2020年7月5日日曜日

必ず正解したい民生委員問題~定数は「基準を参酌して」



民生委員の根拠法である「民生委員法」は,わずか29条で構成されています。しかも途中,いくつかの条文は削除されています。

民生委員はかなり出題頻度が高いので,民生委員法は,一度で良いので目を通しておくとよいと思います。

それでは,今日の問題です。

29回・問題38 民生委員・児童委員に関する法の規定についての次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 児童福祉法に定める児童委員は,本人の申出によって,民生委員との兼務を辞退することができる。

2 民生委員は,市町村長の推薦によって,都道府県知事から委嘱される

3 補欠で着任した民生委員・児童委員は,着任目から起算して3年を任期とすると定められている。

4 民生委員・児童委員の定数は,厚生労働大臣の定める基準を参酌して,市町村の区域ごとに都道府県の条例で定められている。

5 都道府県知事は,民生委員協議会を組織しなければならない。


この問題は,知識なしでは正解するのは難しいと思います。

しかし,確実に知識をつけてきた人なら正解できる確率は高くなります。


正解は,選択肢4

4 民生委員・児童委員の定数は,厚生労働大臣の定める基準を参酌して,市町村の区域ごとに都道府県の条例で定められている。

国家試験で出題されるものの中で「基準を参酌して」は,現在は民生委員しかありません。本当はいっぱいありますが,国家試験で出題されるのは民生委員だけです。

以前は,児童相談所に配置される児童委員数も「基準を参酌して」だったのですが,現在は,「基準を標準として」という一段階高いものに変更されています。

さらにもう一段階高いのは「基準として」です。

それでは,ほかの選択肢も確認しましょう。


1 児童福祉法に定める児童委員は,本人の申出によって,民生委員との兼務を辞退することができる。

児童福祉法第十六条の2 
民生委員法による民生委員は、児童委員に充てられたものとする。

つまり,民生委員に委嘱された者は,自動的に児童委員となります。

兼務を辞退することはできるわけがありません。


2 民生委員は,市町村長の推薦によって,都道府県知事から委嘱される。

これは今まで何度出題されたことでしょうか。あまりに出題される回数が多いので,調べる気にもなれません。

第五条 民生委員は、都道府県知事の推薦によつて、厚生労働大臣がこれを委嘱する。


3 補欠で着任した民生委員・児童委員は,着任目から起算して3年を任期とすると定められている。

第十条 民生委員には、給与を支給しないものとし、その任期は、三年とする。ただし、補欠の民生委員の任期は、前任者の残任期間とする。


5 都道府県知事は,民生委員協議会を組織しなければならない。

第二十条 民生委員は、都道府県知事が市町村長の意見をきいて定める区域ごとに、民生委員協議会を組織しなければならない。

主語がわかりにくいと思う人もいると思いますが,「民生委員は、民生委員協議会を組織しなければならない」となります。


<今日の一言>

基準を参酌して

「参酌して」とは,「参考にして」という意味です。

第四条 民生委員の定数は、厚生労働大臣の定める基準を参酌して、前条の区域ごとに、都道府県の条例で定める。

この条文を言い換えると,

民生委員の定数は,厚生労働省が定めた基準を参考にして,市町村の区域ごとに都道府県の条例で定める。

あるいは,都道府県を主語にして

都道府県は,厚生労働省が定めた基準を参考にして,民生委員の定数を市町村の区域ごとに条例で定める。

となります。

法律用語は読みにくいので,慣れることが必要です。

先述の

民生委員は、都道府県知事が市町村長の意見をきいて定める区域ごとに、民生委員協議会を組織しなければならない。

の文章は,

都道府県知事が市町村長の意見をきいて定める区域ごとに、民生委員は、民生委員協議会を組織しなければならない。

という文章と言い換えることができます。

もし法の条文がこのような文章であったなら,今日の問題の選択肢5は,違う文章で出題されていたことでしょう。

つまり,この選択肢は,間違えて理解している人がいるだろう,という予測をしたうえで出題したと考えられます。



覚えにくいと思うものは,ほかの多くの人も同じく覚えにくいものです。

そこを乗り越えることができたなら,合格に大きく近づきます。

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