2020年2月9日日曜日

第32回国家試験から考える得点力&勉強方法~第33回に向けて

社会福祉士のボーダーラインは,合格発表までわかりません。

しかし,近年の国家試験は,受験生の30%が90点を取れるような問題づくりを目指して作られているだろうということは推測できます。

ただし,そのように150問を設計していたらといって,必ずしも結果がそうなるとは限りません。

そのために,ボーダーラインが補正されます。

多くの人が得点できていれば,第30回国試のようにボーダーラインが上がります。
多くの人が得点できなけれぱ,第25回国試のようにボーダーラインが下がります。

将来的には,固定されたボーダーラインを超えたら合格とするということも検討されているようです。

社会福祉士の国家試験は,すでに32回を数えます(2020年2月時点)。

社会福祉士の国家試験の実施機関である社会福祉振興・試験センターは,これまでにかなりのデータが集積されて分析していると思います。

しかし,実際の国家試験は人が作るので。予測どおりの結果になるとは限りません。

ボーダーラインが毎年変わると,受験生はどんな勉強をしたらよいのか,といった不安になることでしょう。

ボーダーラインが変わることは,年度ごとのに問題の難易度に差があることを示しています。

もし,ボーダーラインを固定すると,難易度が上がった問題が出題された年に受験する人は不利になります。

そのために難易度によるボーダーラインの補正が必要となります。

しかも,国家試験は,新しいスタイルの問題を一定数混ぜて出題ことになっています。
そのタイプの問題は,以前のデータがないために,予測しない結果をもたらす恐れがあります。

受験生にとって,ボーダーラインが年度によって変わることは,国家試験の合格発表の日まで安心できないことになるので良いことに思わないかもしれませんが,年度間の不公平を生じさせないためには必要なことだと考えています。

話が長くなりましたが,社会福祉士の国家試験は,上位から30%の点数が取れれば基本的に合格できます。

そのラインは,7割や8割ラインではなく,6割ラインです。

第32回国試問題です。

問題22 社会福祉法の内容に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 福祉サービス利用援助事業は,第一種社会福祉事業である。
2 市町村は,地方社会福祉審議会を設置しなければならない。
3 市町村は.社会福祉事業等に従事する者の確保に関する基本指針を定めなければならない。
4 都道府県は,都道府県地域福祉支援計画を策定しなければならない。
5 共同募金は.都道府県を単位として毎年1回実施される。

正解は,選択肢5です。


問題36 社会福祉法に規定されている地域福祉に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地域住民等は,地域生活課題の解決に資する支援が包括的に提供される体制の整備に努めなければならない。
2 市町村は,市町村地域福祉計画を市町村社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と一体的に策定しなければならない。
3 都道府県は,福祉サービスを必要とする地域住民の地域生活課題を把握し.支援関係機関と連携して解決を図るよう留意しなければならない。
4 社会福祉を目的とする事業を経営する者は,地域福祉の推進に係る取組を行う他の地域住民等に助言と指導を行わなければならない。
5 国及び地方公共団体は.地域福祉の推進のために必要な各般の措置を講ずるよう努めなければならない。

正解は,選択肢5です。


問題59 「障害者総合支援法」に定められている市町村の役割などに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 障害支援区分の認定のための調査を,指定一般相談支援事業者等に委託することができる。
2 障害支援区分の認定に関する審査判定業務を行わせるため,協議会を設置する。
3 市町村障害福祉計画を策定するよう努めなければならない。
4 指定障害福祉サービス事業者の指定を行う。
5 高次脳機能障害に対する支援普及事業などの特に専門性の高い相談支援事業を行う。

正解は,選択肢1です。


問題61 障害者基本法に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 法の目的では,障害者本人の自立への努力について規定されている。
2 都道府県は,都道府県障害者計画の策定に努めなければならないと規定されている。
3 国及び地方公共団体は,重度の障害者について,終生にわたり必要な保護等を行うよう努めなければならないと規定されている。
4 社会的障壁の定義において,社会における慣行や観念は除外されている。
5 障害者政策委員会の委員に任命される者として,障害者が明記されている。

正解は,選択肢5です。


問題132 介護保険制度に関する次の記述のうち,国の役割として,正しいものを1つ選びなさい。
1 介護保険事業支援計画を策定すること。
2 介護給付費等審査委員会を設置すること。
3 介護保険に関する収入及び支出について特別会計を設けること。
4 市町村に対して介護保険の財政の調整を行うため,調整交付金を交付すること。
5 指定情報公表センターの指定をすること。

正解は,選択肢3です。 正解は,選択肢4です。


この5問は第32回国家試験で,福祉計画の策定に関して出題されたものを抽出しました。

福祉計画は,このように複数の科目で出題されているのがわかるでしょう。

「福祉行財政と福祉計画」は,多くの人が苦手としていますが,この科目を強化すると,ほかの科目も強化されることになります。


<今日の一言>

人によっては,「福祉行財政と福祉計画はまとめの科目です」というアドバイスをするかもしれません。

たしかに内容を見るとまとめの科目のようになっています。

しかし,この科目はもともと「社会福祉原論」から独立したものです。

つまり本当は,まとめの科目ではなく,入口の科目です。

ボーダーラインを超えるためには,どんな勉強方法をしても良いと思いますが,「福祉行財政と福祉計画」や「社会保障」のような中心をなす科目を先に勉強するという方法は,案外,得点力を高めるためには重要なことなのかもしれません。

今回紹介した5問は決して奇をてらった問題ではないので,改めてよく読めば正解できそうな問題かもしれません。

しかし,決して勘では正解することができません。

確実な知識にするためにも,勉強の入り口は,「現代社会と福祉」「福祉行財政と福祉計画」や「社会保障」といった科目群であるように思います。

最新の記事

子ども・子育て支援法

  子ども・子育て支援法は,これまでにも出題されてきましたが,正式に出題基準に含まれたのは,第37回国家試験です。 子ども・子育て支援制度は,市町村が実施主体になっています。 支給申請は,市町村に対して行います。 児童福祉法には,入所系があるので都道府県の役割がありますが,子ども...

過去一週間でよく読まれている記事