2020年2月29日土曜日

問題を読む力

社会福祉士の勉強は,長く辛いものです。

決して簡単に取得できない資格だから,価値のあるものだと言えます。

国家試験は,19科目(18科目群),150問で実施されます。

科目数が多いので,1科目1点ずつアップするのと,1点ずつダウンするのでは,実に38点もの差が生まれます。

国家試験に合格できるだけの知識が足りないのは問題外ですが,知識を国家試験で得点できるものであることが求められます。

さて,今回は,パーソナリティ(人格)を例に出します。

パーソナリティと聞くと,理論には類型論と特性論があったことがすぐ頭に浮かぶでしょう。

類型論は,パーソナリティをタイプ分けするものです。
特性論は,パーソナリティはいくつかの特性の組み合わせによって,成り立っていると考えます。

それでは今日の問題です。

第32回・問題9 パーソナリティの理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 クレッチマー(Kretschmer,E.)は,特性論に基づき,体格と気質の関係を示した。
2 ユング(Jung,C.)は,外向型と内向型の二つの類型を示した。
3 オールポート(Allport,G.)は,パーソナリティの特性を生物学的特性と個人的特性の二つに分けた。
4 キャッテル(Cattell,R.)は,パーソナリティをリビドーにより説明した。
5 5因子モデル(ビッグファイブ)では,外向性,内向性,神経症傾向,開放性,協調性の5つの特性が示されている。

外国人の名前を覚えるのが苦手な人にとっては冷や汗が出るような問題でしょう。

正解は,選択肢です。
2 ユング(Jung,C.)は,外向型と内向型の二つの類型を示した。

しかし,この問題は決して簡単ではありません。

<理由その①> たった2文字の違い

1 クレッチマー(Kretschmer,E.)は,特性論に基づき,体格と気質の関係を示した。

「特性論」ではなく,「類型論」です。

たった2文字違いです。


<理由その②> 覚えにくいところを変えている

3 オールポート(Allport,G.)は,パーソナリティの特性を生物学的特性と個人的特性の二つに分けた。

2つに分けたところは合っていますが,「生物学的特性」と「個人的特性」ではなく,「共通特性」と「個人的特性」です。

実にいやらしい感じですね。

5 5因子モデル(ビッグファイブ)では,外向性,内向性,神経症傾向,開放性,協調性の5つの特性が示されている。

ビッグファイブの内容が変えられています。

正しくは,「外向性」「神経症傾向」「誠実性」「調和性」「開放性」です。

これもいやらしい感じですね。


<今日の一言>


問題を読む力

知識があることは大前提です。

今日の問題のパーソナリティで言えば,類型論と特性論の特徴を正しく押さえておくことでしょう。

そこを考えながら,問題を解いていくと,イージーミスは防ぐことができるでしょう。

2020年2月28日金曜日

国家試験は何点取れれば合格するのだろうか?

ボーダーラインは,毎年上下しているため,国家試験の合格発表まで本当に辛い日々が続きます。

この学習部屋に訪れていただいた方が全員合格されていることを願ってやみません。

次の国家試験を受験される方は,何点取ると合格できるのだろうと思うのではないでしょうか。

ボーダーラインは毎年変わります。
だからそういった疑問が生まれるのでしょう。

発想を転換しましょう。

何点取るではなく,何問間違うことができるか。

国家試験の問題は,すべて1問1点です。
正解を複数(現在は2つのみ)選ぶ問題でも,2つ正解できて1点です。

国家試験は,すべて1問は1点だということは,とても重要なことだと思います。

とんでもなく難しい問題で正解しても1問は1点です。

とんでもなく難しい問題は,正解することができません。
「どれにしようかな」と適当に答えを選んだ場合は,5分の1の確率で正解できます。

しかし,本当に難しい問題は,5分の1の確率では正解できないのです。
こういった難しい問題は必ずあります。

例えば,ボーダーラインが過去最高の99点となった国家試験となった第30回国試問題でも,難しい問題はあります。

難しい問題は,正解できなくて当然です。

難しい問題が多ければボーダーラインは下がります。
難しい問題が少なければボーダーラインは上がります。

第30回で,難しかったと思う問題です。

第30回・問題43 「平成29年地方財政の状況」(総務省)が示す2015年度(平成27年度)の地方財政において,次に示す民生費及び特別会計事業の費目のうち,歳出金額が最も多いものを1つ選びなさい。
1 生活保護費
2 児童福祉費
3 老人福祉費
4 介護保険事業費
5 国民健康保険事業費

この問題は,しっかり勉強した人の方が間違った問題ではないかと思います。
難しいというか,正解しにくい問題だと言えるでしょう。

民生費で最も多いのは児童福祉費ですが,特別会計の方が規模が大きいのです。



<今日の結論>

社会福祉士の国家試験は,19科目,18科目群(就労支援サービスと更生保護制度で1群)で,実施されます。

このうち,最も点数が取れない科目は,「現代社会と福祉」です。
半分を確実に取るのはかなり難しい科目です。

つまり半分は間違ってもよいものです。

参考書を丁寧に覚えていけば,必ず6割程度の点数は取れます。

後は,問題の難易度によって,ボーダーラインが上下するだけの話です。

多くの人は,「福祉行財政と福祉計画」や「社会保障」などを苦手としていますが,これらの科目は,「現代社会と福祉」と違って,事前に対策を打つことができます。

つまり,受験者の差が出るのはこういった科目であると言えます。

さて,本当の結論です。

国試は何点取れれば合格するのだろう,というのはナンセンスな疑問です。

問題の難易度によって,ボーダーラインが上下するからです。

自分が解けない問題はほかの人も解けない。


ほかの人が解ける問題を確実に解けるように勉強を積み重ねることが大切です。

2020年2月27日木曜日

合格に必要な思考力とは何だろう?

社会福祉士の国家試験の問題の多くは,文章で構成されています。

文章による問題は,考えて解くことが必要です。

第32回・問題115 セルフヘルプグループに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 セルフヘルプグループのメンバーは,特定の体験を共有し,蓄積し吟味することによって生み出される体験的知識を活用し,問題に対処する。

2 セルフヘルプグループは,既に組織的に活動しているグループを基に形成される。

3 セルフヘルプグループは,多様な専門性を持つ専門職による,多職種連携の一形態である。

4 セルフヘルプグループでは,メンバー間の上下関係を活用する。

5 セルフヘルプグループヘの入退会は,グループ運営を円滑に行うために,ソーシャルワーカーがその可否を決定する。


セルフヘルプグループは,当事者などの自助グループである。

というように覚えることでしょう。

この問題を理解するためには,この知識をこの問題に合わせて展開することが必要です。

これが「思考力」です。

この問題の正解は,選択肢1です。

1 セルフヘルプグループのメンバーは,特定の体験を共有し,蓄積し吟味することによって生み出される体験的知識を活用し,問題に対処する。

何を言っているのか,よくわかりません。
試験委員は意図していないと思いますが,問題の最初のほうに難しい選択肢を配置することで,受験生の多くは混乱し,間違いやすくなります。

選択肢1がもし選択肢5なら,上から順番に冷静に消去できます。

2 セルフヘルプグループは,既に組織的に活動しているグループを基に形成される。
3 セルフヘルプグループは,多様な専門性を持つ専門職による,多職種連携の一形態である。
4 セルフヘルプグループでは,メンバー間の上下関係を活用する。
5 セルフヘルプグループヘの入退会は,グループ運営を円滑に行うために,ソーシャルワーカーがその可否を決定する。

これらの内容は,「セルフヘルプグループは,当事者などの自助グループである」という知識からは,直接的に判断することはそんなに簡単なことではありません。

なぜなら,時間には限りがあるからです。


2 セルフヘルプグループは,既に組織的に活動しているグループを基に形成される。

確かに既に活動しているグループもあるでしょう。
しかし,それは最初からあったものではありません。
必ず誰かによって作られたものです。

論理的に矛盾します。


3 セルフヘルプグループは,多様な専門性を持つ専門職による,多職種連携の一形態である。

この選択肢だけは,「セルフヘルプグループは,当事者などの自助グループである」という知識で消去することができます。

そのため,この選択肢を消去できないのは,知識不足であるということがわかります。


4 セルフヘルプグループでは,メンバー間の上下関係を活用する。

セルフヘルプグループで活用するのは,「ヘルパーセラピー原則」です。


5 セルフヘルプグループヘの入退会は,グループ運営を円滑に行うために,ソーシャルワーカーがその可否を決定する。

ワーカーが前面に出てくるものは,セルフヘルプグループに限らず,正解になることはありません。

なぜなら,「自己決定の原則」から外れるからです。



<今日の一言>

今日の問題で取り上げたのは,「相談援助の理論と方法」です。

この科目は,21問もあり,最もボリュームのあるものです。

社会福祉士がソーシャルワーカーであるとすれば,「相談援助の基盤と専門職」も含めて最も基礎となる科目だと言えるでしょう。

それにもかかわらず,多くの人は,この科目に時間をかけて勉強しません。
事例問題などがあり,得点しやすいと思っているからでしょう。

苦手科目がある人がここで挽回するには,8割ラインである16点以上は取りたいです。

しかし,多くの人が思うほどこの科目は簡単ではありません。
知識にプラスして,考えることが求められているからです。

限られた時間の中で思考するのは難しいと思う人もいるかもしれません。

しかしそれができないと,壁を乗り越えることができません。

勉強するときに,ちょっと工夫することで思考力は高まります。

それは,具体的に想像してみることです。

人に何かを説明するときに,とても下手な人と上手な人がいます。
これは,相手によって,伝え方を工夫しているからです。

業務の中で行っていることを勉強に応用するだけの話です。

2020年2月26日水曜日

暗記と同じくらいに国家試験合格に欠かせないもの~国家試験に向けて

平成元年に実施された第1回とその次の第2回は国家試験の問題を持ち帰ることができませんでした。

その当時,受験参考書をつくることはとても困難なことでした。

実際に受験した人に,問題を覚えてもらって,試験が終わった直後にそれを覚えている範囲で再現してもらう,といった方法を取っていたようです。

過去問題集が販売されたのは,第3回以降です。その年の問題を見ると,170問もあります。

第1回と第2回は何問だったのかは今となっては定かではありませんが,おそらく170問だったのではないかと想像しています。

国家試験問題が150問になったのは,第6回からです。

第1~5回までは,170問の国家試験だったと考えられます。
129問でも多いのに,170問もあったとはびっくりだと思いませんか?


さて,国家試験の合格基準,いわゆるボーダーラインは,6割程度です。

このラインを超えるのは,簡単ではありません。

知識をいくらつけても,確実に正解すべき問題で正解できないと6割ラインを超えるのは難しいからです。

例えば,こんな問題です。


第32回・問題1 人体の構造と機能に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 視覚は,後頭葉を中枢とする。

2 腸管は,口側より,空腸,回腸,十二指腸,大腸の順序である。

3 肺でガス交換された血液は,肺動脈で心臓へと運ばれる。

4 横隔膜は,消化管の蠕動(ぜんどう)に関わる。

5 副甲状腺ホルモンは,カリウム代謝をつかさどる。


しっかり勉強した人は,すぐ答えが分かる問題です。

第32回国家試験を受験した人で,この問題を間違った人は間違いなく勉強不足だと言えます。

第32回国試に限って言えば,この問題が分かれ道となりました。

勉強をしっかり行ってきた人は,悩むことなく,すぐ答えを選ぶことができたでしょう。
正解は今まで何度も出題されてきた選択肢1だからです。

さて,今回のテーマは「暗記と同じくらいに国家試験合格に欠かせないもの~第33回国家試験に向けて」です。


欠かせないものとは,結論を言えば「思考力」です。

知識をつければ合格できると思っていたら,痛い目に遭います。

第32回・問題4 事例を読んで,国際生活機能分類(ICF)に基づいて分類する場合,正しいものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
 Aさん(50歳男性)は,脳出血により片麻痺を残したが,リハビリテーションによって杖と下肢装具を用いた自立歩行を獲得し,復職を達成した。混雑時の通勤の負担と,思うようにならない気分の落ち込みから仕事を休みがちとなったが,職場より出勤時間の調整が図られ,仕事を再開するに至った。

1 片麻痺は,「活動」に分類される。

2 歩行は,「心身機能・身体構造」に分類される。

3 歩行に用いた杖と下肢装具は,「個人因子」に分類される。

4 気分の落ち込みは,「活動」に分類される。

5 出勤時間調整の職場の配慮は,「環境因子」に分類される。


ICFの用語を丸暗記した知識では正解するのが難しい問題です。

今後,出版される参考書には,この問題を解くために必要な情報を入れているはずです。

読んでからこの問題を解いても,第32回国試を受けた人と同じ気持ちになることはありません。多くの場合は,初見ではなくなるからです。

初見の問題はとてつもなく難しく感じます。


<今日のまとめ>


第32回・問題1を間違った人は,知識不足です。
まずは知識をつけていくことが必要です。

この問題を正解したにもかかわらず,合格基準点に達しなかった人は,要注意です。
単なる知識不足が原因ではないからです。

国家試験を突破するのに必要なのは,「知識」プラス「思考力」です。

国家試験は,ヒントを手掛かりにして,答えを考えていきます。
これができるようになれば,点数は飛躍的に伸びます。

2020年2月25日火曜日

国試に合格する勉強法

社会福祉士の国家試験の特徴は,出題範囲が広いことです。

勉強不足の人が合格できる試験ではありません。

気をつけてほしいことは,勉強不足でもある程度の点数が取れることです。

特に第32回国家試験の問題の文字数が若干多くなったことで文章の言い回しを考えると解ける問題や問題のつくり方が荒いために解ける問題があります。

しかし,その点数からボーダーラインに届く点数を取るのは決して簡単ではありません。
1点を上乗せするのは,本当に大変です。

第33回国試を受験する人は,第32回の過去問を解くはずですが,その辺りの勘違いをする人がいるのではないかと心配になります。

ヤマを張って国試に臨んでそこが当たったとしても,わずか1点です。

ボーダーラインに届くために必要なことは,ひたすら基礎力を蓄えていくことです。


第32回・問題90 調査の情報の整理と分析に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。

1 グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける軸足コーディングは,単一のカテゴリーと複数のサプカテゴリーを関連づける方法である。

2 プリコーディングとは,自由記述や事前に数値化が困難な回答に対して,調査者が後からコードの割当てをすることをいう。

3 会話分析の関心は,調査対象者がどのように日常的な相互行為を秩序立てて生み出すのかを解明するために,会話内容ではなく,会話の形式や構造に向けられる。

4 ミックス法は,質問紙などの量的調査とインタビューなどの質的調査を組み合わせる方法である。

5 インタビューデータの分析において,対象者が使っている言葉をそのままコードとして用いることをオープン・コーディングという。


この問題は勉強不足の人が確実に正解するのは困難です。

正解は,選択肢1と4が正解です。

この問題の類似問題は以下のとおりです。


第26回・問題90 質的調査データの整理と分析に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 インタビュー記録やフィールドノーツを1行ずつ読み込みながら,思いつくままにコードを書き込んでいくことをプリコーディングという。

2 研究がある程度進展した段階で,比較的少数の概念的カテゴリーにコードを割り振っていくことをオープン・コーディングという。

3 インタビュー等において対象者が使っている言葉をそのままコードとして用いることをインビボ・コーディングという。

4 グラウンデッド・セオリー・アプローチにおいてデータの分析を行う際には,事前に設定した仮説や既存の理論に沿って進めることが重要である。

5 量的調査データの分析とは異なり,質的調査データにはコンピューターを使った分析はなじまない。


この問題の正解は,選択肢3の「インビボ・コーディング」です。
インビボ・コーティングは,この時の1回しか出題されてことがありません。

選択肢1は,プリコーディングではなく,オープン・コーディングです。

選択肢2は,オーブン・コーディングではなく,軸足コーディングです。

選択肢4は,グラウンデッド・セオリー・アプローチは,分析の過程で新しい理論を発見するもので,事前の分析軸や理論を持ちません。逆にそういったものがあると,新しい発見をすることは難しいでしょう。


第23回・問題83 質的データの分析に関する次の記述のうち,適切なものを1つ選びなさい。

1 KJ法の目的は,集めた意見やデータの分類と集約を通して,新しい発想や仮説を創造することである。

2 会話分析は,発話者がいかにして相互行為を秩序立てて生み出すかを解明するために,会話の形式や構造ではなく,その内容に関心を向ける。

3 ソシオグラムでは,ある組織や集団の構成員同士の関係を,矢印のない無向グラフで表す。

4 グラウンデッド・セオリー・アプローチでは,データ収集とコーディングを繰り返した後,これ以上新しい概念やカテゴリーが出てこないと判断される状態を,現実的飽和という。

5 質的調査の信頼性と妥当性を高めるために,インタビュー,参与観察,質問紙調査など複数の調査法を組み合わせることを,エスノグラフィという。


この問題の正解は,選択肢1の「KJ法」です。

第32回国試では出題されていませんが,質的データの分析では,グラウンデッド・セオリー・アプローチと同じくらい頻出です。

選択肢4は,現実的飽和ではなく,理論的飽和です。
選択肢5は,エスノグラフィではなく,トライアンギュレーションです。

さて,ここで注意したいのは,第32回の問題の類似問題は,第23回と第26回にあるということです。

過去3年,あるいは5年の範囲を超えています。

社会福祉士の出題範囲は広いので,それほど頻出ではないものは,その範囲に含まれていないことが多いです。

国家試験でボーダーラインを超える点数を取るためには,こういった問題も正解することが求められます。


<今日の結論>

国家試験に合格できるためには,基礎力をひたすらつけていくことが必要です。

そのためには,まずは参考書を使って基礎力をつけましょう。

学校によっては,過去5年以前の問題を最新の内容に変更して提供してくれる学校もあります。

そういったもので勉強できる人は,積極的にそれを使いましょう。

一般的な人は,過去問を入手しようと思うと,古本になると思いますが,それでは制度変更に対応できない問題もあります。

そのため,一般的には参考書でひたすら基礎力をつけることが大切です。

一般的に入手できる3~5年の過去問は,国試問題に慣れるために使うもので,知識は参考書でつけることが大切です。

3~5年の過去問を完璧に解けても,それだけの知識では出題基準の範囲を満たさないのです。

2020年2月24日月曜日

何を使って勉強するか?~新しい年度の参考書について~その2

社会福祉士の国家試験の受験対策本は,多くの種類が発売されています。

かなり以前の話で恐縮ですが,その昔は今のように種類はなく,主だったものは,現存する「受験ワークブック」(中央法規出版)と現存しない「必携 社会福祉士」(筒井書房)の2種類でした。

「必携 社会福祉士」は,国家試験の出題スタイルの変化に対応することができず,迷走して,販売数が低迷し,最後には会社自体が倒産してしまいました。

主だった参考書が2つしかなかった時代に受験した人は,「受験ワークブック」をすすめると思います。

受験ワークブックは,老舗中の老舗なので,信頼感は高いと思います。

だからと言って,受験ワークブックが唯一無二のものではありません。

ある程度,ボリュームのあるものなら,どこのものでも十分だと思います。

あとは,覚えやすいかどうかです。


ボリュームの少ないものの方が良い

というアドバイスをする人もいますが,ボリュームの少ないものは,ほかのもので知識を補充しなければならないので,中心的に使う参考書としては向かないと言えます。

重要なのは,何を使って勉強するか,ではなく,どのように勉強するか,です。

おそらく,受験ワークブックは,今までも最も多くの受験生が使っているでしょう。

しかし,別の見方をすれば,「不合格になる人も最も多く生み出している」と言えます。

社会福祉士の国家試験に合格できるのは,わずか上位30%です。

なぜそのラインにこだわっているのかはわかりませんが,それ以上の人を合格させてくれないのが現実です。

このように書くととても難しい試験のように思うかもしれませんが,合格基準は6割程度とされているので,決して高い基準ではありません。

学校の成績で言えば,オール3のレベルです。オール5やオール4は必要とされません。

それにもかかわらず,約30%しか6割ラインを超えられないのは,勉強の仕方に理由があるように思います。

つまり「どのように勉強するか」です。

「暗記するのが苦手です」という人がいます。

そのために英単語を覚えたときのように単語帳を作って勉強する人もいるかもいるでしょう。

しかし,実際の国試では単語帳レベルの情報で通用するのはごくわずかな問題です。

法制度は,単語帳では対応するのは難しいです。

私たちがおすすめするのは,勉強の過程で気がついたことや感じたことを参考書のすきまにどんどん書き込むことです。

例えば,指揮監督についてです。

民生委員が指揮監督を受けるのは,都道府県知事です。
保護司が指揮監督を受けるのは,保護観察所の長です。
福祉事務所の長が指揮監督を受けるのは,設置者です。つまり都道府県福祉事務所なら,都道府県知事,市町村福祉事務所なら市町村長です。
福祉事務所の現業員が指揮監督を受けるのは,福祉事務所の長です。

これらの情報は,おそらく多くの参考書ではそれぞれに関連する科目に掲載されているはずです。

そのため,覚えにくいと思います。

このように並べてみると,何かの法則を感じませんか?
何でもよいのです。
そういったものを参考書に書き込んでいきます。

第32回・問題38 民生委員・児童委員についての法律上の規定に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 民生委員は,市町村内の小学校区ごとに1名配置する。
2 主任児童委員は,児童虐待の早期発見と介入のため児童相談所に配属される。
3 民生委員協議会は,民生委員の職務上必要があるときに関係各庁に意見することができる。
4 民生委員は,職務上知り得た特定の要援護者個人の情報を広く地域住民と共有してもよい。
5 民生委員は,その職務に関して市町村長の指揮監督を受ける。

正解は,選択肢3です。

第32回・問題67 福祉事務所の組織及び設置に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉事務所の現業を行う所員(現業員)の定数については,生活保護法で定めている。
2 市が設置する福祉事務所の社会福祉主事は,生活保護法の施行について,市長の事務の執行を補助する。
3 福祉事務所の指導監督を行う所員(査察指導員),現業を行う所員(現業員),事務を行う所員はいずれも社会福祉主事でなければならない。
4 福祉事務所の長は,厚生労働大臣の指揮監督を受けて,所務を掌理する。
5 福祉事務所に置かれている社会福祉主事は,25歳以上の者でなければならない。

正解は,選択肢2です。

第32回・問題149 保護司に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 保護司の職務に,犯罪予防を図るための啓発及び宣伝の活動は含まれない。
2 保護司には給与は支給されないが,職務に要した費用は実費弁償の形で支給される。
3 保護司は,検察官の指揮監督を受けて職務に当たる。
4 保護司は,保護観察対象者の居住先を訪問することは禁じられている。
5 保護司は,「平成30年版犯罪白書」(法務省)によると,40~49歳までの年齢層が最も多く,過半数を超えている。

正解は,選択肢2です。

これらの問題は決して難易度が高いものではありません。

しかし,あいまいに覚えていると,正解するのは難しいです。

あいまいになりがちな勉強法は,丸暗記です。
思考を動かしていないからです。

書いて覚えるというのも危険です。書いて覚えるのも書くことが目的になってしまって,思考を動かしていない恐れがあります。


<今日の一言>

先ほどの指揮監督についてですが,市町村福祉事務所の長以外は,市町村長の指揮監督を受ける者はいないことに気がつきましたか?

法則的に言えば,


市町村長の指揮監督を受けるのは,市町村長が設置した機関の長のみ


ということになります。これは都道府県も同様です。


ナンセンスなのは,「市町村福祉事務所の現業員は,市町村長から指揮監督を受ける」といったものです。組織を考えるとあり得ないことです。

同じように,

福祉事務所の長は,厚生労働大臣の指揮監督を受けて,所務を掌理する。

これも組織を考えるとあり得ないことです。


国家試験に合格に必要なのは,SDGsやニッポン一億総活躍プランなどを勉強することではありません。

本来確実に正解しなければならない問題に対応できる知識をきっちりつけることです。

考えながら覚えていくことは,面倒なことかもしれませんし,時間もかかることかもしれません。

しかし,本来勉強とはそういうものです。

これからの時期は,中古市場で,参考書などが出回ります。

国試合格には,必ずしも新しい参考書はいらないので,こういったものを購入することも一つの手です。

そこで浮いたお金を模擬試験をもう一つ多く受験することに使うなどもできるでしょう。

2020年2月23日日曜日

何を使って勉強するか?~新しい年度の参考書について

現時点(2020年2月下旬)は,国家試験が終わった後です。

参考書や過去問を出版する会社は,来年度の国家試験に向けた準備を進めているところでしょう。

ところで,古い年度の参考書と新しい年度の参考書は,どこが違うと思いますか?

①国家試験で新しく出題されたものを加える。
②統計情報を最新のものに変更する。
③新しくできた制度や変更されたものを加える。

こういったところが変更になるポイントです。


参考書は新しいものがよい


というアドバイスがあります。

新しい参考書は,6月ころから発売されていきます。

そのため,多くの受験予定者は6月以降に購入して,勉強を始めることになります。
それまで4か月もあります。

この間,何も勉強しないというのはあまりにもったいないように思います。

私たちチームfukufuku21は,必ずしも新しい参考書で勉強する必要はないと考えています。

その理由は,

①今まで出題されたことがなかったものが,2年連続で出題されることは少ない。

②年度によって順位が変わるものは出題されにくい。

③国試で細かい数字が問われることはない。例えば,昨年が49.0%で,今年は48.2%,となっているもの。こういったものは,国家試験では,7割を上回っている,といった出題になる。

④制度が変わったものがすぐ出題されることは少ない。多くの場合は,制度変更があってから数年後に出題される。

といった国家試験の特徴があるからです。

これらはすべて重要なことですが,特に

④制度が変わったものがすぐ出題されることは少ない。多くの場合は,制度変更があってから数年後に出題される。

は覚えておきたいです。

法制度は,法ができてからすぐ施行されるものもありますが,多くのものは,準備期間をおいて施行されます。

そのため,制度が変わったものは,前年度版に載っている場合はほとんどです。

第32回では,2019年に施行された法制度も若干出題されていますが,多くのものは,2016年改正や2018年改正です。

模擬試験は数社は受けると思うので,もし,最新の法制度を押さえておかないと心配だという人は,模試で出題されるものを押さえておくと良いと思います。

1問はとても重みがありますが,施行されてすぐのものを知らなかったために正解できないことよりも,これまでに何度も出題されているものをしっかり覚えきれていないことの方が重要です。

第32回・問題44 「平成31年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち,民生費は教育費に次いで多い。
2 都道府県の目的別歳出では,生活保護費の割合が最も高い。
3 都道府県の性質別歳出では,扶助費の割合が最も高い。
4 市町村の目的別歳出では,児童福祉費の割合が最も高い。
5 市町村の性質別歳出では,人件費の割合が最も高い。

地方財政は,本格的に勉強を始めるとわかると思いますが,とても覚えるのが面倒です。

①都道府県+市町村
②市町村のみ
③都道府県のみ

の3種類を覚えることが必要だからです。


合否を分ける1・2点は,こういった問題をいかに確実に正解できるかにかかっています。


詳しい解説は,別の機会に譲ることにしますが,この問題の正解は,選択肢4です。

勉強不足の人は,まず正解できないと思います。

最も多いのは

①都道府県+市町村 → 児童福祉費
②市町村のみ → 児童福祉費
③都道府県のみ → 老人福祉費

となります。いやになるほど覚えるのが面倒です。

このように,3つに分けると順位が変わるものは,複雑なので,勉強した人と勉強が足りない人の差が出やすいので,国家試験にはとても向いています。

ついでに言うと,この問題を正解しにくいのは,伏線があります。

第30回・問題43 「平成31年地方財政の状況」(総務省)が示す2017年度(平成29年度)の地方財政において,次に示す民生費及び特別会計事業の費目のうち,歳出金額が最も多いものを1つ選びなさい。
1 生活保護費
2 児童福祉費
3 老人福祉費
4 介護保険事業費
5 国民健康保険事業費

第32回国試を受験した人のほとんどはこの問題を解いたことがあったはずです。

この問題の正解は,選択肢5の「国民健康保険事業費」です。

民生費だけではなく,特別会計を含めて出題されたことによって,多くの人は見事に引っ掛けられてしまった問題です。

中途半端にこの問題を解いた人は,「児童福祉費は多くない」ということがインプットされていたと考えられます。

民生費と特別会計費を比べると,税財源の民生費よりも,税財源+保険料の特別会計費の規模が多くなります。

しかし,民生費の中では,児童福祉費が最も多いことには変わりがありません。

こういったことを,きっちり覚えていくのは,決して簡単なことではありません。


制度が変わってすぐ出題されるのは,ほんの数問です。
まったく出題されない年もあります。

これでも,まだ新しい参考書で勉強しなければならない,と思いますか?


受験に失敗する人の多くは,準備不足で国家試験に臨んでいます。

勉強時間が潤沢にある人はいません。

早めの準備が最後の最後に大きな差となることを覚えておきたいです。

2020年2月22日土曜日

基礎力をつけることの重要性~国家試験に合格するために

国家試験には,現代の社会問題に関するものや時事的なものが出題されます。

こういった問題に対して,学校の先生は「社会にも目を向けましょう」と言います。

さらには「白書や報告書にも目を通しましょう」と言うでしょう。

それらは確かに重要なことかもしれませんが,本当に国家試験に合格するためには,基礎力をひたすらつけることの方が近道です。

第32回国試を受験された方は,改めて国家試験問題を見てみるとわかると思いますが,よく読めば解けた問題があったはずです。

合格・不合格を分ける最後の1点・2点は,時事的な問題などが解けなかったことではなく,よくよく考えると解けた問題が,正解できるかできないです。


第32回・問題9 パーソナリティの理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 クレッチマー(Kretschmer,E.)は,特性論に基づき,体格と気質の関係を示した。

2 ユング(Jung,C.)は,外向型と内向型の二つの類型を示した。

3 オールポート(Allport,G.)は,パーソナリティの特性を生物学的特性と個人的特性の二つに分けた。

4 キャッテル(Cattell,R.)は,パーソナリティをリビドーにより説明した。

5 5因子モデル(ビッグファイブ)では,外向性,内向性,神経症傾向,開放性,協調性の5つの特性が示されている。


この問題の正解は,選択肢2ですが,選択肢5を選んで間違った人もいたのではないか思います。

この問題を正解できるために最低限必要に知識は,パーソナリティの理論には,類型論と特性論があることを知っていることです。

類型論は,パーソナリティをいくつかの類型に分類すること。
特性論は,パーソナリティは特性の組み合わせによって成り立っていると考えるもの。

類型論はわかりやすいですが,人のパーソナリティはそんなに単純化されるものではないと思います。

そういった意味では,この問題は,類型論を正解にするよりも特性論に関するものを正解にしてほしかったと思います。


第27回・問題9 パーソナリティに関する次の記述のうち,特性論の説明として,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 エス・自我・超自我の区別と相互作用説は,特性論の1つの証拠となっている。

2 体格や価値に基づく生活様式などの違いでカテゴリー化し,特性をとらえる。

3 外向性・神経症傾向・誠実性・調和性・経験への開放性から成るビッグファイブ(5因子説)は,特性論の一例である。

4 典型例が明示され,パーソナリティを直感的・全体的に把握するのに役立つ。

5 パーソナリティ全体をいくつかの層の積み重なった構造としてとらえる。


この問題の正解は,選択肢3です。
3 外向性・神経症傾向・誠実性・調和性・経験への開放性から成るビッグファイブ(5因子説)は,特性論の一例である。

ビッグファイブは,旧カリキュラム時代も含めて,第27回と第32回のたった2回しか出題されていません。

というか,パーソナリティに関する出題は,近年はそれほど多くないので,過去問で知識をつけることができません。

第27回と第32回を比べると,問題の質は,第27回の方が高いと感じます。
それは,第27回は,特性論,その中でもビッグファイブを正解にした問題だからです。

第32回は,類型論であるユングの理論を正解にしています。

人のパーソナリティはそんなに単純化されるものではないです。

さて,話を戻します。

国家試験で1点・2点が足りなくて不合格になるのは辛いことです。

よくよく問題を見てみると,今日の問題のようなタイプの問題で正解できていないことが多いようです。

社会に目を向けたところで,こういった問題が正解できないと,また1点・2点に泣くことになります。

戦略を間違うと,合格にたどりつくことは難しいです。

まずは,基礎力をつけることが必要です。

少なくとも,3年間の過去問を3回解いて合格できるような試験ではないことは,肝に銘じておきましょう。

2020年2月21日金曜日

国家試験合格に必要なことはこれだ!

社会福祉士の国家試験のボーダーラインは,その年の問題の難易度によって,上下しています。

自己採点でギリギリの点数の人は,合格発表の日まで落ち着かない日々を送ることになります。

だから自己採点はしない,という人は多いです。
自己採点してもしなくても結果は同じだからです。

今の時点(2月下旬)で,このブログを読んでいただいている方は,おそらく自己採点はされているのではないかと思います。

国家試験は,サバイバルゲームのように思います。
第32回の合格率がどうなるのかは合格発表の日までわかりませんが,近年の合格率は,約30%です。
そのラインを律義に守っているかのようです。

みんなが得点しやすい試験なら,ボーダーラインが上がり,得点しにくい試験なら,ボーダーラインが下がります。


ボーダーラインが変わっても,合格率は大きく変えることがないとすれば,ほかの受験生よりも1点でも多く取ることが大切です。

別な言い方をすれば,つまらないミスの多い,少ないが合格に大きくかかわります。


例えば,こういった問題です。


第32回・問題64 生活保護法が規定する基本原理・原則に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 日本国憲法第26条に規定する理念に基づく。

2 保護は,世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。

3 保障される最低限度の生活とは,肉体的に生存を続けることが可能な程度のものである。

4 生活困窮に陥った年齢によって,保護するかしないかを定めている。

5 生活保護の基準は,厚生労働省の社会保障審議会が定める。


正解は,選択肢2です。

2 保護は,世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。


この中でいやらしいのは,以下の選択肢です。


1 日本国憲法第26条に規定する理念に基づく。

第26条ではなく,第25条です。

こういったところに引っ掛けポイントがあるとは思わないので,間違う人もいるでしょう。


国試合格に必要なのは,こういったところに引っ掛けられないことです。


ボーダーラインに届かない原因は,SDGsやニッポン総活躍プランなどを知らないことではなく,確実に正解しなければならない問題を得点できないことです。



<今日のまとめ>

合格に必要なのは,正解できる問題でミスを極力減らすことです。

スタンダードなものをきっちり覚えておけば,必ずボーダーラインは超えます。

社会福祉士の国家試験は,すべて1問1点です。

難しい問題で正解しても1点。

易しい問題で正解しても1点。

合格をつかむことができる人は,難しい問題は得点できなくても,易しい問題で確実に得点していきます。

合格をつかむことができない人は,難しい問題が得点できても,易しい問題でミスします。

こういったことの積み重ねで,20点,40点の差がついていきます。

なお,易しい問題とは,参考書や過去問などで事前の対策をすることができるもののうち,特に何度も過去に出題されてきた実績のある問題をいいます。

難しい問題とは,事前の対策ができず,かつ常識などで正解することができない問題をいいます。

2020年2月20日木曜日

日本の社会保障制度の中心は社会保険制度です~その3

試験委員が変わっても,その筋の一流の先生方が考えることは,似たようなものになるのかもしれません。

第32回で出題された問題です。

第32回・問題49 日本の社会保障制度の歴史的展開に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会の勧告では,日本の社会保障制度は租税を財源とする社会扶助制度を中心に充実すべきとされた。

2 1961年(昭和36年)に国民皆保険が実施され,全国民共通の医療保険制度への加入が義務づけられた。

3 1972年(昭和47年)に児童手当法が施行され,事前の保険料の拠出が受給要件とされた。

4 1983年(昭和58年)に老人保健制度が施行され,後期高齢者医療制度が導入された。

5 1995年(平成7年)の社会保障制度審議会の勧告で,介護サービスの供給制度の運用に要する財源は,公的介護保険を基盤にすべきと提言された。

この問題の正解は,選択肢5です。

この問題の解説
https://fukufuku21.blogspot.com/2020/02/blog-post_18.html


第27回には以下の問題が出題されています。


第27回・問題50 社会保障制度に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 1950年の社会保障制度審議会勧告は,日本の社会保障制度について,租税を財源とした社会扶助制度を中心に充実させるとした。

2 1952年の「ILO第102号条約」では,社会保障の給付事由の一つとして,すでに日本の介護保険法にいわれる意味での要介護状態にあることを挙げていた。

3 1962年の社会保障制度審議会勧告は,社会保障制度の体系化を構想し,社会福祉対策を「一般所得階層に対する施策」として位置づけた。

4 1981年の「難民条約」の批准に伴う法整備により,国民年金法,児童手当法,児童扶養手当法,「特別児童扶養手当法」から国籍要件が削除された。

5 1995年の社会保障制度審議会勧告は,後期高齢者医療制度の創設を提言した。

この問題の正解は,選択肢4です。


第27回の問題に関する記事

https://fukufuku21.blogspot.com/2017/11/blog-post_27.html
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/03/31.html

根底に流れるのは,日本の社会保障制度の中心は,社会保険制度である,ということです。

それらは,社会保障制度審議会の50年勧告に従ったものです。


<今日の一言>

歴史に関する問題は,どの科目でも出題されます。

それは流れをつかむことで,制度全体の理解を促すためです。

過去は過去の出来事ではなく,今につながっています。

2020年2月19日水曜日

日本の社会保障制度の中心は社会保険制度です~その2

「社会保障」が苦手だという人は多いようです。

ソーシャルワークには,ミクロレベルもマクロレベルも両方の視点が必要です。

対クライエントのミクロレベルは重要ですが,制度全体を俯瞰することで見えてくることもあります。

そういった意味で,「社会保障」が苦手だというのは,もったいないように思います。

第32回の介護福祉士の国家試験の問題です。

問題8 2015年度(平成27年度)以降の社会保障の財政に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 後期高齢者医療制度の財源で最も割合が大きいものは,後期高齢者の保険料である。

2 社会保障給付費の財源では,税の占める割合が最も大きい。

3 生活保護費の財源内訳は,社会保険料と税である。

4 国の一般会計予算に占める社会保障関係費の割合は,30%を超えている。

5 社会保障給付費の給付額では,医療費の構成割合が最も大きい。


社会福祉士の国試問題だと言われても違和感がないでしょう。

答えは,選択肢4です。

国の一般会計予算の中で最も大きな割合を占めているのが社会保障関係費です。

これだけ大きな比重を占めているわけですから,国民の関心も高いのは当然のことでしょう。
福祉の専門家として,よく知らないでは済まされないように思います。

それでも,国際的にみると,日本が社会保障に使っているのは,それほど多い方ではありません。これは,国民医療費も同じです。

ほかの選択肢も確認してみましょう。

1 後期高齢者医療制度の財源で最も割合が大きいものは,後期高齢者の保険料である。

後期高齢者医療制度は,国民健康保険から切り離されて独自の制度として,2008(平成10)年に誕生しました。

自己負担分を除くと

保険料 1割
後期高齢者支援金 4割
公費負担 5割

後期高齢者医療制度は,現役世代の医療保険制度から「後期高齢者支援金」を拠出してもらって,支えられていることが特徴です。


2 社会保障給付費の財源では,税の占める割合が最も大きい。

最も大きいのは,社会保険料です。

再び言いますが,日本の社会保障制度は,社会保険制度が中心なので,公費(税)が社会保険料を上回るようには制度は作られないのです。


3 生活保護費の財源内訳は,社会保険料と税である。

生活保護制度は,税負担である社会扶助制度なので,保険料の拠出があるわけないです。

社会保険の特徴は,リスクの分散です。

社会保険は,将来自分も必要になるかもしれない,というリスクがあるから国民の納得を得られます。

そういった意味で,生活保護受給者が増えているとは言っても,現在の保護率は1.7%程度なので,社会保険には向かないと言えます。


5 社会保障給付費の給付額では,医療費の構成割合が最も大きい。

かつては医療が最も多かった時代もありますが,現在の割合は,「年金:5」,「医療:3」,「福祉その他:2」となっています。


<今日の一言>

社会保険制度を中心に作られる社会保障制度を俗に「ビスマルク型」といいます。

一方,社会扶助制度(税財源)を中心に作られる社会保障制度を俗に「ベヴァリッジ型」といいます。

日本は,その分け方によれば,「ビスマルク型」となるのでしょう。

しかし,これらの分け方は,その国の社会保障制度全体を表わしたものではないので,国家試験に出題されることはないと思います。

2020年2月18日火曜日

日本の社会保障制度の中心は社会保険制度です

社会保障制度を財源に着目すると


社会保険料を主な財源とする「社会保険制度」

税財源の「社会扶助制度」


に分類することができます。


社会扶助制度は,日本ではさらに,社会福祉制度と生活保護制度に分けられます。

社会保障制度は,それぞれの国の考えで作り上げられていきます。

どこの国の制度が優れていて,どこの国の制度が劣っている,といったことはありません。
それぞれの国の背景があって,工夫して作り上げられるからです。


さて,日本の社会保障制度は,社会保険制度を中心として構築されています。


それは,1950年の社会保障制度審議会の勧告にしたがっているからです。

歴史は歴史だととらえると,無味乾燥に感じるかもしれませんが,それらはすべて今につながっているものです。

それでは,今日の問題です。


第32回・問題49 日本の社会保障制度の歴史的展開に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会の勧告では,日本の社会保障制度は租税を財源とする社会扶助制度を中心に充実すべきとされた。

2 1961年(昭和36年)に国民皆保険が実施され,全国民共通の医療保険制度への加入が義務づけられた。

3 1972年(昭和47年)に児童手当法が施行され,事前の保険料の拠出が受給要件とされた。

4 1983年(昭和58年)に老人保健制度が施行され,後期高齢者医療制度が導入された。

5 1995年(平成7年)の社会保障制度審議会の勧告で,介護サービスの供給制度の運用に要する財源は,公的介護保険を基盤にすべきと提言された。


歴史が苦手な人はいやだなぁ,と思う問題かもしれません。

正解は,選択肢5です。

1995年の社会保障制度審議会勧告

今後増大する介護サービスのニーズに対し安定的に適切な介護サービスを供給していくためには,基盤整備は一般財源に依存するにしても,制度の運用に要する財源は主として保険料に依存する公的介護保険を基盤にすべきである。

このように提言されています。

この問題で,最も重要視したいのは,選択肢1です。

1 1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会の勧告では,日本の社会保障制度は租税を財源とする社会扶助制度を中心に充実すべきとされた。

前説に書いたように,社会扶助制度ではなく,社会保険制度です。
現在もこれにしたがって,制度設計されています。

ほかの選択肢も簡単に解説しておきます。


2 1961年(昭和36年)に国民皆保険が実施され,全国民共通の医療保険制度への加入が義務づけられた。

国民皆保険は,戦前に出来上がっていた,健康保険,国民健康保険を母体に作りました。
これは今と同じです。


3 1972年(昭和47年)に児童手当法が施行され,事前の保険料の拠出が受給要件とされた。

児童手当は,社会扶助制度です。保険料の拠出は必要とされません。


4 1983年(昭和58年)に老人保健制度が施行され,後期高齢者医療制度が導入された。

1983年の老人保健制度は,1973年に始まった老人医療費無料化の方針を変えて,一部負担を導入したものです。

後期高齢者医療制度が始まったのは,2008年です。


もう一度確認します。

日本の社会保障制度は,社会保険制度が中心です。


そのため,財源構成では,公費が社会保険料を上回るようには設計されません。

もしそうなったとしたら,日本の社会保障制度の中心は「社会扶助制度」である,ということになってしまいます。


第32回・問題50 「平成28年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費は,150兆円を超過した。

2 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を部門別(「医療」,「年金」,「福祉その他」)にみると,「福祉その他」の割合は1割に満たない。

3 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を機能別(「高齢」,「保健医療」,「家族」,「失業」など)にみると,「家族」の割合は1割に満たない。

4 2016年度(平成28年度)の社会保障財源における公費負担の割合は,社会保険料の割合よりも大きい。

5 2015年度(平成27年度)における社会支出の国際比較によれば,日本の社会支出の対国内総生産比は,フランスよりも高い。


正解は,選択肢3

詳しい解説は別の機会に譲りますが,この中で着目したいのは,選択肢4

4 2016年度(平成28年度)の社会保障財源における公費負担の割合は,社会保険料の割合よりも大きい。

公費負担が社会保険料を上回るはずはありません。

その理由は,日本の社会保障制度の中心は,社会保険制度だからです。

2020年2月17日月曜日

学習計画について~第33回国試で合格をつかむ!

インターネットなどの情報を見ると「3か月の勉強で合格した」という声もあります。

中にはそういう人もいるかもしれませんが,確実に合格するためには,もう少し時間をかけたいです。


知識は短期間でも身につけることができますが,得点力に変えるには,問題に慣れる必要があります。


その時間はなんとしてでも確保したいです。

第32回国試で,注目すべき問題です。

問題134 厚生労働省の介護人材確保対策に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 介護福祉士の資格等取得者の届出制度では,離職した介護福祉士に対し,その再就業を促進し効果的な支援を行うため,都道府県福祉人材センターに氏名・住所等を届け出ることを努力義務としている。
2 介護保険制度の介護報酬における介護職員処遇改善加算では,介護サービス事業所・施設等が特段の届出や要件を問われることなく,介護職員の賃金増額などを図るための加算を取得できることとなっている。
3 福祉・介護人材確保緊急支援事業により,キャリア支援専門員が福祉事務所に配置され,個々の求職者にふさわしい職場を開拓するとともに働きやすい職場づくりに向けた指導・助言を行うこととなっている。
4 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,介護人材の構造転換を図るために,専門性の高い人材を活用する「富士山型」の方策から,基礎的な知識を有する人材を活用する「まんじゅう型」の方策へと転換を図る必要性が示されている。
5 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,中高年齢者等や介護未経験の者に対し,生活支援サービスの担い手養成のための研修の受講を支援するため,介護福祉士等修学資金貸付制度の充実を図るとされている。
(注) 「2025年に向けた介護人材の確保」とは,「2025年に向けた介護人材の確保~量と質の好循環の確立に向けて~」(平成27年2月25日社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会)のことである。

正解は,選択肢1です。

これだけの文字数を使って,出題した問題は,第26回以降ではこれが唯一です。

国家試験を実施する「社会福祉振興・試験センター」は,この問題のでき次第によって,今後このような問題をどの程度含めるのかを見極めるのではないかと考えています。

この問題を作った試験委員は,そんな意図はなく,たまたまこのような問題になったと思います。

短い文章で端的な問題を作るのは,かなりの技法を要します。
短い文章で,確実に間違い選択肢を作るのは難しいのです。

少なくとも,この問題が出題されたことで,問題をつくるときの文字数制限はかなり緩くなったことは想像できます。

全体がこんな問題ばかりになると,ボーダーラインが過去最低の72点になった魔の第25回国試のようになってしまうので,そんなことはないと思います。

しかし,一定数含められると,受験生にとって,かなり辛いものになることが想像できます。

それはさておき・・・

国家試験は,知識がすぐ得点に変わってくれません。
ここが医学や看護学のように,自然科学系の国家試験と異なる点です。

問題121 集団の力学に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 集団の凝集性を高めるには,メンバー間の異質性を強化して他の集団との競争を促進させる方策が重要である。
2 集団浅慮とは,集団が外部からの圧力により長期的視野に立つ戦略的な意思決定が起きる現象である。
3 コンフリクトとは,集団内部に発生する対立や闘争であり,集団に肯定的な影響を与えるものではない。
4 集団の凝集性が高まると,メンバー間の親近感が強まるとともにリスクに対する警戒感が強まり,意思決定は堅実なものになる。
5 集団の凝集性が高くても,集団目標と組織目標の一致度が低い場合には,生産性が低下する。

正解は,選択肢5です。

この問題の詳しい解説は,別の機会に譲るとして,こういった問題を確実に正解することが合格には必要なのです。

2020年2月16日日曜日

何度受験しても合格しないということ

社会福祉士の国家試験の近年の合格率は,25~30%程度です。

合格するのはかなりかなり難しい試験です。

何度受験しても合格できないという人います。

国家試験が終わったら,「知識不足だった」と思うでしょう。

知識不足を実感するなら,その時点ですぐ勉強を始めると良いです。

しかし,同じ勉強方法を繰り返すなら,おそらく今までと同じ結果しか得られない恐れがあります。

最後の最後に必要なものは,「思考力」です。

暗記が通用すると思うと危険です。

第32回の介護福祉士の国家試験問題です。


問題2 利用者の意思を代弁することを表す用語として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 インフォームドコンセント
2 ストレングス
3 パターナリズム
4 エンパワメント
5 アドボカシー

正解は,5です。

社会福祉士の勉強した人なら,正解するのは簡単だと思います。

しかし,第32回の介護福祉士の国家試験の中では,最も難しい問題に位置する問題かもしれません。

社会福祉士の国家試験では,以下のように出題されています。

第32回・問題94 アドボカシーに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ケースアドボカシーとは,クライエントと同じ状況に置かれている人たちの権利を守るために,新たな制度を開発する活動である。
2 コーズアドボカシーとは,クライエントの権利を守るために,法的な手段を用いる活動である。
3 セルフアドボカシーとは,クライエントが自らの権利を主張していく活動である。
4 シチズンアドボカシーとは,同じ課題を抱えるクライエントの代弁や制度の改善・開発を目指す活動である。
5 リーガルアドボカシーとは,一人のクライエントの安定した生活を復権させる活動である。

正解は,選択肢3です。

これも決して難しい問題ではありませんが,介護福祉士の問題と比べると,格段に難しくなっています。

2つの問題の大きな違いは,社会福祉士の問題は,文章になっていることです。

現在の社会福祉士の問題にも,介護福祉士のようなタイプの問題がありますが,つい数年前までは,存在していませんでした。

そういった意味では,かつてよりも現在の社会福祉士の問題の方が,点数が取りやすくなっています。

それを物語るのは,第25回以前は,ボーダーラインは85点を上回ることは少なかったですが,第26回以降は,85点を下回ることがなくなっていることです。

そうは言っても,ほとんどは文章で構成された問題なので,問題を正しく読むことが必要です。

しかも「時間をかければ解ける」ではだめです。
規定の時間内で解けることか必要です。

何度も受験しても合格できない理由の中で,最も大きな比重を占めているのは,問題を読む力不足です。

第31回・問題95 アドボカシーに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ソーシャルワーカー自身の利益のために,サービス利用者の権利を擁護することである。
2 サービス利用者の主体的な生活を実現するために,その意思や権利を代弁することである。
3 サービス提供機関が利用者に訴えられた場合に,サービス提供機関の権利を代弁することである。
4 自らの意思を示すことが困難なサービス利用者の権利を,その家族や友人の判断に基づいて擁護することである。
5 サービス利用者の主張と,利害の対立する相手方の主張とを中立的な立場で調整することである。

正解は,選択肢2です。

これも難易度は決して高くはない問題ですが,文章で構成される問題は,読み間違いや勘違いが発生する可能性があります。

こういった問題をミスすることなく,確実に正解して,点数を積み上げられるように勉強していくことが大切です。

2020年2月15日土曜日

第32回国試とは,いったいどんな試験だったのだろうか?

毎年のことですが,国家試験が終わると「今までで最も難しい問題だった」といった感想が聞かれます。

本当にそうなのでしょうか。

現時点(2020年2月)では,第33回国家試験に向けた勉強を始めている人はほとんどいないと思います。

もしこの記事を見ることがあったなら,それは夏以降のことではないかと思います。

これこそが,自分が受ける国家試験が難しいと感じる理由です。

勉強を始めるときには,新しい情報が加わった参考書を使って勉強します。
解けるか解けないかは別にして,その後に問題を解くと,本当に初めて目にするものではなくなっています。

模擬試験がとてつもなく難しく感じるのは,国家試験と同じように,参考書などに載っていないものを出題するからです。

難しく感じた模擬試験でさえ,何度か繰り返してと解いていくうちに,慣れていきます。

そして,国家試験を迎えます。


国家試験は,少しずつ重なっていて,少しずつ違う


毎年必ずこのように出題されています。

決して,自分が受験したときの国家試験が最も難しかったということはありません。

本当にそうなったのは,今のカリキュラムの国家試験になった以降では,第25回のみです。

第32回国家試験を受験された方は,落ち着いて問題を読めば解けた問題が必ずあるはずです。

それはとても悔しいことですね。


知識不足は,知識を蓄えることが必要です。

しかし,知識を蓄えても,確実に正解できる問題は確実に正解できないと得点は伸びません。


第32回・問題11 前期高齢者(65~74歳)における認知機能や知的機能の一般的な特徴について,適切なものを1つ選びなさい。

1 作動記憶の機能は,加齢による影響が顕著にみられる。

2 エピソード記憶の機能は,加齢による影響がほとんどみられない。

3 意味記憶の機能は,加齢による影響が顕著にみられる。

4 流動性知能は,加齢による影響がほとんどみられない。

5 結晶性知能は,加齢による影響が顕著にみられる。



正解は,選択肢1です。

1 作動記憶の機能は,加齢による影響が顕著にみられる。

作動記憶(作業記憶=ワーキングメモリー)は,計算などに用いられる記憶です。
加齢が作動記憶にどのように影響を与えるかどうかは,記憶研究の専門家でなければ,よく知らないと思います。

しかし,この問題は,ほかの選択肢を消去することでこの選択肢が残るように作られています。


<今日のまとめ>


合格に必要なのは,確実な知識です。

社会に目を向けることはもちろん重要だと思いますが,得点力を高めるのは,そういったことではないように思います。

「SDGs」や「ニッポン一億総活躍プラン」などが出題されると本当にびっくりするでしょう。

どんなに勉強しても必ずこういったものが出題されます。

毎年必ず一定数出題されます。

びっくりしても,落ち着いて問題を読めば,多くの問題は正解が見えてきます。

第32回の国家試験問題を解いてみて,本当に合格に必要なのは,国試に出題されるものを確実に覚えることだということを確信しています。

2020年2月14日金曜日

1・2点の積み上げは意外と難しい~しかしボーダーラインは必ず越えられる

第32回社会福祉士国家試験の合格発表は,3月13日(金)に行われます。

現時点では,合格発表までちょうど1か月となります。

自己採点してもしなくても結果は変わりませんが,次回の合格を目指すなら「悔しい」と思う気持ちはとても重要だと考えています。

中には,ショックが大きすぎて立ち上がれない人もいるでしょう。

しかし,それは次回に向けて決して悪いことではありません。
努力してきた証しだからです。

気を付けなければならないのは,勉強不足でも,ある程度の点数は取れてしまうという事実です。

第32回国家試験では問題の作り方が甘いために知識なしで解ける問題の率が例年よりも若干多くなっています。

このような人は,勉強が足りなくてもある程度の点数が取れたことに満足するので,悔しさを感じることはないでしょう。

知識なしで解ける問題とは以下のようなタイプの問題を言います。

第32回・問題31 社会保障審議会福祉部会に設置された福祉人材確保専門委員会の「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士に求められる役割等について」(2018年(平成30年))に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会福祉士には,地域課題の解決の拠点となる場づくり,ネットワーキングなどを通じて,地域住民の活動支援を行うことが求められている。
2 地域住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みている場合は,社会福祉士はそれを見守ることに専念する。
3 地域課題の解決に必要な新たな社会資源の創出は,社会福祉士の専権的な職務である。
4 地域で表出されにくいニーズの発見は,民生委員に一任する。
5 社会福祉士は,地元の商店や営利企業との連携を控えることとされている。

正解は,選択肢1です。

一見すると難しそうですが,よくよく考えると答えは見えてきます。
そのため,多くの人は正解できます。
しかし,一見難しそうに見えるので,正解できていると満足する問題だと言えます。


逆に知識がないと解けないのは,以下のようなタイプの問題です。

第32回・問題37 市町村社会福祉協議会に関して,社会福祉法に規定されている次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービスの苦情を解決するための運営適正化委員会を設置する。
2 生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を配置し,制度では対応できないニーズに対応する。
3 役員の総数の3分の1を関係行政庁の職員で構成しなければならない。
4 第一種社会福祉事業の経営に関する指導及び助言を行う。
5 市町村の区域内における社会福祉事業又は更生保護事業を経営する者の過半数が参加する。

正解は,選択肢5です。

あと1・2点を積み上げるのは,思うほど簡単ではありません。

しかし,一つひとつを確実に覚えていけば,必ずボーダーラインは越えられます。

必要なのは,確実な知識です。

2020年2月13日木曜日

何が足りなかったのか~第33回国家試験に向けて

社会福祉士の国家試験は,1年に1回実施されます。

合格率は約30%です。

約70%の人は,1年後の国家試験を目指すことになります。

1年間みっちり勉強すればおそらく誰もが合格すると思いますが,学生は社会人になり,社会人は再勉強を始めるのは,夏場以降でしょう。

明らかに合格できる点数でなければ,本当は今から勉強するのが良いのでしょうが,モチベーションが高まらないのも事実です。

国家試験が終わると,「勉強不足だった」という声が聞こえてきますが,すべての人が勉強不足だったとは思いません。

前回紹介した問題で正解していたにもかかわらず,不合格になる人は,知識不足ではないと考えています。

それでは何が足りなかったのでしょうか。


一番目に考えられるのは,問題を読む力が不足していた。


時間がなくなった,という人はこのタイプです。

もう少し時間があれば正解できた,と言う人もいますが,持ち時間は特に配慮すべき障がい者以外はすべて同じです。

私は読むのが遅いので,15分プラスしてください

といったことは許されません。

同じ条件で試験が行われないと公正さは担保できなくなってしまいます。

問題を早く読む練習が必要です。

問題を早く読むことは,雑に読むということではありません。

早く読むことは,文意を正しく理解できることに他なりません。

第32回の国家試験で最も文字数が多い問題です。


問題134 厚生労働省の介護人材確保対策に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 介護福祉士の資格等取得者の届出制度では,離職した介護福祉士に対し,その再就業を促進し効果的な支援を行うため,都道府県福祉人材センターに氏名・住所等を届け出ることを努力義務としている。
2 介護保険制度の介護報酬における介護職員処遇改善加算では,介護サービス事業所・施設等が特段の届出や要件を問われることなく,介護職員の賃金増額などを図るための加算を取得できることとなっている。
3 福祉・介護人材確保緊急支援事業により,キャリア支援専門員が福祉事務所に配置され,個々の求職者にふさわしい職場を開拓するとともに働きやすい職場づくりに向けた指導・助言を行うこととなっている。
4 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,介護人材の構造転換を図るために,専門性の高い人材を活用する「富士山型」の方策から,基礎的な知識を有する人材を活用する「まんじゅう型」の方策へと転換を図る必要性が示されている。
5 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,中高年齢者等や介護未経験の者に対し,生活支援サービスの担い手養成のための研修の受講を支援するため,介護福祉士等修学資金貸付制度の充実を図るとされている。
(注) 「2025年に向けた介護人材の確保」とは,「2025年に向けた介護人材の確保~量と質の好循環の確立に向けて~」(平成27年2月25日社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会)のことである。

正解は,選択肢1です。

近年の問題に慣れている人は,文字数が多い出題にびっくりしたのではないでしょうか。

慣れは怖いと思います。

第25回の国家試験問題を見る機会はほとんどないと思いますが,第25回国試と比べると,これでも約14,000字も少ないのです。

第24回・第25回国試あたりは,ほとんどの問題が上記のような問題で構成されていたと言えるでしょう。


<今日の一言>

本当に知識不足で国試に臨んだ人以外で,合格基準点に達しなかった人は,おそらく,地に足がついていない状態で国試を終えたのではないかと思います。

社会福祉士の国家試験は,午前2時間15分,午後1時間45分で構成されています。

仕切り直しができるのは,お昼休みだけです。

第32回国家試験の「人体の構造と機能及び疾病」は,例年よりも解きやすい問題が多かったとは言え,問題4や5は,それぞれの具体的な内容が問われたので,焦った人が多かったと思います。

それでも落ち着いて考えると何となく答えは推測できます。

しかし,ここで違和感があると,

わからない
わからない
わからない
わからない
わからない

という気持ちが募っていって,読んでも読んでも手ごたえを感じない問題が続き,気持ちがさらに焦っていって,気が付けば最後の科目に入る前に終了15分前だったりします。

途中で仕切り直すことができないので,上滑りすると最後までそのペースで進んでしまいます。

後から問題を読んだら解けた

はとても悔しいことです。

多くの人はこのような国試問題があるのではないかと思います。

これに対する手立てがないと,知識を積み上げても,ざるから水がもれるようなことになってしまいます。

ここを見極めることが大切です。

悔しいから問題は振り返らないという人は多いと思いますが,現状認識をきっちりしないとどれだけ勉強してもあと1・2点でボーダーラインに到達しないということになってしまうかもしれません。

同じ勉強では同じ結果しか得られないでしょう。

国試は1年に1回実施されます。

次の国試まではたっぷり時間があります。

単に「知識が足りなかった」という反省ではなく,具体的に何が足りなかったのかを考えて,その対策をしっかり立てていきたいです。

2020年2月12日水曜日

勉強不足だったという反省~第33回国家試験に向けて

社会福祉士の国家試験は,近年は,2月の第一週の日曜日に実施されて,3月中旬に合格発表があります。

かつて,国家試験の実施は,1月最終週の日曜日,合格発表は3月31日に行われていました。
日程によっては,1月20日ころに実施した年もあります。

現在でも国家試験が終わったあと,合格発表まで長いですが,かつては約2か月も待たされていました。

その間に自己採点するしないにかかわらず,合格発表の日は必ず訪れます。

第32回国家試験はどうなるかはわかりませんが,少なくとも7割は不合格になるのが社会福祉士の国家試験です。

不幸にして,不合格になったとしても,必要以上に自分を責める必要はありません。

大切なのは,次回に向けての対策です。

多くの人は,「勉強不足だった」という反省をすると思います。

勉強不足であるかどうかを判別する問題があります。

第32回・問題44 「平成31年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち,民生費は教育費に次いで多い。
2 都道府県の目的別歳出では,生活保護費の割合が最も高い。
3 都道府県の性質別歳出では,扶助費の割合が最も高い。
4 市町村の目的別歳出では,児童福祉費の割合が最も高い。
5 市町村の性質別歳出では,人件費の割合が最も高い。

正解は,選択肢4です。


問題50 「平成28年度社会保障費用統計」(国立社会保障・人口問題研究所)に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費は,150兆円を超過した。
2 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を部門別(「医療」,「年金」,「福祉その他」)にみると,「福祉その他」の割合は1割に満たない。
3 2016年度(平成28年度)の社会保障給付費を機能別(「高齢」,「保健医療」,「家族」,「失業」など)にみると,「家族」の割合は1割に満たない。
4 2016年度(平成28年度)の社会保障財源における公費負担の割合は,社会保険料の割合よりも大きい。
5 2015年度(平成27年度)における社会支出の国際比較によれば,日本の社会支出の対国内総生産比は,フランスよりも高い。

正解は,選択肢3です。


これらの問題を間違った人

本当に「勉強不足だった」と言えるでしょう。

次回に向けては,まずは基礎力をつけていくことが必要です。



これらの問題を正解したにもかかわらず,ボーダーラインに達しなかった人

この2つの問題は,勘で正解するのが難しい問題であり,きっちり覚えていないと正解できない問題です。

そのため,これらの問題を正解できた人は,決して勉強不足ではなかったと考えられます。

逆に勉強をしっかりしてきたと言えるでしょう。

もちろん基礎力をつけることは必要ですが,それだけでとどまっていたら,同じ結果を招く恐れがあります。

正解できなかったことには,別の理由があると考えられます。

そこを見極めることが,次回の国家試験で合格をつかむために必要です。

2020年2月11日火曜日

参考書などを使って,国試で得点できる知識を蓄えることがまず先~勉強のヒント

社会福祉士の国家試験は,出題範囲が広いことが特徴です。

これから勉強する人にとっては,何から勉強すればよいのかわからずに困ることにもなります。

勉強の仕方は,人それぞれで良いと思いますが,絶対に合格できない勉強は明らかです。


過去3年間の過去問を完璧に覚えても合格するのに必要な知識量には足りない!!


参考書などを使って,国試で得点できる知識を蓄えることがまず先です。


過去問だけで合格できた


ということがあったしたら,それは,テキスト(中央法規の社会福祉士養成講座など)をしっかり読んで,講義をしっかり聞いた,もともとの基礎力をもって,国家試験に臨む人だけだと言えます。

成績優秀者の話を鵜呑みにしてはいけません。

しかし,そういった基礎力をもった人であっても,参考書などで,国試で得点できる知識に変換した方が効率的です。


参考書について

受験ワークブック,レビューブック,合格教科書などをテキストと呼ぶ人がいますが,この学習部屋では,これらを「参考書」と呼びます。社会福祉士養成講座など講義で用いられる「テキスト」と明確に分けます。テキストとはいわゆる教科書のことをいいます。

受験勉強を経験した人なら,テキストではなく,参考書を使って受験勉強したのではないでしょうか。

テキストは詳しく書かれていますが,効率よく学ぶためには参考書が必要だからです。

高校や大学などの参考書と国家試験のための参考書と大きく異なるのは,前者はすべての受験に役立つように作られるのに対して,後者は単一の試験のために作られる点です。

社会福祉士の参考書は,国家試験で出題されたものを分析して作ります。

現時点(2020年2月)は,第32回国試が終わった直後なので,今後出版予定の参考書のための分析をすすめているところでしょう。

5月以降順次出版されていきます。

人によっては,新しい参考書で勉強すると良い,というアドバイスをする人がいますが,新しい参考書を購入せずとも,今あるもので十分使えます。

その理由は

①年度によって順位が変わるものは出題されにくい。
②制度改正されてすぐのものは出題されにくい。
③〇割といったように出題されるので,年度の違いによる細かい数値にこだわる必要がない。

といったことがあります。

それにもかかわらず,出版社が年度版の参考書を発売するのは,年度版にすれば,毎年売れるからです。

年度版でなくてもよい,ということになると,先輩から後輩に譲るということが生じてしまうので,本が売れなくなってしまいます。

新しい版のものは,どこが変わるかと言えば,

①国試で出題されたものを加える。
②最新の数値に変える。
③制度変更に対応する。

の3つのポイントです。

①については,一見さんは2年連続で出題されることは少ない。
②については,先に述べたとおりです。
③については,法制度は,成立してからすぐ施行されないので,大きな改正だとその前の年度のものにも載っています。

といった理由で,必ずしも新しい参考書を購入する必要はないと考えています。

確かにこの原則から外れて,第32回・問題19のような出題もありますが,それは過去問で勉強すれば対応できます。

第31回・問題20 社会的行為の主観的意味を理解することを通して,その過程及び結果を説明しようとする考え方を表す用語として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 合理的選択理論
2 主意主義的行為
3 理解社会学
4 コミュニケーション的行為
5 社会システム論

正解は,選択肢3です。


第32回・問題19 次のうち,パーソンズ(Parsons,T.)の社会的行為論として,正しいものを1つ選びなさい。
1 コミュニケーション的行為論
2 交換理論
3 集合行動論
4 象徴的相互作用論
5 主意主義的行為理論

正解は,選択肢5です。

これは例外中の例外です。


<今日の結論>

新しい参考書が販売されるまで何もしないというのは,もったいないと思います。

国家試験は,受験生の上位30%程度しか合格できない試験です。
他の人と一歩差をつける勉強が大切です。

少なくても3か月の勉強で誰もが合格できる試験ではないことは間違いありません。

3年間の過去問を3回解いても5回解いても合格するのは困難です。

そんなに簡単に合格できるなら,合格率が30%にとどまるはずがありません。

まずは,参考書を使って勉強をスタートしましょう。

2020年2月10日月曜日

得点力をアップさせる勉強法

勉強の方法は人それぞれです。

しかし,丸暗記的な覚え方では,国家試験で十分な力を発揮することができないので,要注意です。


第30回・問題44 市町村が支弁した次の費用のうち,国の費用負担に関する記述として,正しいものを1つ選びなさい。

1 生活保護費の4分の3

2 生活困窮者住居確保給付金の支給に要する費用の全額

3 児童福祉法に規定される保育に要する費用の3分の1

4 「障害者総合支援法」に規定する障害福祉サービス費等負担対象額の3分の1

5 養護老人ホームへの入所措置に要する費用の4分の3


正解は,選択肢1です。

第32回国家試験を受験した人の多くは,この問題を解いた経験があったはずです。

第32回国家試験では,以下のように出題されています。


第32回・問題43 次の社会福祉施設等の費用のうち,法律上,国が4分の3を負担することになっているものとして,正しいものを1つ選びなさい。

1 救護施設の入所措置に要する費用

2 養護老人ホームの入所措置に要する費用

3 婦人相談所の行う一時保護に要する費用

4 母子生活支援施設の母子保護の実施に要する費用

5 児童養護施設の入所措置に要する費用


正解は,選択肢1です。

せっかく,「生活保護費の費用は国が4分の3を負担している」と覚えていたとしても,この問題がすぐ正解できるとは限りません。

その理由の一つは,救護施設が生活保護法に規定される保護施設の一つであるという知識が必要だからです。

「低所得者に対する支援と生活保護制度」で学んだ知識がプラスされています。

もう一つの理由は,「生活保護費」と「救護施設の入所措置に要する費用」が結びつくか,という壁があるからです。



<今日の一言>

今回紹介した問題に対応できるためには,よくよく考えて答えることが欠かせません。

そのためには,勉強するときも一つひとつ考えながら,覚えていくことが必要です。

2020年2月9日日曜日

第32回国家試験から考える得点力&勉強方法~第33回に向けて

社会福祉士のボーダーラインは,合格発表までわかりません。

しかし,近年の国家試験は,受験生の30%が90点を取れるような問題づくりを目指して作られているだろうということは推測できます。

ただし,そのように150問を設計していたらといって,必ずしも結果がそうなるとは限りません。

そのために,ボーダーラインが補正されます。

多くの人が得点できていれば,第30回国試のようにボーダーラインが上がります。
多くの人が得点できなけれぱ,第25回国試のようにボーダーラインが下がります。

将来的には,固定されたボーダーラインを超えたら合格とするということも検討されているようです。

社会福祉士の国家試験は,すでに32回を数えます(2020年2月時点)。

社会福祉士の国家試験の実施機関である社会福祉振興・試験センターは,これまでにかなりのデータが集積されて分析していると思います。

しかし,実際の国家試験は人が作るので。予測どおりの結果になるとは限りません。

ボーダーラインが毎年変わると,受験生はどんな勉強をしたらよいのか,といった不安になることでしょう。

ボーダーラインが変わることは,年度ごとのに問題の難易度に差があることを示しています。

もし,ボーダーラインを固定すると,難易度が上がった問題が出題された年に受験する人は不利になります。

そのために難易度によるボーダーラインの補正が必要となります。

しかも,国家試験は,新しいスタイルの問題を一定数混ぜて出題ことになっています。
そのタイプの問題は,以前のデータがないために,予測しない結果をもたらす恐れがあります。

受験生にとって,ボーダーラインが年度によって変わることは,国家試験の合格発表の日まで安心できないことになるので良いことに思わないかもしれませんが,年度間の不公平を生じさせないためには必要なことだと考えています。

話が長くなりましたが,社会福祉士の国家試験は,上位から30%の点数が取れれば基本的に合格できます。

そのラインは,7割や8割ラインではなく,6割ラインです。

第32回国試問題です。

問題22 社会福祉法の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービス利用援助事業は,第一種社会福祉事業である。
2 市町村は,地方社会福祉審議会を設置しなければならない。
3 市町村は.社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。
4 都道府県は,都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。
5 共同募金は.都道府県を単位として毎年1回実施される。

正解は,選択肢5です。


問題36 社会福祉法に規定されている地域福祉に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地域住民等は,地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。
2 市町村は,市町村地域福祉計画を市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と一体的に策定しなければならない。
3 都道府県は,福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し.支援関係機関と連携して解決を図るよう留意しなければならない。
4 社会福祉を目的とする事業を経営する者は,地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等に助言と指導を行わなければならない。
5 国及び地方公共団体は.地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めなければならない。

正解は,選択肢5です。


問題59 「障害者総合支援法」に定められている市町村の役割などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 障害支援区分の認定のための調査を,指定一般相談支援事業者等に委託することができる。
2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため,協議会を設置する。
3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。
4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。
5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。

正解は,選択肢1です。


問題61 障害者基本法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 法の目的では,障害者本人の自立への努力について規定されている。
2 都道府県は,都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。
3 国及び地方公共団体は,重度の障害者について,終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならないと規定されている。
4 社会的障壁の定義において,社会における慣行や観念は除外されている。
5 障害者政策委員会の委員に任命される者として,障害者が明記されている。

正解は,選択肢5です。


問題132 介護保険制度に関する次の記述のうち,国の役割として,正しいものを1つ選びなさい。
1 介護保険事業支援計画を策定すること。
2 介護給付費等審査委員会を設置すること。
3 介護保険に関する収入及び支出について特別会計を設けること。
4 市町村に対して介護保険の財政の調整を行うため,調整交付金を交付すること。
5 指定情報公表センターの指定をすること。

正解は,選択肢3です。 正解は,選択肢4です。


この5問は第32回国家試験で,福祉計画の策定に関して出題されたものを抽出しました。

福祉計画は,このように複数の科目で出題されているのがわかるでしょう。

「福祉行財政と福祉計画」は,多くの人が苦手としていますが,この科目を強化すると,ほかの科目も強化されることになります。


<今日の一言>

人によっては,「福祉行財政と福祉計画はまとめの科目です」というアドバイスをするかもしれません。

たしかに内容を見るとまとめの科目のようになっています。

しかし,この科目はもともと「社会福祉原論」から独立したものです。

つまり本当は,まとめの科目ではなく,入口の科目です。

ボーダーラインを超えるためには,どんな勉強方法をしても良いと思いますが,「福祉行財政と福祉計画」や「社会保障」のような中心をなす科目を先に勉強するという方法は,案外,得点力を高めるためには重要なことなのかもしれません。

今回紹介した5問は決して奇をてらった問題ではないので,改めてよく読めば正解できそうな問題かもしれません。

しかし,決して勘では正解することができません。

確実な知識にするためにも,勉強の入り口は,「現代社会と福祉」「福祉行財政と福祉計画」や「社会保障」といった科目群であるように思います。

2020年2月8日土曜日

人名問題対策~第32回国家試験に出題された人名(日本人・外国人)

受験生の多くが苦手としているのは,歴史と人名です。

第32回国試では,以下の人名が出題されています。

科目
問題
人名
出題
回数
心理学理論と心理的支援
9
クレッチマー
6
ユング
13
オールポート
3
キャッテル
3
社会理論と社会システム
15
ウェーバー
14
19
パーソンズ
10
地域福祉の理論と方法
24
木田徹郎
2
三浦文夫
7
岡村重夫
14
孝橋正一
5
一番ヶ瀬康子
3
相談援助の基盤と専門職
93
ベーム
3
ジャーメイン
17
シュワルツ
9
ゴールドシュタイン
2
バートレット
14
相談援助の理論と方法
101
ランク
6
ロス
10
ホリス
14
タフト
2
パールマン
14
109
カデューシン
1
児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
137
ヤヌシュ・コルチャック
1
トーマス・ジョン・バーナード
4
セオドア・ルーズベルト
2
エレン・ケイ
2
ロバート・オーウェン
2


8問にわたり,27名が出題されています。

出題回数は,国家試験問題が公開されるようになった第3回~第32回までに国家試験の問題中に現れた回数です。

そのため,選択肢の内容がある人物のことを述べていても,文章として現れていないものは,カウントしていません。

問題137では,一見さんであるコルチャックが出題されて驚愕した人が多かったと思います。
児童の科目では,近年,日本人の出題が続いていたので,なおのこと,びっくりしたことでしょう。

夏場には,新しい参考書が発売されていきますが,おそらくカデューシンもコルチャックもその中に含まれるでしょう。

そうなると,もう目新しくなくなってしまうので,第32回国試を受験した人が味わった驚愕を感じることはないはずです。

この表に示したように,出題された回数は,まったく異なります。
極めて重要な人とそうではない人がいます。

参考書では,それらの出題頻度が書かれていないので,どれもが重要だと思いがちですが,実はそんなことはありません。

気楽に取り組んでいくことが大切なように思います。

さて,人名問題には,いくつかの種類に分類することができます。

①実績を問うもの。
②提唱した理論を問うもの。

このうち,

①実績を問うもの。

は,石井十次は岡山孤児院を創設した,といったものです。

その問題への対応は「人名+実績」となります。

上記の表では,問題9,137がこれに当たります。

②提唱した理論を問うもの。

は,人名+実績に加えて,その内容を押さえることが必要です。

①に比べると少し高度になります。

理論の内容を理解することが必要だからです。

上記の表では,問題15,19,24,93,101,109がこれに当たります。

②であるのに①のような覚え方をすると,せっかく覚えたものでも,国家試験では役立たないことになるので要注意です。

2020年2月7日金曜日

第32回国家試験が教えてくれた~合格するのに必要なもの

社会福祉士の国家試験は,1年に1回実施されます。

第33回国家試験の受験を予定している人は,1年間の準備期間があります。

国家試験合格に必要なのは

「どれだけ勉強するのか」ではなく,「どのように勉強するのか」です。

とは言うものの,時間はかけがえのないものです。

さて,今回のテーマは「第32回国家試験が教えてくれた~合格するのに必要なもの」です。

おそらく受験する人で,過去問を解かない人はいないでしょう。
過去問は,国試合格のヒントにあふれています。
解くだけではもったいないです。


今回は例として「福祉行財政と福祉計画」の問題を紹介します。

この科目は,現在のカリキュラムになったとき,旧カリキュラムの「社会福祉原論」から独立したものです。社会福祉原論の流れを引く科目は,「現代社会と福祉」です。

第37回から始まる新しいカリキュラムによる国家試験では,再び2つの科目が合わさって,「社会福祉の原理と政策」という科目になります。

福祉行財政と福祉計画を苦手とする人は多いようです。

しかし,もう出題される内容はほぼ固定化されてきています。
科目として独立させたものの出題すべき内容はそれほどなかったということなのでしょう。

新しい科目では,「福祉行財政と福祉計画」という科目はなくなりますが,「福祉計画」というものを強く意識させるには極めて有効だったと言えます。

現在の「現代社会と福祉」と「福祉行財政と福祉計画」はどちらも難しい科目ですが,新しい科目ではミックスされるので,さらに難しくなるでしょう。
考えるだけでも恐ろしいです。

さて,今日の問題は何を教えてくれると思いますか?

問題45 次の計画のうち,定めたとき,又は変更したときに内閣総理大臣に提出しなければならないものを1つ選びなさい。
1 都道府県介護保険事業支援計画
2 都道府県における子どもの貧困対策についての計画
3 都道府県障害福祉計画
4 都道府県老人福祉計画
5 都道府県子ども・子育て支援事業支援計画


この問題の答えは,選択肢5です。
5 都道府県子ども・子育て支援事業支援計画

この問題を正解した人はおそらく自信を持って選んだのではないかと思います。

しかし正解できなかった人は,「内閣総理大臣に提出しなければならないということは勉強しなかった」と焦ったのではないかと想像できます。

さらに「2 都道府県における子どもの貧困対策についての計画」という知らないものを含んでいるので,受験者の混乱を引き出します。

この問題で正解するために絶対的に必要な知識は,「子ども・子育て支援法」は内閣府が所掌しているということです。

これを知らなければ,どんなに考えても正解することはできないでしょう。

今の国家試験問題は,今日の問題のように文章になっていない問題が多いので,日本語的に判断することができなくなっています。


<今日の結論>


国家試験に合格するために必要なのは,確かな知識とそれに伴う自信!


解説を読めば「ああ,そうだった」と思います。
「ああ,そうだった」と思わないのは,明らかに知識不足です。
そういった人は,まずは知識をつけなければなりません。

注意が必要なのは,「ああ,そうだった」と思う人です。
特にそういった問題で正解していたらボーダーラインに到達していただろうと思われる人です。

注意が必要な理由は,知識不足で正解できなかったのではないからです。

こういった傾向のある人は,よほど注意しないと同じことをまた繰り返します,


今日の問題で学ぶべきことは「根拠法」を意識して覚えることです。


<おまけ>

福祉の計画化は,1990(平成2)年の福祉関係八法改正で,老人保健福祉計画が策定義務化されたところから始まります。

現在では,計画を立てて,評価し,次の計画を立てる,という「PDCAサイクル」で行われるようになってきています。

そのため,社会福祉法では,以下のような規定が加わっています。

市町村は、定期的に、その策定した市町村地域福祉計画について、調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、当該市町村地域福祉計画を変更するものとする。

都道府県は、定期的に、その策定した都道府県地域福祉支援計画について、調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、当該都道府県地域福祉支援計画を変更するものとする。


PDCAサイクルについては,以下の出題があります。

問題46 次の各計画の策定を規定している法律に,計画の実績について評価を行うと明記されているものを1つ選びなさい。
1 市町村自殺対策計画
2 市町村介護保険事業計画
3 市町村障害者計画
4 市町村子ども・子育て支援事業計画
5 市町村老人福祉計画

この問題の正解は,選択肢2です。

介護保険法では,以下のように規定されています。

市町村は、第二項第三号に規定する施策の実施状況及び同項第四号に規定する目標の達成状況に関する調査及び分析を行い、市町村介護保険事業計画の実績に関する評価を行うものとする。

都道府県は、第二項第二号に規定する施策の実施状況及び同項第三号に規定する目標の達成状況に関する調査及び分析を行い、都道府県介護保険事業支援計画の実績に関する評価を行うものとする。

問題46ははっきり言うと難しいです。
福祉計画の評価について,問われたことが少なかったからです。

だからと言って,正解できない問題ではありません。

なぜなら,福祉計画の評価については,近年の動きなので,近年に改正されたものを考えるというヒントがあるからです。

よくわからないのは「市町村自殺対策計画」ですが,評価するポイントは自殺者が減ったのか増えたのか,といったポイントしかなさそうなので,法で明記することではないように思えます。

そのように考えると「介護保険事業計画」がそれっぽいと推測することができるでしょう。


計画については,以下のような問題も出題されています。

問題47 福祉計画に関して,1990年(平成2年)の福祉関係八法改正より以前の記述として,正しいものを1つ選びなさい。
1 「エンゼルプラン」が策定された。
2 障害福祉計画が障害者自立支援法に規定された。
3 社会福祉施設緊急整備5か年計画が策定された。
4 「新ゴールドプラン」が策定された。
5 地域福祉計画が社会福祉法に規定された。

この問題の正解は,選択肢3です。
3 社会福祉施設緊急整備5か年計画が策定された。

この計画は,どの参考書にも必ず載っているものでしょう。

これは,1971(昭和46)年に策定されたものです。

内容の中には,施設の不燃化も含まれます,
戦後すぐに作られた福祉施設は,木造であまりにも古かったためです。
時代を感じます。

2020年2月6日木曜日

第32回国試を振り返る~知識が足りなかったのか?

国家試験が終わったあと,受験者の行動は2つに分かれます。

一つは,①解答速報ですぐ自己採点する。

もう一つは,②合格発表まで,国家試験のことは忘れる。

不合格が内定取り消しにつながる新卒学生は,①の行動をとります。

②は,合否が仕事に直結しない社会人に多いようです。

②のタイプの人は,現時点(第32回国家試験直後)には,この記事は見ることはないと思います。

①の行動の人は,解答速報の答えが割れている問題に対して,ドキドキします。
発表直後は正確性を欠くことが多いようです。
例年では,時間が経つにつれて修正していくので,だんだん答えはそろっていく傾向にあります。

落ち着いて経緯を見守りましょう。

第32回国家試験の問題の中で話題になっているのは,これらの問題です。

問題23 「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年(平成28年)6月閣議決定)の内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域資源の活用や自然環境を活用した第4次産業革命を実現すべきとした。
2 一億総活躍社会を実現するのは,次世代の役割であるとした。
3 地方創生は,一億総活躍社会を実現する上で最も緊急度の高い取組の一つであるとした。
4 一億総活躍社会は,政府に頼らず社会の側の責任において実現すべきとした。
5 「成長」か「分配」かという論争に終止符を打ち,「成長」に重点を置いた施策を推進するとした。

問題27 「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(2018年(平成30年)12月,外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議決定)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 地域における外国人の活躍と共生社会の実現を図る地方公共団体の主体的で先導的な取組のために,社会福祉法人からの寄附金を募る。
2 災害時に避難所等にいる外国人被災者への情報伝達を支援する「災害時外国人支援情報コーディネーター」の養成研修を実施する。
3 外国人への行政•生活情報の提供において,個人情報保護の観点からソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用は極力避ける。
4 公営住宅法に基づき,外国人を含む住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録や住宅情報の提供,居住支援等を促進する。
5 外国人への情報提供及び相談を行う一元的な窓口として,厚生労働省の地方厚生局に「多文化共生総合相談ワンストップセンター(仮)」を設置する。

問題28 国際連合が掲げている「持続可能な開発目標」(SDGs)に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 2000年に制定されたミレニアム開発目標(MDGs)の目標を破棄し,それに代わる目標を掲げている。
2 経済成長,社会的包摂,人口増加抑制策の調和が,持続可能な開発を達成するために求められている。
3 持続可能な開発の達成には,政府の手を借りることなく民間セクターによる行動が必要とされている。
4 貧困に終止符を打つとともに,気候変動や環境保護への取組も求めている。
5 目標実現に向けた進捗状況のフォローアップと審査の責任は国際連合にあるとし,独立した国際的専門機関を設置している。

これらはすべて「現代社会と福祉」の問題です。

こんな問題が出題されると「勉強不足」を実感するかもしれません。
先生方は「社会の動きにも気を配りましょう」と言います。

確かに知識があった方がよいですが,知識がなければ必ずしも解けないという問題ではありません。

問題28を見てみましょう。

1 2000年に制定されたミレニアム開発目標(MDGs)の目標を破棄し,それに代わる目標を掲げている。

多くの場合,目標は,前のものを踏まえて作られます。目標が達成されなければ,達成するための方策を考えることになるでしょう。

2 経済成長,社会的包摂,人口増加抑制策の調和が,持続可能な開発を達成するために求められている。

社会的包摂は,西ヨーロッパで広まってきたものです。先進国では重要かもしれませんが,世界規模で考えた場合,優先される問題ではなさそうな気がします。

3 持続可能な開発の達成には,政府の手を借りることなく民間セクターによる行動が必要とされている。

これは正解ではなさそうだ,と判断できそうです。

4 貧困に終止符を打つとともに,気候変動や環境保護への取組も求めている。

これが正解です。

5 目標実現に向けた進捗状況のフォローアップと審査の責任は国際連合にあるとし,独立した国際的専門機関を設置している。

国際的な専門機関が設置されたのであれば,どこかで聞く機会もあるでしょう。


これらの問題は,必ずしも正解できなくても,ほかの問題が正解できるように勉強していけば必ずボーダーラインは越えます。

「現代社会と福祉」は,現代の問題を取り上げるので,問題が難しくなる傾向があります。

しかし,それはすべての受験生に同じ条件です。

知識が足りなかったのかどうかを見極めるバロメーターとなる問題があります。

問題44 「平成31年版地方財政白書」(総務省)における民生費に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地方公共団体の目的別歳出純計決算額のうち,民生費は教育費に次いで多い。
2 都道府県の目的別歳出では,生活保護費の割合が最も高い。
3 都道府県の性質別歳出では,扶助費の割合が最も高い。
4 市町村の目的別歳出では,児童福祉費の割合が最も高い。
5 市町村の性質別歳出では,人件費の割合が最も高い。

正解は4です。

合格する実力を持つ人は,こういった問題を確実に正解します。


<今日の一言>

第33回国家試験を受験する人が,第31回と第32回国試を解いたとき,出題内容に大きな変化を感じないでしょう。

国家試験は,実際に受験した人が感じる難しさがあります。

これは今回だけに限ったことではなく,これまでの国家試験を受験した人すべてが体験しています。

知識が足りなければ合格できませんが,知識だけでは合格するのに十分ではありません。

再受験を目指すことになったとき,「知識不足だった」という現実認識だけでは,次回もあと数点で泣くことになります。

どのような知識が必要なのかを今後も追いかけていきます。ご期待ください。

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