2019年5月21日火曜日

様々なアプローチのまとめ~12種類のアプローチの重要ポイント

様々なアプローチは,毎年必ず出題されています。

しかも3~4問が出題されています。
ようやく出題実績のある12種類が揃いました。


・心理社会的アプローチ
 「状況の中の人」を基本概念として,心理社会的に課題のあるクライエントに対して,コミュニケーションを通して関わっていく。

・機能的アプローチ
 ワーカーの所属する機関の機能を活用して,クライエントの意志で問題解決できるように援助する。

・問題解決アプローチ
 クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する。

・課題中心アプローチ
 クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し,あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。

・危機介入アプローチ
 危機状態に陥っている人に対して早期にかかわり,危機に対して対処能力を高める。

・行動変容アプローチ
 学習理論を活用して,クライエントの問題となる行動を消去や強化することにより,問題行動全体の変容を図る。

・エンパワメントアプローチ
 クライエントが抑圧された状況を認識して,潜在能力に気づいて,対処能力を高められるようにかかわる。

・ナラティブアプローチ
 クライエントが語るストーリーを重視して,新たな意味の世界を創り出すことを援助する。

・解決志向アプローチ
 クライエントが抱く解決のイメージを尊重し,その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。

・フェミニストアプローチ
 女性にとっての差別や抑圧などの社会的な現実を顕在化させ,個人のエンパワメントと社会的抑圧の根絶を目指す。

・実存主義アプローチ
 利用者が他者とのつながりを形成し,疎外状態から解放されることに焦点を当てる。

・エコロジカルアプローチ
 「人と環境」の交互作用に着目して援助する。


アンダーラインを引いたところが特に特徴的な部分です。


整理できたら,今日の問題です。


第31回・問題103 ソーシャルワークのアプローチに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 解決志向アプローチは,クライエントが抱く解決のイメージを尊重し,その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。

2 行動変容アプローチは,クライエントが,置かれている否定的な抑圧状況を認識し,自らの能力に気付き,その能力を高め,問題に対処することを目指す。

3 エンパワメントアプローチは,行動を学習の結果として捉え,正しく学習することにより問題行動を消去することを目指す。

4 フェミニストアプローチは,クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し,あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。

5 課題中心アプローチは,クライエントが自らの人生のストーリーを理解し,新たなストーリーに書き換えていくことを目指す。


この問題が出題される直近の類似問題は,第27回でした。

第27回には,初めて出題されたものがなかったことも影響したのかもしれませんが,この問題は,過去に出題実績のあるものだけで構成された問題です。

こういった問題であっても,勉強が足りないとやっぱり得点できないものです。

しかし,全部入れ替え問題なので,しっかり勉強した人にとってはとても簡単に感じることでしょう。


さて,この問題の正解は,選択肢1です。


1 解決志向アプローチは,クライエントが抱く解決のイメージを尊重し,その実現に向けてクライエントの社会的機能を高めることを目指す。

解決志向アプローチは,クライエントが解決するイメージできるように,様々な特徴的な質問の技法を活用します。


それではほかの選択肢も見てみましょう。


2 行動変容アプローチは,クライエントが,置かれている否定的な抑圧状況を認識し,自らの能力に気付き,その能力を高め,問題に対処することを目指す。

これはエンパワメントアプローチのことを述べたものです。


3 エンパワメントアプローチは,行動を学習の結果として捉え,正しく学習することにより問題行動を消去することを目指す。

これは,行動変容アプローチのことを述べたものです。


4 フェミニストアプローチは,クライエント自らが問題を解決するための課題を設定し,あらかじめ決められた期間の中で課題を達成することを目指す。

これは,課題中心アプローチのことを述べたものです。


5 課題中心アプローチは,クライエントが自らの人生のストーリーを理解し,新たなストーリーに書き換えていくことを目指す。

これは,ナラティブアプローチのことを述べたものです。


<今日の一言>

「相談援助の理論と方法」は事例が多いので,簡単だと思う人が多いためなのか,あまり勉強しないで国試に臨む人が多いようです。

しかしこの科目は150問中,21問もある重要な科目です。

この科目で確実に得点できることが合格に近づくことになるのですが,21問中10~13問程度の正解では心もとないと思います。

多くの受験生はあまり勉強しないで国試に臨むことがわかっているだけに,ほかの受験生と差をつけやすい科目です。

様々なアプローチは必ず出題され,しかも複数問出題されることがわかっています。

出るか出ないかわからないようなものに時間をかけるよりも,こういったところに時間をかけて確実に正解することをねらった方が戦略的に正しいと言えます。

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