 厚生労働大臣が指定する者が行う研修を受講することが,義務づけられている。

5 里親支援を行う児童養護施設及び乳児院に配置される。

 

この問題の正解は,選択肢5です。

 

里親支援専門相談員は,里親支援を行う児童養護施設及び乳児院に配置されます。


選択肢3「施設入所している児童の保護者等に対し,児童の早期家庭復帰,里親委託等を可能とするための相談援助を主な目的としている」のは,家庭支援専門相談員です。

 

<今日の一言>

 

近年は,今日の問題の第29回のようなスタイルの出題がなされるようになってきました。

 

31回・問題139 次の説明文に該当するものとして,最も適切なものを1つ選びなさい。

 コミュニティを基盤にしたソーシャルワークの機能を担い,すべての子どもとその家庭及び妊産婦等を対象として,その福祉に関し必要な支援に係る業務全般を行う。

 また,その支援に当たっては,子どもの自立を保障する観点から,妊娠期(胎児期)から子どもの社会的自立に至るまでの包括的・継続的な支援に努める。

 さらに,児童福祉法等の一部を改正する法律(2016年(平成28年))を踏まえ,要支援児童若しくは要保護児童及びその家庭又は特定妊婦等を対象とした,要支援児童及び要保護児童等並びに特定妊婦等への支援業務について強化を図る。

1 児童家庭支援センター

2 母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)

3 市区町村子ども家庭総合支援拠点

4 地域子育て支援拠点事業

5 要保護児童対策地域協議会

 

この問題の正解は,「3 市区町村子ども家庭総合支援拠点」です。

 

市区町村子ども家庭総合支援拠点は,この時に初めて出題されたものですが,落ち着いてほかの選択肢を消去すれば正解できます。

 

国家試験問題の多くはそのように作られます。

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