社会福祉士の国家試験のボーダーラインは,その年の問題の難易度によって,上下しています。
自己採点でギリギリの点数の人は,合格発表の日まで落ち着かない日々を送ることになります。
だから自己採点はしない,という人は多いです。
自己採点してもしなくても結果は同じだからです。
今の時点(2月下旬)で,このブログを読んでいただいている方は,おそらく自己採点はされているのではないかと思います。
国家試験は,サバイバルゲームのように思います。
第32回の合格率がどうなるのかは合格発表の日までわかりませんが,近年の合格率は,約30%です。
そのラインを律義に守っているかのようです。
みんなが得点しやすい試験なら,ボーダーラインが上がり,得点しにくい試験なら,ボーダーラインが下がります。
ボーダーラインが変わっても,合格率は大きく変えることがないとすれば,ほかの受験生よりも1点でも多く取ることが大切です。
別な言い方をすれば,つまらないミスの多い,少ないが合格に大きくかかわります。
例えば,こういった問題です。
第32回・問題64 生活保護法が規定する基本原理・原則に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 日本国憲法第26条に規定する理念に基づく。
2 保護は,世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。
3 保障される最低限度の生活とは,肉体的に生存を続けることが可能な程度のものである。
4 生活困窮に陥った年齢によって,保護するかしないかを定めている。
5 生活保護の基準は,厚生労働省の社会保障審議会が定める。
正解は,選択肢2です。
2 保護は,世帯を単位としてその要否及び程度を定めるものとする。
この中でいやらしいのは,以下の選択肢です。
1 日本国憲法第26条に規定する理念に基づく。
第26条ではなく,第25条です。
こういったところに引っ掛けポイントがあるとは思わないので,間違う人もいるでしょう。
国試合格に必要なのは,こういったところに引っ掛けられないことです。
ボーダーラインに届かない原因は,SDGsやニッポン総活躍プランなどを知らないことではなく,確実に正解しなければならない問題を得点できないことです。
<今日のまとめ>
合格に必要なのは,正解できる問題でミスを極力減らすことです。
スタンダードなものをきっちり覚えておけば,必ずボーダーラインは超えます。
社会福祉士の国家試験は,すべて1問1点です。
難しい問題で正解しても1点。
易しい問題で正解しても1点。
合格をつかむことができる人は,難しい問題は得点できなくても,易しい問題で確実に得点していきます。
合格をつかむことができない人は,難しい問題が得点できても,易しい問題でミスします。
こういったことの積み重ねで,20点,40点の差がついていきます。
なお,易しい問題とは,参考書や過去問などで事前の対策をすることができるもののうち,特に何度も過去に出題されてきた実績のある問題をいいます。
難しい問題とは,事前の対策ができず,かつ常識などで正解することができない問題をいいます。
最新の記事
積極的自由と消極的自由
今回は,積極的自由と消極的自由を学びたいと思います。 積極的自由とは,自分の意思で行動できる自由です。 消極的自由とは,他者から干渉されない自由です。 政治哲学に重ねると以下のようになります。 積極的自由 → 自由主義 消極的自由 → 自由至上主義 それでは今日の問題です。 第3...
過去一週間でよく読まれている記事
-
ソーシャルワークは,ケースワーク,グループワーク,コミュニティワークとして発展していきます。 その統合化のきっかけとなったのは,1929年のミルフォード会議報告書です。 その後,全体像をとらえる視座から問題解決に向けたジェネラリスト・アプローチが生まれます。そしてシステム...
-
ホリスが提唱した「心理社会的アプローチ」は,「状況の中の人」という概念を用いて,クライエントの課題解決を図るものです。 その時に用いられるのがコミュニケーションです。 コミュニケーションを通してかかわっていくのが特徴です。 いかにも精神分析学に影響を受けている心理社会的ア...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
システム理論は,「人と環境」を一体のものとしてとらえます。 それをさらにすすめたと言えるのが,「生活モデル」です。 エコロジカルアプローチを提唱したジャーメインとギッターマンが,エコロジカル(生態学)の視点をソーシャルワークに導入したものです。 生活モデルでは,クライエントの...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...
-
人は,一人で存在するものではなく,環境の中で生きています。 人と環境を一体のものとしてとらえるのが「システム理論」です。 人は環境に影響を受けて,人は環境に影響を与えます。 人⇔環境 この双方向性を「交互作用」と言います。 多くのソーシャルワークの理論家が「人...
-
歴史が苦手な人は多いですが,イギリスの歴史は覚えておきたい歴史の代表です。 今回のテーマは,ブース,ラウントリーの貧困調査です。 第34回国家試験までの出題回数を調べてみると ブース 12回 ラウントリー 16回 どちらの出題頻度も高いですが,ラウントリーのほうがより出題頻度が...
-
1990年(平成2年)の通称「福祉関係八法改正」は,「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,老人福祉法を含む法律を改正したことをいいます。 1989年(平成元年)に今後10年間の高齢者施策の数値目標が掲げたゴールドプランを推進するために改正されたものです。 主だった...
-
今回から,質的調査のデータの整理と分析を取り上げます。 特にしっかり押さえておきたいのは,KJ法とグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)です。 どちらもとてもよく似たまとめ方をします。特徴は,最初に分析軸はもたないことです。 KJ法 川喜多二郎(かわきた・...
-
コミュニティはさまざまな人が定義していますが,ヒラリーの研究によって,それらに共通するものとして ・社会的相互作用 ・空間の限定 ・共通の絆 があることが示されました。 しかし,現代では,空間が限定されないコミュニティが広がっています。それをウェルマンは,「コミュニティ開放論」と...