2020年2月13日木曜日

何が足りなかったのか~第33回国家試験に向けて

社会福祉士の国家試験は,1年に1回実施されます。

合格率は約30%です。

約70%の人は,1年後の国家試験を目指すことになります。

1年間みっちり勉強すればおそらく誰もが合格すると思いますが,学生は社会人になり,社会人は再勉強を始めるのは,夏場以降でしょう。

明らかに合格できる点数でなければ,本当は今から勉強するのが良いのでしょうが,モチベーションが高まらないのも事実です。

国家試験が終わると,「勉強不足だった」という声が聞こえてきますが,すべての人が勉強不足だったとは思いません。

前回紹介した問題で正解していたにもかかわらず,不合格になる人は,知識不足ではないと考えています。

それでは何が足りなかったのでしょうか。


一番目に考えられるのは,問題を読む力が不足していた。


時間がなくなった,という人はこのタイプです。

もう少し時間があれば正解できた,と言う人もいますが,持ち時間は特に配慮すべき障がい者以外はすべて同じです。

私は読むのが遅いので,15分プラスしてください

といったことは許されません。

同じ条件で試験が行われないと公正さは担保できなくなってしまいます。

問題を早く読む練習が必要です。

問題を早く読むことは,雑に読むということではありません。

早く読むことは,文意を正しく理解できることに他なりません。

第32回の国家試験で最も文字数が多い問題です。


問題134 厚生労働省の介護人材確保対策に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 介護福祉士の資格等取得者の届出制度では,離職した介護福祉士に対し,その再就業を促進し効果的な支援を行うため,都道府県福祉人材センターに氏名・住所等を届け出ることを努力義務としている。
2 介護保険制度の介護報酬における介護職員処遇改善加算では,介護サービス事業所・施設等が特段の届出や要件を問われることなく,介護職員の賃金増額などを図るための加算を取得できることとなっている。
3 福祉・介護人材確保緊急支援事業により,キャリア支援専門員が福祉事務所に配置され,個々の求職者にふさわしい職場を開拓するとともに働きやすい職場づくりに向けた指導・助言を行うこととなっている。
4 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,介護人材の構造転換を図るために,専門性の高い人材を活用する「富士山型」の方策から,基礎的な知識を有する人材を活用する「まんじゅう型」の方策へと転換を図る必要性が示されている。
5 「2025年に向けた介護人材の確保」によると,中高年齢者等や介護未経験の者に対し,生活支援サービスの担い手養成のための研修の受講を支援するため,介護福祉士等修学資金貸付制度の充実を図るとされている。
(注) 「2025年に向けた介護人材の確保」とは,「2025年に向けた介護人材の確保~量と質の好循環の確立に向けて~」(平成27年2月25日社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会)のことである。

正解は,選択肢1です。

近年の問題に慣れている人は,文字数が多い出題にびっくりしたのではないでしょうか。

慣れは怖いと思います。

第25回の国家試験問題を見る機会はほとんどないと思いますが,第25回国試と比べると,これでも約14,000字も少ないのです。

第24回・第25回国試あたりは,ほとんどの問題が上記のような問題で構成されていたと言えるでしょう。


<今日の一言>

本当に知識不足で国試に臨んだ人以外で,合格基準点に達しなかった人は,おそらく,地に足がついていない状態で国試を終えたのではないかと思います。

社会福祉士の国家試験は,午前2時間15分,午後1時間45分で構成されています。

仕切り直しができるのは,お昼休みだけです。

第32回国家試験の「人体の構造と機能及び疾病」は,例年よりも解きやすい問題が多かったとは言え,問題4や5は,それぞれの具体的な内容が問われたので,焦った人が多かったと思います。

それでも落ち着いて考えると何となく答えは推測できます。

しかし,ここで違和感があると,

わからない
わからない
わからない
わからない
わからない

という気持ちが募っていって,読んでも読んでも手ごたえを感じない問題が続き,気持ちがさらに焦っていって,気が付けば最後の科目に入る前に終了15分前だったりします。

途中で仕切り直すことができないので,上滑りすると最後までそのペースで進んでしまいます。

後から問題を読んだら解けた

はとても悔しいことです。

多くの人はこのような国試問題があるのではないかと思います。

これに対する手立てがないと,知識を積み上げても,ざるから水がもれるようなことになってしまいます。

ここを見極めることが大切です。

悔しいから問題は振り返らないという人は多いと思いますが,現状認識をきっちりしないとどれだけ勉強してもあと1・2点でボーダーラインに到達しないということになってしまうかもしれません。

同じ勉強では同じ結果しか得られないでしょう。

国試は1年に1回実施されます。

次の国試まではたっぷり時間があります。

単に「知識が足りなかった」という反省ではなく,具体的に何が足りなかったのかを考えて,その対策をしっかり立てていきたいです。

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