2020年7月11日土曜日
福祉サービス費の支給の仕組み
本来,各種の福祉サービスは,自由に利用することができます。
もちろん,自由にサービス利用できるのは,利用者が自らサービス利用の費用を支払う場合です。
また,サービス提供事業者も本来は自由に金額を決めて自由にサービスを提供することができます。
もちろん,自由にサービス提供できるのは,指定を受けない場合です。
ここに社会保障制度を組み込みます。
福祉ニーズがあると判定された場合,指定事業者が提供する福祉サービスを利用すると,福祉サービス費が支給されます。
本来は,自費になるものを「●●円まで支給します」となり,その範囲内について,福祉サービス費が支給されます。
これを決定するのが,制度によって,都道府県になったり,市町村になったりするので覚えるのが複雑になります。
サービス提供事業所も,指定を受けるためには,法制度に基づいたサービスを提供することになります。
それでは,今日の問題です。
第29回・問題44 社会福祉制度の利用に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 児童福祉法によれば,市町村は,児童養護施設への入所申請があった場合,入所の措置を採らなければならない。
2 子ども・子育て支援法によれば,認定子ども園を利用する場合,保護者は,市町村から支給認定を受けなければならない。
3 生活保護法によれば,保護の実施機関は,保護の開始の申請のあった日から七日以内に決定内容を申請者に通知しなければならない。
4 「障害者総合支援法」によれば,市町村は,介護給付費等を支給決定障害者等に代わって,指定障害福祉サービス事業者等に支払うことはできない。
5 介護保険法によれば,都道府県は,指定する介護老人福祉施設の行う介護福祉施設サービスの利用に対して,施設介護サービス費を支給しなければならない。
解答テクニックでは絶対に解けない問題です。
特に複雑なのが,児童福祉法に関するものです。
通所関係は,市町村の取り扱い事務です。
入所関係は,都道府県の取り扱い事務です。
それに対して,障害者関係と高齢者関係は,入所も通所も市町村の取り扱い事務です。
これらは,1990(平成2)年の福祉関係八法改正により,都道府県から市町村に権限移譲されたからです。(八法改正では,高齢者と身体障害者,その後,2003年に知的障害者の入所措置が権限移譲された)
それでは,解説です。
1 児童福祉法によれば,市町村は,児童養護施設への入所申請があった場合,入所の措置を採らなければならない。
児童の入所は都道府県の取り扱い事務です。
市町村が取り扱うのは,通所関係です。
2 子ども・子育て支援法によれば,認定子ども園を利用する場合,保護者は,市町村から支給認定を受けなければならない。
これが正解です。
子ども・子育て支援法に規定される事業は,すべて通所しかありません。
認定こども園に限らず,通所関係はすべて市町村の取り扱い事務です。
別な言い方をすると,子ども・子育て支援法には入所関係がないので,都道府県が取り扱う事務は施設整備(届出や認可など)以外にほとんどありません。
3 生活保護法によれば,保護の実施機関は,保護の開始の申請のあった日から七日以内に決定内容を申請者に通知しなければならない。
もしかするとこの選択肢は解答テクニックで消去できるかもしれません。
ここで用いる解答テクニックは,「具体的な数字は怪しい」というものです。
正しくは,14日以内です。具体的な数字は,この問題のようにそこを変えるだけで,間違い選択肢にすることができます。
どうしてもわからない場合は,こういった選択肢は極力選ばないのが賢明です。
4 「障害者総合支援法」によれば,市町村は,介護給付費等を支給決定障害者等に代わって,指定障害福祉サービス事業者等に支払うことはできない。
本来,福祉サービス費は,利用者に支給するものです。
しかし,この仕組みでは,利用者は一度全額を支払い,その後で還付されることになるので,後で戻ってくると言っても,経済的な負担があります。
そのため,利用者に支給するのではなく,サービス提供事業者に支給する,「代理受領」という仕組みを採用しています。
5 介護保険法によれば,都道府県は,指定する介護老人福祉施設の行う介護福祉施設サービスの利用に対して,施設介護サービス費を支給しなければならない。
介護保険の実施主体は市町村です。
施設介護サービス費は,市町村が支給します。
繰り返しになりますが,高齢者と障害者は市町村の取り扱い事務です。
児童は,入所と通所では役割が異なり,入所は都道府県,通所は市町村となります。
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