現時点(2020年4月)の時点で,国家試験に向けて「更生保護制度」を勉強している人はほとんどいないのではないでしょうか。
なぜなら,一般的には,参考書の科目順で勉強していくので,「更生保護制度」は,最後になるからです。
本当は,この科目は,覚えるべき内容は少ないので,勉強すれば確実に得点を稼ぐことができる科目になります。
しかし,多くの場合は,時間切れになり,十分な勉強をしないで,国試に臨むことになります。
これは,更生保護制度に限らず,専門科目全般に言えることでしょう。
専門科目も共通科目と同じように時間をかけなければ,得点するのは難しいです。
勉強の時間配分を間違えると大変なことになります。
さて,今回も保護観察官と保護司を取り上げます。
早速,問題です。
第28回・問題148 保護観察官及び保護司に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保護観察官の職務は,法執行に関わる保護観察の実施であり,犯罪予防活動については,地域社会の実情に精通した保護司の職務とされている。
2 保護観察官が,保護司なしに直接,保護観察事件を担当することはない。
3 保護司には給与は支給されないが,職務に要した費用は実費弁償の形で支給されている。
4 保護司は,保護観察官とは異なり,職務上知り得た関係者の身上に関する秘密を尊重する義務はない。
5 保護観察対象者の信教の自由に配意して宗教家は保護司になることが認められていない。
この問題は,ちょこっと緊張感が和らぐかもしれません。
多くの人は,選択肢1から5の順番に読みます。
選択肢1は,速攻で消去できるでしょう。
1 保護観察官の職務は,法執行に関わる保護観察の実施であり,犯罪予防活動については,地域社会の実情に精通した保護司の職務とされている。
保護観察官と保護司の業務分担はありません。
2 保護観察官が,保護司なしに直接,保護観察事件を担当することはない。
久しぶりに出てきました。
言い切り表現に正解少なし。
担当することはない,という断定した言い方は,例えば100万回の事象があった場合,1回でも,その事象が出現したら,成り立ちません。
もちろん,保護観察官が単独で活動することもあります。
3 保護司には給与は支給されないが,職務に要した費用は実費弁償の形で支給されている。
これが正解です。
保護司法では以下のように規定されます。
(費用の支給)
第十一条 保護司には、給与を支給しない。
2 保護司は、法務省令の定めるところにより、予算の範囲内において、その職務を行うために要する費用の全部又は一部の支給を受けることができる。
給与は支給されませんが,職務でかかった費用は支給されます。
4 保護司は,保護観察官とは異なり,職務上知り得た関係者の身上に関する秘密を尊重する義務はない。
服務として,保護司法では,以下のように規定されています。
(服務)
第九条 保護司は、その使命を自覚し、常に人格識見の向上とその職務を行うために必要な知識及び技術の修得に努め、積極的態度をもつてその職務を遂行しなければならない。
2 保護司は、その職務を行うに当つて知り得た関係者の身上に関する秘密を尊重し、その名誉保持に努めなければならない。
当然ですが,秘密を尊重する義務はあります。
5 保護観察対象者の信教の自由に配意して宗教家は保護司になることが認められていない。
法は以下のように規定されます。
(欠格条項)
第四条 次の各号のいずれかに該当する者は、保護司になることができない。
一 禁錮以上の刑に処せられた者
二 日本国憲法の施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
三 心身の故障のため職務を適正に行うことができない者として法務省令で定めるもの
宗教家が保護司になることができないという規定はどこにも存在していません。
もし,そのような規定があったとしたら,それこそ日本国憲法にうたわれている「信教の自由」を侵してしまうことになります。
<今日の一言>
言い切り表現に正解少なし
逆に
あいまい表現に正解多し
これらの意味がわかって,国試問題で使えるようになると,得点力は飛躍的に伸びます。
2020年4月30日木曜日
2020年4月29日水曜日
保護観察官と保護司~その1
今回から保護観察官と保護司について取り組んでいきます。
第25回以降,毎回出題されています。確実に覚えておきたいです。
保護観察官
|
保護観察,調査,生活環境の調整その他犯罪をした者及び非行のある少年の更生保護並びに犯罪の予防に関する事務に従事する。
|
保護司
|
保護観察官で十分でないところを補う。
|
保護観察官と保護司は協力し合いながら,保護観察について,指導監督と補導援護を行っています。
それでは,早速の今日の問題です。
第29回・問題149 保護観察官及び保護司に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保護観察官は家庭裁判所に配置されている。
2 保護司には給与が支給される。
3 保護司は,保護観察官で十分でないところを補うこととされている。
4 保護司は保護観察所長の指揮監督を受けることはない。
5 保護観察官は呼出し面接によって,保護司は訪問面接によって保護観察を行うこととされている。
答えはすぐわかりますね?
選択肢3が正解です。
3 保護司は,保護観察官で十分でないところを補うこととされている。
それではほかの選択肢も確認します。
1 保護観察官は家庭裁判所に配置されている。
保護観察官が配置されているのは,保護観察所と地方更生保護委員会です。
2 保護司には給与が支給される。
保護司には給与は支給されていません。
4 保護司は保護観察所長の指揮監督を受けることはない。
保護司は,保護観察所の長の指揮監督を受けます。
5 保護観察官は呼出し面接によって,保護司は訪問面接によって保護観察を行うこととされている。
保護観察官と保護司には,業務分担はありません。
<今日の一言>
保護観察官と保護司の業務分担に関する法規定はない!
保護司の手引きか何かに,保護観察官は〇〇をして,保護司は〇〇する,といったものが書かれているものがあると聞いたことがあります。
そのためなのか,業務分担があるかのように何度も出題されています。
しかし,業務分担はありません。
今後,何度も繰り返して出てくるので,確実に覚えておきましょう。
2020年4月28日火曜日
緊急更生保護~その4
今回が,緊急更生保護の最終回です。
前説なしで,今日の問題です。
第23回・問題149 事例を読んで,保護観察官が行った更生緊急保護の措置に関する次の記述のうち,最も適切なものを一つ選びなさい。
〔事 例〕
Pさん(34歳,男性,未婚)は,傷害事件により懲役1年執行猶予3年保護観察付きの刑の言渡しを受けたが,住所不定であり,所持金も2千円しかないとして,刑確定前に保護観察所に保護を求めてきた。Pさんには幼少時に被虐待体験があり,家族とは長期間疎遠で,就労技能もなく,過去に頻繁に転職してきた。
1 被虐待体験が精神的外傷となり犯罪の遠因になっていると判断し,今後しばらくの間,定期的にPさんにカウンセリングを行うことにした。
2 Pさんに就労につながる技能や資格がないことが社会適応を難しくしていると判断し,自治体が行っている職業訓練講座の受講を勧めた。
3 長らく家族と音信不通になっているPさんにとっては,生活の再建には家族との再統合が不可欠と考え,家族関係の調整をすることにした。
4 居住場所を確保する必要があると考え,Pさんを更生保護施設に入所できるようにした。
5 生活保護を受給させて早急に生活の安定を図る必要があると考え,Pさんの住民登録がなされているZ市の福祉事務所を紹介した。
事例で来たか~と思います。
制度を問う事例問題の場合は,事例として問題を読むと間違いを引き起こすので注意が必要です。
この問題の場合は「更生緊急保護の措置」を問うものです。
ほかに良い対応があったとしても,「更生緊急保護」に関するものでなければ正解にはなりません。
さて,この問題の正解は,選択肢4です。
4 居住場所を確保する必要があると考え,Pさんを更生保護施設に入所できるようにした。
これしか更生緊急保護に関する内容の選択肢はありません。
しかし,勉強した人は,逆にこの問題は正解しにくいものです。
なぜなら「懲役1年執行猶予3年保護観察付きの刑の言渡しを受けた」と保護観察付きの刑が言い渡されたとの記述があるからです。
単純に「保護観察は対象にならない」と思って読むと引っ掛けられます。
この問題の場合は,刑確定前で,保護観察中ではないというところです。
ひどいと思いませんか?
一応,ほかの選択肢も確認します。
1 被虐待体験が精神的外傷となり犯罪の遠因になっていると判断し,今後しばらくの間,定期的にPさんにカウンセリングを行うことにした。
カウンセリングは,緊急更生保護の内容には含まれません。
2 Pさんに就労につながる技能や資格がないことが社会適応を難しくしていると判断し,自治体が行っている職業訓練講座の受講を勧めた。
職業訓練講座の受講は,緊急更生保護の内容には含まれません。
3 長らく家族と音信不通になっているPさんにとっては,生活の再建には家族との再統合が不可欠と考え,家族関係の調整をすることにした。
家族関係の調整は,緊急更生保護の内容には含まれません。
5 生活保護を受給させて早急に生活の安定を図る必要があると考え,Pさんの住民登録がなされているZ市の福祉事務所を紹介した。
福祉事務所を紹介するのは,緊急更生保護の内容には含まれません。
<今日の一言>
事例は,意外と正解できないものです。
専門科目は事例があるから共通科目よりも楽だと思っていると失敗します。
事例問題は事例問題を正解するためのコツが存在します。
それは,先述のように事例として読まないということです。
設問に合ったものを見つけることが必要です。
なぜそのように問題が作られているかというと,人によって優先順位が異なるようなものだと,不適切問題になるおそれがあるからです。
正解選択肢は,確実に正解。
間違い選択肢は,確実に間違い。
このようにしなければなりません。
誰から指摘されても,〇〇といった理由だから,これが正解である,と言えるものでなければならないのです。
ここに気がつくようになると,事例問題の得点力は上がります。
2020年4月27日月曜日
更生緊急保護~その3
今回も更生緊急保護です。
まずは,基本のおさらいです。
更生緊急保護
対象
|
身体の拘束を解かれた者。
※保護観察に付されているものは対象外。
|
内容
|
金品,食事・宿泊場所の供与など。
|
実施
|
本人の申し出によって,保護観察所の長が必要だと認めた場合。
|
期間
|
6か月を超えない範囲。必要がある場合は6か月を超えない範囲で延長することができる。
|
方法
|
保護観察所の長が自ら行うか,更生保護事業を営む者に委託して行う。
|
更生緊急保護は,保護観察に付されている者を対象としていないのは,保護観察対象者には,更生緊急保護と同様の「応急の救護」という制度があるからです。
それでは今日の問題です。
第22回・問題149 更生緊急保護に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
1 更生緊急保護は,保護観察所長が自ら行い,又は更生保護法人やその他の適当な者に委託して行う。
2 更生緊急保護は,その対象となる者が刑事上の手続き又は保護処分による身体の拘束を解かれた後2年を超えない範囲内において行うものとされている。
3 少年院から退院した者,又は仮退院を許され保護観察に付されている者は,更生緊急保護の対象となる。
4 更生緊急保護は,対象となる要件を備えた者についてその再犯を予防するために必要があると検察官が認めたときに限り,行うものとされている。
5 更生緊急保護の対象となる者が,専門学校進学のための十分な資金を持たない場合,更生緊急保護で給与することができる。
すぐ解けることでしょう。
正解は,選択肢1です。
1 更生緊急保護は,保護観察所長が自ら行い,又は更生保護法人やその他の適当な者に委託して行う。
それでは,ほかの選択肢も確認してみましょう。
2 更生緊急保護は,その対象となる者が刑事上の手続き又は保護処分による身体の拘束を解かれた後2年を超えない範囲内において行うものとされている。
更生緊急保護の期間は,6か月を超えない範囲です。必要な場合は,6か月を超えない範囲で延長することができます。
3 少年院から退院した者,又は仮退院を許され保護観察に付されている者は,更生緊急保護の対象となる。
保護観察に付されている者は,更生緊急保護の対象となりません。
保護観察に付されている者が保護を必要とする場合は「応急の救護」が行われます。
4 更生緊急保護は,対象となる要件を備えた者についてその再犯を予防するために必要があると検察官が認めたときに限り,行うものとされている。
更生緊急保護は,対象者の申し出により,保護観察所の長が必要だと認めた場合に実施されます。
5 更生緊急保護の対象となる者が,専門学校進学のための十分な資金を持たない場合,更生緊急保護で給与することができる。
専門学校進学のための資金は,更生緊急保護の対象とはなりません。
もし資金が必要なら,別の制度を利用することになります。
<今日の一言>
少しずつ重なっていて,少しずつ違う
今日の問題を見て「あれっ」と思った人もいるのではないでしょうか。
第32回に出題された問題とそっくりです。
第32回・問題148 更生緊急保護に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 対象となる者からの申出がない場合は職権で行うことができる。
2 対象となる者に仮釈放中の者を含む。
3 対象となる者が刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後2年を超えない範囲内において行われる。
4 刑事施設の長又は検察官がその必要があると認めたときに限って行われる。
5 更生保護事業を営む者に委託して行うことができる。
今日の問題と異なるのは,
1 対象となる者からの申出がない場合は職権で行うことができる。
だけです。
第22回と第32回を重ねてみると以下のようになります。
方法
第22回
|
更生緊急保護は,保護観察所長が自ら行い,又は更生保護法人やその他の適当な者に委託して行う。
|
第32回
|
更生保護事業を営む者に委託して行うことができる。
|
期間
第22回
|
更生緊急保護は,その対象となる者が刑事上の手続き又は保護処分による身体の拘束を解かれた後2年を超えない範囲内において行うものとされている。
|
第32回
|
対象となる者が刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後2年を超えない範囲内において行われる。
|
対象
第22回
|
少年院から退院した者,又は仮退院を許され保護観察に付されている者は,更生緊急保護の対象となる。
|
第32回
|
対象となる者に仮釈放中の者を含む。
|
実施
第22回
|
更生緊急保護は,対象となる要件を備えた者についてその再犯を予防するために必要があると検察官が認めたときに限り,行うものとされている。
|
第32回
|
刑事施設の長又は検察官がその必要があると認めたときに限って行われる。
|
その他
第22回
|
更生緊急保護の対象となる者が,専門学校進学のための十分な資金を持たない場合,更生緊急保護で給与することができる。
|
第32回
|
対象となる者からの申出がない場合は職権で行うことができる。
|
この問題のように,多くは,過去に類似問題があります。
しかし,すべてが重なっているものではありません。
それが
少しずつ重なっていて,少しずつ違う
の意味です。
しかし,基本をきっちり覚えると解けます。
近年の国家試験問題は,そのように作られています。
2020年4月26日日曜日
更生緊急保護~その2
今回も更生緊急保護を続けます。
保護観察に付されている者
|
応急の救護
|
保護観察に付されていない者
|
更生緊急保護
|
今日の問題は,これを覚えておくと正解できます。
第29回・問題148 更生緊急保護の対象者に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 起訴猶予を受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
2 罰金刑の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
3 懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
4 懲役・禁錮の刑につき仮釈放中の者は,更生緊急保護を受けることができない。
5 懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,更生緊急保護を受けることができない。
更生緊急保護の対象は,保護観察に付されていない者です。
そこだけを着目しましょう。
正解は,選択肢4です。
4 懲役・禁錮の刑につき仮釈放中の者は,更生緊急保護を受けることができない。
仮釈放中の者は,必ず保護観察に付されます(3号観察)。
そのために,更生緊急保護の対象とはなりません。
もし,その必要がある場合は,「応急の救護」を受けることになります。
一応,ほかの選択肢も確認します。
1 起訴猶予を受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
起訴されなかった者は,更生緊急保護の対象となる可能性があります。
2 罰金刑の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
罰金刑の言渡しを受けた者は,保護観察に付されていないので,更生緊急保護の対象となる可能性があります。
3 懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,更生緊急保護を受けることができない。
懲役・禁錮の刑につき執行猶予の言渡しを受けた者は,保護観察に付されていないので,更生緊急保護の対象となる可能性があります。
ただし,執行猶予でも,保護観察付き執行猶予の場合は,更生緊急保護の対象とはなりません。
必要の場合は,「応急の救護」が行われます。
5 懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,更生緊急保護を受けることができない。
懲役・禁錮の刑の執行を終わった者は,保護観察に付されていないので,更生緊急保護の対象となる可能性があります。
<今日の一言>
今日の問題は,勉強不足の人はまず解けないでしょう。
うまく問題が作られていると思います。
更生緊急保護は,出題ポイントが決まっているので,得点しやすいものです。
更生緊急保護の出題ポイント
対象
|
身体の拘束を解かれた者。
※保護観察に付されているものは対象外。
|
内容
|
金品,宿泊場所の供与など。
|
実施
|
本人の申し出によって,保護観察所の長が必要だと認めた場合。
|
期間
|
6か月を超えない範囲。必要がある場合は6か月を超えない範囲で延長することができる。
|
方法
|
保護観察所の長が自ら行うか,更生保護事業を営む者に委託して行う。
|
更生緊急保護は,保護観察に付されている者を対象外としているのは,保護観察に付されている者には,「応急の救護」という制度があるからです。
「応急の救護」の保護の内容は,更生緊急保護と同じです。
2020年4月25日土曜日
更生緊急保護とは?
今回から数回にわたって,更生緊急保護を取り上げます。
更生緊急保護
対象
|
身体の拘束を解かれた者。
※保護観察に付されているものは対象外。
|
内容
|
金品,食事・宿泊場所の供与など。
|
実施
|
本人の申し出によって,保護観察所の長が必要だと認めた場合。
|
期間
|
6か月を超えない範囲。必要がある場合は6か月を超えない範囲で延長することができる。
|
方法
|
保護観察所の長が自ら行うか,更生保護事業を営む者に委託して行う。
|
更生緊急保護が,保護観察対象者を対象としていないのは,保護観察対象者には,更生緊急保護と同様の内容の「応急の救護」という制度があるからです。
整理すると
保護観察に付されている者
|
応急の救護
|
保護観察に付されていない者
|
更生緊急保護
|
繰り返しますが,応急の救護も更生緊急保護も措置の内容は同じです。
それでは,今日の問題です。
それでは,今日の問題です。
第32回・問題148 更生緊急保護に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 対象となる者からの申出がない場合は職権で行うことができる。
2 対象となる者に仮釈放中の者を含む。
3 対象となる者が刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後2年を超えない範囲内において行われる。
4 刑事施設の長又は検察官がその必要があると認めたときに限って行われる。
5 更生保護事業を営む者に委託して行うことができる。
正解は,選択肢5です。
5 更生保護事業を営む者に委託して行うことができる。
更生緊急保護は,保護観察所の長が自ら行うか,あるいは,更生保護事業を営む者に委託して行います。
それではほかの選択肢も確認します。
1 対象となる者からの申出がない場合は職権で行うことができる。
更生緊急保護は,対象者からの申し出がないと実施されません。
2 対象となる者に仮釈放中の者を含む。
仮釈放中の者は,3号観察として保護観察に付されているので,更生緊急保護の対象にはなりません。
必要な場合は,応急の救護が行われます。
3 対象となる者が刑事上の手続又は保護処分による身体の拘束を解かれた後2年を超えない範囲内において行われる。
更生緊急保護の期間は,6か月を超えない範囲です。必要な場合は6か月を超えない範囲で延長することができます。
4 刑事施設の長又は検察官がその必要があると認めたときに限って行われる。
更生緊急保護は,対象者本人の申し出によって,保護観察所の長が必要だと認めた場合に実施されます。
<今日の一言>
この問題に出題されている内容は,更生緊急保護の重要ポイントがぎゅーっ凝縮されています。
何度も解いてしっかり覚えてしまいましょう。
2020年4月24日金曜日
生活環境の調整~その2
今回も生活環境の調整を続けます。
生活環境の調整とは?
矯正施設に収容されている者の釈放後の住居や就業先などの帰住環境を調査し,それらを確保することで,更生にふさわしい生活環境を調整すること。
|
それでは,早速,今日の問題です。
【32-150】 事例を読んで,Z保護観察所が行うDさんの生活環境の調整に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
U矯正施設に収容されたDさん(55歳男性)は,施設からの釈放後に家族のもとで生活することを希望している。Z保護観察所に対し,U矯正施設からその旨の通知があった。
1 Dさんの生活環境の調整は,Dさんの仮釈放決定後に開始する。
2 Dさんの希望に関係なく,まずU矯正施設の所在地域にある更生保護施設への帰住を調整する。
3 Dさんの生活環境の調整を,保護司と協力して行うことは認められていない。
4 Dさんの生活環境の調整の方法として,Dさんの家族その他の関係人を訪問して協力を求めることがある。
5 Dさんの釈放後の就業先を確保することは,Dさんの生活環境の調整を行う事項に含まれない。
正解は,選択肢4です。
4 Dさんの生活環境の調整の方法として,Dさんの家族その他の関係人を訪問して協力を求めることがある。
またまた「ことがある」ですね。
「ことがある」は,今までの国家試験では,ほとんど正解となっています。
と言うか,正解にならなかったものは知りません。
「ことがある」は,今までの国家試験では,ほとんど正解となっています。
と言うか,正解にならなかったものは知りません。
そんなに難しい問題ではありませんが,ほかの選択肢も確認しておきます。
1 Dさんの生活環境の調整は,Dさんの仮釈放決定後に開始する。
生活環境の調整は,仮釈放決定後では遅すぎます。
必要な場合は,もっと早い時点から行います。
2 Dさんの希望に関係なく,まずU矯正施設の所在地域にある更生保護施設への帰住を調整する。
帰住先は,Dさんの希望に沿って調整します。
3 Dさんの生活環境の調整を,保護司と協力して行うことは認められていない。
生活環境の調整は,保護観察官と保護司とが協力して実施します。
5 Dさんの釈放後の就業先を確保することは,Dさんの生活環境の調整を行う事項に含まれない。
帰住先と就業先の確保を中心として生活環境の調整を行います。
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