2019年5月8日水曜日

課題中心アプローチは短期処遇

様々なアプローチは,全部で12種類が出題されています。

そのうち,最も出題頻度が高いのは,問題解決アプローチと課題中心アプローチの11回です。

ターナーが著した『ソーシャルワーク・トリートメント』には,29種類が示されていますが,国試では12種類しか出題されていません。

12種類すべてしっかり覚えておきたいですが,最低でも,問題解決アプローチと課題中心アプローチは完璧にしておきたいところです。

課題中心アプローチは,心理社会的アプローチ,問題解決アプローチ,行動変容アプローチの影響を受けて成立した折衷アプローチです。

そのため,それぞれの基礎理論の上に成り立っています。

具体的に言うと

心理社会的アプローチ → 精神分析理論

問題解決アプローチ → 役割理論,コミュニケーション理論

行動変容アプローチ → 学習理論


課題中心アプローチの重要ポイントは,短期処遇であることです。

クライエントとワーカーが共同で,課題を明確にして,達成可能な目標を設定して,期限を定めて課題解決に向けて取り組んでいきます。

これだけ押さえておけば,課題中心アプローチに関する問題はほとんどクリアできます。

それでは今日の問題です。


第25回・問題102 課題中心アプローチに関する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

1 リード(Reid,W.)とエプスタイン(Epstein,L.)によって開発され,心理社会的アプローチ,問題解決アプローチ,行動変容アプローチなどの影響を受けて発達した。

2 ターゲットとなる問題は,クライエントの気付きの有無にかかわらず,クライエントの努力で解決できる可能性があるという基準によって選択される。

3 様々なアプローチを折哀したものであるので,それらを統合するためにシステム理論をその基礎理論としている。

4 現在の課題の元となる問題の原因を解明することから援助を始め,その原因の除去を援助の目標とする。

5 時間的な構造が重要と考え,援助に要する期間を早い段階から定めることを重視し援助を進める。


「魔の第25回国試」の問題ですが,課題中心アプローチの基本を押さえることができるとてもよい出題です。

ただし,注意しなければならないのは,正解を2つ選ぶ問題である点です。


正解は,選択肢1と5です。

1 リード(Reid,W.)とエプスタイン(Epstein,L.)によって開発され,心理社会的アプローチ,問題解決アプローチ,行動変容アプローチなどの影響を受けて発達した。
5 時間的な構造が重要と考え,援助に要する期間を早い段階から定めることを重視し援助を進める。

課題中心アプローチは,心理社会的アプローチ,問題解決アプローチ,行動変容アプローチの折衷アプローチですが,これらと違う点は,短期処遇である点です。

心理社会的アプローチ,問題解決アプローチ,行動変容アプローチなどは,時間がかかるのです。


それではほかの選択肢も確認しましょう。


2 ターゲットとなる問題は,クライエントの気付きの有無にかかわらず,クライエントの努力で解決できる可能性があるという基準によって選択される。

課題中心アプローチは,ワーカーとクライエントによって,明らかにした問題(課題)をターゲットにします。

クライエントの気付きがないと課題を設定できません。


3 様々なアプローチを折哀したものであるので,それらを統合するためにシステム理論をその基礎理論としている。

様々なアプローチを折衷したというのは正しいですが,基礎理論となっているのは,精神分析理論,役割理論,コミュニケーション理論,学習理論などです。

システム理論が影響を与えたのは,ソーシャルワークの統合化,そしてエコロジカルアプローチなどです。しかし,システム理論は影響を与えているだけで,システム理論が基礎理論と言えるものはありません。


4 現在の課題の元となる問題の原因を解明することから援助を始め,その原因の除去を援助の目標とする。

問題の原因の除去を援助の目標とするのは医学モデルです。


<今日の一言>

課題中心アプローチは,効果測定することが容易です。

なぜなら,達成可能な目標を期限を決めて設定するからです。

例えば,勉強が進まないという課題があれば,●日までに「相談援助の理論と方法」を一通り終えるという目標を設定します。

●日になったら,相談援助のの理論と方法を一通り終えることができたか否かを評価します。

これが課題中心アプローチ的勉強法だと言えるでしょう。

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