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2025年5月17日土曜日

福祉の歴史に登場する人物

 

今日の問題で出題されている人物の過去の出題回数は以下の通りです。

(第3~37回国家試験)

 

石井十次

岡山孤児院

18

山室軍平

救世軍

5回

留岡幸助

家庭学校

15

野口幽香

二葉幼稚園

7回

石井亮一

滝乃川学園

7回

 

以前に調べた時には,留岡幸助がトップでしたが,いつのまにか石井十次がトップになっていました。

 

いずれにせよ,この2人の出題頻度は飛びぬけています。

 

それでは,今日の問題です。

 

35回・問題25

近代日本において活躍した福祉の先駆者に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 石井十次は岡山孤児院を設立した。

2 山室軍平は家庭学校を設立した。

3 留岡幸助は救世軍日本支部を設立した。

4 野口幽香は滝乃川学園を設立した。

5 石井亮一は二葉幼稚園を設立した。

 

これは,ものすごくシンプルに出題されていますが,これは珍しいです。

 

この問題の答えは,

 

1 石井十次は岡山孤児院を設立した。

 

あとは,解説しません。

2020年2月8日土曜日

人名問題対策~第32回国家試験に出題された人名(日本人・外国人)

受験生の多くが苦手としているのは,歴史と人名です。

第32回国試では,以下の人名が出題されています。

科目
問題
人名
出題
回数
心理学理論と心理的支援
9
クレッチマー
6
ユング
13
オールポート
3
キャッテル
3
社会理論と社会システム
15
ウェーバー
14
19
パーソンズ
10
地域福祉の理論と方法
24
木田徹郎
2
三浦文夫
7
岡村重夫
14
孝橋正一
5
一番ヶ瀬康子
3
相談援助の基盤と専門職
93
ベーム
3
ジャーメイン
17
シュワルツ
9
ゴールドシュタイン
2
バートレット
14
相談援助の理論と方法
101
ランク
6
ロス
10
ホリス
14
タフト
2
パールマン
14
109
カデューシン
1
児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
137
ヤヌシュ・コルチャック
1
トーマス・ジョン・バーナード
4
セオドア・ルーズベルト
2
エレン・ケイ
2
ロバート・オーウェン
2


8問にわたり,27名が出題されています。

出題回数は,国家試験問題が公開されるようになった第3回~第32回までに国家試験の問題中に現れた回数です。

そのため,選択肢の内容がある人物のことを述べていても,文章として現れていないものは,カウントしていません。

問題137では,一見さんであるコルチャックが出題されて驚愕した人が多かったと思います。
児童の科目では,近年,日本人の出題が続いていたので,なおのこと,びっくりしたことでしょう。

夏場には,新しい参考書が発売されていきますが,おそらくカデューシンもコルチャックもその中に含まれるでしょう。

そうなると,もう目新しくなくなってしまうので,第32回国試を受験した人が味わった驚愕を感じることはないはずです。

この表に示したように,出題された回数は,まったく異なります。
極めて重要な人とそうではない人がいます。

参考書では,それらの出題頻度が書かれていないので,どれもが重要だと思いがちですが,実はそんなことはありません。

気楽に取り組んでいくことが大切なように思います。

さて,人名問題には,いくつかの種類に分類することができます。

①実績を問うもの。
②提唱した理論を問うもの。

このうち,

①実績を問うもの。

は,石井十次は岡山孤児院を創設した,といったものです。

その問題への対応は「人名+実績」となります。

上記の表では,問題9,137がこれに当たります。

②提唱した理論を問うもの。

は,人名+実績に加えて,その内容を押さえることが必要です。

①に比べると少し高度になります。

理論の内容を理解することが必要だからです。

上記の表では,問題15,19,24,93,101,109がこれに当たります。

②であるのに①のような覚え方をすると,せっかく覚えたものでも,国家試験では役立たないことになるので要注意です。

2019年11月30日土曜日

社会福祉士の国家試験で絶対に押さえておきたい人名~児童福祉五人衆

参考書には,たくさんの人名が記載されています。
それらを覚えなければいけないと思うかもしれません。

もちろん覚えないよりも覚えた方が良いに決まっています。

しかし,社会福祉士の国家試験に出題されるのは,ほとんどがいわゆる一見さんです。
また,人名を覚えておかなければ答えられない問題はほとんどありません。

そんなところに時間をかけるなら,法制度をしっかり覚えたほうが良いです。

しかし,悪いことに,歴史や概論的な内容は,科目の最初にあります。国試で合格するために重要なのは,法制度です。

歴史や概論の部分で疲弊してしまって,本来十分に時間をかけて覚える必要がある法制度が覚える時間がなくなるのでは,本末転倒です。

中学校の歴史の授業のようなものです。

古代に時間をかけて,受験で重要な近代を教える時間がなくなってしまったということと同じです。

今の時点で苦手意識を持っているとすれば,それを克服するほどの時間はありません。
1・2点のために,貴重な時間を費やすのは適切ではないと思います。

多くの受験生は,歴史も人名も苦手です。

合格する人は,苦手な部分があっても,得点しなければならないものは,しっかり押さえています。

人名で絶対に押さえておきたいのは,児童福祉に関連する5人(児童福祉五人衆)です。

石井十次
石井亮一
留岡幸助
野口幽香
糸賀一雄

の五人です。

5人くらいなら,何とかなりませんか?

こういった人を覚えなければならないのには意味があります。

「社会理論と社会システム」や「心理学理論と心理的理論」(現時点の科目名)は,目に見えない,あるいは目に見えているものに印をつけた人(つまり提唱者)であるのに対し,この領域の人は,理論家や研究者ではなく,実践者です。

現在の福祉現場にいる人にとってはイメージしにくいかもしれませんが,法制度で守られた中でその人たちが活動したのではなく,逆にその実践が法制度をつくることにつながったものさえあります。

コミュニティを定義した人は多くいるかもしれません。

しかし,家庭学校をつくったのは,留岡幸助しかいません。

滝乃川学園をつくったのは,石井亮一しかいません。


ということで,今日の問題です。

第26回・問題138 我が国の児童福祉の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 高木憲次は,愛知県北西部から岐阜県下にかけて大きな被害をもたらした濃尾大震災の孤児を救済するために,光明学校を設立した。

2 留岡幸助は,少年教護法の制定後,非行少年の教護事業を目的とした家庭学校を東京巣鴨に設立した。

3 石井亮一は,アメリカの発達保障の理論を持ち帰り,近江学園を設立した。

4 山室軍平は,イギリスのバーナード(Barnard,T.)が建てたビレッジ・ホームを模した小舎制のキングスレー館を設立した。

5 野口幽香は,貧困家庭の子ども等,不幸な境遇にある子女に対して幼児教育を行うために,二葉幼稚園を設立した。


五人衆以外に出題されているのは,高木さんと山室さんです。

高木さんは,整形外科医であり,肢体不自由児の父と呼ばれる方です。
日本で初めての肢体不自由児療育施設を創設しました。

山室さんは,岡山四聖人と呼ばれ中の一人で,社会鍋で知られる救世軍の指導者です。
軍という名称がついていますが,軍隊ではありません。

岡山四聖人は,石井十次さん(岡山孤児院),留岡幸助さん(家庭学校),A.アダムスさん(岡山博愛会),そして山室軍平さん(救世軍)です。

留岡さんは,東京と北海道で活躍しますが,ルーツは岡山にあります。
それにしてもすごい人が集まったものですね。

こういったところには,正解があることはあまりありません。

この問題の正解は,

5 野口幽香は,貧困家庭の子ども等,不幸な境遇にある子女に対して幼児教育を行うために,二葉幼稚園を設立した。

ほかの選択肢も見てみましょう。


1 高木憲次は,愛知県北西部から岐阜県下にかけて大きな被害をもたらした濃尾大震災の孤児を救済するために,光明学校を設立した。

高木さんが創設したのは,日本で最初の肢体不自由児施設となった整肢療護園です。


2 留岡幸助は,少年教護法の制定後,非行少年の教護事業を目的とした家庭学校を東京巣鴨に設立した。

現在の児童自立支援施設は,1900年の感化法で感化院が法で規定されて,1933年の少年教護法で少年教護院となり,戦後,児童福祉法で教護院,1998年の改正で現在の名称になりました。

留岡さんは,法規定されてから家庭学校を設立したのではありません。もしそうだったら,国家試験に何度も何度も出題されるようなことはないでしょう。

法に規定されずに慈善事業として活動したところに国試に出題される価値があります。


3 石井亮一は,アメリカの発達保障の理論を持ち帰り,近江学園を設立した。

石井(亮)さんが設立したのは,滝乃川学園です。同学園は現存します。
初代理事長になったのは,一万円札の渋沢栄一です。

渋沢さんは,現在の全国社会福祉協議会の源流の一つである中央慈善協会の初代会長でもあります。

近江学園を設立したのは,糸賀一雄さんです。


4 山室軍平は,イギリスのバーナード(Barnard,T.)が建てたビレッジ・ホームを模した小舎制のキングスレー館を設立した。

山室さんは,先述のように,救世軍の日本における指導者です。

ビレッジ・ホームを模して創設したのは,石井(十)さんの岡山孤児院です。
セツルメントハウスであるキングスレー館を設立したのは,キングスレー館です。


<今日の一言>

今日の問題の解説の詳細はこちらにあります。
  ↓   ↓
https://fukufuku21.blogspot.com/2017/07/blog-post_31.html

児童福祉五人衆の出題頻度をまとめたものはこちらにあります。
  ↓   ↓
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/02/20180217.html

人名はたくさん出題されますが,現在の国家試験で人名を覚えておかなければならない最優先は,この五人衆です。

人名が苦手だという人でも5人なら覚えられるでしょう。

どうしても覚えられないなら,親しみを持つため,ちょっとだけネットで調べてみるのもおすすめです。しかし,本当にちょっとだけですよ。はまったら大変なことになってしまいます。

2019年5月23日木曜日

人名問題に見えて,人名問題ではない問題

多くの受験生は,人名と歴史が苦手です。

国試は,上位30%が合格できる試験です。

多くの人が苦手だと思っている領域が得意になると,ほかの受験生に差をつけられることになるのは間違いありません。

今日の問題は,人名問題のように見えて,人名が答えになっていない問題です。


それでは今日の問題です。

第30回・問題100 ソーシャルワーク実践理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 グループワークを体系化したのは,リッチモンド(Richmond,M)である。

2 治療モデルを確立したのは,タフト(Taft,J)とロビンソン(Robinson,V)である。

3 生活モデルを提唱したのは,ピンカス(Pincus,A)とミナハン(Minahan,A)である。

4 ジェネラリスト・ソーシャルワークは,ソーシャルワーク理論の統合化により発展した。

5 ナラティブ・アプローチは,専門性に基づく支援者の知識に着目した。


人名として,リッチモンド,タフトとロビンソン,ピンカスとミナハンが提示されている問題です。

人名が苦手だと思っている人にとっては,嫌な感じがする問題だと思います。


さて,この問題の正解は,選択肢4です。

4 ジェネラリスト・ソーシャルワークは,ソーシャルワーク理論の統合化により発展した。

ソーシャルワークの統合化は「相談援助の基盤と専門職」で学びました。

第29回・問題94 アメリカにおけるソーシャルワークの統合化に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
1 統合化の背景には,専門分化されたソーシャルワーク実践が多様化する社会問題に対応できていたことがある。
2 統合化とは,ケースマネジメントとカウンセリングに共通する新しい知識や方法を明らかにする動きのことである。
3 ミルフォード会議の報告書(1929年)において,「ソーシャルケースワーク」という概念が初めて示され,統合化への先駆けとなった。
4 ジェネラリスト・アプローチは,ソーシャルワークの統合化の一形態である。
5 精神分析学は,ソーシャルワークの統合化に大きな影響を与えた。

この問題の正解は選択肢4です。

「相談援助の基盤と専門職」は理論的なものが多いので苦手だと思っている人も多いですが,「相談援助の理論と方法」よりもむしろ重要なものを学ぶ科目です。

得意になるのは難しくても,苦手意識は払しょくしたいです。


それでは,ほかの選択肢も確認してみましょう。


1 グループワークを体系化したのは,リッチモンド(Richmond,M)である。

リッチモンドは,ケースワークを体系化し,「ケースワークの母」と呼ばれました。


2 治療モデルを確立したのは,タフト(Taft,J)とロビンソン(Robinson,V)である。
タフトとロビンソンが確立したのは,機能的アプローチです。

治療モデルは,伝統的なソーシャルワークモデルです。発祥はリッチモンド,確立したのは,診断主義派ケースワークを提唱した,ハミルトン,トールです。


3 生活モデルを提唱したのは,ピンカス(Pincus,A)とミナハン(Minahan,A)である。

ピンカスとミナハンが提唱したのは,一般システム理論の下位概念である4つのシステムです。


5 ナラティブ・アプローチは,専門性に基づく支援者の知識に着目した。

ナラティブ・アプローチでは支援者は,クライエントに教えてもらう「無知」の立場をとるのが特徴です。


<今日の一言>

これで「様々なアプローチ」を終えますが,整理できましたか?

様々なアプローチは必ず出題されています。

正解できないのはあまりにもったいないです。

勉強方法には,様々なやり方があると思いますが,覚え方が不適切だと,まじめに勉強しても得点にはつながらないので注意が必要です。

国試では,決して深掘りもしませんし,応用力も必要な問題は出題されません。

得点するのに,応用力が必要だと思うのなら,それは覚え方自体が適切なものではないと言えるでしょう。

問われるポイントは,いつも同じだからです。

2019年5月22日水曜日

アプローチ法を提唱した人々

参考書を開くと,人名が多く書いてあります。
すべて覚えなければならないのか,と思うと気が重くなると思います。

かつては,人名がわからないと解けない問題が出題されていましたが,今はほとんどなくなっています。
そのため,覚えるべきポイントは,人名よりもその内容だということになります。

人名を覚えることに時間をかけるよりもその内容を覚えることに時間をかけるのが得策です。

今回から2回にわたって,人名問題を取り上げます。


それでは,今日の問題です。


第26回・問題99 相談援助のアプローチに関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 バンデューラ(Bandura,A.)は,行動変容アプローチに取り入れられた社会的学習理論を提唱した。

2 ピンカス(Pincus,A.)とミナハン(Minahan,A.)は,一般システム理論に基づいてユニタリー・アプローチを提唱した。

3 ロビンソン(Robinson,V.)は,地域精神医学研究などの成果を取り入れた危機介入アプローチを提唱した。

4 バーク(Berg,I.)は,社会構成主義を基盤としたナラティブ・アプローチの発展に寄与した。

5 スモーリー(Smalley,R.)は,生態学に基づく機能的アプローチを体系化した。


たった5年前の問題ですが,今ではほとんど見られない出題です。

このような問題があると,すべて覚えなければならないのかと思いますが,決してそうではありません。


さて,この問題の正解は,選択肢1です。

1 バンデューラ(Bandura,A.)は,行動変容アプローチに取り入れられた社会的学習理論を提唱した。


結局は,「心理学理論と心理的支援」で学ぶ学習理論が正解となっています。


ほかの選択肢とちょっと趣きが変わっていると思いませんか?

この問題で伝えたかったメッセージは,行動変容アプローチには,学習理論が用いられていることだと考えられます。


特に行動変容アプローチには社会生活技能訓練(SST)がありますが,SSTはバンデューラが提唱した観察学習が用いられています。

SSTは,ちょこちょこ出題されているので,この機会に覚えておきましょう。

ほかの選択肢も確認していきましょう。


2 ピンカス(Pincus,A.)とミナハン(Minahan,A.)は,一般システム理論に基づいてユニタリー・アプローチを提唱した。

ピンカスとミナハンが提唱したのは,4つのシステムです。

ユニタリー・アプローチはよくわかりません。


3 ロビンソン(Robinson,V.)は,地域精神医学研究などの成果を取り入れた危機介入アプローチを提唱した。

ロビンソンは,機能的アプローチを提唱した人です。


4 バーク(Berg,I.)は,社会構成主義を基盤としたナラティブ・アプローチの発展に寄与した。

バーグは,解決志向アプローチを提唱した人です。



5 スモーリー(Smalley,R.)は,生態学に基づく機能的アプローチを体系化した。

スモーリーは,ロビンソンとともに機能的アプローチを提唱した人です。



アプローチ名
提唱者
・心理社会的アプローチ
ホリス,ハミルトン,トール
・機能的アプローチ
タフト,ロビンソン,スモーリー
・問題解決アプローチ
パールマン
・課題中心アプローチ
リード,エプスタイン
・危機介入アプローチ
ラポポート
・行動変容アプローチ
トーマス
・エンパワメントアプローチ
ソロモン
・ナラティブアプローチ
ホワイト,エプストン
・解決志向アプローチ
シェザー,バーグ
・フェミニストアプローチ
不明
・実存主義アプローチ
クリル
・エコロジカルアプローチ
ジャーメイン,ギッターマン


まとめるとこうなりますが,人名がわからないために答えがわからない問題はほとんどありません。



<今日の一言>

勉強はまじめに取り組んだからといって,効果が出るものではありません。
参考書を丸暗記するような勉強法では,得点力を上げるのは難しいと言えます。

それと同じように,上記の表を覚えても得点できる問題はほとんどありません。
必要な知識は,提唱者(人名)ではなく,その内容です。

そこを間違えると,勉強したことが得点力にならないので注意が必要です。
必要なのは,その内容です。

2019年2月8日金曜日

第31回国試で出題された人物(外国編・日本編)

今回は,国試対策として,効率的に人名を学び,得点力を上げるポイントを考えたいと思います。

第31回国試で出題された人物

現代社会と福祉
問題23 ポランニー 初
    ブルデュー 第24回に出題
    ホネット 初
    デュルケム 第8・11・12・13・18・19・26回に出題
    バージェス 第3・13・18・19回に出題

相談援助の基盤と専門職
問題94 仲村優一 第12・14・20・25回に出題
    竹内愛二 第8・9・15・19・30回に出題
    永井三郎 初
    小河滋次郎 第3・5・10・15・17・26・29回に出題
    三好豊太郎 初

相談援助の理論と方法
問題98 ケンプ 初
問題100 ピンカス 第11・21・26・27・30回に出題
問題102 ホリス 第4・6・9・15・16・19・21・23・24・25・27・28回に出題 
問題105 ブラッドショウ(ブラッドショー) 第3・17・21・27回に出題

福祉サービスの組織と経営 
問題120 三隅二不二 第28回に出題
問題123 ドナベディアン 第18回に出題

常連さんであっても,第30回に続いて,2回続けて出題されていないことがわかると思います。

初めて見る名前が出題されるとドキドキが高まりますが,この中で名前と実績がわからないと解けないのは問題94だけです。

正解は,一見さんの三好豊太郎でした。三好豊太郎は,1924年の著書「『ケースウォーク』としての人事相談事業」(1924)でケースワークを紹介しています。

第31回国試では,リッチモンドは出題されませんでした。

これは「ソーシャルワークのグローバル定義」も影響しているように思います。
グローバル定義では,「地域・民族固有の知を基盤とする」とされています。

ソーシャルワークと言えば,COSを起源とするケースワーク,セツルメントを起源とするグループワークがあります。いずれも欧米が起源です。

リッチモンドが『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』を発刊したのは,1922年のことです。
その2年後には三岸が前述の著書を発刊しています。ソーシャルワークは欧米生まれかもしれません。しかし草創期からわが国でも研究し,発展させてきた人がいることを知ってもらい,「地域・民族の固有の知」に目を向けてもらいたいという試験委員の思いが伝わるように思います。

なぜそう思うかと言えば,一見さんであるにもかかわらず,正解選択肢として出題したからです。

正解選択肢には,試験委員の強いメッセージが込められているのです。


<今日の一言>

相談援助の基盤と専門職では,旧カリキュラム時代の「社会福祉原論」で出題されてきたものが近年出題されるようになってきています。

第30回・問題93も同じタイプの問題です。「社会福祉原論」は,現在では「現代社会と福祉」と「福祉行財政と福祉計画」に受け継がれています。

しかし「現代社会と福祉」は福祉政策を中心に学ぶ科目になり,社会福祉原論で出題されていた「福祉理論」は,久しく出題されて来ませんでした。それを補完するように「相談援助の基盤と専門職」で福祉理論につながるような出題をするようになったのではないかと推測しています。

今後は,この科目は今まで以上に重要な位置づけになっていくでしょう。


この科目以外は,人名そのものを覚えておかなければならない問題はほとんどありません。

あえて言えば,人名を覚えておかなければならないのは,第31国試では出題されなかった,石井十次(岡山孤児院),石井亮一(滝乃川学園),留岡幸助(家庭学校),野口幽香(双葉幼稚園)くらいでしょう。

人名は多くの人が覚えるのに苦労しますが,本当に覚えたいのは,多くの場合,その実績内容です。

2019年2月7日木曜日

第31回国試を振り返る

毎年国試は,少しずつ形を変えて出題されます。

同じようには出題してくれません。

そこが難しいところです。

第31回の問題を紹介します。

第31回・問題23 福祉社会づくりに関わる次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

1 ポランニー(Polanyi,K.)の互酬の議論では,社会統合の一つのパターンに相互扶助関係があるとされた。

2 ブルデュー(Bourdieu,P.)が論じた文化資本とは,地域社会が子育て支援に対して寄与する財のことをいう。

3 ホネット(Honneth,A.)が論じた社会的承認とは,地域社会における住民による福祉団体に対する信頼と認知に関わる概念である

4 デュルケム(Durkheim,E.)が論じた有機的連帯とは,教会を中心とした共助のことをいう。

5 バージェス(Burgess,E.)が論じた同心円地帯理論は,農村の村落共同体の共生空間をモデルにしている。

この問題でのいわゆる一見さんは,「ポランニーさん」と「ホネットさん」です。

常連さんであるデュルケムさんを出題してくれているので,そこを手掛かりにすると,第31回国試の特徴である「すべての選択肢の入れ替え問題」ではないことがわかります。

有機的連帯は,違った性質をもった個人の集まりです。時には共助もあるでしょう。

しかし「教会を中心とした」であれば,信者の集まりと考えられるので,どちらかと言えば「機械的連帯に違いのでは?」と見当をつけられます。

入れ替え問題ではないと考えられるので,人名を取って,問題を作り変えます。

1 互酬の議論では,社会統合の一つのパターンに相互扶助関係があるとされている。

2 文化資本とは,地域社会が子育て支援に対して寄与する財のことをいう。

3 社会的承認とは,地域社会における住民による福祉団体に対する信頼と認知に関わる概念である。

4 有機的連帯とは,教会を中心とした共助のことをいう。

5 同心円地帯理論は,農村の村落共同体の共生空間をモデルにしている。

このようにみると,選択肢1の答えはわからないので,▲。

文化資本は,過去に数回出題されているように,家が持っている文化的財,たとえば「親の知識」,「家にある本」,「優雅な所作」などをいいます。親から子,子から孫へと受け継がれていきます。

社会的承認の意味はわからなくても,福祉団体に対するものだけを指すとは思えません。

同心円地帯理論は,都市が発展していくときの様子です。都心を中心として,そこからの距離が大体同じ地帯では,同じような人たちが居住する,といったものです。

現行カリキュラムではほとんど出題されていませんが,旧カリキュラムの「社会学」では,同心円地帯理論,スプロール現象などシカゴ学派の理論がよく出題されたものです。

同心円地帯理論がわからなくても,アメリカ人が農村の村落共同体に興味をもつことはあまり考えられないと思います。

そんなことで,よくわからないけれど,選択肢1が残るのです。

改めて,選択肢1をよく見てみると,ソーシャルキャピタルの基盤である「互酬性」「信頼性」,そこから生まれる紐帯(ちゅうたい)を述べているのではないかと思います。


<今日の一言>

こんな問題は,小さなヒントを手かがりにして考えることの重要性を実感した問題です。

ただし,この問題のようなものは正解率が低いと考えられるので,正解できなくても気にすることはありません。

因みに理論系の問題で人名を出しているのは,人名を入れないと,問題の正確性が担保できないという理由もあります。

たとえば,限界集落の提唱者は出題されたことはありませんが,大野晃先生という方です。
限界集落は大野先生の定義で固まっているので名前がなくてもあってもそれほど問題はありません。

しかし,理論は言ったもの勝ち。様々な人が様々なことを言います。絶対に覚えておきたいのは,人名ではなくその内容です。つまりポランニーさんやホネットさんではなく,述べた内容を特に意識して勉強することが大切です。

ただし,この人たちが出題されるのは,第32回ではなく,近くても数年先でしょう。

第30回で出題された人物(外国人)
https://fukufuku21.blogspot.com/2018/02/blog-post_18.html

一見さんが第31回で出題されていないことがわかります。


2018年5月21日月曜日

国試に合格する勉強法~福祉の歴史編~その15

今回は,地域福祉における日本の歴史を取り上げたいと思います。

地域福祉の歴史は,人名問題になっているものがほとんどです。

嫌いな人にとっては,無味乾燥に思うかもしれません。

出題の目的は,地域福祉は地道な活動の積み重ねによって作り上げられていることを知ってもらいたいのではないでしょうか。

さて,問題です。

第22回・問題34 地域福祉の源流をつくった人物に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 賀川豊彦は,生活協同組合の父と呼ばれたが,アメリカへ渡り牧師として生涯を送った。
2 小河滋次郎は,済世顧問制度を創設し,民生委員の父と呼ばれた。
3 渋沢栄一は,晩年,実業界を退き中央慈善協会の初代会長の職務に専念した。
4 石井十次は,イギリスのトインビーホールの影響を受け,岡山で日本最初のセツルメントを開設した。
5 牧賢一は,社会福祉協議会の創設期から指導者として貢献し,『社会福祉協議会読本』(1953年)を著した。


各人の出題頻度(旧カリ時代も含む)

賀川豊彦 5回
小河滋次郎 8回
渋沢栄一 5回
石井十次 10回
牧賢一 2回

石井十次と小河滋次郎の出題回数は突出していることが分かります。

今日の問題は,現行カリキュラムの1回目のものです。
牧賢一以外,出題されているのは常連さんたちですが,内容が少し難しいです。

それでは解説です。

1 賀川豊彦は,生活協同組合の父と呼ばれたが,アメリカへ渡り牧師として生涯を送った。

賀川豊彦(かがわ・とよひこ)は,神戸の新川のスラムに住み込み,布教活動を行います。その後アメリカにわたって学び,帰国後に労働者や農民運動を行いました。生涯を送ったのは日本です。よって間違いです。賀川の自伝的小説「死線を超えて」は出版当時ベストセラーとなりました。


2 小河滋次郎は,済世顧問制度を創設し,民生委員の父と呼ばれた。

小河滋次郎(おがわ・しげじろう)が創設したのは,大阪府の方面委員制度です。
2018年は,方面委員ができて100年の節目の年です。


3 渋沢栄一は,晩年,実業界を退き中央慈善協会の初代会長の職務に専念した。

渋沢栄一(しぶさわ・えいいち)は,日本資本主義の父と呼ばれる人物です。生涯,実業界に身を置き,一生のうち,設立した会社は500社を超えると言われています。しかし自分の名前を会社名につけることを好まなかったために,知らない人にとってはなじみがない人かもしれません。

中央慈善協会は,現在の全国社会福祉協議会の源流,渋沢は初代会長に就任しました。中央慈善協会は,全国の慈善事業を推進するために感化救済事業講習会の第1回講習会の終了日に設立されました。


4 石井十次は,イギリスのトインビーホールの影響を受け,岡山で日本最初のセツルメントを開設した。

石井十次は,イギリスのバーナードホームの影響を受けて岡山孤児院を開設しました。
岡山のセツルメントは,A.アダムスが開設した岡山博愛会です。


5 牧賢一は,社会福祉協議会の創設期から指導者として貢献し,『社会福祉協議会読本』(1953年)を著した。

これが正解です。

牧賢一は,全国社会福祉協議会の事務局長を務めた人物です。


<今日の一言>

普通の感覚から言えば,牧賢一だけ時代が大きく違うので違和感があります。

この問題を作成したのは,全社協にかなり思い入れの強い人だったのではないでしょうか。



2018年5月16日水曜日

第31回国試に合格する勉強法~福祉の歴史編~その11

今回から,科目は「地域福祉の理論と方法」に移ります。

この科目も歴史が出題されます。

しかし,出題ポイントは決まっています。

しっかり押さえれば必ず得点できます。

第27回・問題33 地域福祉にかかわるイギリスの歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 チャルマーズ(Chalmers,T.)による隣友運動(1819年)では,貧困家庭への訪問活動が行われ,救貧法の改正に大きな影響を与えた。
2 ロンドンで設立された慈善組織協会(1869年)は,慈善活動を組織化するとともに友愛訪問を実施し,ソーシャルワークの形成に大きな影響を与えた。
3 ロンドンの富裕地域に設立されたトインビーホール(1884年)は,セツルメントの拠点として,富裕層による慈善活動を喚起する役割を担った。
4 「ベヴァリッジ報告」(1942年)は,社会保障制度の基礎となるとともに,地方自治体におけるパーソナル・ソーシャルサービスを中心とした組織改革をもたらした。
5 イギリス政府の病院計画(1962年)では,10年間で知的障害者の入所施設の利用者数をほぼ半数に減らし,コミュニティケアを推進する政策を打ち出した。

この中で,見たことのないものは「イギリス政府の病院計画」でしょう。
しかし多くの場合,このような選択肢に答えはないものです。

それでは解説です。


1 チャルマーズ(Chalmers,T.)による隣友運動(1819年)では,貧困家庭への訪問活動が行われ,救貧法の改正に大きな影響を与えた。

チャルマーズの隣友運動は,相互扶助です。それが慈善組織協会の活動につながっていきます。救貧法の改正には影響は与えていません。よって間違いです。


2 ロンドンで設立された慈善組織協会(1869年)は,慈善活動を組織化するとともに友愛訪問を実施し,ソーシャルワークの形成に大きな影響を与えた。

これが正解です。COSは不正受給を防止するために設立されたものです。

友愛訪問が専門化し,それがケースワークの源流となりました。


3 ロンドンの富裕地域に設立されたトインビーホール(1884年)は,セツルメントの拠点として,富裕層による慈善活動を喚起する役割を担った。

セツルメントは,知識階級が貧困地区に移住し,社会改良を目指したものです。よって間違いです。


4 「ベヴァリッジ報告」(1942年)は,社会保障制度の基礎となるとともに,地方自治体におけるパーソナル・ソーシャルサービスを中心とした組織改革をもたらした。

組織改革をもたらしたのは,シーボーム報告です。3部門を一元化しました。よって間違いです。


5 イギリス政府の病院計画(1962年)では,10年間で知的障害者の入所施設の利用者数をほぼ半数に減らし,コミュニティケアを推進する政策を打ち出した。

イギリス政府の病院計画は,大規模な精神病院を廃止する計画です。よって間違いです。


〈今日のまとめ〉

この問題で分かるのは,覚えておきたいのは,慈善組織協会,セツルメント,各種報告書です。

5つそろえることができなかったので,「イギリス政府の病院計画」を数合わせで出題したものと思われます。

2018年5月15日火曜日

第31回国試に合格する勉強法~福祉の歴史編~その10

社会福祉士の国家試験は,150問です。

そのうち,必ず数問は歴史に関する出題があります。
全体に占める割合は,決して大きくはありません。

しかし,出題されるポイントは,いつもほとんど同じです。
苦手にしてしまうのは,あまりにもったいないです。

福祉の歴史は,それほど長くはありません。

19世紀後半から大きく動き出します。

わずか150年です。

150年でも長いと思うかもしれません。

しかし50年のわずか3倍です。50歳の人の人生を3人つなげるだけで150年となります。

そう考えると,決して古い時代のことを学んでいるわけではないように思えるような気がします。

第二次世界大戦後の施策は,今の法制度に直結しています。

歴史の勉強でいやになるのは,人の名前を覚えなければならないことでしょう。

しかし,社会福祉士の歴史で覚えるべき人は,ほとんどが写真があります。
ネットで調べるとその人物はどんな人だったのかも分かります。

面倒なことかもしれませんが,ネットで調べる学習効果は絶大です。

これは,法制度でも同じです。

法が変わるときは,国が資料を作っています。概要のようなもの以上に詳しく出題されることはないので,それだけ押さえれば十分です。

〈今日のまとめ〉

国試では,凡ミスは命取りとなります。

しっかり一つずつ覚えていくには,ひと手間かけることも必要かもしれません。
理解しにくい,と思うときは,ぜひネットを使って調べてみましょう。

2018年5月11日金曜日

第31回国試に合格する勉強法~福祉の歴史編~その6

先日から歴史を徹底的に解説しています。

歴史の問題は多くはないですが,出題ポイントは決まっています。

苦手意識は持たず,取れる問題はしっかり取っていくことが大切です。

それでは,今日の問題です。

24回・問題23 福祉の思想や原理に関する次の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。

1 ウェッブ夫妻(Webb,S.&B.)は,著書『大英社会主義社会の構成』(1920年)において初めて,ナショナルミニマムの政策を提案した。その提案は,最低賃金,生存と余暇,住宅,公衆衛生,教育水準,そして環境問題に及ぶ広範なものであった。
2 ベヴァリッジ(Beveridge,W.)は,『社会保険および関連サービス』(1942年)において,国家が個人に生計維持の自発的努力を要求することは過度になりがちであるため,ナショナルミニマムは最低限ではなく最適水準に設定すべきだとした。
3 世界人権宣言では,すべて人は,社会保障を受ける権利を有し,各国の組織及び資源にかかわりなく自己の尊厳と自己の人格の発達のための経済的・社会的・文化的権利の実現に対する権利を有すると定められている。
4 バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen,N.)はノーマライゼーションの原理を世界に広めるためには,各国の文化の違いを考慮して,「可能なかぎり文化的に通常となっている手段を利用すること」という要素をこの原理の定義に含める必要があると主張した。
5 障害者の自立生活運動は,カリフォルニア大学バークレー校に在学する重度障害をもつ学生によるキャンパス内での運動として始まり,やがて地域での自立生活センターの活動に発展し,保護から自立支援と福祉理念の変化を促した。

この問題はとても難しい問題です。ある程度の知識がなければ絶対に解けないと思います。
勉強不足の人は,絶対に解けないはずです。

それでは早速解説します。

1 ウェッブ夫妻(Webb,S.&B.)は,著書『大英社会主義社会の構成』(1920年)において初めて,ナショナルミニマムの政策を提案した。その提案は,最低賃金,生存と余暇,住宅,公衆衛生,教育水準,そして環境問題に及ぶ広範なものであった。

これもものすごく難しいです。

ウェッブ夫妻=ナショナルミニマム

といった単純な知識では絶対に解けないです。

しかし,ある程度勉強した人は,『大英社会主義社会の構成』は見たことがないと思ったはずです。

それもそのはず。

ウェッブ夫妻がナショナルミニマムを提唱したのは,著書『産業民主制論』だからです。

よって間違いです。違和感があるものは間違いであることが多いです。

実は,そのあとも間違っています。同書で提案したのは,最低賃金など4つの政策です。広範囲の提案をしたのが,『大英社会主義社会の構成』です。

よって間違いです。


2 ベヴァリッジ(Beveridge,W.)は,『社会保険および関連サービス』(1942年)において,国家が個人に生計維持の自発的努力を要求することは過度になりがちであるため,ナショナルミニマムは最低限ではなく最適水準に設定すべきだとした。

ナショナルミニマムは,国家による最低限度の生活保障です。最適水準ではありません。

よって間違いです。

ナショナルミニマムは,日本では憲法第25条の生存権として規されています。


3 世界人権宣言では,すべて人は,社会保障を受ける権利を有し,各国の組織及び資源にかかわりなく自己の尊厳と自己の人格の発達のための経済的・社会的・文化的権利の実現に対する権利を有すると定められている。

世界人権宣言は,第二次世界大戦後に国際連合によって宣言されたものです。

「すべて人は・・・」という表現が使われているのが特徴です。

「各国の組織及び資源にかかわりなく」ではなく,「各国の組織及び資源に応じて」が正解です。よって間違いです。


4 バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen,N.)はノーマライゼーションの原理を世界に広めるためには,各国の文化の違いを考慮して,「可能なかぎり文化的に通常となっている手段を利用すること」という要素をこの原理の定義に含める必要があると主張した。

バンク-ミケルセンは,デンマークでノーマライゼーションを提唱した人です。世界に目を向ける段階ではありません。

その後,スウェーデンのニィリエがノーマライゼーションの8つの原理を提唱しました。

その後,北米のヴォルフェンスベルガーが,世界に広げていきます。可能なかぎり文化的に通常となっている手段を利用することを主張したのは,このヴォルフェンスベルガーです。よって間違いです。


5 障害者の自立生活運動は,カリフォルニア大学バークレー校に在学する重度障害をもつ学生によるキャンパス内での運動として始まり,やがて地域での自立生活センターの活動に発展し,保護から自立支援と福祉理念の変化を促した。

これが正解です。

自立生活運動=IL運動は,ロバーツという重度障害の学生の運動が始まりです。

日本では,その当時は,大規模コロニーが広がっていました。そんな折,ロバーツは日本で講演活動を行い,国内でもIL運動が広がっていきました。



2018年5月7日月曜日

第31回国試に合格する勉強法~福祉の歴史編~その2

前回から歴史問題に取り組んでいます。

しばらく続けていきたいと思います。

それでは,今日の問題です。

第28回・問題24 イギリスにおける貧困対策の歴史に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 新救貧法(1834年制定)は,劣等処遇の原則を否定した。
2 慈善組織協会(COS,1869年設立)は,救済に値する貧民に対する立法による救済を主張した。
3 ブース(Booth,C.)は,ロンドン貧困調査から「貧困線」という概念を示した。
4 老齢年金法(1908年成立)は,貧困高齢者に,資力調査なしで年金を支給した。
5 ウェッブ夫妻(Webb,S.&B.)は,「社会保障計画」を提唱した。

福祉の歴史の中心は,イギリスです。

イギリスは,世界で初めて産業革命を経験し,さまざまな資本主義の弊害を潜り抜けてきました。

その歴史は,貧困との闘いだと言えるでしょう。

それでは,詳しく見ていきましょう。


1 新救貧法(1834年制定)は,劣等処遇の原則を否定した。

前回も紹介しましたが,救貧法は,エリザベス救貧法と改正救貧法の違いを押さえる必要があります。

改正救貧法は,中央政府による中央集権化,自活する貧民よりも低いレベルで救済する「劣等処遇の原則」がポイントです。

よって間違いです。

2 慈善組織協会(COS,1869年設立)は,救済に値する貧民に対する立法による救済を主張した。

慈善組織協会(COS)は,救済の価値のある貧民と救済の価値のない貧民に分けて,救済の価値のある貧民だけを救済しました。

立法による救済は主張していません。よって間違いです。


3 ブース(Booth,C.)は,ロンドン貧困調査から「貧困線」という概念を示した。

これが正解です。ブースは貧困線を設けて,実に3割が貧困に陥っていること,貧困の原因は,最も多かったものは雇用の問題,そして2番目は環境の問題であることが明らかとなりました。

ブースの貧困調査を一歩進めたものが,ラウントリーによる調査です。

ラウントリーは,最低生活費から貧困線を設けるマーケットバスケット方式という科学的な方法を用いました。


4 老齢年金法(1908年成立)は,貧困高齢者に,資力調査なしで年金を支給した。

イギリスの老齢年金法は,全額公費負担方式でした。

社会保険方式ではないので,資力調査を実施して年金が支給されています。よって間違いです。


5 ウェッブ夫妻(Webb,S.&B.)は,「社会保障計画」を提唱した。

ウェッブ夫妻が提唱したのは,ナショナルミニマム(国家による最低生活保障)です。よって間違いです。

ウェッブ夫妻が提唱したナショナルミニマムを取り入れた社会保障計画を提唱したのは,べヴァリッジです。



〈今日の一言〉

歴史は,勘では解けないので,勉強不足の人は太刀打ちでないものとなります。

しかし,決して深い知識は問われず,しかも出題されるのはいつも同じです。

つまり勉強すれば点数が取れるものになります。

2018年5月1日火曜日

国試に合格するニーズの覚え方~番外編

前回まで4回にわたって,ニーズのとらえ方を解説してきました。

固定的なニーズは,窮乏(貧困)です。

そのため,窮乏をどのようにとらえたらよいのか,多くの人が試みてきました。

今回は,人はニーズをどのようにとらえてきたのかを切り口として解説していきたいと思います。


第27回・問題22 貧困及びニードのとらえ方に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

1 タウンゼント(Townsend,P)は貧困者には共通した「貧困の文化(culture of poverty)」があることを明らかにした。

2 リスター(Lister,R)は,「ノーマティブ・ニード」に加えて,「フェルト・ニード」を提案した。

3 ルイス(Lewis,O.)は,「相対的剥奪」の概念を精緻化することで,相対的貧困を論じた。
4 ブラッドショー(Bradshaw,J)は,絶対的貧困・相対的貧困の二分法による論争に終止符を打つことを目指した。

5 スピッカー(Spicker,P)は,「貧困」の多様な意味を,「物質的状態」,「経済的境遇」及び「社会的地位」の三つの群に整理した。

この問題は,

国試における「貧困」の出現数の年次推移~社会福祉士国試は時代を映す鏡です!!

http://fukufuku21.blogspot.jp/2018/02/blog-post_22.html

で紹介したので,覚えている方もいるいるでしょう。

それでは解説です。

1 タウンゼント(Townsend,P)は貧困者には共通した「貧困の文化(culture of poverty)」があることを明らかにした。

19世紀後半から20世紀の前半,イギリスではブース,ラウントリーによって貧困調査が行われました。

特徴は,生きるためのぎりぎりラインである貧困線を定めたことです。

それ以下の生活を送る人の貧困状態をあぶり出しました。これを絶対的貧困と言います。

それに対して,タウンゼントは,周囲の人が普通に行っていることができないことを相対的剥奪と呼び,その状態を相対的貧困だと定義づけました。

相対的貧困は,時代や社会によって変化していくことが特徴です。

ルイスという人は,5つのメキシコ人の家族を分析して,貧困者には,共通の「貧困の文化」があると考えました。

貧困の文化とは,貧困者は貧困状態を受け入れて,そこから抜け出そうとしない文化があり,その文化は親から子に受け継がれるというものです。

しかし,たった5つの家族の共通点を調べただけでは,それを普遍化する考察は深まらないでしょう。

2 リスター(Lister,R)は,「ノーマティブ・ニード」に加えて,「フェルト・ニード」を提案した。

リスターは,スピッカーとセットで覚えたいです。5でまとめて紹介します。

「ノーマティブ・ニード」「フェルト・ニード」は,ブラッドショーのニーズの分類です。
これは絶対に覚えておきたいです。

3 ルイス(Lewis,O.)は,「相対的剥奪」の概念を精緻化することで,相対的貧困を論じた。

相対的貧困を論じたのは,先述のようにタウンゼントです。

絶対的貧困と相対的貧困の違いをしっかり押さえておきたいです。

4 ブラッドショー(Bradshaw,J)は,絶対的貧困・相対的貧困の二分法による論争に終止符を打つことを目指した。

ブラッドショーは,先述のように,ニードを分類した人です。

絶対的貧困・相対的貧困の二分法による論争に終止符を打つことを目指したのかどうかは分かりませんが,絶対的貧困,相対的貧困とは違った貧困をとらえた新しい流れを作ったのは,アマルティ・センです。

センは,福祉的自由を行使できる機能の集合体である潜在能力(ケイパビリティ)に着目しました。潜在能力が欠如している状態を貧困だととらえたことに特徴があります。

このように貧困をとらえる方法をケイパビリティ・アプローチと言います。

貧困のとらえ方の流れは,

古典的な貧困である「絶対的貧困」,周囲と比べる「相対的貧困」,潜在能力に着目した「ケイパビリティ・アプローチ」

しっかり覚えておきたいです。

5 スピッカー(Spicker,P)は,「貧困」の多様な意味を,「物質的状態」,「経済的境遇」及び「社会的地位」の三つの群に整理した。

最後は,リスターとスピッカーです。

まずは,スピッカーです。貧困の「貧困の家族的類似」を提唱しました。

貧困に関する概念を分析すると,

「物質的状態」「社会的地位」「経済的境遇」に分類できて,共通するものとして「容認できない困難」があると述べました。

よって正解です。

リスターは,スピッカーの考え方を車輪に置き換えた「車輪モデル」を提唱しました。

車輪は丸いです。

車輪の中心部(ハブ部)に「物質的欠乏」を配置して,車輪部分に「非物質的欠乏」を配置して,その関係性を説明しました。

(2018/11/16追記)

リスターとスピッカーの貧困論を重ねてみます。

中心にあるのは,「容認できない困難」(スピッカー),「物質的欠乏」(リスター)。

周りにあるのは,「物質的状態・社会的地位・経済的境遇」(スピッカー),「非物質的欠乏」(リスター)

つまり,スピッカーのいう「容認できない困難」とは,物質的欠乏のことを言っているのだと思います。古典的な貧困です。

古い言葉で表現すると「絶対的貧困」でしょう。

そして,「物質的状態・社会的地位・経済的境遇」は,非物質的な欠乏のことと重なるでしょう。これらは新しい貧困と言えます。

スピッカーは物質も含めていますが,リスターが示した車輪部分は,絶対的貧困でもなく,相対的貧困でもない,新しい貧困です。

サスペンスドラマでは,周りの人が理解できない殺人事件の原因になりそうなテーマなのではないでしょうか。

これらを出題した理由は,複合的な福祉ニーズを理解するためのものと言えるでしょう。

2018年4月14日土曜日

社会理論で絶対に覚えたい5人衆~(番外編)マルクス

「社会理論と社会システム」で絶対に覚えたい5人衆を締めくくるのは,マルクスです。

マルクスは,旧カリキュラムを含めると7回出題されています。

マルクスはこの科目でしか出題されていません。それなのに番外編に入れている理由は,経済学者だからです。

経済学者なのに,この科目で出題されているところがマルクスを理解するヒントとなります。

マルクスは,著書「資本論」などで知られます。

社会には,生産手段を持つ資本家(ブルジョアジー)と生産手段を持たない労働者(プロレタリアート)の2つの階級があると考えました。

また,社会には資本主義と共産主義があり,より高い次元のものが共産主義による社会だと考えました。

マルクスが活躍したのは,19世紀後半です。ブースの貧困調査では,ロンドン市民の30%が貧困に陥っていることを明らかにしました。この時代は,資本家による経済的搾取が行われ,それによって労働者に多くの貧困を生み出していたのです。

そこでマルクスは,過剰な利益は,資本家に帰属するものではなく,労働者に還元されるべきものであると考えました。

それで行き着いたのが,共産主義です。

共産主義は,資本家と労働者という階級が廃止された社会です。このように社会が発展する原動力は,階級闘争にあると考えました。

マルクスに関する出題は,この程度を覚えておけば良いと思います。

マルクスの考えは,その後労働者階級に受け入れられて,共産主義国家を生み出すことになります。

ロシアでは,レーニンが孤立する労働者を結びつける政治的リーダーたる前衛党が登場し,資本主義を打倒する闘争を指揮すると考えて,そして実際に革命を起こして共産主義国家が樹立されました。

それが1917年。つまり2017年が世界で初めて共産主義国家が誕生して100年でした。

高い理想によって生まれて,労働者の楽園とまで言われた共産主義が今日では廃れてきてしまったのはなぜでしょうか。

それは,マルクスの時代にはなかった,最低限度の生活は国家が保障するというナショナルミニマムといった考えが生まれて資本主義国家は福祉国家に姿を変えていったこと。

そして,もう一つ重要なことは,共産主義では,能力に応じて働き,必要に応じて受け取る,というスタイルは,競争を生み出しにくかったことです。

「福祉サービスの組織と経営」では,さまざまな組織論を学びますが,その基本となっているのは,マズローの欲求段階説です。最上位のニードは,「自己実現欲求」です。修正資本主義では,このニード論が適度な競争を生み出し,自己実現を生み出す原動力となりました。

さて,これらの知識をもとに,マルクスの問題を確認していきましょう。

※以前にマルクスが現行カリキュラムで出題回数は,2回と書きましたが,よく調べたら3回でした。


■マルクス(Marx,K.)は,階級を生産手段の所有と非所有に基づいて区別されると定義した。 (第26回・問題15・選択肢1)

これは正解です。生産手段を所有しているのはブルジョアジー,生産手段を所有していないのはプロレタリアートです。プロレタリアートは,生産手段を持たないので,労働力を商品化します。

労働力の商品化と聞いて「ぴーん」と来た人もいるでしょう。エスピン-アンデルセンが福祉レジームを分類した時の指標です。これについては別の機会に紹介したいと思います。


■マルクス(Marx,K.)は,階級闘争が歴史を動かしていると考え,孤立する労働者を結びつける政治的リーダーたる前衛党が登場し,資本主義を打倒する闘争を指揮すると考えた。 (第22回・問題17・選択肢2)

前半の「階級闘争が歴史を動かしている」と考えたのは,マルクスで正解ですが,後半の「立する労働者を結びつける政治的リーダーたる前衛党が登場し,資本主義を打倒する闘争を指揮する」と考えたのは,レーニンです。よって間違いです。


■マルクス(Marx,K.)は,労働を重視しつつも,それが生む剰余価値は私有財産制のもとでは生産手段を有する資本家の正当な取り分であるという考え方を提示した。 (第25回・問題19・選択肢3)

マルクスは,剰余価値は,労働者に還元すべきだと考えました。よって間違いです。

マルクスは何度も出題されていますが,毎回姿を変えて出題されていることに気が付くことでしょう。

ただ暗記するだけでは対応不可能です。

マルクスで押さえておきたいポイント

階級には,資本家,労働者がある。
マルクスの考えは,その後,共産主義国家につながっていく。

これを基本に押さえておいて,形を変えられた場合は,ここから想像して答えを考えることです。

問題を解くとき,自分の中で情報を交換することが得点力が大切です。



2018年4月13日金曜日

社会理論で絶対に覚えたい5人衆~(番外編)ラウントリー

ラウントリーは,ヨーク市で貧困調査を行った人です。

貧困調査と言えば,19世紀末にロンドンで貧困調査を行ったブースと,19世紀末から20世紀にかけてヨーク市で貧困調査を行ったラウントリーが知られます。

そのうちラウントリーが「社会理論と社会システム」で出題される理由は,貧困とライフサイクルを結び付けたことに他なりません。

社会福祉士の国家試験で出題されるブースには,貧困調査を行ったC.ブースと救世軍を創設したW.ブースがいますが,現行カリキュラムではW.ブースは出題されていないので,ブースといった場合は,C.ブースのことを指しています。

ラウントリーはブースと切りはなすことができないので,まずはブースを解説します。

ブースはイギリスの汽船会社の経営者です。その会社によって財をなしていました。

その当時,ワーキングクラスの団体が「労働者の25%が貧困状態である」という調査報告をしていました。

ブースは経営者として,この調査結果に納得できず,私財を投じて貧困調査を実施したところ,25%どころか,30%のロンドン市民が貧困状態であることが分かりました。

同時に,ブースは貧困になった原因を調査しました。それによって明らかになったのは,

貧困の原因です。

第1位は雇用の問題(臨時就労や低賃金など)

第2位は環境の問題(疾病や大家族など)

第3位は習慣の問題(飲酒や浪費など)です。

個人的な要因で貧困に陥ると思われていた当時の常識をひっくり返したのです。

ブースの貧困調査は,のちにナショナルミニマム(国家による最低限度の生活保障)を提唱した,ウェッブ夫妻の妻のベアトリスが参加することにより調査の精度を高めました。


ブースによるロンドンの貧困調査に影響を受けたのは,チョコレート製造で急成長した会社の御曹司であるラウントリーです。

ラウントリーはヨーク市で全数調査によって貧困調査を行いました。

その当時のヨーク市の人口は約8万人です。その規模が全数調査を可能としました。

ラウントリーが貧困調査に用いたのは,マーケットバスケット(買い物かご)方式と呼ばれる科学的な手法でした。

肉体を維持するためにどのくらいの栄養量が必要なのかの基準を設けて,第一次貧困と第二次貧困という貧困線を設定しました。

第一次貧困は,肉体を維持するギリギリライン

第二次貧困は,飲酒などをしなければ肉体を保持できる程度の貧困

この辺りまでは他の科目で出題される内容の説明です。

貧困調査を行ったブースとラウントリーのうち,ラウントリーが「社会理論と社会システム」で出題されるのは,ライフサイクルと貧困の関係を明らかにしたことによります。


これは,人の一生のうち,自分が子どものうち,子どもが生まれてから巣立つまでの間,高齢期の3回に貧困になるというものです。

それでは,本題のラウントリーの問題を確認しましょう。

①ラウントリー(Rowntree,B.S.)が労働者の総収入に注目し明らかにした,第一次・第二次貧困の考え方は,後に最低生活費の考え方の基礎となった。 (第26回・問題21・選択肢1)

②ラウントリー(Rowntree,B.S.)は,19世紀末イギリスの農民を調査し,その一生にわたる経済的浮沈を指摘したことから,ライフサイクル研究の祖といわれる。 (第23回・問題19・選択肢4)

現行カリキュラムでこの科目で出題されたのはこの2つです。

①は正解です。

②は,ラウントリーが調査したのは,ヨーク市民です。よって間違いです。
当時ヨーク市に農民がいたかどうかは分かりません。

ラウントリーはヨーク市民に全数調査を行ったことが特徴です。農民を調査するのではあれば,市民の全数調査にはなりません。

それよりも重要なことは,貧困は農民よりも都市生活者の方がより陥りやすい,といったことです。



2018年4月12日木曜日

社会理論で絶対に覚えたい5人衆~⑤ジンメル

ここまで,①ウェーバー(ヴェーバー),②デュルケム,③マートン,④テンニースを紹介してきました。

今回は,5人衆の最後のジンメルです。

ジンメルは,旧カリ時代も含めて7回も出題されています。

しかし,その出題頻度の割に,正解になったのはたったの1回だけです。

■ジンメル・・・集団の拡大と個性の発達,社会圏の交錯 (第5回・問題135・選択肢4)

これだけが正解です。

これを文章化すると・・・

ジンメルは,社会圏(ジンメルは社会集団の意味で使っている)は個人を中心として交じり合い,その相互作用が集団を拡大させ,それと同時に個性を発達させると考えた。

といったものとなります。

これだけが国試を解くときのポイントとなります。

ジンメルは重要な人にもかかわらず,なぜかジンメルそのものの研究が出題されることは少ないのです。

例えば,

ジンメル(Simmel,G.)は,社会は分業の体系であると考え,同質な個人の連帯である機械的連帯から異質な個人の分業による有機的連帯に変化していくと考えた。

といったようなものです。これは先日紹介したように,デュルケムが正しいものとなります。

ジンメル(Simmel,G)は,本質意志に基づく結合を表すゲマインシャフト(共同社会)から選択意志に基づく結合を表すゲゼルシャフト(利益社会)への変化に着目した。

これはテンニースが正しいものとなります。

間違いとして出題されたのは,6回ありますが,そのうちジンメルの研究内容が出題されたのは,1回です。

ジンメル(Simmel,G.)は,社会的な分化が進むことによって,人々が相互に交流する範囲としての社会圏が縮小していくと考えた。 (第26回・問題16・選択肢4)

これは間違いです。社会圏は相互作用で大きくなっていきます。


〈今日の一言〉

ジンメルが出題されたのは7回。正解になったのはたったの1回。

それは,間違いを選ぶ問題の中での正解選択肢でした。

つまり,そのたった1回の正解もジンメルは選ばれる対象ではなかったのです。

ジンメルが選ばれる問題は今まで一度のなかったということです。

ジンメルがお墓の中から「俺を選ぶ問題も作ってくれ~」という叫んでいるのが聞こえてきそうです。

ジンメルは正解になることは極めて少ないですが,出題されたときのために覚えておきたいのは,

ジンメルは,社会圏(ジンメルは社会集団の意味で使っている)は個人を中心として交じり合い,その相互作用が集団を拡大させ,それと同時に個性を発達させると考えた。

これだけです。

ジンメルは,社会学の大家でたくさんのものを提唱していますが,まったく別のものを出題すると誰も解けなくなってしまうので,正解選択肢にするのは,過去に出題されたもののアレンジということになります。

それ以外にジンメルが正解になることがあるとしたら,ジンメル以外の選択肢が消去できる内容である場合でしょう。

こういうことに気がつけば,国試での得点力はぐ~んと伸びます。

次回は,番外編のラウントリーです。

2018年4月10日火曜日

社会理論で絶対に覚えたい5人衆~③マートン

社会理論と社会システムでは,人名を覚えなければならないのでいやだな,と思う人が多いと思います。

そのため,私たちチームfukufuku21は,人名を深めてみた結果,現行カリキュラムで出題された29名中,2回以上出題された5名(2回以上出題されたのは7名だが,2名はほかの科目でも出題)が重点課題であることを発見しました。

人名を覚えるのが苦手でも5名なら何とかなるでしょう。

さて,社会理論で絶対に覚えたい5人衆の3人目は,マートンです。

マートンという名前が出題されたのは,2回です。

覚えるべきポイント

①逆機能(官僚制の逆機能)

②社会的逸脱(アノミー)

この2つに集約されます。マートンが提唱したもので国家試験に出題されたものは,潜在的機能(意図せざる結果),準拠集団など多岐にわたります。

しかしそこには「マートン」という名称は国家試験では使われません。

人名を覚えることではなく,その内容を覚えることが重要なのが,このことからよく分かると思います。

逆機能

システムがうまく機能しないこと。

また,ウェーバーが合理的支配をよりすすめたものとして「官僚制」を挙げていますが,マートンは,官僚制がうまく機能しないことを「官僚制の逆機能」と呼びました。

今日の日本で言えば,忖度(そんたく)や官僚による文書改ざんなどが,誰かの指示によって行われたものではなく,自発的に行われたものだとすれば,官僚制の逆機能と言えるのかもしれません。

逆機能は,多くの使われ方がされます。

たとえば,

スマホが普及する中,スマホがうまく使えこなせないことがストレスとなる。

などです。


アノミー

社会的逸脱(犯罪など)は,文化目標とその達成手段との不一致によって生じる。

デュルケムは,アノミーで自殺を論じましたが,マートンはアノミーで社会的逸脱を論じました。

文化目標とその達成手段との不一致とは

アメリカンドリームなどのように夢は大きくても,実際に自分を振り返るとアメリカンドリームを達成するための手段や機会がないことで,そこにいらだち,逸脱するというものです。

社会的逸脱に関する理論の出題の中心は,ラベリング理論(逸脱者としてレッテルを貼ることで逸脱するという理論。重要なのはレッテルを貼る側)ですが,それに絡めてアノミー論が出題されます。


それでは,マートンに関連するものをチェックしましょう。

■官僚には組織目標を効果的に実現するために,反応の信頼性と規程の遵守が求められるが,これへの過剰な同調が生じると臨機応変の処置がとれなくなる。これは,マートン(Merton,R.)が論じる官僚制の逆機能の一局面である。 (第23回・問題17・選択肢2)

■パーソンズ(Parsons,T.)は,潜在的機能や逆機能に着目しつつ,合理性と共通価値に基づく目的―手段関係を追求するコミュニケーション行為の理論を論じた。 (第25回・問題19・選択肢5)

■ラベリング理論とは,機能主義的な立場から順機能・逆機能,顕在的機能・潜在的機能といった概念を導入しつつ,逸脱や逸脱行動を説明する立場である。 (第29回・問題21・選択肢1)

1つめと2つめは,逆機能に関連するもの,3つめはアノミー論に関連するものです。

それでは,詳しく見ていきましょう。

■官僚には組織目標を効果的に実現するために,反応の信頼性と規程の遵守が求められるが,これへの過剰な同調が生じると臨機応変の処置がとれなくなる。これは,マートン(Merton,R.)が論じる官僚制の逆機能の一局面である。

これは正解です。逆機能(官僚制の逆機能)は,とても重要です。確実に理解しておいてください。

■パーソンズ(Parsons,T.)は,潜在的機能や逆機能に着目しつつ,合理性と共通価値に基づく目的―手段関係を追求するコミュニケーション行為の理論を論じた。

これは,完全にでたらめ問題です。潜在的機能や逆機能に着目したのは,マートンです。コミュニケーション行為を提唱したのは,ハーバマスです。
社会的行為と言えば,ウェーバーが有名ですが,コミュニケーション的行為はハーバマスなので注意です。

■ラベリング理論とは,機能主義的な立場から順機能・逆機能,顕在的機能・潜在的機能といった概念を導入しつつ,逸脱や逸脱行動を説明する立場である。 (第29回・問題21・選択肢1)

ラベリング理論ではなく,マートンのアノミー論です。

マートンは,このようにラベリング理論などに絡めて出題されます。

次回は,テンニースです。

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