今回は,ピンカスとミナハンが提唱したシステム理論を取り上げたいと思います。
システム |
内容 |
クライエント・システム |
個人,家族,地域社会など,クライエントを包み込む環境すべてのもの。 |
アクション・システム |
クライエントの変革をもたらす人材,資源,援助活動など。 |
ターゲット・システム |
ソーシャルワーカーが働き掛ける対象。 |
チェンジ・エージェント・システム |
ソーシャルワーカーが所属する機関。 |
これを押さえたところで,今日の問題です。
第31回・問題100 ピンカス(Pincus,A.)らによる「4つの基本的なシステム」の中の,ターゲット・システムとチェンジ・エージェント・システムに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ターゲット・システムは,役割を遂行するソーシャルワーカーを指す。
2 ターゲット・システムは,ソーシャルワーカーが所属している機関を指す。
3 ターゲット・システムは,変革努力の目標達成のためにソーシャルワーカーが影響を及ぼす必要のある人々を指す。
4 チェンジ・エージェント・システムは,契約の下,ソーシャルワーカーの努力によって利益を受ける人々を指す。
5 チェンジ・エージェント・システムは,目標達成のために,ソーシャルワーカーと協力していく人々を指す。
先に紹介したものを丸暗記レベルでしか覚えていない人は正解するのは難しいかもしれません。
丸暗記レベルでは,言葉を変えて出題すると対応ができない人がいるからです。
簡潔に説明できるくらいの理解はしておきたいです。得点が伸びる人とそうでない人の差はここにあります。
それでは解説です。
1 ターゲット・システムは,役割を遂行するソーシャルワーカーを指す。
役割を遂行するソーシャルワーカーは,アクション・システムです。
2 ターゲット・システムは,ソーシャルワーカーが所属している機関を指す。
ソーシャルワーカーが所属している機関は,チェンジ・エージェント・システムです。
3 ターゲット・システムは,変革努力の目標達成のためにソーシャルワーカーが影響を及ぼす必要のある人々を指す。
これが正解です。
ターゲット・システムは,ソーシャルワーカーが働き掛ける対象です。
これを国試では,「変革努力の目標達成のためにソーシャルワーカーが影響を及ぼす必要のある人々」と言い換えて出題しています。
「変革努力の目標達成のために」という難解な表現が文章のはじめにあるため,難易度が上がっています。
これを外せば「ソーシャルワーカーが影響を及ぼす必要のある人々」となります。これなら理解可能でしょう?
まじめな人は要注意です。国試勉強で,知らない言葉があるとそこから先に進めない人は,特に要注意です。
国試勉強の時は,知らない言葉があれば調べることができますが,国試当日はそれができないからです。
少々知らない言葉があっても,おおよその意味がつかめていればOKくらいの気持ちが必要ではないかと思います。
国試合格に失敗する人の多くは,知らない言葉が出題されるとそこで慌ててしまい,適切な思考ができなくなる傾向があることを覚えておきたいです。
4 チェンジ・エージェント・システムは,契約の下,ソーシャルワーカーの努力によって利益を受ける人々を指す。
契約の下,ソーシャルワーカーの努力によって利益を受ける人々は,クライエント・システムです。
5 チェンジ・エージェント・システムは,目標達成のために,ソーシャルワーカーと協力していく人々を指す。
目標達成のために,ソーシャルワーカーと協力していく人々は,アクション・システムです。