2019年5月22日水曜日

アプローチ法を提唱した人々

参考書を開くと,人名が多く書いてあります。
すべて覚えなければならないのか,と思うと気が重くなると思います。

かつては,人名がわからないと解けない問題が出題されていましたが,今はほとんどなくなっています。
そのため,覚えるべきポイントは,人名よりもその内容だということになります。

人名を覚えることに時間をかけるよりもその内容を覚えることに時間をかけるのが得策です。

今回から2回にわたって,人名問題を取り上げます。


それでは,今日の問題です。


第26回・問題99 相談援助のアプローチに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 バンデューラ(Bandura,A.)は,行動変容アプローチに取り入れられた社会的学習理論を提唱した。

2 ピンカス(Pincus,A.)とミナハン(Minahan,A.)は,一般システム理論に基づいてユニタリー・アプローチを提唱した。

3 ロビンソン(Robinson,V.)は,地域精神医学研究などの成果を取り入れた危機介入アプローチを提唱した。

4 バーク(Berg,I.)は,社会構成主義を基盤としたナラティブ・アプローチの発展に寄与した。

5 スモーリー(Smalley,R.)は,生態学に基づく機能的アプローチを体系化した。


たった5年前の問題ですが,今ではほとんど見られない出題です。

このような問題があると,すべて覚えなければならないのかと思いますが,決してそうではありません。


さて,この問題の正解は,選択肢1です。

1 バンデューラ(Bandura,A.)は,行動変容アプローチに取り入れられた社会的学習理論を提唱した。


結局は,「心理学理論と心理的支援」で学ぶ学習理論が正解となっています。


ほかの選択肢とちょっと趣きが変わっていると思いませんか?

この問題で伝えたかったメッセージは,行動変容アプローチには,学習理論が用いられていることだと考えられます。


特に行動変容アプローチには社会生活技能訓練(SST)がありますが,SSTはバンデューラが提唱した観察学習が用いられています。

SSTは,ちょこちょこ出題されているので,この機会に覚えておきましょう。

ほかの選択肢も確認していきましょう。


2 ピンカス(Pincus,A.)とミナハン(Minahan,A.)は,一般システム理論に基づいてユニタリー・アプローチを提唱した。

ピンカスとミナハンが提唱したのは,4つのシステムです。

ユニタリー・アプローチはよくわかりません。


3 ロビンソン(Robinson,V.)は,地域精神医学研究などの成果を取り入れた危機介入アプローチを提唱した。

ロビンソンは,機能的アプローチを提唱した人です。


4 バーク(Berg,I.)は,社会構成主義を基盤としたナラティブ・アプローチの発展に寄与した。

バーグは,解決志向アプローチを提唱した人です。



5 スモーリー(Smalley,R.)は,生態学に基づく機能的アプローチを体系化した。

スモーリーは,ロビンソンとともに機能的アプローチを提唱した人です。



アプローチ名
提唱者
・心理社会的アプローチ
ホリス,ハミルトン,トール
・機能的アプローチ
タフト,ロビンソン,スモーリー
・問題解決アプローチ
パールマン
・課題中心アプローチ
リード,エプスタイン
・危機介入アプローチ
ラポポート
・行動変容アプローチ
トーマス
・エンパワメントアプローチ
ソロモン
・ナラティブアプローチ
ホワイト,エプストン
・解決志向アプローチ
シェザー,バーグ
・フェミニストアプローチ
不明
・実存主義アプローチ
クリル
・エコロジカルアプローチ
ジャーメイン,ギッターマン


まとめるとこうなりますが,人名がわからないために答えがわからない問題はほとんどありません。



<今日の一言>

勉強はまじめに取り組んだからといって,効果が出るものではありません。
参考書を丸暗記するような勉強法では,得点力を上げるのは難しいと言えます。

それと同じように,上記の表を覚えても得点できる問題はほとんどありません。
必要な知識は,提唱者(人名)ではなく,その内容です。

そこを間違えると,勉強したことが得点力にならないので注意が必要です。
必要なのは,その内容です。

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