非行少年は,何度も取り上げてきましたが,ここでもう一度取り上げたいと思います。
非行少年
犯罪少年 |
14歳以上で,罪を犯した少年。 |
触法少年 |
14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年 |
虞犯少年 |
その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞(おそれ)のある少年 |
非行少年は,この3種類がありますが,取り扱い上は,
「犯罪少年」と「触法少年・虞犯少年」に分けた方が理解しやすいでしょう。
というのは,犯罪少年だけが刑事処分の対象となるからです。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題150 非行少年の取扱いに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 触法少年に対して,家庭裁判所は少年院送致の保護処分をすることができる。
2 触法少年に対して,検察官は起訴猶予処分を行うことができる。
3 犯罪少年に対して,警察は児童相談所に送致することができる。
4 少年院在院者に対して,少年院長は仮退院の許可決定を行うことができる。
5 虞犯少年に対して,児童相談所長は検察官に送致することができる。
ものすごく難しい問題ですね。
犯罪少年に着目すると,警察は検察に送致(罰金刑以下の場合は家庭裁判所に送致)します。
家庭裁判所は刑事処分が必要だと判断すると,検察に送致します。これを逆送致といいます。
逆送致されるのは,犯罪少年のみです。検察は刑事処分が必要だと判断した場合,起訴します。
つまり,起訴されるのは,犯罪少年のみです。
それでは解説です。
1 触法少年に対して,家庭裁判所は少年院送致の保護処分をすることができる。
これが正解です。
家庭裁判所は,非行少年に対して,以下の保護処分を行うことできます。
家庭裁判所は保護処分が適切だと審判した場合の保護処分には,以下の3種類があります。
保護観察処分(1号観察) |
児童自立支援施設・児童養護施設送致 |
少年院送致 |
少年院送致は,少年院送りという言葉があるので,刑事処分のように思われますが,刑事処分ではなく,保護処分です。
2 触法少年に対して,検察官は起訴猶予処分を行うことができる。
刑事処分を受ける可能性があるのは,犯罪少年です。
触法少年は,刑事処分を受けないので,検察に送致されることはありません。
そのため,起訴も起訴猶予処分も受けることはありません。
3 犯罪少年に対して,警察は児童相談所に送致することができる。
非行少年のうち,触法少年と虞犯少年は児童福祉法が優先されるので,児童相談所に送致されます。
犯罪少年は,家庭裁判所の審判を受けます。
4 少年院在院者に対して,少年院長は仮退院の許可決定を行うことができる。
仮退院の許可決定を行うのは,地方更生保護委員会です。
5 虞犯少年に対して,児童相談所長は検察官に送致することができる。
児童相談所が送致することがあるのは,家庭裁判所です。