ILO102号条約(1951年)を知っていますか?
ILO(国際労働機関)による社会保障に関する最低保障を定めたものです。
日本は,1976年に批准しています。
条約の内容は,
①医療給付
②傷病給付
③失業給付
④老齢給付
⑤業務災害給付
⑥家族給付
⑦母性給付
⑧廃失給付
⑨遺族給付
介護給付は含まれていません。
介護は,1951年の時点では想定されていなかったからです。
そういった意味で,介護は新しい福祉ニーズだと言えます。
古典的な福祉ニーズは,貧困です。
ニーズの充足のためには,金銭給付が有効です。
介護は,新しい福祉ニーズです。
金銭給付(現金給付)だけでは,ニーズは充足しません。
なぜなら,サービスが必要だからです。
お金は必要ですが,提供されるサービスがなければニーズは充足しません。
社会の変化によって,福祉ニーズは変化します。
10年後には,あるいは5年後には,今は想像もつかない福祉ニーズが生じているかもしれません。
新カリキュラムでは,これを「ニューニーズ」と表現しています。
ニュービーズではなく,ニューニーズです。
さて,現在国が目指しているのは,以下に要介護状態にさせないか,です。
試験委員は,様々な問題を作っていると思いますが,それを選ぶのは,試験委員ではありません。国試を実施する社会福祉振興・試験センターです。
そのため,国試には国の思惑が反映されます。
ありきたりの話ですが,そこを意識すると,得点力は確実にアップすることでしょう。
ぜひ意識してみてください。
それでは今日の問題です。
第26回。問題13 地域密着型サービスに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 地域密着型サービスは,事業所が存在する市町村の住民を対象としているため,他の市町村の住民は利用することはできないとされている。
2 地域密着型サービスの費用の財源は,国及び地方公共団体の公費負担のほか,第1号被保険者の保険料が充てられており,第2号被保険者の保険料は充てられていない。
3 市町村は,厚生労働大臣が定める基準により算定した額に代えて,その額を超えない額を,当該市町村の地域密着型介護サービス費の額とすることができる。
4 小規模多機能型居宅介護とは,通所介護,短期入所,訪問介護及び訪問リハビリテーションの4つのサービスを提供する事業である。
5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは,夜間の巡回訪問により,介護その他の生活上の世話をするものである。
地域密着型サービスは,2005年の法改正によって創出されたもので,現在は以下のものがあります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
夜間対応型訪問介護
地域密着型通所介護
認知症対応型通所介護
小規模多機能型居宅介護
認知症対応型共同生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
複合型サービス
地域密着型サービスの特徴は,事業所の指定権限は市町村がもっている点です。
話を戻して,問題の答えは選択肢3です。
3 市町村は,厚生労働大臣が定める基準により算定した額に代えて,その額を超えない額を,当該市町村の地域密着型介護サービス費の額とすることができる。
いかにも地域密着型サービスという感じです。
介護保険にかかわる事務は,自治事務です。
それでは,ほかの選択肢もみてみましょう。
1 地域密着型サービスは,事業所が存在する市町村の住民を対象としているため,他の市町村の住民は利用することはできないとされている。
市町村間で提携されていれば,利用することができます。
2 地域密着型サービスの費用の財源は,国及び地方公共団体の公費負担のほか,第1号被保険者の保険料が充てられており,第2号被保険者の保険料は充てられていない。
介護給付には,第1号被保険者と第2号保険者の保険料が使われます。
4 小規模多機能型居宅介護とは,通所介護,短期入所,訪問介護及び訪問リハビリテーションの4つのサービスを提供する事業である。
小規模多機能型居宅介護は,2種類以上のサービスを提供するものです。
5 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは,夜間の巡回訪問により,介護その他の生活上の世話をするものである。
夜間の巡回訪問により,介護その他の生活上の世話をするのは,「夜間対応型訪問介護」です。
<今日の一言>
介護保険サービスの種類は多くて覚えるのは大変です。
しかし,出題される時にはそれほど複雑な内容にはなっていません。
今日の問題でわかるように,やっぱり問われるのは,社会保障制度の根幹です。
最新の法制度を押さえなければ得点できない問題は,ほとんどありません。
もしそういった知識がなくても,消去法で正解できるような道筋を立てて問題が作られます。
これが今の国試問題の作り方のトレンドです。スタンダードな内容のものをひたすら覚えていくことで,得点力は必ず上がります。
最新の記事
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体
障害者総合支援法に規定される障害福祉サービスの実施主体は,市町村です。 同法における都道府県の役割は,障害福祉計画の作成,地域生活支援事業の実施,障害福祉サービス事業者等の指定などに限られます。 なお,自立支援医療には,育成医療,更生医療,精神通院医療の3種類がありますが,このう...
過去一週間でよく読まれている記事
-
児童等を規定する法制度はいくつかありますが,法によって年齢が異なります。 覚えにくいですが, 児童の年齢は,基本的に18歳です 。 20歳が規定されるのは, 母子及び父子並びに寡婦福祉法 など,ほんのわずかしかありません。 多くの法制度では,18歳です。 それでは,今日の問題です...
-
グループワークは以下の過程で実施されます。 準備期 ワーカーがグループワークを行う準備を行う段階です。 この段階には「波長合わせ」と呼ばれるクライエントの抱える問題,環境,行動特性をワーカーが事前に把握する段階が含まれます。波長合わせは,準備期に行うので注意が必要です。 ...
-
問題解決アプローチは,「ケースワークは死んだ」と述べたパールマンが提唱したものです。 問題解決アプローチとは, クライエント自身が問題解決者であると捉え,問題を解決できるように援助する方法です。 このアプローチで重要なのは,「ワーカビリティ」という概念です。 ワー...
-
19世紀は,各国で産業革命が起こります。 この産業革命とは,工業化を意味しています。 大量の労働力を必要としましたが,現在と異なり,労働者を保護するような施策はほとんど行われることはありませんでした。 そこに風穴を開けたのがブース,ラウントリーらによって行われた貧困調査です。 こ...
-
1990年(平成2年)の通称「福祉関係八法改正」は,「老人福祉法等の一部を改正する法律」によって,老人福祉法を含む法律を改正したことをいいます。 1989年(平成元年)に今後10年間の高齢者施策の数値目標が掲げたゴールドプランを推進するために改正されたものです。 主だった...
-
グループワークは以下の過程で実施されます。 準備期 ワーカーがグループワークを行う準備を行う段階です。 この段階には「波長合わせ」と呼ばれるクライエントの抱える問題,環境,行動特性をワーカーが事前に把握する段階が含まれます。波長合わせは,準備期に行うので注意が必要です。 ...
-
生活保護法の基本原理と原則は,毎年のように出題されています。 ところで,原理と原則の違いはわかりますか? これを理解しておかないと,さまざまな形で引っ掛けようとする問題に容易に引っ掛けられてしまいます。 原理には,例外がありません。 原則には,例外があります。 今日のテーマは,申...
-
今回から,質的調査のデータの整理と分析を取り上げます。 特にしっかり押さえておきたいのは,KJ法とグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)です。 どちらもとてもよく似たまとめ方をします。特徴は,最初に分析軸はもたないことです。 KJ法 川喜多二郎(かわきた・...
-
今回は,グループワーク(集団援助技術)の主な理論家を学びます。 グループワークの主な理論家 コイル セツルメントやYWCAの実践を基盤とし,グループワークの母と呼ばれた。 また,「グループワーカーの機能に関する定義」( ...
-
イギリスCOSを起源とするケースワークは,アメリカで発展していきます。 1920年代にペンシルバニア州のミルフォードで,様々な団体が集まり,ケースワークについて毎年会議を行いました。この会議は通称「ミルフォード会議」と呼ばれます。 1929年に,会議のまとめとして「ミルフ...