2019年10月31日木曜日

模擬試験の難易度比較及び国試との関係(ソ教連・中央法規・社会福祉士会・日総研)

模擬試験を受験するとその場で解答をもらえることが多いので,すぐ自己採点する人も多いことと思います。

しかし,ここで気を付けなければならないのは,模擬試験は,実際の国家試験よりも点数が取りにくい傾向にあることです。

そこを押さえておかないと「あれだけ勉強したのに点数が取れない」と落ち込むことになるので注意が必要です。


そこで主要な模擬試験(ソ教連・中央法規・社会福祉士会・日総研)を比較しました。


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ただし,どの模擬試験が最も良いかは,受けるタイミングによります。これについては後述します。

なお,日本社会福祉士会の模擬試験は,福祉教育カレッジ(テコム)が実施するものと同じです。

まずは平均点の比較です。

平均点の比較(2017~2019)
年度
社会福祉士会
ソ教連
中央法規
日総研
2017
69.8
66.2
65.6
74.3
2018
74.0
64.7
68.3
75.7
2019
70.7
70.4
70.7
81.9
平均
71.5
67.1
68.2
77.3

平均で比較すると,最も高い点数の日総研と最も低いソ教連では,約10点の開きがあります。

ソ教連以外のデータは,追加しての採点受付があるので,その時期によって変化していきます。上記のデータは,入手したものを更新しているので,初期データであるソ教連とは単純比較はできません。

次に合格基準点の比較です。

中央法規は,得点分布を公表していないので,社会福祉士会,ソ教連,日総研を比較します。

合格基準の目安(いわゆるボーダーライン)は,第30回と第31回国試の合格率を参考にして,上位から30%に位置する点数を計算したものです。


「合格基準の目安」の比較(上位から30%)
年度
社会福祉士会
ソ教連
日総研
2017
76
70
79
2018
80
75
83
2019
77点
76
90点
平均
77.6
73.7
84.0点

※社会福祉士会とソ教連は,5点刻みにカテゴライズされているので,若干の誤差あり。

最も高い点数の日総研の84.0点と最も低いソ教連の73.7点では,10.3点も差があります。

これらの比較でわかるように,模試によって点数に違いが生じます。この差が模試の難易度の違いです。

つまり問題の難易度によって得点が変わることを示しています。

自己採点の点数が低くても,必要以上に落ち込むことはありません。

2018年度の国試(つまり第31回国試)の合格基準点は,89点でした。

2018年の模擬試験でこの点数に最も近いのは日総研(合格基準の目安は85点)ですが,それでも国試の合格基準点とは6点の差が開いています。

模擬試験の難易度の差は,実力が伸びたとしても,模擬試験を受ける順番によって,点数が下がるということがあり得ます。

逆に実力は一緒でも,模試を受ける順番によって,点数が上がるということもあります。

ソ教連が最も国家試験に近い難易度であるというイメージがあるかもしれませんが,実際には,かなりかけ離れたものです(そんなイメージはないですか)。

ここを知らないと,模擬試験を受けたあと,思ったように点数が取れずに落ち込むことになってしまいます。

そうならないように,以下のように点数を補正してみる方法をおすすめします。


模擬試験の点数の難易度による補正の方法

各団体の模試の基本設計は毎年それほど変化しないということを前提すると,以下の考え方ができます。

2018年模擬試験と第31回国家試験の点数の差の分をプラスして計算する方法です。中央法規は得点分布がわかりませんが,便宜上ソ教連と同様に扱います。
(第32回国家試験が終了したら,比較データを修正します)

しかし,チームfukufuku21メンバーの経験から言えば,ソ教連と中央法規では,中央法規よりもソ教連のほうが難しいです。

平均点だけではわからない部分です。


社会福祉士会
ソ教連
中央法規
日総研
国試との点数差
-9点
14
14
-6点

各団体の模擬試験を受験した時,この差をプラスすると国試での得点に近くなります。


難易度補正
社会福祉士会
ソ教連
中央法規
日総研
難易度補正
+9点
14
14
+6点

最も点数が取りにくいと思われるソ教連で75点だったとしても,プラス14点すると,合格圏内だと言えるのです。

実際には国家試験までには時間があるので,平均点辺りになっていれば順調だと言えると思います。ただし,点数はあくまでも目安にすぎません。

2019年データで今後修正しますが,近年の模擬試験の難易度と比較すると
国家試験に近い難易度の模擬試験は以下のように言えると思います。

①日総研
②社会福祉士会
③中央法規
④ソ教連

易しい,難しいといった主観と客観的なデータが異なることに注目したいです。



模擬試験の成績表の読み取り方

中央法規社会福祉士会の成績表は,A・B・Cランクで評価されています。

中央法規は点数分けです。
 A 150~90
 B 89~70
 C 69~50
 D 49~30
 E 29~0

社会福祉士会は,偏差値分けです。
 A 63.0以上
 B 55.0~62.9
 C 45.0~54.9
 D 37.0~44.9
 E 36.9以下

点数分けと偏差値分けでは,実力がわかりやすいのは,偏差値分けです。点数は問題の難易度によって変化するからです。

日総研は,得点分布表がついてきます。
余談ですが,日総研は模擬試験に毎年さまざまな付録があるのが特徴です。
付録だけでもお得感があるように思います。
国家試験をよく知っているメンバーで作っていると思われる付録は,なぜ有料で販売しないのかと思われるほど完成度が高いように感じます。

ソ教連の成績表には,評価も偏差値もついていません。
そのため,目安にしたいのは,順位です(国試近くなるとソ教連ホームページで概況が発表されます)。

問題が難しければ,得点は下がります。
問題が易しければ,得点は上がります。

順位は,難易度に左右されにくいと考えられます。

上位から30%の順位が合格圏内であるととらえることができます。
この算出方法はすべての模試に共通して使えます。


<今日の一言>

模擬試験は,どの団体のものであっても,国試よりも点数が取りにくいものです。
そのため,模試を受けたあとに自己採点してみて,ショックを受ける人が後を絶ちません。

しかし点数はあくまでも目安です。
模試で90点以上取るのは至難の業です。

最も点数が取りにくいと思われるソ教連では,90点以上は1.5%,80点以上でも7.6%しかいません(2018年データ)。

最も点数が取りやすいと思われる日総研でさえ,90点以上は15.3%,80点以上でも35.8%しかいません(2018年データ)。

模試は,点数が取りにくいものであることを覚えておきたいです。

実力がなくて点数が取れないのではなく,点数が取れない問題だから点数が取れないと思うのが適切です。

それぞれの模試を受験して自己採点したとき,ぜひ点数補正してみてください。

自己採点で落ち込んでいる時間があったら,模試の振り返りをしましょう。

国家試験の難易度に近い問題で構成されている模擬試験は,日総研のものだと言えます。
そのため,これからの時期に解くには良いと思います。

受験する順番によっては,実力をつけても得点が下がることがあります。
模擬試験によって難易度に違いがあるからです。

一般的な模擬試験は,国家試験よりも難易度が高いことは明らかです。

模擬試験の結果が良ければ,それはもちろん素晴らしいことです。
今までの努力の結果です。

模擬試練の結果,思ったような点数が取れなかったとしても,学習方法にミスマッチがなかったかを見直す機会になります。その後が重要です。

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