2020年10月4日日曜日

介護予防・日常生活支援総合事業とは(永久保存版)

「高齢者に対する支援と介護保険制度」は,覚えることが多い科目です。

 

特に介護保険制度は,改正されるたびに制度が複雑化しています。

 

その中で,確実に覚えておきたいのは,地域支援事業の「介護予防・日常生活支援総合事業」です。

 

介護予防・日常生活支援総合事業には,「一般介護予防事業」と「介護予防・日常生活支援サービス事業」があり,「一般介護予防事業」の対象者は,第1号被保険者のすべての者,及びその支援のための活動に関わる者です。

「介護予防・日常生活支援サービス事業」の対象者は,要支援者及び基本チェックリスト該当者です。

 

表にすると,以下のようになります。

 

事業名

事業の対象

事業の種類

一般介護予防事業

第1号被保険者すべて。

その支援のための活動に関わる者。

介護予防把握事業

介護予防普及啓発事業

地域介護予防活動支援事業

地域リハビリ―ション活動支援事業

介護予防・日常生活支援サービス事業

要支援者。

基本チェックリスト該当者。

訪問型サービス

通所型サービス

介護予防ケアマネジメント

 

「介護予防・日常生活支援サービス事業」の「訪問型サービス」と「通所型サービス」は,それまで予防給付の「介護予防訪問介護」と「介護予防通所介護」が移行したものです。

 

〈訪問型サービス〉

種類

訪問型サービス

訪問型サービス

訪問型サービス

訪問型サービス

内容

生活援助等

住民主体の自主活動として行う生活援助等

保健師等による居宅での相談指導等

移送前後の生活支援(移動支援)

担い手

主に雇用労働者

ボランティア

専門職

ボランティア



〈通所型サービス〉

種類

通所型サービスA

通所型サービスB

通所型サービスC

内容

ミニデイサービス

運動・レクリエーション 等

体操、運動等の活動など、自主的な通いの場

生活機能を改善するための運動器の機能向上や栄養改善等のプログラム(36か月の短期間で実施)

担い手

主に雇用労働者

主に雇用労働者+ボランティア

専門職


それでは,今日の問題です。

 

32回・問題133 介護保険制度の地域支援事業における介護予防・生活支援サービス事業に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 この事業は,被保険者のうち,居宅で生活している要介護者及び要支援者が幅広く対象となっている。

2 通所型サービス(第一号通所事業)では,保健・医療専門職による短期間で行われるサービスが実施可能となっている。

3 訪問型サービス(第一号訪問事業)では,訪問介護員による身体介護は実施されないこととなっている。

4 介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業)については,地域包括支援センターヘ委託をしてはならないこととなっている。

5 この事業における利用者負担は,全国一律になっている。

 

この問題は,知識なしで正解するのは,難しいものでしょう。

解答テクニック的に消去できる選択肢が少ないからです。

 

 

それでは,解説です。

 

1 この事業は,被保険者のうち,居宅で生活している要介護者及び要支援者が幅広く対象となっている。

 

「介護予防・日常生活支援サービス事業」の対象者は,要支援者及び基本チェックリスト該当者です。

 

2 通所型サービス(第一号通所事業)では,保健・医療専門職による短期間で行われるサービスが実施可能となっている。

 

これが正解です。

 

保健・医療専門職による通所型サービスは,「通所型サービスA」に分類されます。

 

 

3 訪問型サービス(第一号訪問事業)では,訪問介護員による身体介護は実施されないこととなっている。

 

予防給付から介護予防・日常生活支援総合事業に移行しても,訪問介護員による身体介護のサービスは残っています。

 

市町村になって,弾力的に運用できるのが,総合事業の特徴です。冷静に考えると,国が今までのような国が決めたものを地方が実施する「護送船団式」の施策はとらないので,全国一律のような規定はなされないのではないかと推測することができるかもしれません。

 

訪問介護員による身体介護は「訪問型サービスA」に含まれます。

 

4 介護予防ケアマネジメント(第一号介護予防支援事業)については,地域包括支援センターヘ委託をしてはならないこととなっている。

 

介護予防ケアマネジメントは,地域包括支援センターが実施する事業です。

 

5 この事業における利用者負担は,全国一律になっている。

 

介護予防・日常生活支援サービス事業の利用者負担は,市町村が独自に定めます。

市町村の知恵によって実施される「介護予防・日常生活支援サービス事業」に,全国一律の規定はそぐわないでしょう。

 

というか,昨今の国試で「全国一律」といったものが含まれる問題で,正解になったものを見たことがありません。

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