「相談援助の理論と方法」は,国試の中心的な科目であり,「様々なアプローチ」は,その中でも重要な部分だと言えます。
国試で出題されているのは,
出題基準に示されているもの
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・心理社会的アプローチ
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・機能的アプローチ
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・問題解決アプローチ
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・課題中心アプローチ
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・危機介入アプローチ
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・行動変容アプローチ
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・エンパワメントアプローチ
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出題基準に示されていないものの出題実績があるもの
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・ナラティブアプローチ
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・解決志向アプローチ
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・フェミニストアプローチ
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・実存主義アプローチ
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・エンパワメントアプローチ
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中央法規などのテキストには,詳しく記述されていないので,それぞれについて詳細な知識が必要な問題は出題されていないのが特徴です。
まずは「心理社会的アプローチ」から取り組んでいきます。
心理社会的アプローチとは?
提唱者はホリスです。
源流は,フロイトの精神分析理論に影響を受けたトールらが提唱した「診断主義ケースワーク」です。
「状況の中の人」を基本概念として,心理社会的に課題のあるクライエントに対して,コミュニケーションを通して関わっていくことが特徴です。
それでは今日の問題です。
第27回・問題101 相談援助における心理社会的アプローチに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 『コモン・ヒューマン・ニーズ』の著者トール(Towle,C)の流れを受けている。
2 ランク(Rank,O.)により提唱された自我理論を基盤としている。
3 課題解決に向けた支援に消極的な人に適用可能なアプローチである。
4 実践における時間的制約や即効性についての期待に応えることができる。
5 心理社会的問題を抱えている人を対象として,援助期間や時間を取り決めて援助する。
心理社会的アプローチのことを理解していないと,勘で正解するのはとても難しい問題です。
正解は,選択肢1
1 『コモン・ヒューマン・ニーズ』の著者トール(Towle,C)の流れを受けている。
合格するためには,こういったものをかっちり覚えることが大切です。
そのほかの選択肢も解説します。
2 ランク(Rank,O.)により提唱された自我理論を基盤としている。
ランクの自我理論を基盤としているのは,機能的アプローチです。
3 課題解決に向けた支援に消極的な人に適用可能なアプローチである。
心理社会的アプローチは,コミュニケーションが重要です。
コミュニケーションは,双方向のものなので,コミュニケーションを図ろうとしていないクライエントに用いるのは難しいと言えます。
4 実践における時間的制約や即効性についての期待に応えることができる。
心理社会的アプローチは時間をかけて,クライエントの変容を図るアプローチです。
即効性についての期待に応えるものではありません。
5 心理社会的問題を抱えている人を対象として,援助期間や時間を取り決めて援助する。
心理社会的アプローチは時間をかけて,クライエントの変容を図るアプローチです。
期間などを取り決めて援助しません。
<今日の一言>
出るか出ないかわからないものを覚えるのは,モチベーションが上がらないかもしれませんが,「様々なアプローチ」は,必ず出題されています。
人の名前を覚えるのは大変ですが,頑張って覚えていきましょう。
今日の問題は難しそうに見えますが,ほかのアプローチを学ぶことで,心理社会的アプローチの特徴が浮き彫りになってきます。
心配ご無用です。