今回から科目は,福祉行財政と福祉計画に取り組んでいきます。
第1回は,共同募金です。
この科目よりも「地域福祉の理論と方法」で出題される傾向にあります。
共同募金は,今まで32回行われた国試で,実に22回も出題されています。
ほぼ毎回出題されると考えて良いでしょう。
出るか出ないかわからないものを取りつかれたように追いかけていくよりも,こういったものを確実に正解できるように覚えるのが得策です。
共同募金にかかわる社会福祉法の規定(主なもの)
目的
|
区域内における地域福祉の推進
|
募集期間
|
毎年一回、厚生労働大臣の定める期間内
※令和元年度の場合は,10/1~3/31
|
共同募金の事業
|
第一種社会福祉事業
|
共同募金の禁止
|
共同募金会以外の者は、共同募金事業を行ってはならない。
|
配分委員会
|
寄附金の公正な配分に資するため、共同募金会に配分委員会を置く。
|
共同募金の配分
|
共同募金は、社会福祉を目的とする事業を経営する者以外の者に配分してはならない。
共同募金会は、寄附金の配分を行うに当たっては、配分委員会の承認を得なければならない。
募集期間が満了した日の属する会計年度の翌年度の末日までに、その寄附金を配分しなければならない。
国及び地方公共団体は、寄附金の配分について干渉してはならない。
|
準備金
|
災害の発生その他に備えるため、共同募金の寄附金の額に厚生労働省令で定める割合を乗じて得た額を限度として、準備金を積み立てることができる。
災害の発生その他があった場合には、当該共同募金会が行う共同募金の区域以外の区域において社会福祉を目的とする事業を経営する者に配分することを目的として、同項の準備金の全部又は一部を他の共同募金会に拠出することができる。
|
受配者の寄附金募集の禁止
|
共同募金の配分を受けた者は、その配分を受けた後一年間は、その事業の経営に必要な資金を得るために寄附金を募集してはならない。
|
これらを押さえたところで,今日の問題です。
第29回・問題42 社会福祉法に定める共同募金に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1 共同募金は,市町村の区域を単位として募集される。
2 共同募金を行う事業は,第二種社会福祉事業である。
3 共同募金会以外の者は,共同募金事業を行うことが禁止されている。
4 共同募金は,社会福祉を目的とする事業を経営する者以外にも配分される。
5 国は,寄附金の配分について関与できる。
解答テクニックで合格できるという人もいますが,解答テクニックだけでボーダーラインを超えることができるほど簡単な試験ではありません。
確実な知識があって初めて発揮できるものです。
今日の問題は,解答テクニックではどうにもなりません。
しかし,知識があれば,迷うことなく,選択肢3が正解であることがわかるでしょう。
3 共同募金会以外の者は,共同募金事業を行うことが禁止されている。
<今日の一言>
今日の問題は,難易度はそれほど高くはありません。
なぜなら,正解になったのは,
3 共同募金会以外の者は,共同募金事業を行うことが禁止されている。
という知識がなくても,冷静に考えれば正解っぽいと思えるものを正解にしたからです。
この問題はたまたまそうなっただけで,知識なしで正解できる問題は,法制度に関する問題にはほとんど存在しません。
この問題で,確実に押さえておきたいのは,
共同募金は,第一種社会福祉事業である!
これがわかっていないと,おそらく今日の問題で正解するのは困難です。