2020年2月7日金曜日

第32回国家試験が教えてくれた~合格するのに必要なもの

社会福祉士の国家試験は,1年に1回実施されます。

第33回国家試験の受験を予定している人は,1年間の準備期間があります。

国家試験合格に必要なのは

「どれだけ勉強するのか」ではなく,「どのように勉強するのか」です。

とは言うものの,時間はかけがえのないものです。

さて,今回のテーマは「第32回国家試験が教えてくれた~合格するのに必要なもの」です。

おそらく受験する人で,過去問を解かない人はいないでしょう。
過去問は,国試合格のヒントにあふれています。
解くだけではもったいないです。


今回は例として「福祉行財政と福祉計画」の問題を紹介します。

この科目は,現在のカリキュラムになったとき,旧カリキュラムの「社会福祉原論」から独立したものです。社会福祉原論の流れを引く科目は,「現代社会と福祉」です。

第37回から始まる新しいカリキュラムによる国家試験では,再び2つの科目が合わさって,「社会福祉の原理と政策」という科目になります。

福祉行財政と福祉計画を苦手とする人は多いようです。

しかし,もう出題される内容はほぼ固定化されてきています。
科目として独立させたものの出題すべき内容はそれほどなかったということなのでしょう。

新しい科目では,「福祉行財政と福祉計画」という科目はなくなりますが,「福祉計画」というものを強く意識させるには極めて有効だったと言えます。

現在の「現代社会と福祉」と「福祉行財政と福祉計画」はどちらも難しい科目ですが,新しい科目ではミックスされるので,さらに難しくなるでしょう。
考えるだけでも恐ろしいです。

さて,今日の問題は何を教えてくれると思いますか?

問題45 次の計画のうち,定めたとき,又は変更したときに内閣総理大臣に提出しなければならないものを1つ選びなさい。
1 都道府県介護保険事業支援計画
2 都道府県における子どもの貧困対策についての計画
3 都道府県障害福祉計画
4 都道府県老人福祉計画
5 都道府県子ども・子育て支援事業支援計画


この問題の答えは,選択肢5です。
5 都道府県子ども・子育て支援事業支援計画

この問題を正解した人はおそらく自信を持って選んだのではないかと思います。

しかし正解できなかった人は,「内閣総理大臣に提出しなければならないということは勉強しなかった」と焦ったのではないかと想像できます。

さらに「2 都道府県における子どもの貧困対策についての計画」という知らないものを含んでいるので,受験者の混乱を引き出します。

この問題で正解するために絶対的に必要な知識は,「子ども・子育て支援法」は内閣府が所掌しているということです。

これを知らなければ,どんなに考えても正解することはできないでしょう。

今の国家試験問題は,今日の問題のように文章になっていない問題が多いので,日本語的に判断することができなくなっています。


<今日の結論>


国家試験に合格するために必要なのは,確かな知識とそれに伴う自信!


解説を読めば「ああ,そうだった」と思います。
「ああ,そうだった」と思わないのは,明らかに知識不足です。
そういった人は,まずは知識をつけなければなりません。

注意が必要なのは,「ああ,そうだった」と思う人です。
特にそういった問題で正解していたらボーダーラインに到達していただろうと思われる人です。

注意が必要な理由は,知識不足で正解できなかったのではないからです。

こういった傾向のある人は,よほど注意しないと同じことをまた繰り返します,


今日の問題で学ぶべきことは「根拠法」を意識して覚えることです。


<おまけ>

福祉の計画化は,1990(平成2)年の福祉関係八法改正で,老人保健福祉計画が策定義務化されたところから始まります。

現在では,計画を立てて,評価し,次の計画を立てる,という「PDCAサイクル」で行われるようになってきています。

そのため,社会福祉法では,以下のような規定が加わっています。

市町村は、定期的に、その策定した市町村地域福祉計画について、調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、当該市町村地域福祉計画を変更するものとする。

都道府県は、定期的に、その策定した都道府県地域福祉支援計画について、調査、分析及び評価を行うよう努めるとともに、必要があると認めるときは、当該都道府県地域福祉支援計画を変更するものとする。


PDCAサイクルについては,以下の出題があります。

問題46 次の各計画の策定を規定している法律に,計画の実績について評価を行うと明記されているものを1つ選びなさい。
1 市町村自殺対策計画
2 市町村介護保険事業計画
3 市町村障害者計画
4 市町村子ども・子育て支援事業計画
5 市町村老人福祉計画

この問題の正解は,選択肢2です。

介護保険法では,以下のように規定されています。

市町村は、第二項第三号に規定する施策の実施状況及び同項第四号に規定する目標の達成状況に関する調査及び分析を行い、市町村介護保険事業計画の実績に関する評価を行うものとする。

都道府県は、第二項第二号に規定する施策の実施状況及び同項第三号に規定する目標の達成状況に関する調査及び分析を行い、都道府県介護保険事業支援計画の実績に関する評価を行うものとする。

問題46ははっきり言うと難しいです。
福祉計画の評価について,問われたことが少なかったからです。

だからと言って,正解できない問題ではありません。

なぜなら,福祉計画の評価については,近年の動きなので,近年に改正されたものを考えるというヒントがあるからです。

よくわからないのは「市町村自殺対策計画」ですが,評価するポイントは自殺者が減ったのか増えたのか,といったポイントしかなさそうなので,法で明記することではないように思えます。

そのように考えると「介護保険事業計画」がそれっぽいと推測することができるでしょう。


計画については,以下のような問題も出題されています。

問題47 福祉計画に関して,1990年(平成2年)の福祉関係八法改正より以前の記述として,正しいものを1つ選びなさい。
1 「エンゼルプラン」が策定された。
2 障害福祉計画が障害者自立支援法に規定された。
3 社会福祉施設緊急整備5か年計画が策定された。
4 「新ゴールドプラン」が策定された。
5 地域福祉計画が社会福祉法に規定された。

この問題の正解は,選択肢3です。
3 社会福祉施設緊急整備5か年計画が策定された。

この計画は,どの参考書にも必ず載っているものでしょう。

これは,1971(昭和46)年に策定されたものです。

内容の中には,施設の不燃化も含まれます,
戦後すぐに作られた福祉施設は,木造であまりにも古かったためです。
時代を感じます。

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