ボーダーラインは,毎年上下しているため,国家試験の合格発表まで本当に辛い日々が続きます。
この学習部屋に訪れていただいた方が全員合格されていることを願ってやみません。
次の国家試験を受験される方は,何点取ると合格できるのだろうと思うのではないでしょうか。
ボーダーラインは毎年変わります。
だからそういった疑問が生まれるのでしょう。
発想を転換しましょう。
何点取るではなく,何問間違うことができるか。
国家試験の問題は,すべて1問1点です。
正解を複数(現在は2つのみ)選ぶ問題でも,2つ正解できて1点です。
国家試験は,すべて1問は1点だということは,とても重要なことだと思います。
とんでもなく難しい問題で正解しても1問は1点です。
とんでもなく難しい問題は,正解することができません。
「どれにしようかな」と適当に答えを選んだ場合は,5分の1の確率で正解できます。
しかし,本当に難しい問題は,5分の1の確率では正解できないのです。
こういった難しい問題は必ずあります。
例えば,ボーダーラインが過去最高の99点となった国家試験となった第30回国試問題でも,難しい問題はあります。
難しい問題は,正解できなくて当然です。
難しい問題が多ければボーダーラインは下がります。
難しい問題が少なければボーダーラインは上がります。
第30回で,難しかったと思う問題です。
第30回・問題43 「平成29年地方財政の状況」(総務省)が示す2015年度(平成27年度)の地方財政において,次に示す民生費及び特別会計事業の費目のうち,歳出金額が最も多いものを1つ選びなさい。
1 生活保護費
2 児童福祉費
3 老人福祉費
4 介護保険事業費
5 国民健康保険事業費
この問題は,しっかり勉強した人の方が間違った問題ではないかと思います。
難しいというか,正解しにくい問題だと言えるでしょう。
民生費で最も多いのは児童福祉費ですが,特別会計の方が規模が大きいのです。
<今日の結論>
社会福祉士の国家試験は,19科目,18科目群(就労支援サービスと更生保護制度で1群)で,実施されます。
このうち,最も点数が取れない科目は,「現代社会と福祉」です。
半分を確実に取るのはかなり難しい科目です。
つまり半分は間違ってもよいものです。
参考書を丁寧に覚えていけば,必ず6割程度の点数は取れます。
後は,問題の難易度によって,ボーダーラインが上下するだけの話です。
多くの人は,「福祉行財政と福祉計画」や「社会保障」などを苦手としていますが,これらの科目は,「現代社会と福祉」と違って,事前に対策を打つことができます。
つまり,受験者の差が出るのはこういった科目であると言えます。
さて,本当の結論です。
国試は何点取れれば合格するのだろう,というのはナンセンスな疑問です。
問題の難易度によって,ボーダーラインが上下するからです。
自分が解けない問題はほかの人も解けない。
ほかの人が解ける問題を確実に解けるように勉強を積み重ねることが大切です。
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