2020年10月30日金曜日

国際生活機能分類(ICF)

国際生活機能分類(ICF)は,第22・25・27・28・31・32回で出題されています。


かなり出題頻度の高いものだと言えます。

平均すると,約2回に1回は出題されています。


ICFは,世界保健機関(WHO)が,それまでの国際障害分類(ICIDH)に変わって2001年に採択したものです。


ICIDHは,障害を「機能障害」「能力障害」「社会的不利」で分類したものです。


ICFは,障害に変わって,「生活機能」という概念を採用して,「心身機能・身体構造」「活動」「参加」という概念でとらえ直したことが特徴です。


生活機能に影響を与えるものして,「健康状態」(病気や変調など)と「背景因子」(環境因子と個人因子)があり,それぞれが相互に作用しています。


ICIDHは,障害に焦点を当てていたものに対して,ICFは,ICIDHには抜けていた「環境」に着目したことも特徴の一つです。


それによって,生活機能に焦点化する生活モデルへの転換が図られたものです。


それでは,今日の問題です。


第28回・問題3 国際生活機能分類(ICF)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 対象は,障害のある人に限られる。

2 障害を,社会環境から切り離して捉えている。

3 健康状況とは,課題や行為の個人による遂行のことである。

4 障害を機能障害,能力障害,社会的不利に分類したものである。

5 世界保健機関(WHO)により採択され,国際的に用いられている。


ものすごくシンプルなところに正解がある問題です。


これまでICFが出題された中では,最も簡単なものだったかもしれません。


正解は,選択肢5です。


5 世界保健機関(WHO)により採択され,国際的に用いられている。


ICFの内容ではなく,どこが作ったのかが正解でした。


あまりにシンブルすぎて,疑い深い人は何か引っ掛けがあるのかも思ってしまうくらいでしょう。


しかし,国試は皆さんが思うほどいじわるではないものです。


それでは,ほかの選択肢も見てみましょう。


1 対象は,障害のある人に限られる。


対象は,すべての人です。

「健康状態」という概念によって,すべての人の健康をとらえることができます。


2 障害を,社会環境から切り離して捉えている。


ICFは,ICIDHにはなかった環境に着目しているのが特徴です。

それによって,生活機能が明らかになります。


たとえ障害があったとしても,それをカバーすることができれば,生活に困難はきたしません。

そういった生活モデルがICFの特徴です。


3 健康状況とは,課題や行為の個人による遂行のことである。


健康状態とは,病気や変調などです。


課題や行為の個人による遂行のことは「活動」といいます。


4 障害を機能障害,能力障害,社会的不利に分類したものである。


障害を機能障害,能力障害,社会的不利に分類したものは,ICIDHです。


ICFは,障害に変わって,生活機能という概念を取り入れました。


生活機能は,「心身機能・身体構造」「活動」「参加」に分類されます。

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