モダニズムは,近代主義と訳されます。
ポストモダニズムは,脱近代主義と訳されます。
ポストモダニズムは,モダニズムを批判するところから始まりました。
ポストモダニズムの旗手として有名なフーコーは,モダニズムとは権威主義であり,ソーシャルワークもその一つである,と考えました。
クライエントの福祉ニーズがあるのか,の裁定などがフーコーのいう権威主義なのでしょう。
例えば,生活保護のケースワーカーです。申請を受け取ると保護の要否を決定します。
限りある財を配分するためには必要です。そういった意味で,ソーシャルワークはモダニズムによって生まれてきたと言えるでしょう。COS(慈善組織協会)を思い出しても納得できるでしょう。
ソーシャルワークのアプローチにはさまざまなものがありますが,流れで言えば,エンパワメントアプローチ以降に誕生したものは,ポストモダニズムの影響を受けたものだと考えられます。
ポストモダニズムについては,こちらの記事で整理しています。
ポストモダニズム(ポストモダン)の整理
https://fukufuku21.blogspot.com/2019/06/blog-post_2.html
ポストモダニズムの影響を強く受けたアプローチの代表は,ナラティブアプローチです。
このアプローチでは,「無知の姿勢」と呼ばれる基本的態度があります。
クライエントに教えてもらうという態度を「無知の姿勢」といいますが,これが権威主義的なものの批判から生まれたものではないかと思います。
それでは,今日の問題です。
第31回・問題93 ポストモダンの影響を受けたソーシャルワークに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 クライエントの主体性や語りを重視する。
2 クライエントの欠点を直す援助を指向する。
3 社会構成主義への批判から発展している。
4 客観主義,実証主義を追求する。
5 サービス提供の効率性を求める。
この5つの選択肢のうち,モダニズムに属すると考えられるのは,
2 クライエントの欠点を直す援助を指向する。
4 客観主義,実証主義を追求する。
5 サービス提供の効率性を求める。
です。いかにもモダニズム(近代主義)っぽいと思いませんか?
伝統的な医学モデルは,モダニズムの系譜にあると言えます。
正解は,選択肢1です。
1 クライエントの主体性や語りを重視する。
ポストモダニズムの代表がナラティブアプローチであることを理解しておきたいです。
3 社会構成主義への批判から発展している。
社会構成主義は,「人との対話によって現実は作られていく」というもので,ナラティブアプローチの基盤となる考え方です。
今日の問題は,過去に一度取り上げているので,詳しい解説はこちらで確認してみてください。
モダニズム,ポストモダンとは何?