国家試験は,第22~36回は,平成19年度カリキュラム改正の内容です。
第37回国家試験からは,令和元年度カリキュラム改正の内容になります。
丸暗記型勉強にとどまり,理解レベルになっていないと今まで以上に苦戦することが予測されます。
知識があれば解ける問題は減り,知識があることを前提に,思考して問題を解くタイプの問題が増えます。
知識があれば解ける問題のタイプをタクソノミーⅠ型と言います。
知識があることを前提に,思考して問題を解く問題のタイプをタクソノミーⅡ型と言います。
型知識があることを前提に,2回思考して問題を解くタイプをタクソノミーⅢ型と言います。
第37回国家試験からは,現在主流のタクソノミーⅠ型が減り,タクソノミーⅡ型・Ⅲ型が増えることになっていますが,第35回から少しずつ移行していきます。
つまり今後受験する受験生にとって,タクソノミーⅡ型の問題に対応できる実力がもとめられます。
〈タクソノミーⅡ型の問題例①〉
第33回・問題21 次のうち,マートン(Merton,R.K.)が指摘したアノミーに関する記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ある現象が解決されるべき問題とみなす人々の営みを通じて紡ぎ出される社会状態を指す。
2 下位文化集団における他者との相互行為を通じて逸脱文化が学習されていく社会状態を指す。
3 文化的目標とそれを達成するための制度的手段との不統合によって社会規範が弱まっている社会状態を指す。
4 他者あるいは自らなどによってある人々や行為に対してレッテルを貼ることで逸脱が生み出されている社会状態を指す。
5 人間の自由な行動を抑制する要因が弱められることによって逸脱が生じる社会状態を指す。
まず,マートンのアノミーとは,どんなものかを想起したうえで,それぞれの選択肢に当てはまるか,考えていきます。
これはいずれも逸脱行動理論について述べたもので,それぞれの文章には嘘はありません。
この問題はわかりやすく特徴を出して問題を作ってくれていますので,タクソノミーⅡ型の問題でもタクソノミーⅠ型に近いタイプかもしれません。
正解は,選択肢3です。
〈タクソノミーⅡ型の問題例②〉
第27回・問題23 社会的リスクに関する次の記述のうち,「ベヴァリッジ報告」で想定されていなかったものを1つ選びなさい。
1 疾病により労働者の収入が途絶えるおそれ
2 勤務先の倒産や解雇により生計の維持が困難になるおそれ
3 老齢による退職のために,稼働収入が途絶えるおそれ
4 保育や介護の社会化が不充分なため,仕事と家庭の両立が困難になるおそれ
5 稼得者の退職や死亡により被扶養者の生活が困窮するおそれ
ベヴァリッジ報告の5つの巨人に当てはめて考えていきます。
正解は,選択肢4です。
知識があるうえで,思考が求められています。
こういった問題に対応するためには理解して覚えることを心がけます。