2020年7月31日金曜日

生活保護の扶助の種類とその内容


現在の扶助は8種類あります。

生活扶助
救護法(1929・昭和4年)で規定されたもの
医療扶助
  〃
助産扶助
  〃
生業扶助
  〃
葬祭扶助
旧・生活保護法(1946・昭和21年)で規定されたもの
教育扶助
現・生活保護法(1950・昭和25年)で規定されたもの
住宅扶助
  〃
介護扶助
介護保険法(2000・平成12年)の施行に伴い,追加されたもの

このうち,特に注意しておきたいものをピックアップします。

〈間違いやすいもの〉
小中学校等の入学にかかる費用
生活扶助
高等学校の授業料
生業扶助
介護保険サービスの利用料
介護扶助
介護保険料
生活扶助
入院した時の生活費
生活扶助
施設入所した時の生活費
生活扶助

それでは,今日の問題です。


第29回・問題65 生活保護の実施に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 保護の実施機関は,厚生労働省の地方厚生局である。

2 保護の実施機関は,被保護者に対して生活の維持のための指導をしてはならない。

3 保護の実施機関は,被保護者であった者について,保護を受けていた当時の雇主から報告を求めることができない。

4 扶養義務者がいる要保護者は,生活保護を受給することができない。


5 生業扶助には,高等学校就学費が含まれる。


制度を知らなくても正解できそうな問題です。

そういう意味では,問題の作り方が甘いと言えるでしょう。


正解は,選択肢5です。

5 生業扶助には,高等学校就学費が含まれる。

高等学校就学費は,生業扶助に含まれています。

教育扶助ではないところが注意ポイントです。

それでは,ほかの選択肢を見てみましょう。


1 保護の実施機関は,厚生労働省の地方厚生局である。

〈保護の実施機関〉
・都道府県知事
・市長
・福祉事務所を管理する町村長

わが国の救貧に関する法制度での実施機関を整理してみると以下のようになります。

恤救規則
国(内務省)
救護法
市町村長
旧・生活保護法
市町村長
現・生活保護法
・都道府県知事
・市長
・福祉事務所を管理する町村長

国が実施機関なのは,恤救規則の時のみです。
この時は,廃藩置県が行われた直後に近いので,まだまだ地方行政が出来上がっていません。

そのため,地方ではないのです。


2 保護の実施機関は,被保護者に対して生活の維持のための指導をしてはならない。

保護の実施機関は,被保護者に対して,生活の維持,向上その他保護の目的達成に必要な指導又は指示をすることができます。


3 保護の実施機関は,被保護者であった者について,保護を受けていた当時の雇主から報告を求めることができない。

保護の実施機関及び福祉事務所長は,保護の決定・実施又は施行のために必要があると認めるときは,官公署,日本年金機構若しくは共済組合等に対し,必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め,又は銀行,信託会社,雇主その他の関係人に,報告を求めることができます。


4 扶養義務者がいる要保護者は,生活保護を受給することができない。

生活保護の基本原理には,「補足性の原理」として,「扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は,すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」と規定しています。

しかし,扶養義務者がいても,扶養できない場合は,生活保護を受給することができます。

2020年7月30日木曜日

最もお金がかかっているのは,医療扶助です!


生活保護にかかる費用は,約3.8兆円です。

この金額を高いとみるか,低いとみるかは,個々によって異なるかと思いますが,社会保障給付費約120兆円に占める割合は,決して高いものではないように思います。

さて,生活保護費の扶助別割合です。

医療扶助
50
生活扶助
30
住宅扶助
16
介護扶助
約2%
その他の扶助
約1%

その他の扶助には,生業扶助,助産扶助,教育扶助,葬祭扶助が含まれます。


全体の費用の半分は,医療扶助が占めます。

生活保護というと,生活扶助というイメージが強いですが,実際に費用が最もかかっているのは,医療扶助です。

生活保護費を削減するなら,生活扶助の保護基準を下げるのではなく,医療扶助の見直しでしょう。

聞くところによると,以前は,生活保護受給者だと医療費の取りはぐれがないので,必要以上の薬剤を処方する医療機関もあったらしいです。

実際,複数の医療機関にかかって,ダブって処方されることはよくあったようです。

現在は,できるだけジェネリック医薬品を使うように制度が変わりましたが,以前はそういったこともなかったようです。

不正受給があると世間の目が厳しくなりますが,いずれにせよ,生活扶助よりも医療扶助に多くかかっていることを覚えておきたいです。

それでは,今日の問題です。

29回・問題64 生活保護の動向に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 平成景気が終了した直後,生活保護受給世帯数が生活保護法施行後,最も多くなっている。

2 リーマンショック(2008年(平成20年))以降,受給者数は減少を続けている。

3 2014年(平成26年)の生活保護受給世帯人員別内訳では,単身世帯の占める割合が最も高くなっている。

4 2015年度(平成27年度)の生活保護費扶助別内訳では,生活扶助費の占める割合が最も高くなっている。

5 2015年度(平成27年度)の生活保護費扶助別内訳では,介護扶助費の占める割合が最も低くなっている。


この問題では,2015年度(平成27年度)のデータが問われていますが,現在も傾向はほぼ一緒です。

もし年度によって順位が変わるようなものがあった場合,国家試験では出題されない傾向があります。

そういったものがあると,どの年度の数字を覚えたらないのか,と不安になるでしょう。
しかし,そういったものはほぼ出題されないので,気にすることはありません。
国家試験では,明確なものを出題します。

それでは解説です。


1 平成景気が終了した直後,生活保護受給世帯数が生活保護法施行後,最も多くなっている。

生活保護受給世帯数は,1992年(平成4年)が最も少なく,その後,上昇していきます。


2 リーマンショック(2008年(平成20年))以降,受給者数は減少を続けている。

被保護実人員は,1995年(平成7)が最も少なく,その後,上昇しています。


3 2014年(平成26年)の生活保護受給世帯人員別内訳では,単身世帯の占める割合が最も高くなっている。

これが正解です。単身世帯(一人世帯)は,いつも7割以上を占めています。


4 2015年度(平成27年度)の生活保護費扶助別内訳では,生活扶助費の占める割合が最も高くなっている。

最も多いのは,全体の半分を占める医療扶助です。


5 2015年度(平成27年度)の生活保護費扶助別内訳では,介護扶助費の占める割合が最も低くなっている。

その他の扶助(生業扶助,助産扶助,教育扶助,葬祭扶助)が最も少なくなっています。
このうち,最も少ないのは,助産扶助です。

介護扶助の割合は2%程度と低いですが,近年一貫して伸びていることを覚えておきましょう。

2020年7月29日水曜日

福祉事務所を設置していない町村の役割


福祉事務所は,社会福祉法の規定により,都道府県及び市が設置しなければなりません。

町村は任意で設置することができます。

国家試験では,旧カリキュラムの時代から,

都道府県及び市町村は,福祉事務所を設置しなければならない。

と何度も出題されていますが,間違わないようにしましょう。

福祉事務所の設置について出題された時は,町村がくっついていないか,目を皿のようにして,確認するようにしたいです。たった2文字を加えるだけで,誤ったものとなります。

正しいのは・・・

都道府県及び市は,福祉事務所を設置しなければならない。


間違っているのは・・・

都道府県及び市町村は,福祉事務所を設置しなければならない。


今は,冷静に読んでいるので,「こんなところに引っ掛かるわけがない」と思うでしょう。

しかし,国家試験会場の独特の雰囲気の中では,緊張し,文字が頭に入ってこなくなり,普段はしないミスをするものです。

こういった引っ掛けポイントを事前に知っておくと,ミスは減らせるでしょう。


福祉事務所の設置に関する問題の場合は,設置義務に「町村」を含めた記述になっていないか,必ず確認するようにしましょう。そこが見極めポイントです。


さて,町村は,福祉事務所の設置義務はありません。
しかし,福祉事務所を設置しなくても,生活保護に関する役割はあります。

よく知られるものには,職権保護があります。


職権保護
25条 
3 町村長は,要保護者が特に急迫した事由により放置することができない状況にあるときは,すみやかに,職権をもって第十九条第六項に規定する保護を行わなければならない。


応急的処置第十九条第六項)
福祉事務所を設置しない町村の長は,その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して,応急的処置として,必要な保護を行うものとする。


さらに,第十九条第七項では,以下のように規定されます。(要約)


福祉事務所を設置していない町村の役割
7 町村長は,保護の実施機関又は福祉事務所の長が行う保護事務の適切な執行のため,次に掲げる事項を行う。
一 要保護者の発見,被保護者の生計その他の状況の変動を発見した場合,速やかに,保護の実施機関又は福祉事務所長に通報すること。
二 保護開始又は変更申請を受け取った場合,保護の実施機関に送付しなければならない。
三 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合,被保護者等に保護金品を交付すること。
四 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合,要保護者に関する調査を行うこと。


町村が福祉事務所を設置せずとも,役割はこのように定められています。

それでは,今日の問題です。


29回・問題63 生活保護制度について,国,都道府県及び市町村の役割に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 国は,居住地がないか,又は明らかでない被保護者の保護に要する費用の全額を負担する。

2 厚生労働大臣以外の者は,生活保護法に基づく医療機関を指定することができない。

3 都道府県知事は,生活保護法に定める職権の一部をその管理に属する行政庁に委任することができない。

4 人口5万人未満の市は,福祉事務所を設置しなくてもよい。

5 福祉事務所を設置していない町村の長は,特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して応急的な処置として必要な保護を行う。


制度の詳細を知らなくても,日本語的に解けそうな問題かもしれません。


正解は,選択肢5です。

5 福祉事務所を設置していない町村の長は,特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して応急的な処置として必要な保護を行う。


生活保護の基本原則には,「申請保護の原則」がありますが,急迫した事由がある場合は,職権で保護を行います。

それは,保護の実施機関のみならず,福祉事務所を設置していない町村にも課せられています。

それでは,ほかの選択肢です。

1 国は,居住地がないか,又は明らかでない被保護者の保護に要する費用の全額を負担する。


保護費の負担割合
4分の3
居住地が明らかな場合
(保護の実施機関を設置する地方公共団体)
4分の1
居住地が明らかではない場合
(都道府県)
4分の1


国の負担割合は,多くの制度で2分の1とされます。
保護費の負担割合が4分の3となっているのは,保護は国家責任で行うものだからです。

4分の3はレアです。ほかには,生活困窮者自立支援法の必須事業の負担割合が保護費と同じ4分の3です。


2 厚生労働大臣以外の者は,生活保護法に基づく医療機関を指定することができない。


医療機関の指定
国の開設した病院等
そのほかの病院等
都道府県知事



3 都道府県知事は,生活保護法に定める職権の一部をその管理に属する行政庁に委任することができない。

保護の実施機関は,保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に委任することができます。


4 人口5万人未満の市は,福祉事務所を設置しなくてもよい。

人口にかかわらず,市は福祉事務所を設置しなければなりません。

2020年7月28日火曜日

障害者虐待を発見した場合の対応法


今回は,障害者虐待防止法に取り組んでいきたいと思います。


障害者虐待の定義
・養護者による障害者虐待
・障害者福祉施設従事者等による障害者虐待
・使用者による障害者虐待

3種類あるのが複雑なところです。

それぞれで対応法が少し異なります。



通報先
養護者による障害者虐待を発見した者
市町村
障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を発見した者
市町村
使用者による障害者虐待を発見した者
市町村又は都道府県



通報を受けた市町村の対応
養護者による障害者虐待の場合
事実確認及び市町村障害者虐待対応協力者との協議
障害者福祉施設従事者等の場合
障害者福祉施設の業務又は障害福祉サービス事業等の適正な運営の確保
使用者による障害者虐待の場合
事業所の所在地の都道府県に通知しなければならない



使用者による障害者虐待の場合のみ,都道府県が絡んでいます。

その理由は,都道府県が使用者による障害者虐待の通知を受けたときの対応として,当該通報等について,事業所の所在地を管轄する都道府県労働局に報告しなければならないからです。


それでは,今日の問題です。

29回・問題62 事例を読んで,この時点におけるP市障害者虐待防止センターの対応として,最も適切なものを1つ選びなさい。

〔事 例〕
 精神障害のあるGさん(45歳,女性)は,父親(78歳)と二人暮らしである。母親は病死し,きょうだいはいない。最近,Gさんは,自分の障害年金が入っている預金通帳の残高が知らない間に減っていることに気付いた。Gさんは,父親が貯金を黙って下ろしているのではないかと疑い,父親に尋ねた。父親は否定し,大事には至らなかったが暴力を振るわれたとのことであった。相談を受けた民生委員は,直ちにP市障害者虐待防止センターに通報した。

1 Gさんへの父親からの,虐待に関する通報があったことを,都道府県に報告する。

2 Gさん宅への立ち入り調査を実施するため,警察署長に援助を求める。

3 Gさんの安全を確保するため,緊急一時保護の利用を勧める。

4 Gさんに関わる民生委員からの通報について,事実確認を行う。

5 Gさんのお金を父親から取り戻し,日常生活自立支援事業の利用を勧める。


障害者虐待防止センターとは,障害者虐待の通報の届出の受理などを行うための市町村の機能です。

センターとして設置される場合もありますし,市町村の関係部局がセンターの機能を果たすこともあります。

さて,この事例は,養護者による障害者虐待が疑われるものです。

発見者は,虐待の事実があるかどうかにかかわらず,市町村に通報しなければなりません。

養護者による障害者虐待が疑われる通報を受けた市町村の対応は,

①事実確認
②市町村障害者虐待対応協力者との協議


この問題は正解を1つ選ぶ問題ですから,

正解は,選択肢4

4 Gさんに関わる民生委員からの通報について,事実確認を行う。

だということになります。


<今日の一言>

法制度系の科目の事例問題は,事例問題として読むと間違える原因になるので注意が必要です。

この問題は,事例問題に見せかけて,障害者虐待防止法の知識が問われています。

1 Gさんへの父親からの,虐待に関する通報があったことを,都道府県に報告する。

は一見正しいように思えますが,都道府県に報告しなければならないのは,虐待の3つのうち,「使用者による障害者虐待」の場合のみです。

事例問題は,ポイントに気がつけば,迷う余地がないように作られます。

そうでないと,不適切問題になってしまう恐れがあるからです。

今日の問題のポイントは,虐待したと思われる者の種類によって,発見した者及び市町村の対応が異なることを知っていることです。

この問題の場合は,それを知らなくても正解はできますが,事例問題でミスしないために,そのポイントに気がつくことが大切です。

2020年7月27日月曜日

各法における障害者の定義


障害者に関する主な法律の定義をまとめると以下のようになります。

障害者の定義
障害者基本法・障害者差別解消法
身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって,障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
障害者虐待防止法
障害者基本法に規定する障害者をいう。
※つまり,障害者基本法,障害者差別解消法,障害者虐待防止法の3法の定義は同じ。
障害者総合支援法
身体障害者福祉法に規定する身体障害者,知的障害者福祉法にいう知的障害者のうち十八歳以上である者及び精神保健福祉法に規定する精神障害者(発達障害者支援法に規定する発達障害者を含み,知的障害者福祉法にいう知的障害者を除く)のうち十八歳以上である者並びに治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者であって十八歳以上であるものをいう。
障害者雇用促進法
身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害)があるため,長期にわたり,職業生活に相当の制限を受け,又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいう。
身体障害者の定義(身体障害者福祉法)
「身体障害者」とは,別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であつて,都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう。
知的障害者の定義
法では定義されていない。
精神障害者の定義(精神保健福祉法)
統合失調症,精神作用物質による急性中毒又はその依存症,知的障害,精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。
発達障害者の定義(発達障害者支援法)
発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。


それでは,今日の問題です。


29回・問題61 障害者の法律上の定義に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 障害者基本法における「障害者」には,一時的に歩行困難になった者も含まれる。

2 発達障害者支援法における「発達障害者」とは,発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。

3 「障害者総合支援法」における「障害者」は,20歳以上の者とされている。

4 知的障害者福祉法における「知的障害者」とは,児童相談所において知的障害であると判定された者をいう。

5 「精神保健福祉法」における「精神障害者」とは,精神障害がある者であって精神障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。

(注) 「精神保健福祉法」とは,「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。

これだけ,定義を並べられると勉強不足の人は混乱してしまうことでしょう。

そういった意味では,スタンダードな内容でありながら,うまい出題だと思います。

それでは解説です。



1 障害者基本法における「障害者」には,一時的に歩行困難になった者も含まれる。

障害者基本法では,

障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの

と規定されています。

法では,このように障害の程度が規定されているものと障害の程度が規定されていないものがあります。

障害の程度が規定されているのは,

障害者基本法(及び障害者差別解消法,障害者虐待防止法)
障害者雇用促進法
発達障害者支援法

それ以外の法には,障害の程度が規定されていません。
単に障害があることのみが規定されます。


2 発達障害者支援法における「発達障害者」とは,発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。

これが正解です。

発達障害者支援法は,障害の程度が規定されている数少ない法の一つです。

この法の障害の程度とは,「発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受ける」という部分です。


3 「障害者総合支援法」における「障害者」は,20歳以上の者とされている。

障害者総合支援法が規定している障害者は,18歳以上の者です。

18歳未満は,児童福祉法で障害児と規定されます。


4 知的障害者福祉法における「知的障害者」とは,児童相談所において知的障害であると判定された者をいう。

知的障害者は,法で定義されていません。


5 「精神保健福祉法」における「精神障害者」とは,精神障害がある者であって精神障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう。

精神保健福祉法が規定する精神障害者は,障害の程度が規定されていません。

単に以下のように定義されます。

統合失調症,精神作用物質による急性中毒又はその依存症,知的障害,精神病質その他の精神疾患を有する者をいう。



<今日の一言>

定義がいっぱいあって覚えるのが大変だと思う人が多いことと思います。

すべてをきちっと覚えようとすると,丸暗記するしかないという悲壮感にさいなまれてしまいます。


整理してみると,


手帳の交付をもって,定義されるのは

身体障害者のみ


障害の程度が規定されているのは,

障害者基本法(及び障害者差別解消法,障害者虐待防止法)
障害者雇用促進法
発達障害者支援法


精神障害者の定義で,「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けたものをいう」といった出題は間違い。

今日の問題のように,精神障害者の定義に「社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいう」となると間違い。

知的障害者は,法規定されていないので,何が書かれていようとも間違い。

というように対処できます。

別な言い方をすると,整理しないで力技で覚えていると,正解できないことになりかねません。

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