2018年4月12日木曜日

社会理論で絶対に覚えたい5人衆~⑤ジンメル

ここまで,①ウェーバー(ヴェーバー),②デュルケム,③マートン,④テンニースを紹介してきました。

今回は,5人衆の最後のジンメルです。

ジンメルは,旧カリ時代も含めて7回も出題されています。

しかし,その出題頻度の割に,正解になったのはたったの1回だけです。

■ジンメル・・・集団の拡大と個性の発達,社会圏の交錯 (第5回・問題135・選択肢4)

これだけが正解です。

これを文章化すると・・・

ジンメルは,社会圏(ジンメルは社会集団の意味で使っている)は個人を中心として交じり合い,その相互作用が集団を拡大させ,それと同時に個性を発達させると考えた。

といったものとなります。

これだけが国試を解くときのポイントとなります。

ジンメルは重要な人にもかかわらず,なぜかジンメルそのものの研究が出題されることは少ないのです。

例えば,

ジンメル(Simmel,G.)は,社会は分業の体系であると考え,同質な個人の連帯である機械的連帯から異質な個人の分業による有機的連帯に変化していくと考えた。

といったようなものです。これは先日紹介したように,デュルケムが正しいものとなります。

ジンメル(Simmel,G)は,本質意志に基づく結合を表すゲマインシャフト(共同社会)から選択意志に基づく結合を表すゲゼルシャフト(利益社会)への変化に着目した。

これはテンニースが正しいものとなります。

間違いとして出題されたのは,6回ありますが,そのうちジンメルの研究内容が出題されたのは,1回です。

ジンメル(Simmel,G.)は,社会的な分化が進むことによって,人々が相互に交流する範囲としての社会圏が縮小していくと考えた。 (第26回・問題16・選択肢4)

これは間違いです。社会圏は相互作用で大きくなっていきます。


〈今日の一言〉

ジンメルが出題されたのは7回。正解になったのはたったの1回。

それは,間違いを選ぶ問題の中での正解選択肢でした。

つまり,そのたった1回の正解もジンメルは選ばれる対象ではなかったのです。

ジンメルが選ばれる問題は今まで一度のなかったということです。

ジンメルがお墓の中から「俺を選ぶ問題も作ってくれ~」という叫んでいるのが聞こえてきそうです。

ジンメルは正解になることは極めて少ないですが,出題されたときのために覚えておきたいのは,

ジンメルは,社会圏(ジンメルは社会集団の意味で使っている)は個人を中心として交じり合い,その相互作用が集団を拡大させ,それと同時に個性を発達させると考えた。

これだけです。

ジンメルは,社会学の大家でたくさんのものを提唱していますが,まったく別のものを出題すると誰も解けなくなってしまうので,正解選択肢にするのは,過去に出題されたもののアレンジということになります。

それ以外にジンメルが正解になることがあるとしたら,ジンメル以外の選択肢が消去できる内容である場合でしょう。

こういうことに気がつけば,国試での得点力はぐ~んと伸びます。

次回は,番外編のラウントリーです。

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